ブログ仲間の桃実姫の転記記事です。内容は件名の通り、そのものずばり「アメリカン航空も連邦破産法の適用を申請!」「どうなる世界経済! 大丈夫か資本主義?」。で、その問いに対する回答は、桃実姫も私も、「大丈夫さ!」「連邦破産法申請で、アメリカン航空はいよいよ大丈夫さね」です。

さて、「Chapter 11」とは、アメリカでは普通、「United States Bankruptcy Code:連邦破産法」の11条(章)のことを指して用いられる言葉。而して、この「Chapter 11」は、企業の破綻処理の手法の中でも「reorganization:再建・再生」の手続きを定めている条項。

で、誤解を恐れず白黒はっきり言えば、「Chapter 11」とは、「liquidation:清算」手続きを定める同法の「Chapter 7」とは異なり、日本の民事再生法の手続きに当たるもの。つまり、、「Chapter 11」の申請とは、倒産して会社がなくなるのではなく、会社の再生に向けて、司法の後見と指導の元に、会社の資産を保全して、他方、債権者に対して借金の圧縮や棒引き、支払いの繰り延べをこれから相談させていただきますよ、ということ。





而して、本文で述べられている桃実さんのアメリカ人のご主人の意見に私も賛成。
そして、桃実姫の最後のセンテンスに同意します。

実際、2008年のリーマンショックや、今般のEUの財政・金融危機という羹に懲りて(あるいは、福島の原発事故に悪乗りして)膾と法螺を吹く、而して、「資本主義は終わった」とかのたまう論者が日本では少なくない。そういう論者と議論が存在すること。それは事実でしょう。而して、世界的に見れば、寧ろ、それは恥ずかしいことなの、鴨。

なぜならば、「社会主義の勝利は歴史の法則」と強弁して、「マルクスの史的唯物論の無謬性」を詐称したかってのマルクス主義者達とは違い、保守系の論者は、史上誰一人「資本主義は完璧な制度だ」などと言ったことはないのですから。というか、そんなこと、夢にも思ったこともないでしょうからね。

ただ、チャーチルが民主主義について語った顰みに倣えば、「資本主義は、所得と資源の分配と交換に関する最悪のシステムである、ただし、「社会主義」を筆頭に今まで存在したシステムを除けば」とは言える。保守系の論者の中にはそのように考えた論者もいたのかもしれませんけれども。そして、「マルクスの史的唯物論」などは「マルクスの唯の私的な呟き」にしかすぎなかったこと。このことを1989年-1991年の社会主義崩壊の前後に全人類が目撃したのではないかと思います。

ならば、確かに、資本主義は、例えば、①利潤の追求が自己目的化する(資本の自己増殖を基本的には制御できない)、②資源と所得の分配が基本的には<市場>に任せられ、<欲望の暴力>が支配する無政府状態的システムではあるが、人類は当座それと添い寝するしかない。畢竟、この諦観というか、現世利益を期待しない大人の態度からは(要は、保守主義の前提に立てば)、「倒産こそ資本主義の強靱さ(robustness)と資本主義社会の活気(vitality)の裏面」でもある。そうも言えるの、鴨。私はそう考えます。以下、桃実姫の記事転記転載。







American Airlies has finally filed for Chapter 11


とうとう、American Airlines (アメリカン航空)も連邦破産法の適用を申請した。
私のような1個人のところにも、下のようなメールが届いた。

As you may know, on Tuesday, November 29, American Airlines filed for reorganization under Chapter 11. We took this action as part of our efforts to secure our long-term success in delivering the highest standards in air travel. We are committed to meeting your travel needs with outstanding customer service and safety, and it will be business as usual at American throughout our reorganization process. More than 80,000 people at American appreciate your loyalty and look forward to continuing to serve you.

We want to assure you that your AAdvantage® miles are secure. The AAdvantage miles that you've earned are yours and will stay yours, subject to usual policies, until you choose to redeem them for a great award with us. Likewise, your elite qualifying miles and your elite status, including lifetime status granted under the Million MilerSM program is secure and remains intact. You will continue to earn miles through all our existing AAdvantage participating companies and you will be able to redeem those miles for the same great awards — flights, upgrades, car rentals and hotels just to name a few. And, throughout the coming year, we will be adding even more opportunities to earn miles, as well as new ways to redeem those miles.

American is honoring all tickets and reservations as usual, and making normal refunds and exchanges. And, we intend to maintain a strong presence in domestic and international markets. As we and all airlines routinely do, we will continue to evaluate our operations and service, assuring that our network is as efficient and productive as possible. Additionally, relationships with our oneworld Alliance and other codeshare partners are continuing to provide you with opportunities to earn and redeem miles for travel to hundreds of destinations worldwide, and we are honoring all tickets and reservations for travel on our partner airlines as usual. For information about American's reorganization process, please visitAA.com/restructuring.

Even more importantly, we remain committed to providing a superior customer experience with a focus on delivering what our customers value most — the newest fleet with our upcoming aircraft deliveries, network strength in the important cities of the world and world-class products, service and technology.

American Airlines has a proud history, and we will have a successful future. All of us on the American team thank you for your loyalty and we look forward to welcoming you aboard soon.

Sincerely,


Maya Leibman
President — AAdvantage Loyalty Program



長いメールだが、要約すれば、破産法の適用を申請したけれど、これまでどおり飛行機は飛ばすし、あなたのマイレージは何ら影響を受けない、心配ない、ということだ。はあ。

昔、元JALの客室乗務員だった知人がいたが、彼女いわく、入社式当日、
社長がスピーチで、「みなさん、旅客ビジネスは絶対に黒字にならない産業です」と、
堂々言い放ったのだという。

どの社長さんだったか不明だが、なかなかの御仁である。これがしばらくすると、社員はみんな、御用組合から極左組合まで、10いくつもあったところに所属しだすんだから。ったく、航空業界は組合の巣窟である。昔、団体交渉をした経験がある身としては、彼らはまるで「社内生活保護申請者」であった。働くよりまずもう休暇、カネ、権利。

うちの旦那いわく、

「American was the only major airline that had not gone bankrupt since 9/11. As a result, they were saddled with the highest labor costs. They should be fine once they get through the bankruptcy」


(アメリカンは、メジャーな航空会社の中で、9・11以降まだ潰れていない唯一の会社だったが、そのせいで、もっとも高額な労働コストを背負う羽目になった。破産すれば楽になるだろう)とのこと。

わが日本国も、一度破産しなければ、外国人生活保護者を本国に引き取ってもらったり、働けるのに働かない生活保護者に強制的に仕事をあてがったり、偽装離婚して○○手当てをもらっていながら「少ない」と訴える馬鹿女たちを叱り飛ばすとかできないものだろうか。


転載元: Shalom! 桃実の部屋


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テーマ : 保守主義
ジャンル : 政治・経済




私は、資本主義的な生態学的社会構造(「商品」と「市場」を結節点とした、自然を媒介とする人と人が取り結ぶ社会的な関係性の総体)との同床異夢が不可避な現下の<乏しき時代>に保守主義を信奉する者として、TPP加盟締結には断固賛成です。もちろん、TPP加盟には幾つかの前提が遵守されるべきとも考えていますけどね。

而して、賛成派にもいろいろな人がおられる由。あるブログ友によれば、池田信夫氏等の賛成論者の中には(反対論者を「経済学のイロハ」も知らぬ輩と見下してのことなのでしょうか)、「TPPに反対している人間は、比較優位すら理解できていない」と発言する向きもあるらしい。確かに、例えば、TPP推進の論陣を張っている朝日新聞の社説を読むにつけ、そのような「上から目線」を私も感じないではありません。

経済学的に言えば、確かに、自由貿易は各国の産業の競争力を高め、トータルの国民経済を効率化する。而して、各国は各国の「ポルトガルのワイン」(他国に対して自国が比較優位性を持つ商品の象徴。)の生産に特化すれば、(国民経済の射程から国際経済の領域にその管轄域(Jurisdiction)を拡大した)「神の見えざる手」によって諸国民は共に豊かさを享受できるの、鴨。しかし、この経済学的の帰結は、幾つかの条件下でのみ成立し得るもの。すなわち、それは現実の「国民経済-国際経済」の本質的な属性を捨象した<机上の空論>にすぎません。

大急ぎで補足しておくと、あらゆる理論は大なり小なり<机上の空論>であり、そのこと自体は<理論>の価値や効用を否定するものではないでしょう。しかし、逆に、自説が<机上の空論>であること、<机上の空論>でしかないことの自覚は、あらゆる理論に関してそれを用いる論者が常に意識しておくべきことだと思います。而して、かって、「鳥の翼の構造がいかに精緻なものであったとしても、真空の中では鳥の羽ばたきは空虚なものに違いない」と語ったパブロフの箴言はこのようなコノテーション(connotation)において理解されるべき、鴨。

畢竟、あらゆる理論が<理論>としての権威と尊敬、威力と影響力を社会から与えられる前提の一斑は、新カント派の言う意味での「価値相対主義」、並びに、カール・ポパーの批判理論を格納した分析哲学の言う意味での「反証可能性」に他ならない。と、そう私は考えています。閑話休題。



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前述のブログ友は、経済政策の帯びる、就中、農業経済政策の帯びる「安全保障」機能の点から比較優位論を批判しておられる(↓)。それは正論と言えると思います。<ワイン>が高値で安定的に輸出できるとしても、選択と集中の産業構造転換のプロセスの結果、その<ワイン>の生産のために<米>の生産が消滅するとすれば、世界的な穀物不作が惹起した場合には、日本国民は山積みされた<ワイン>輸出用のコンテナの傍らで国際経済の神に<ワイン>で乾杯を捧げつつ餓死するしかなくなるだろうから。

昔、タクラマカン砂漠の探検からの帰還を歓迎するレセプションで、探検中に一滴の水もなく1週間を過ごしたエピソードを語ったスウェン・ヘディンの話を聞いて、カール・ラルソンは、「俺はこの7年間、水なんか一滴も飲んだことはないぜ」と呟いたらしい。しかし、人口減少に転じたとはいえ1億余の日本国民の中でも、7年と言わず1週間、ワインがあれば水も食料も不要と言う方はそう多くはないのではないでしょうか。

・「TPP」とやら
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60845999.html


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蓋し、「経済学」も「比較優位論」もそれは、現実の社会と世界における妥当な経済政策を単独で演繹できる類の知の枠組みではないのです。このことは上記ブログ友が俎上に載せられた「安全保障」の切り口からも言えるのですが、更に、ミクロ的には経営のイノベーションが、マクロ的には産業構造の転換が恒常的に惹起する事実からも自明でしょう。畢竟、個々の商品の比較優位性は、論理的に想定されるだけの「静止した時間」、すなわち、論理的な<現在>においてのみ成り立つ思考枠組みにすぎないのです。

繰り返しますが、私は、その抽象性を理由にして経済学一般を否定する気はありません。なぜならば、そのような抽象化は何ほどかの理論においては不可避であろうし、他方、その抽象化ゆえに理論の斬れ味も破壊力もまた担保されるのでしょうから。

しかし、例えば、産業構造の転換がコストレスで、瞬時に具現されるとか(要は、石炭から石油へのエネルギー政策の転換に伴い、20数万の炭鉱労働者とその家族が、住み慣れた北海道夕張市や福岡県大牟田市から、コストレスで瞬時に京浜・中京・阪神の工業地帯にある比較優位性の高い商品の生産セクターに移動できるとか! できるかそんなもん! そんなん聞いたら大牟田出身者は怒るぞ!)、または、消費側にせよ供給側にせよ各プレーヤーの行動選択は単独では需給変動に影響を及ぼさないとか、消費者と生産者の持つ情報は同一でありそのグループの内外で均一であるとか、加之、各プレーヤーは自己の効用を最大にすべく合理的に行動するとか。これらの諸前提と同様に、比較優位論のモデルもまた<この世のもの>とは思えない諸前提の上の議論にすぎないのです。

例えば、名古屋の中堅予備校にすぎなかった河合塾が天下の<河合塾>になれたのも、業界では有名なその中興の祖とも言うべき経営者の方が、「偏差値」というコンセプトを導入して、その偏差値の表示を誘引に全国模試でもって潜在的顧客を囲い込む効率的なマーケティング戦略を敢行したからである。

また、中学受験・高校受験の地場の学習塾にすぎなかった後発のナガセが四大予備校の一角を占める<東進ハイスクール-東進衛星予備校>に飛躍できたのも、カリキュラムの細分化・構造化と、構造化・細分化されたそれらの諸項目を教えるに当代最高の講師陣を揃えたこと、並びに、その<商品>群を<コンテンツ>と位置づける(記号論的に言えば、「二重分節:double articulation」を持つ、要は、あるタイトル講座を下位の諸項目の連関性の総体と看做す、)発想の転換によって衛星放送を始め映像教材による<コンテンツ>の遠隔地供給を具現し得たからです。 


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何を私は言いたいのか。

蓋し、<動態としての時間>の観念を前提にした場合、ある商品が<現在>保有している比較優位性なるものもまた変転極まりないということ。そして、そのダイナミズムの動因は、イノベーションを敢行する経営者や当該組織に集うメンバーの才能と努力、情熱と天運に他ならないということです。

畢竟、福島の田舎町で夢想されたハワイアンセンターが、日本のみならず世界に通用する商品価値を獲得したこと、而して、<2011年3月11日午後2時46分>の試練からもそれが見事に再起出来たことも、ならば、この<静態としての時間>の観念における比較優位性とは位相を異にする、時間軸のダイナミックスの中で慎ましやかに粘り強く連続的に炸裂した福島の人々の才能と努力、情熱と天運の帰結以外の何ものでもない。

だっぺ? 閑話休題。



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現実の経済政策論の一斑としてのTPP問題に関しては、比較優位性などは無関係とは言わないがそう決定的なものではない。而して、このことをTPP加盟の是非に引きつけて敷衍すれば、TPPの問題はドイツの法典論争や明治初期の旧民法典を巡る論争と些かパラレルな側面がある。両者はその構図を同じくしていると私は感じます。

ドイツ法典論争にせよ日本の旧民法施行論争(★)にせよ、反対派のサヴィーニも穂積陳重も、賛成派のチーボもボアソナードも法典化の必要性の認識に関しては一致していた。サヴィーニや穂積陳重、それに対するチーボやボアソナードの差は、よって、(学説史的意味しか持たない、要は、「博物館の陳列物」にすぎないバークの保守主義などではない、現在の「保守主義」の源流の一つたるベンサムが唱道し、その高弟ジョン・オースティンがその根拠を「法理学的=法哲学的」に基礎づけた)近代主権国家における「法典化の不可避性」を共に踏まえた上での、次の2点、

①どんな内容のものを
②どの時期に制定するか


の対立に収束するのではないでしょうか。

もしそう言えるのならば、その構図はTPP問題と相似的であろう。
と、そう私は考えるのです。

★法典論争
ドイツ法典論争は、ナポレオン戦争後、ドイツ諸邦の民法をいかにすべきかを巡る論争。ナポレオンの影響によって導入されたフランス民法典を廃棄することには大方の論者が賛同していたものの、(甲)ナポレオン法典、若しくは、(ドイツ諸邦に共通する法という意味の)ドイツの普通法たるローマ法を基礎に、ドイツ全体に効力を持つ「統一的なドイツ一般民法典:eines allgemeinen bürgerlichen Rechts für Deutschland」を制定すべきだ、(乙)旧来のゲルマン慣習法に復帰すべきだ(尚、「旧来のゲルマン慣習法」とは、実は、普通法たるローマ法がドイツ各地域の固有法たる慣習法に<翻訳>された混合物です。)との両論が激突した。

旧民法典論争とは、お雇い外国人のフランス人ボアソナードのリーダーシップによって起草された旧民法(明治23年法律第28号、第98号)の施行の是非を巡る論争。(甲)フランス法派の施行断行論に対して、(乙)ドイツ法派と英法派の連合軍による施行延期論は、旧民法が(その内容は、実は、準備期間の短さと準備のために与えられた明治政府からの便宜の貧弱さを鑑みれば、実によく当時の日本社会の慣習等も踏まえたものであるにしても、しかし、ナポレオン法典の蒙古斑を刻印された)自然法思想に立脚する点を批判して、須く、「国民国家=民族国家」の法典はその国家社会に自生する、法の歴史性・民族性をこそ重視すべきであると論じた。歴史的な帰結としては、日独ともに法典反対派が勝利しました。

尚、ドイツ法典論争における反対派は、純粋のゲルマン法なるものの尊重を訴えたのではなく、あくまでも、ローマ法化したゲルマン法の再構築を主張したこと。加之、些か誤解を孕みながら「歴史法学」として括られる節もなくはない反対派の主張は、あくまでも、法の実効性と妥当性の基盤としての「慣習を尊重する国民の法意識」に力点を置いたものに他ならず、「ある任意の規範が実定法であるか/実定法であるべきか」の認定をヘーゲル的な「民族の伝統」「民族精神」なるものから自動的に演繹できるとするものではなかったことは注意すべきです。




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蓋し、TPP問題も、現下のグローバル化の昂進を鑑みるならば、そのような多国間条約の必要性は、すなわち、「総論」に関しては賛否の両陣営ともそう異論はないのではないでしょうか。而して、TPP加盟の是非を巡る争点は<各論>の差に収斂する。すなわち、それはTPPの内容と締結時期、換言すれば、それを締結・批准するまでの国内体制の整備の内容と程度と準備期間の長短を巡る対立なの、鴨。

畢竟、KABUは<TPP>には賛成ですが、少なくとも、現在におけるTPP加盟、就中、現下の(日米双方の、かな?)民主党政権下でのTPP加盟締結には断固反対の立場です。蓋し、それは<自由貿易>には賛成だけれど、日本が採用するべき自由貿易は、(関税・食品安全基準を含む貿易管理法制、および、雇用・産業構造の変革、外国人管理法制等々)日本の国益および国柄と親和的で確固たる防波堤を作って初めて是認できると考えるからです。

蓋し、この世に純粋な<自由貿易>などは経済学の教科書の中を除けば存在しません。その亜流の政策さえも、圧倒的に強い国が自国の利益にトータルでは適う状況下で自国の国益のために採用した場合、具体的には(各々30年足らずの)ビクトリア朝後期の英国と第二次大戦後のアメリカにしか存在しなかった。ならば、TPPの議論に「比較優位性」などを持ち出す際には、各論者はその賛否にかかわらずこの経済史的事実を反芻すべきではないか。

蓋し、ある<物語=理論>に関して、例えば、「法の支配:rule of law」の原則の曲解からか、国民の法意識の変遷をもってしても不変なる<国柄>を実定憲法の規範内容と強弁する<物語=理論>が、いかに、その信奉者の間では美しく甘美な真理と感じられようとも、彼等のその印象の実在も、とりあえず、(憲法の事物の本性および憲法慣習を含む)日本の現行憲法の規範内容の確定作業とは無縁であり、彼等の印象や願望は法学方法論的には根拠を全く欠落したものである。

更に、<物語=理論>について比喩を使い敷衍すれば、「理論=蜂の子ハッチの物語」が読む者に感動を与えるということと、「理論的の帰結=ハッチが実在するということ」は別の事柄である。ならば、我々は<物語=理論>の条件と射程に関して常に向自的でなければならない。人間存在とはそのような<物語>と<現実>を重層的に生きる存在でしかないのでしょうからね。と、そう私は考えます。

尚、「法の支配」と保守主義を巡る私の基本的な考えについては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

・憲法における「法の支配」の意味と意義
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60444639.html

・中川八洋「国民主権」批判論の検討(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60044583.html

・保守主義の再定義(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60444711.html

・「左翼」という言葉の理解に見る保守派の貧困と脆弱(1)~(4)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60002055.html


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テーマ : TPP
ジャンル : 政治・経済




2008年9月の世界金融危機勃発以来、世界経済の回復の足取りもおぼつかない中、独り支那経済の回復が顕著らしい。例えば、朝日新聞は昨日8月2日の朝刊一面と二面を使い、「人民元 アジアに攻勢」「ベトナム国境での成功に自信 金融危機も好機」と、支那が人民元をアジアの基軸通貨化する動きに出ていることを報じているくらいですから。

確かに、支那が今年か遅くとも来年、GDPで日本を抜くことは確実でしょう。また、支那が世界最大の外貨準備高を保有する国であること、要は(「外貨準備高」の定義からも、また、為替変動が貿易収支に及ぼす死活的な影響から見ても、理論的には「貿易黒字」が「外貨準備高」を規定するわけではないのですが、簡単に「言っちゃえ!」ば)、支那が世界最大の貿易黒字国であることも事実。

けれど、①「多民族国家=支那」という現実、②その「多民族国家=支那」のコロラリーでもある国内経済格差と人権侵害の横行、更には、③中国共産党の一党独裁体制という本質的な支那の不安定さ、これらに起因するカントリーリスクを鑑みるならば、支那が世界経済の希望であると同時に世界経済の最大の不安定要因であることもまた事実。

まして、④早晩、2005年7月の「対ドルレート2%の切り上げ」などの小手先ではない、貿易収支の黒字幅に相応しい本格的な「人民元の切り上げ」が諸外国から要求されるだろうこと、⑤国内経済格差を踏まえた場合、支那は人口ほどには巨大な市場ではないこと、また、⑥ここ数年の日本企業の対支那純投資の鈍化低下に顕著な如く、支那は安い労働力を豊富に抱える魅力的生産拠点では最早なくなってしまっていること。更には、⑦「高付加価値」の商品を生産する能力の観点からは、支那はいまだに弱小なるプレヤーでしかない事実。これらを踏まえるならば、支那の経済的な快進撃は、上げ底された「怪進撃」でしかないと思います。

●支那経済の<死に至る病>?
(甲)カントリーリスクの世界最大級の「百貨店」
(乙)経済の上げ底構造による「快進撃=怪進撃」


では、この世界最大の人権侵害国にして世界最大の不安定要因。けれども、現下、<9・15>世界金融危機の後の世界経済の回復に占めるそのプレゼンスは小さくない支那。このChina as something ambivalent を我々日本の保守改革派はどう理解すればよいのでしょうか。而して、この論点を考える上で参考になる海外報道を目にしました、以下紹介。出典はFinancial Timesの ”China plans global role for renminbi”「支那、人民元の国際化/基軸通貨化に虎視眈々」(July 14 2009)です。

尚、英文法の事項に関して疑問を感じられた場合にはこちらを参照してください。


・『再出発の英文法』目次
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce


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China has kick-started a major plan to internationalise the renminbi and the process is likely to be faster than many expect, according to HSBC.

If successful, this could lead to nearly $2,000bn in annual trade flows, or as much as 50 per cent of China’s total, being settled in renminbi each year by 2012, compared with less than 10 per cent today.

The move follows calls by China for the world to adopt a supranational currency to replace the dollar.

“China is beginning an ambitious scheme to raise the role of the renminbi in international trade and finance and to reduce reliance on the US dollar,” said Qu Hongbin, China chief economist at HSBC. ・・・


支那は人民元(renminbi)を国際的な取引にも使用可能にする計画の実行に着手した。而して、人民元の国際化への道程は大方の予想よりも急速に進むのではないか。そう、香港上海銀行(HSBC)は分析している。

もし、人民元の国際化が成功裏に進み、2012年まで毎年人民元の使用が促進されるとすれば、それは年間の取引ベースで2兆ドル近い【人民元の流通】実績に結びつくこと、すなわち、支那の貿易総額の50%が人民元で決済されることを意味する。これは現在の【人民元で決済される貿易総額の割合】10%に比べれば長足かつ急速の進歩と言うべきであろう。

人民元を国際化する動きは、支那政府の世界への呼びかけ、すなわち、ドルに替わる超国家的な基軸通貨(a supranational currency)を選択し直そうではないかという呼びかけを補完するものだ。

「支那政府は、国際貿易と国際金融取引における人民元の役割と機能を高めると同時に、米ドルに依存する度合を減らすための野心的な計画に着手した」と、HSBC支那地区首席エコノミストの屈宏斌氏は解説してくれた。(中略)


The bank estimated that Chinese gross domestic product could hit $4,700bn this year, implying it could overtake Japan as the world’s second-largest economy in 2010, while it was likely to overtake Germany as the world’s second-largest trading country by the end of the year.

China announced a pilot programme last week that expanded renminbi settlement agreements between Hong Kong and five major trading cities, including Guangzhou and Shanghai.

Furthermore, this year the People’s Bank of China has signed a total of Rmb650bn ($95bn) in bilateral currency swap agreements with six central banks: South Korea, Hong Kong, Malaysia, Indonesia, Belarus and Argentina.


而して、支那の国内総生産(gross domestic product:GDP)は今年、4兆7千億ドルの水準に到達するものと思われるけれども、そうなった場合、支那は2010年には世界第二位の経済規模を誇ってきた日本を追い抜き、また、2010年末までには世界第二位の貿易大国のドイツを抜きさることになる。HSBCはデータを踏まえてそう予想している。

支那は、先週【7月12日の週】、人民元立て決済を拡大する協定を広州市や上海市を含む5つの主要な貿易都市と香港との間で実施する、実験的施策の立ち上げを発表した。

加えて、今年、【支那の中央銀行たる】中国人民銀行(the People’s Bank of China)は、韓国・香港・マレーシア・インドネシア・ベラルーシ・アルゼンチンの6ヵ国の個々の中央銀行との間で総額6,500億人民元(950億ドル)に及ぶ二国間の通貨スワップ協定に署名した。


HSBC said China was still in talks with other central banks to form additional swap agreements and was likely to expand them to cover all the country’s trade with Asia, excluding Japan.

This would be followed by an expansion to take in other emerging countries, including those in the Middle East and Latin America, that needed renminbi to pay for their imports of Chinese manufactured goods.

“More than half of China’s total trade flows, primarily bilateral trade with emerging market countries, are likely to be settled in renminbi in the next three to five years,” said Mr Qu. “This means that nearly $2,000bn worth of cross-border trade flows would be settled in renminbi, making it one of the top three currencies used in global trade.”


更に、HSBCによれば、支那は【上記6ヵ国の】他の中央銀行とも二国間の通貨スワップ協定の締結を交渉中であり、支那は、日本を除くすべてのアジア諸国との貿易【決済実務】をカバーすべく、二国間の通貨スワップ協定の枠組みを拡大しようとしているとのことである。

而して、二国間の通貨スワップ協定は、中央アジアやラテンアメリカの新興国等台頭しつつある国々にも今後拡大される見込みだ。畢竟、それらの新興国は、支那製品を輸入する代金の決済に人民元を必要としているのだから。

「支那の年々の貿易総額の過半は、元来、新興国市場相手の二国間取引の結果なのだから、少なくともその【新興国相手の二国間取引の】部分に関する決済は向う3年から5年以内には人民元で行なわれるようになると考えるのが自然だ」。と、【HSBCの】屈氏は語ってくれた。「そのような事態の現出は、国境を跨いだ2兆ドル近い取引が今後は人民元で決済されることを意味している。ならば、人民元は【ドル・ユーロと並んで】国際貿易の中で使われる世界の三大通貨の一つになるのではないか」とも。






(2009年8月3日:yahoo版にアップロード)

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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

asotaro


Other details are no less grim. Consumer spending sank at a 3.5% annual rate, similar to its third-quarter drop, despite a big rise in real after-tax income, thanks to the huge drop in petrol prices. Spending and incomes went in opposite directions because once-profligate consumers are now trying to save more. They put aside 2.9% of their income (after tax) in the fourth quarter, the highest rate since the beginning of 2002. They are doing so either by choice, because retirement savings have been devastated and they fear losing their jobs, or by necessity, because it has become so difficult to borrow.

Businesses are cutting back more savagely. Their investment sank by 19%, worse than any quarter in the 2001 recession which was, after all, a business investment-led slump. And that was despite some firms boosting spending to exploit a temporary tax benefit that expired at the end of the year.

Both exports and imports fell sharply, leaving no net impact on GDP (lower imports raise the calculation of GDP, while lower exports reduce it). Matters are likely to get worse. The dollar has strengthened in recent months and much of the rest of the world is in worse shape than America. According to JPMorgan, the economy in Britain probably shrank at an annual rate of 5.9% in the fourth quarter, the euro-area by 5%, and Japan by a heart-stopping 9%, in a country with no housing bubble or banking crisis.


経済情勢を巡る他の事項は動かし難い事実である。消費の低迷は第3四半期と同様に年率3.5%に達しており、それは石油価格の大幅下落による税引後の所得の増大にもかかわらず生じているのだ。消費と所得は【不況脱出に必要な経済成長やGDP拡大とは】反対方向に流れている。なぜならば、かって浪費家であった消費者は現在では貯蓄に走っているからである。実際、第4四半期に消費者は税引き後所得の2.9%を消費せずに貯蓄したのであり、この貯蓄率は2002年の年初以降最高の数値なのだ。而して、彼等がそういう行動選択を行なうについては、一つは、退職後に備えた貯蓄が目減りしてきていること、あるいは、失業の危惧が払拭できないことであり、他方では、お金を借りることが徐々に難しくなってきている状況下での必要に迫られていることがその理由である。

企業活動の縮小傾向は更に激烈である。その投資は19%も減少したが、それは2001年の不況以降のどの四半期よりも大きな減少である。而して、2001年の景気後退は最終的に投資不況に陥ったのである。しかもその投資不況は、その年末に期限が切れる臨時の税制優遇措置を利用することで幾つかの企業が投資を加速させたものの生じた結果なのだ。

貿易は輸出入とも急激に落ち込んでいる結果、GDPは貿易の数値によって実質ほとんど影響を受けていない(輸入の沈滞はGDPの算定数値を引き上げているが、他方、輸出の沈滞によりその引き上げられた分も帳消しになっている)。事態は徐々に悪化しているように見える。而して、ドル高基調がここ数ヵ月続いており、世界のその他の国の中にはアメリカよりも経済情勢が悪化している諸国も少なくない。JPモルガン社によれば、英国の経済は第4四半期におそらく年率5.9%縮小し、ユーロ圏は5%、そして、日本はなんと9%の縮小という緊迫した状況ということだ。しかも、日本は不動産バブルや銀行を巡る危機とは無縁の国なのにこの状況なのである。



If there is any silver lining, it is that while the recession was a year old in December, its first half was not especially deep: net GDP actually rose in the first half, and the downturn is actually a bit milder than the median post-war recession after 12 months. But the typical post-war recession was over (or close to it) by this point; this one is getting worse. Claims for unemployment insurance were high in January, sales of new homes slumped in December, and several big companies, most recently Starbucks, Boeing and Sprint Nextel, have announced thousands of job cuts.・・・

What could turn this around? Most recessions end as companies clear excess inventories and as households, with a boost from lower interest rates, release pent-up demand for cars and houses. This time is different. Tightened credit severely limits the ability of consumers and companies to spend even if they were so inclined.

More than usual, an end to this recession will depend on policy. Enormous hopes are riding on Barack Obama’s $819 billion stimulus package, which has passed the House of Representatives and is now being debated in the Senate. Of that sum, just $170 billion will find its way into the economy before this fiscal year ends on September 30th, largely in the form of expanded unemployment insurance benefits and reduced income tax which will make their mark within months.・・・


もし、このような悲観的な状況の中にも一筋の光明が見いだせるとすれば、それは不況は12月で1年間続いたことになる一方で、最初の半年間は特にそう酷い状況ではなかったこと、実際、実質GDPは最初の半年間は拡大していたのであり、而して、12ヵ月間の統計としてみれば今回の経済縮小の程度は戦後の不況の中でも平均的なものに比べてもまだいくらかは緩やかということである。しかし、戦後の典型的な不況は12ヵ月程度で終了した(あるいは、それに近い状況に至った)。けれども、今回の不況はいまだに悪化の一途を辿っている。すなわち、失業保険の給付請求金額は1月も高い水準であり、新築家屋の販売は12月も低空飛行状態、そして、巨大企業の幾つか、最近ではスターバックスやボーング、あるいは、スプリント・ネクステルが数年人規模の人員整理を表明するに至っている。(中略)

では、この状況を好転させ得るものは何か? 不況はその大部分が、企業による過剰な在庫の処分と、低い金利に押し上げられる形で家計がそれまで押さえ込まれていた自動車や家に対する欲求が解放されることによって終焉した。けれども、今回は今までとは様相を異にしている。緊縮した信用が消費者と企業の支出能力を猛烈に拘束しており、たとえ彼等が支出したいと思ってもそうすることは容易ではないからだ。 

而して、通常以上に今回の不況の終焉の是非は政策に左右されるだろう。よって、バラク・オバマ大統領の総額8190億ドルの総合景気刺激施策に尋常ではない大きさの期待が寄せられている。而して、その施策はすでに下院を通過しており、現在、上院で審議中である。その施策の総額の中で1700億ドルだけが9月30日に終わる今財政年度にアメリカ経済に注入されることになっており、その大部分は失業保険の優遇措置の拡大や数ヵ月の期間限定の所得税の減税である。(中略)



Still, the package will help. The Congressional Budget Office thinks that GDP by the end of 2009 will be between 1.3% and 3.6% higher than it otherwise would have been, thanks to the stimulus. It had thought that the unemployment rate would rise from 7.2% in December to 9% by the end of this year; with the stimulus in place, it thinks it will only rise to between 7.9% and 8.6%.

But more must be done. “The real problem is a feedback loop from the economy to credit losses,” says Richard Berner of Morgan Stanley. The fiscal stimulus will achieve little until that is fixed. Thus the administration’s real work lies ahead: coming up with a bigger and more comprehensive plan for recapitalising banks and relieving them of bad loans.


しかし、それにしてもこの総合景気刺激施策は景気浮揚の一助にはなるだろう。連邦議会予算事務局の試算によれば、同施策が実施されなかった場合に比べて施策の景気刺激効果によって2009年末までにGDPは1.3%から3.6%は高くなるとのことである。而して、同予算事務局はまた失業率は先の12月の7.9%から今年末には9%に上がりかねないけれども、同施策が実施された場合には失業率の上昇は7.9%から8.6%の巾に収まると考えている。

しかし、二の矢として実行されるべきことがある。「本当の課題は経済から信用失墜への信頼回復である」とモルガン・スタンレーのリチャード・ベルナー氏は述べる。今次の財政出動による景気刺激策は金融機関の信用が回復しない限りほとんど効果はない。而して、オバマ政権の真の使命は財政出動の先にある。すなわち、それはより規模の大きな、そして、より徹底的な銀行の資本強化策であり銀行を不良債権の重圧から救済することなのだ(★)。


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★註:金融規制を巡る新自由主義とマルクス主義の経済学
日本では世界金融危機を俎上に載せつつ、「今回の世界金融危機によって、 小泉政権が押し進めた「規制撤廃と市場万能論を基盤にした新自由主義」の誤謬が明らかになった」と説く論者が跋扈しています。而して、このような主張は「交通事故の悲惨を鑑みれば自動車文明の誤謬は明らかだ」という主張と大差のない論理の飛躍を犯しているものと私は考えます。

蓋し、「独占」を排除するための独占禁止法体系や雇用者と被雇用者の力関係を対等にして健全で持続可能な労使関係を具現するための労働法体系が、資本主義を維持する上でも肝要な制度である如く、「投機的な金融取引」や「実需とあまりにも乖離した金融商品」を規制することは資本主義、就中、自由で公平な競争に価値を置く新自由主義と矛盾しないどころか、むしろ(労働法的な働く者の権利の具現に貢献する「健全な労働組合」が新自由主義の戦友でさえあるように、そのような規制は)新自由主義的制度の不可欠の一斑と言うべきだと思います。

独占禁止法や労働法や金融規制によって資本主義は社会主義化するのではなく、益々、力強く新自由主義化への歩を進める。そう私は理解しています。蓋し、「市場万能論に立った新自由主義は弱肉強食の経済を志向するものであり、国内外で格差を拡大する」等のオドロオドロしい主張は、しかし、完全に間違いというわけではなく現象の一部面を正しく指摘している認識ではあるでしょうが、新自由主義的経済の帰結たる格差や貧困の解消は経済の社会主義化によってではなく、セフティーネットの整備に基づく敗者復活可能な新自由主義的な社会の具現によって(個人と民間の旺盛な活力の発露の中で)解決されるしかないものと私は考えます。

畢竟、「過度な競争や強欲な活動」を制限する仕組みによって資本主義社会を「より人間と自然に優しいし経済活動」が機能するものにできる等との考えは、意識改革とその制度化によって(現状の技術水準に基づく生産力と資本主義的生産関係を維持したまま)社会主義を実現できるとする「空想的社会主義」に他ならない。蓋し、マルクスが喝破した如く、「主要な生産が商品生産」として行なわれ、「人と人の関係が商品と商品の関係に物象化」する、而して、「商品の価値が(個々の商品の個性差に起因する)その使用価値とは別に(貨幣によって均一な基準で測定認識される)交換価値の形態」として立ち現われる資本主義社会は、「商品生産と交換に基づく利潤獲得プロセス」の再生産というその運動法則自体を止揚しない限り社会主義や共産主義が支配する社会に移行することはありえない。そして、マルクス主義経済学が予想したようにはこの資本主義の運動法則が終焉することがないことも確実でしょうから。尚、この最後の点に関する私の基本的考えについては取りあえず下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

・世界金融危機への対処の日米落差 (上)
  http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/56685206.html




(2009年2月11日:yahoo版にアップロード)

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テーマ : 世界金融危機
ジャンル : 政治・経済

obamapr



アメリカの経済が重篤です。而して、アメリカ経済の需要に依存する度合の大きい支那・韓国の経済も暴風雨圏内の様相を呈している(就中、その支那とアメリカに輸出先と投資元&先を依存する度合の大きい韓国経済の沈没は確実)。また、アメリカ経済を奈落に突き落としたアメリカ発の世界金融システムのフリーズ状態によって貿易立国の日本もまた(世界経済を機能させる信用付与&債権債務の決済システム、言わば経済という身体の血液循環システムとも言うべき金融システムが停止したことに伴い、今次の金融危機による直接のダメージが比較的に軽微であった日本もまた)厳しい経済情勢に突入しています。KABUの同志の大手ヘッド・ハンターオフィスCEO曰く、(多くの企業が決算期を迎える)来月には「(失われた10年の期間も転職にそれほど苦労しなかった)20代-30代前半のファイナンス-アカウンティング専攻の若年層MBAホルダーの労働力市場も凍結する見込みですよ。転職を考えている若い友人知人がおられれば2月中に転職するか少なくとも5月までは動かないようにアドバイスされればどうでしょうか」、と。

アメリカの経済は重篤。昨日2009年2月10日、アメリカ上院で大型景気対策法案が可決成立したものの(産経新聞電子版によれば、大型景気対策法案やオバマ政権の発表している「金融安定化策は具体性が乏しいとの失望感が広がって全面安の展開となり」)ニューヨーク株式市場は8,000ドル割れの大幅下落の展開になっています。而して、そんなアメリカ経済と世界経済が風雲急を告げている一昨日2月9日(繰り返しますが、韓国経済は、『北斗の拳』的に言えば「お前はすでに死んでいる」状態、すなわち、最早「終了」していますので風雲は韓国では急を告げていません)、バラク・オバマ大統領は大統領就任後初めてとなるTV生中継による記者会見を異例の事ながらTVのゴールデンタイムに行い、米経済について「普通の景気後退(リセッション)ではない」「大恐慌以来の最悪の経済危機を経験している」と強い危機感を示し、「我々は、大胆で迅速な行動をとらなかった1990年代の日本で起きたことを見ている」と日本の「失われた10年」を教訓とするよう訴えられました。

Washington Post紙の"Obama Says Economic Crisis Comes First,"February 9, 2009「経済危機への対応が最優先課題」によれば、He compared the situation to Japan in the 1990s, saying the Japanese, failing to act quickly enough, suffered a "lost decade."(オバマ大統領は1990年代の日本と現下アメリカの経済状況を比較して、日本は求められていた迅速な行動をとらなかったことにより「失われた10年」に苦しめられた)と。而して、蓋し、アメリカ経済の回復のためには<小泉純一郎>が求められている。そして、小泉政権の中枢にありその「大胆で迅速な行動」を担った我等が麻生太郎首相を宰相に擁している日本は実に幸運と言えると思います。ことほど左様に、「政局と人事の天才」の名を欲しいままにした小泉純一郎元首相は、(衆院大蔵委員長経験者でもあり、竹下登-宮澤喜一両元首相の世代を引き継いだ、実質、最後の「大蔵族議員の総帥」でもあり)日本を「失われた10年」の苦しみから脱却させた経済政策の練達の士でもありました。

小泉政権による「失われた10年」からの脱却。バブル崩壊後、在庫調整と資産調整の所謂「複合不況」に旧田中-竹下派的な55年体制の政治がなんら有効な手を打てず、(消費性向と投資性向が低迷する中、要は、公共投資の乗数効果が縮小する中。長篠の戦いの実像は異なるのですが)「織田-徳川連合軍の馬防柵と三段構えの鉄砲の一斉射撃システムに無謀な突撃を繰り返した武田騎馬軍団」の如く、あるいは、機関銃を備えたコンクリート製の近代要塞で待ち受けるロシア軍に愚かにも数次にわたり徒に突撃を敢行せしめた愚将乃木希典の如く無駄な公共投資を投入し続け、他方、所謂「ゼロ金利政策」によって(国民の金融資産を実質目減りさせながら)事態解決の先延ばししかできなかったのに対して、(1998年3月の金融機能安定化法に基づく総額約1兆8000億円の資本注入、1999年3月の早期健全化法による総額約7兆5000億円の資本再注入。而して、この前段を踏まえた上で)2001年以後、平成の大宰相・小泉純一郎元首相による銀行の直接償却の促進、大手銀行の特別検査、資産査定厳格化と銀行のリストラの強制。これらにより、2003年のりそなホールディングスに対する資本注入に至り日本の金融危機は終焉した。

ケインズのマクロ経済学を持ち出すまでもなく、不況とは急激な「有効需要収縮」に他ならず、而して、有効需要は投資と消費の合算です。ならば、不況脱出とは(そのプロセスやプロセス誘導の施策がいかに複雑であろうとも、端的には)投資か消費の拡大に尽きることは、高校生や中学生でも知っている事柄であろうと思います。そして、有効需要を決める要因が(1)「消費性向」(2)「資本の限界効率」(3)「流動性選好」という究極的には「心理的な変数」であることも。

蓋し、(3)「流動性選好」(資産をリスクが比較的大きく換金に時間を要する証券等ではなく貨幣の形態で持ちたいという心理とその行動の一国経済における度合)により利子率が均衡状態で定まり、その利子率により投資水準や所得水準が定まることで(ここに、(1)「消費性向」と(2)「資本の限界効率」が作用して消費と投資の規模が、すなわち、)有効需要が決定され景気循環の位相が定まるとはどんなマクロ経済学の教科書にも書かれていることでしょう。

而して、本記事に画像として収録した(但し、ここでは価格とともに利子率を一定と仮定した、y軸に総需要(D)、x軸に国民所得(Y=総供給)をとった「消費需要曲線」による有効需要による所得決定の説明モデルたる)「45度線モデルでみた財政政策効果」分析によって、「国民所得の水準は有効需要によって決定される」「実物経済市場で需要と供給が均衡していたとしても、労働力市場で需要と供給が均衡する論理的必然性はなく、よって、非自発的失業をなくすためには政府による財政出動で実物経済を人為的により高い水準にしなければならない」こともまた理解するのにそう難しいポイントではないと思います(★)。


45degree

★註:45度線モデルでみた財政政策効果
簡単に言えば、総需要(D)と総供給(=国民所得:Y)が同じ比率で増減するのならば、消費需要曲線はD=Yのグラフになりその傾きは45度になる。また、総需要は「C:消費」と「I:投資」と「G:政府支出」の合算と定義できる。尚、所得がゼロであっても人間が生きていくためには最低限の消費をしなければならず画像一番下のC(C0+cY)のグラフはy軸上に切片C0を持つ。而して、グラフは下から「消費」、「消費+投資+政府支出」、そして、(一番上が)「消費+投資+政府支出+政府の公共投資の追加支出(△G)」を示しています。

而して、45度線と(公共投資の追加支出がなされる前の)消費需要曲線「C+I+G」との交点(E0)が理論的にはその国家経済の総需要と総供給が均衡している点なのですが、本文でも触れたようにその均衡点で労働力市場の需要と供給(=求人件数と求職件数)もまた均衡する保障はない。よって、政府の公共投資の追加支出(△G)を行い、新たな消費需要曲線「C+I+G+△G」を人為的政策的に作り(完全雇用が実現する国民所得水準(Y1)に対応する)、45度線とその新たな消費需要曲線との交点(E1)が完全雇用を実現しうる総需要と総供給の均衡点ということになる。ポイントは、政府の公共投資の追加支出(△G)の総額は経験を通して推察される「完全雇用が実現するY1」の値から逆算されて見出されるのであって、アプリオリにその値が45度線や(公共投資の追加支出がなされる前の)消費需要曲線「C+I+G」から数学的に演繹されるわけではないということです。




問題は、グローバル化の一層の昂進の中で、最早、大企業の正社員や公務員の雇用も「聖域」ではなくなるリスク化の時代への不安と、他方、(安いけれど特徴のない品揃えが文字通り市場から拒否されて倒産した「主婦の味方ダイエー」の例を想起すれば自明なように、生きるために最低限必要な物品やサーヴィスのみならず、TVで見る限り「派遣村」の派遣切れの人々の少なからずがワンセグ携帯電話を保持していた如く、普通の耐久消費財も国民にほぼ行き渡っている先進国では)現在において「所得が増えた度合いほど消費は増えない」「所得が増えた度合いほど(消費が増えない以上、つまり、資本の限界効率が低い以上、投資意欲は高まらず)投資は増えない」ことです。畢竟、天下の回り物の「貨幣」が銀行の金庫か家計の箪笥の中から出にくくなっている。

このことは絶後ではないかもしれないけれど空前の低金利(実質ゼロ金利)であるにかかわらず、企業の投資が低迷していること、而して、「失われた10年」の間になされた公共投資が(それはそれで、地方再生という別の政策目的のためには全く無駄であったとは思いませんが)「地方の建設業者の生命維持装置」を越える経済的意味はなかったことを想起すれば思い半ばに過ぎるのではないでしょうか。要は、「45度線分析の消費需要曲線」の傾きは(所得の増加率と消費の増加率が等しい場合の)45度などよりも遥かに緩やかになり(究極的にはx軸とほとんど平行になり)、よって、公共投資の乗数効果も極めて低い水準に止まるがゆえに公共投資による景気浮揚は想像を絶する額の財政出動でもしない限りそう効果はないということです。

しかして、今次の世界金融危機に端を発する不況からの脱出の施策は、(実需要から余りにも乖離した投機的価値を体現しうる金融商品の禁止等々の新しい競争のルールの導入による)世界金融危機の原因たる金融システムの再構築と並んで、消費性向の向上が、よって、(資本の限界効率も流動性選好も究極的には、ケインズの喩えを借りれば「美人コンテストの投票行動」としての心理的要因である限り)消費性向を向上させるための政府の景気対策への本気度を示すことに尽きるのではないか。その意味で個別日本においては、麻生政権がその実現を期す「定額給付金」は必ずしも悪いアイデアではない。と、そう私は考えています。

けれども、世界的に見れば、世界の有効需要(=景気)は浪費大国アメリカにおける消費性向と流動性選好と資本の限界効率にかかっている。而して、アメリカ経済は再生できるのか。この点に関して参考になる記事をEconomistで目にましたので以下紹介したいと思います。出典は、”The economy -Even worse than it looks:America's economy shrank sharply in the fourth quarter. There are few reasons for optimism,” Jan 30th 2009「経済-傷は思いのほか深い:アメリカ経済は第4四半期急激に減速した。而して、今後も明るい材料はほとんど見当たらない」です。




IT IS a measure of the prevailing gloom that the worst economic performance in 26 years could still be described as better than expected. Real gross domestic product fell at an annual rate of 3.8% in the fourth quarter, below the decline of 5% or more that many economists had anticipated.

However, there is precious little reason for optimism. Almost all the unexpected growth came from a small rise in business inventories. This is almost certainly because firms did not reduce production quickly enough to keep pace with slumping orders. To get inventories back in line, more production cuts in the current quarter are likely. Morgan Stanley had expected GDP to fall by 4.5% in the current quarter, but now thinks it will fall by 5.5%.


この26年間で最悪の経済情勢も予想されていたよりもまだましと言えるかどうかが、景気の低迷の広がりを測る基準の一つである。しかし、第4四半期に実質ベースの国内総生産は年率3.8%下降したのだけれども、それはエコノミストの多くが予想していた年率5%規模の下降を下回る値だった。

しかし、情勢はとても楽観でるようなものではないと見る理由がある。予想を上回った成長のほとんどは各企業の在庫の微細な増加に起因するということ。すなわち、予想外のこの経済成長は、企業が注文の減少に対して素早く生産のペースの縮小を合わせることができなかったことによることはほとんど疑いようがないということだ。而して、これらの在庫が販売ラインに流れ込むことにより、現下の四半期ではより大きな生産縮小が惹起するものと思われる。実際、モルガン・スタンレー社は現下の四半期のGDPの落ち込みを4.5%と予測していたけれど、現在では5.5%の落ち込みになるものと予想を下方修正している。

<続く>

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大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義の批判を果敢に推進するための
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