自衛隊の海外派兵を巡る記事を紹介します。尚、本文中に、「The pacifist Constitution is interpreted as banning the use of force overseas as well as collective self-defense.」(日本の平和主義の憲法は、集団的自衛権と共に海外での軍事力の行使を禁止しているものと解釈されている)とあります。もちろん、これは現在の政府見解を踏まえた記述ではありますが、しかし、本ブログの特殊な憲法解釈ではなく、この記述は現在の「憲法論-国際法論」からは必ずしも正確なものではありません。

つまり、海外での軍事力の行使も、それが自衛権の発動等々の場合には憲法が禁止しているものではなく、また、自衛権に個別的と集団的の区別(difference between individual self-defense and collective self-defense)はそもそも存在しない。よって、日本国憲法が「自衛権」を否定していない以上、当然に集団的自衛権の行使も憲法上認められる、と。

これらの点に関する私の基本的な考えについては下記拙稿をご一読いただければ嬉しいです。而して、前者に関しては、例えば、長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書・2004年)を、後者に関しては、佐瀬昌盛『集団的自衛権―論争のために』 (PHP新書・2001年)を是非ご参照ください。

・集団的自衛権を巡る憲法論と憲法基礎論(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59856822.html


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SDF needs more freedom in using guns abroad
Seiji Maehara, the Democratic Party of Japan's new policy chief, said Wednesday that the stringent restrictions on the use of weapons by the Self-Defense Forces should be eased and that Japan's ban on arms exports should be reviewed.

In a speech delivered on the first day of a three-day visit to Washington, Maehara said the SDF should be allowed to use weapons to counter an attack on the troops of other countries with whom Japan is working with during overseas missions, such as peacekeeping operations.

He also said a review of the arms embargo policy would allow the Japanese defense industry to take part in joint development of leading technologies and follow the trend of international technology innovation.・・・

SDF participation in peace operations "is still not enough compared to that of other major states," Maehara told the audience of experts on the Japan-U.S. security alliance, saying he was only voicing his personal view.

"We need to solve legal issues. First, it is necessary to enable the SDF to defend other countries' military units operating with the SDF from imminent and unlawful infringement," he said.

Under the Constitution, Japan limits the use of arms overseas to situations in which SDF personnel are under direct attack. The pacifist Constitution is interpreted as banning the use of force overseas as well as collective self-defense.

"Concerning the controversy on the use of weapons of the SDF, the questions of self-defense and collective self-defense also remain unsolved," Maehara said.

Collective self-defense refers to the concept of helping defend an ally that is under attack.

On the almost blanket ban on arms exports, he said Tokyo "must also review the three principles on arms exports," as the policy is called in Japan.・・・


(286 words)

【出典:Kyodo, Sep. 9, 2011】


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【語彙】
SDF:自衛隊(Self Defense Force, 尚、「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」;Japan Ground Self Defense Force(JGSDF), Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF), and Japan Air Self-Defense Force(JASDF)), the Democratic Party of Japan's new policy chief:民主党の政策面での新しい責任者(cf. chairman of the DPJ's Policy Research Committee:民主党政調会長), stringent:規則などが厳格な/現実と乖離して杓子定規な, ease:規制を取り除き身軽にする, ban on:~に関する禁止措置,

deliver:意見などを述べる, a three-day visit to Washington:三日間のワシントン訪問(cf. 「基数詞+ハイフン+名詞」で形容詞を作る場合には、ハイフンの後ろの名詞は必ず単数形になります。一度覚えれば間違いようがない簡単なポイントですが、これはTOEICの頻出論点ですよ), troops:軍隊, peacekeeping operations:平和維持活動(cf. 我が国では、「peacekeeping operations(PKO):平和維持活動」と別物とされる向きもありますが、所謂「平和維持軍:peacekeeping force」の活動も国際的にはPKOの一部と理解されている、というか、PKFこそPKOの中核であると認識されています),

arms embargo:武器輸出禁止措置, technology innovation:技術革新, experts on the Japan-U.S. security alliance:日米の安全保障同盟に関する専門家, voice:意見などを述べる, one's personal view:個人的な見解,

enable sb to-V:誰々に~することを許可する, military unit:軍隊の一部隊, imminent:差し迫った/急迫の, unlawful:不正な/違法な, infringement:権利の侵害(cf.「imminent and unlawful infringement:急迫・不正・侵害」の三者は、国際法においても国内法においても<正当防衛>が成立する主要な要件です),

SDF personnel :自衛隊の隊員(cf. personnelはpoliceと同様に単数形ですが集合的に複数扱いされる名詞です), pacifist constitution:平和主義の憲法/非戦主義の憲法(cf. 一般的に「pacifist:非戦主義(者)/平和主義(者)」は英語の語感としては「空想的/世間知らずの」といった軽蔑嘲笑の評価を含意する言葉です), interpret:解釈する, ban:禁止する/制約する, collective self-defense:集団的自衛/集団的に行使する正当防衛,

concerning:~に関して言えば, controversy:論争, self-defense and collective self-defense:自衛と集団的自衛/自衛権と集団的自衛権(cf. 「個別的自衛権と集団的自衛権:right of[to] individual self-defense and collective self-defense」。尚、後者のcollective self-defenseは国連憲章で初めて明文化されたものではありますが、その原初的形態は遅くとも19世紀末の「三国同盟-三国協商:Triple Alliance-Triple Entente 」には存在しており、なにより、現在では、国際法・国際政治の議論においてcollective self-defenseをindividual self-defenseとその正当性の根拠に関して区別する論者は日本以外には存在しないと言っても誇張ではありません), ally:同盟国(cf. 「alien:在留外国人」と間違わないように!),

blanket ban on:~に関する包括的な禁止措置, principle:原理/原則/行動選択の基本的方針(cf. 「doctrine:教義/主義/政策」と多くの場合互換的ですが、国際政治または法哲学の文献では、principleがdoctrineよりもより基本的な方針を表すことが多いと思います。他方、「policy:政策」はprincipleやdoctrineに基づいて設定された具体的な方針のこと。ただし、policyは国全体の外交政策から、例えば、「牛肉の関税の引き下げ率」等々、個々の条約の内容や締結の是非に至るまで、広狭いずれにも使われる。よって、それが実際にカバーする範囲の広さに関しては、principleやdoctrineとpolicyのいずれが広いか狭いかはそれらの言葉が使われる場面によって異なることは留意しておくべきでしょう)


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【読解躓きの石】
第2センテンスの次の部分の「異様」さに気づかれたでしょうか。ここです。
TOIEIC頻出論点の「duringとfor」「duringとwhile」の使い分けと併せて以下説明します。

Maehara said the SDF should be allowed to use weapons to counter an attack on the troops of other countries with whom Japan is working with during overseas missions, such as peacekeeping operations.

(前原氏は、平和維持活動のような海外での任務に自衛隊がついている時、自衛隊と共に行動している他国の軍の部隊に対する攻撃に反撃するための武器の使用も自衛隊は許されるべきだと述べた)

さて、duringとforの違いは何か。

duringもforも、そして、whileも「~の間に」の意味ですよね。
そこで、まず確認すべきはduringとforの両者は共に前置詞ということ。
よって、duringもforもその後ろには名詞類しかこない。他方、whileは接続詞。
よって、whileの後ろには「S→V→・・・」構造が来ます。

whileの例外というか、例外もどきはただ一つ。それは次の場合、

Here are a few ideas of what you can do while staying in London.
(ロンドンに滞在される貴方ができること、これがそのお薦めのメニューです)

これは「Here are a few ideas of what you can do while [you are]staying in London.」
でwhileの後ろの「S→V→・・・」構造の主語(S')と述語動詞(V')が省略されたもの。
つまり、このstayingは動名詞(Vg-ing)ではなく現在分詞(Vp-ing)なのです。

cf. Here are a few ideas of what you can do during your stay in London.
この場合、stayにはmyが付いていることでも明らかなように名詞です。

さて、duringとforの違いは何か。基本的には、

・for は出来事が起きる/起きている期間を示し、duringは限定された期間を示す
・for は、for a long time 等の例外を除き、ほとんど全て数詞を伴う名詞が後ろに続く

①I stayed in Fukushima for 3 weeks.
②I stayed in Fukushima during the summer vacation.

duringは「夏休み」などの「具体的で明確な期間の間に」という意味を、forは「特定されていない期間の間に」という意味を表します。そして、一応、固有名詞(類似)の形容句がつく名詞(例えば、during Christmas Holiday)は最も具体的であり、数詞を伴う名詞つまり「数詞+単位時間」(for two weeks)は最も抽象的ですから、その両極が各々duringとforの専属管轄領域であり、その中間領域に近づくに従いduringとforの使い分けは徐々に曖昧になって行き(during the summer/for the summer)、最終的にはコンテクストを見なければどちらが適切かは判断できなくなると言えるの、鴨。

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さてさて、本論。蓋し、during以下は「~している際に」の意味を表す副詞句であることは上の
説明で明らかでしょう。よって、本編のセンテンスの構造は、

【主語:Maehara】→【述語動詞: said】
            ↓
【目的語:[that] the SDF should be allowed ・・・such as peacekeeping operations.】
  ||
【名詞節を導く接続詞のthat】→【主語':the SDF】→【述語動詞':should be allowed】
                             ↓
                         【目的語':to use weapons】
                             ↓
【目的連関を表す副詞句:to counter an attack on ・・・with whom Japan is working】
  ↑             ↓
  ↑             with 
  ↑
【時間連関を表す副詞句:during overseas missions】
  ↑
【同格・類似の名詞句:such as peacekeeping operations】 .


海馬之玄関式に記号化して表記すれば、

S→V→O(that:S→V→O→M→with→M→M)’


要は、2番目のwithは「迷子」または「座敷童」あるいは「盲腸」なのです。
つまり、that節の内部、最初のMのthe troops of other countries以下は、
the troopsを先行詞とする関係節。

よって、with whomはwith the troops [of other countries]であり、

而して、この箇所は、

Japan is working with the troops with during overseas missions.
(海外で任務を遂行している際、日本はその外国の部隊と活動を共にしている)

という意味。そして、2番目のwithの前後とも意味的にも文法的にも一応完結しています。

Japan is working with the troops with during overseas missions.

しいて言えば、このwithは、with being together(一緒にいる)の省略であり、
「during overseas missions:海外での任務の間」の中でも、更に、短い特定の局面で
日本の自衛隊とその外国の部隊が「一緒に活動している際に」と言いたかったの、鴨。
ただ、いずれにせよ、このwithは非文(文法的には間違い)と言えると思います。


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尚、本ブログで使用する「従属節の記号化の表記ルール」については、
下記拙稿をご参照ください。

・英語の従属節-記号表記の試案
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9ee7fdce2f5e1d256850b930664ea154

そして、本ブログ記事で使う準動詞用の記号ももう一度掲げておきますね。

◎準動詞のKABU式表記
・原形不定詞:ba-V
・to不定詞:to-V
・動名詞:V-ing(g)またはVg-ing
・現在分詞:V-ing(p)またはVp-ing
・過去分詞:V-pp
・分詞:Vp



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【和訳】

海外での自衛隊の武器使用は一層緩和されるべきだ
民主党の政策の最高責任者である前原誠司氏は、水曜日【2011年9月7日】に、自衛隊の厳格にすぎる武器使用ルールは緩和されるべきであり、また、日本の武器禁輸制度は見直すべきではなかろうかと述べた。

三日間の日程でワシントンを訪問した初日に行われた講演の席で前原氏は、平和維持活動のような海外での任務に自衛隊がついている時、自衛隊と共に行動している他国の軍の部隊に対する攻撃に反撃するための武器の使用も自衛隊は許されるべきだと述べたのだ。

加えて、前原氏は、もし武器輸出が解禁されれば、日本の防衛産業も先端技術開発に参加でき、また、国際的な技術開発の動向について行くことができるようになるのではないかとも発言した。(中略)

自衛隊の平和維持活動への参加は「他国の平和維持活動と比べればいまだに見劣りするものだ」と、日米の軍事同盟の専門家からなる聴衆に対して前原氏は述べたのである。もっとも、彼は、これらの発言はあくまでも自分の個人的な見解の披露にすぎないと予防線を張ってはいたのだけれども。

「日本は法的な問題を解決しなければならない。第一に、自衛隊と行動を共にしている他国の部隊を急迫不正なる侵害行為から自衛隊が守ることができるようにする必要がある」と前原氏は述べた。

憲法上、日本は、海外での自衛隊の武器使用を自衛隊の隊員が直接攻撃される場合にのみ制限している。また、その平和主義の憲法は、海外での武力行使を集団的自衛権の行使とともに禁止しているものと解釈されている。

前原氏によれば、「自衛隊の武器使用を巡る議論については、自衛権と集団的自衛権の関連に関する問題がいまだ未解決のまま放置されている」とのこと。

ちなみに、集団的自衛権とは、攻撃にさらされている同盟国を護るために資する行動と考えられている。

而して、実質的には包括的な武器輸出の禁止に関して、前原氏は、日本政府は、日本国内でそう呼ばれている所の「武器輸出三原則もまた見直すべきである」と語った。(後略)


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テーマ : 軍事・平和
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nucleraweapon


些か旧聞に属しますが、「佐藤栄作首相が在任中に対支那核攻撃の準備を米国に要請していた事実を記した日本の外交文書が公開された」という報道がなされました。これに対して、佐藤元首相(首相在任期間:1964年-1972年)は、正に、核兵器を持たない・作らない・持ち込ませないという所謂「非核三原則」なるものを打ち出したことで(冷戦構造期における世界の緊張緩和への貢献により)1974年度のノーベル平和賞を受賞した人物であることを引き合いに出して、佐藤元首相の<言行不一致>を質す声や所謂「非核三原則」なるものの内実を問う報道も散見された。蓋し、これらの報道は噴飯ものの事柄というべきでしょう。

確かに、佐藤元首相は所謂「非核三原則」なるものを主な受賞理由としてノーベル平和賞を受賞した。けれども、その「非核三原則」とは「持たず・作らず・核基地に持ち込ませず」と世界では理解されていた。また、当時のソ連も日本にアメリカの核基地がないことだけでもどれだけ安心していたかは(佐藤元首相のノーベル賞受賞後5年~10年の間全欧州を緊張と恐怖に包み込んだ)「中距離弾道ミサイル」交渉の推移(ソ連が譲れぬ線とした交渉の落とし所)を見れば自明でしょう。

要は、佐藤元首相の提唱にかかる所謂「非核三原則」なるものはたかだかそんなものであり、しかし、それさえもノーベル賞に値する破格の業績であった。ならば、同原則を核兵器の「物理的な持ち込み(transition)」さえ禁止するものといまだに思い込んでいる上記の佐藤元首相の<言行不一致>を質す報道等は日本特有のものであり、その基底には「核兵器=絶対悪」とでも言うべきアプリオリな前提が横たわっている。それは謂わば<核兵器の物神性>に絡めとられた、而して、所謂一つの「平和ボケ」にすぎないと思います。

畢竟、左右を問わず、あるいは、核武装に対する賛否を問わず、核兵器や核武装に対してはアプリオリに善悪の認定や機能の論断が可能であり、核兵器や核武装を巡っては倫理的にも政治的にも普遍的に(いつでもどこでも成立する)正しい政策選択が可能と考えるが如き、謂わば<核兵器の物神性>に絡めとられた<信仰告白>の言説ゲームは百害あって一利なしである。そう私は考えています。


核兵器の物神性。大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義を信奉する教条的な平和主義者の言動において「核アレルギー」と揶揄される、他方、「核武装さえすれば日本の安全保障のパフォーマンスは格段に向上し、かつ、日本は支那・韓国・北朝鮮という特定アジアに対してのみならずアメリカに対しても独自の外交を実行できる」とのたまう国粋馬鹿右翼の妄想に見出される核兵器に対する認識は、正に、例えば、『経済学・哲学草稿』(1844年)から『資本論第1巻』(1867年)に至るまで、マルクスが資本主義社会において「貨幣」に対する人々の認識から抽出した<物神性:Fetischismus, fetishism>とパラレルでしょう。

蓋し、それは人間が作ったにすぎないトーテムポールが<祖霊神>としての権威を持ちそれを作った人々自身の行動や認識を拘束するのと同様、本来、人間が造った「物」にすぎない(よって、端的にはその具体的な使用価値をもって他者と区別されるにすぎない)「貨幣」や「核兵器」が、現実の社会関係や国際関係の中に配置された場合、あたかも、それ自体が普遍的でアプリオリな価値と意味を持つ事物として認識理解され、而して、人間や国家の行動を拘束する機能を果たしている現状は、就中、核兵器を巡る日本の戦後民主主義者と国粋馬鹿右翼の心性と言動は<核兵器の物神性>に自縄自縛された滑稽譚以外の何ものでもない。そう私は考えます。

畢竟、「価値の表示・価値の支払と運搬・価値の貯蔵」等々の貨幣の経済的機能、他方、相互確証破壊(MAD)体制に基づく抑止力としての核兵器が国際政治において果たしている役割も、それらは、貨幣や核兵器を巡る社会関係や国際関係において始めて歴史的に特殊で相対的な意味と機能を獲得する関係主義的な現象にすぎない。しかるに、(繰り返しになりますが日本では)そのような歴史的に特殊で個性的な国際政治経済の関係を超えてアプリオリで普遍的な善悪の価値判断と外交・安全保障における機能が核兵器に付与されている傾向がありはしないか。

もし、<核兵器の物神性>が日本の国内外の政治に憑依しているという私の認識が満更無根拠ではないとするならば、日本の安全保障と外交の再構築はこの<核兵器の物神性>を止揚すること、核兵器に対する善悪の価値判断を放棄して、他方、核兵器がもたらす日本の安全保障のパフォーマンスを現下の具体的な国際関係の中で論理的・実証的・体系的に再構築するに如くはない。畢竟、日本は<核兵器の物神性>から自己を解放すべき時期、核武装戦略の脱構築が求められている時期に来ているのではないでしょうか。

而して、経済の拡大(=資源獲得の加速と内外市場&移民先の拡張)を武力を背景にしても実現するしかとりあえず生き残る道が見当たらない支那、世界の孤児-韓国、テロ支援国家ならぬテロ実行国家の北朝鮮という反日特定アジアに隣接している日本の地政学的条件、更に、世界の唯一の超大国から極普通の大国に「大政奉還」を行いつつある唯一の日本の同盟国アメリカの現状、国際政治におけるこれらのありさまを睨みながら日本との距離を再考しつつある東南アジア諸国、就中、日本の生命線にして運命共同体たる台湾の現状。これらを与件とした場合、現下の日本にとっては<核兵器の物神性>を止揚することに引き続き可及的速やかに核武装に着手すること、および、ロシアとの関係強化に踏み出すことは真剣な検討に値する外交の選択肢であると私は考えています。


核兵器の物神性の止揚と憲法改正の断行。核武装は現行憲法となんら抵触せず(否、数次に渡り政府が国会でも明言してきた如く、更には、核兵器が本来的に抑止力をその使用価値の本性とする以上、現行憲法や所謂「専守防衛」なる原則と核武装は極めて整合的であり)、よって、核武装の推進のためには憲法の改正は不必要なのです。けれども、核武装の推進は、おそらく、<核兵器の物神性>の止揚と共に<憲法の物神性>とも言うべき事態の止揚を伴うことにならざるを得ないのかもしれない。

すなわち、憲法改正は不要にしても「憲法も法であり、それは、社会生活と国家活動の便益のための道具にすぎない」という認識を日本国民が再獲得すること、而して、その再獲得された国民の認識が憲法秩序の効力基盤たる国民の法意識、就中、国民の法的確信になることが<核兵器の物神性>の止揚と共に日本の核武装の前提となろう。そう私は考えています。

注意すべきは<物神性>という現象自体が間主観的な現象であり、例えば、日本国民の意識改革だけでそれが止揚されたり脱構築されるものではないことです。逆に言えば、物神性をそのような主観的認識や個人的の意識に還元する論者は、これまた、マルクスの言う意味での「空想的社会主義者」に他ならず、これら戦後民主主義を信奉する論者と国粋馬鹿右翼とは、核兵器や現行憲法に対する善悪・好悪・正邪の認識の差にかかわらず核兵器や憲法の物神性に絡め取られている「空想的核武装論者」と言うべきでしょう。蓋し、憲法と核兵器を巡る左右の物神性が大東亜戦争後の日本で通用したについては、「日本が軍事的脅威にさらされる恐れがまずなく」「日本の軍事的な脅威化を米ソとも期待していなかった」冷戦構造という与件があってのことだという認識が彼等左右の「空想的核武装論者」には欠けている。

物神性の止揚と脱構築に焦点を置いて敷衍すれば、①核兵器なり憲法なり貨幣が「物神性」を帯びることの裏にはその物神性を成り立しめている社会自体にビルトインされた実定的な世の中のものの見方、すなわち、支配的なイデオロギーが横たわっており、また、②社会生活と国家活動をスムースにするためにはこれらのイデオロギー(=「政治的神話」)は満更意味のないものではない。けれども、(否定肯定の価値判断は逆のベクトルであるにせよ)核兵器と憲法に対する非論理的で非実証的な認識が日本の国益を日々損ないつつある現状においては、これらの物神性の打破は不可避不可欠である。そう私はそう考えます。


以下は共同通信が打電した当該イシューを俎上に載せた英文記事の紹介。核武装を巡る日本の国益を<核兵器と憲法の物神性>から解放されて冷静に考えるためには、文芸評論の文体と大差のない日本のマスメディアのウェットな報道は叩き台として不適切である。そう思いこの英文記事を紹介することにしました。出典は、”Sato wanted U.S. ready to nuke China - Later went on to win Nobel Peace Prize,” Kyodo News, Dec. 22, 2008「佐藤氏は米国に支那に対する核攻撃の準備を要請していた - 而して、佐藤氏は後にノーベル賞を受賞」です。

尚、日本の核武装と安全保障を巡る憲法論を中心軸とした私の基本的な考えについては記事末尾の拙稿をご一読いただければ嬉しいです。




Prime Minister Eisaku Sato, who won the 1974 Nobel Peace Prize for working out Japan's three-point nonnuclear policy, asked the United States in 1965 to use its nuclear weapons against China in immediate retaliation should a war break about between that country and Japan, according to newly declassified Japanese diplomatic documents.

In talks with Defense Secretary Robert McNamara in Washington, Sato also said it would be possible for the United States to put such an operation into action immediately from the sea — remarks that could be taken as tacit consent to bring nuclear arms into Japanese territory.


佐藤栄作首相、日本の非核三原則を構築した功績により1974年のノーベル平和賞を受賞した佐藤氏が、1965年、日本と支那との間で戦争が勃発した際には米国がその保有する核兵器を使い直ちに支那に報復するように米国に対して要請していたことが新たに公開された日本の外交文書によって明らかになった。

ワシントンにおけるロバート・マクナマラ国防長官との会談で、佐藤首相は米国はそのような行動を海域から直ちに実行に移すことも可能であろうと述べた。而して、この発言は日本の領域内に核兵器を持ち込む暗黙の了解があったことをうかがわせるものだ。


The revelation confirms that Sato, prime minister from 1964 to 1972, distrusted Beijing because he was asking the U.S. to be ready to launch a nuclear first strike.

The diplomatic documents are among a raft of roughly 30-year-old papers officially declassified Monday by the Foreign Ministry.・・・

Sato made the remarks to McNamara on Jan. 13, 1965, a day after he held a summit with President Lyndon Johnson in which he asked for a guarantee of protection under the Japan-U.S. security treaty.

McNamara mentioned to Sato China's successful atomic test in October 1964 and said attention should be paid to how the country's nuclear program developed over the next two to three years, according to a summary of their talks, written mostly in Japanese.

McNamara then pointed out during the meeting with Sato at Blair House, the U.S. president's guesthouse, that an important issue would be whether Japan would move to develop its own nuclear weapons, the summary says.


今回公になった事実によって、佐藤氏(首相在任期間:1964年-1972年)が支那政府を信用していなかったことが確認された。というのも、佐藤氏は米国に対して核兵器による先制攻撃の準備をするように依頼していたのだから。

当該の外交文書は、月曜日【2008年12月22日】に外務省が公開した、原則30年以上前の大量の書類の一部である。(中略)

マクナマラ国防長官に対する佐藤首相の発言は1965年1月13日、佐藤首相がリンドン・ジョンソン大統領との首脳会談を行った翌日になされた。そして、その首脳会談でも佐藤氏は日米安全保障条約に基づく日本防衛の保証を求めたのである。

マクナマラ国防長官が佐藤首相に対して1964年の10月の支那による核実験の成功を指摘した上で、今後2~3年の間に支那がどれくらい核開発を進めるのかにつき注意が払われなければならない旨を述べたことが、その大部分が日本語で書かれた佐藤-マクナマラ会談の要旨には記されている。

而して、マクナマラ国防長官はブレアハウス (Blair House:米国大統領の賓客を迎えるための迎賓館)で行われた佐藤首相との会談の際に、重要なことは日本が自国の核開発に着手するかどうかであることを指摘したこともまたその会談要旨から判明した。


Sato, who was on his first visit to the United States as prime minister, emphasized that while Japan had the technical capability to create atomic bombs, it did not intend to possess or use such weapons.

He asked that the United States be careful about making remarks concerning bringing its nuclear arms onto Japanese territory, citing the stipulations of the bilateral security treaty.

But Sato said it would "of course be a different matter in the event of a war."

"We expect the United States to retaliate immediately using nuclear (weapons)," he said.


佐藤氏は、この首相としての最初の訪米において、日本は核爆弾を開発する技術力を持っているけれども核兵器の保有や使用をする意図を日本は持っていないことを強調した。

日米安全保障条約の規定を引き合いに出した上で、佐藤氏は、米国が日本の領域内に核兵器を運び込むことに関して言及する際には十分配慮して欲しいとも述べた。

佐藤氏は、しかし、「戦時においては事は当然異なってしかるべき」という認識をも語った。

「我々は米国が核(兵器)を使い直ちに報復してくれることを期待している」と佐藤氏は述べたのだ。


Sato also said it might not be easy in such circumstances to create a facility on Japanese land for using U.S. nuclear arms, but that he believed the use of such weapons from the sea would "immediately" be possible.

Sato also mentioned the possibility that, if necessary, Japan could divert to military use the rockets it had been developing for peaceful purposes as part of its space development.

The remark was in response to McNamara's expression of hope that Japan would develop its defense-related industry and provide assistance to military programs in other Asian countries.

A separate summary of the summit between Sato and Johnson shows Sato asked for a U.S. guarantee that it would protect Japan under its nuclear umbrella. Johnson responded, "You have my assurance." Sato pledged in 1967 that Japan will not possess or produce nuclear arms, or allow them onto its territory.


現下の状況を鑑みるに、日本が米国の核兵器を運用するための施設を日本の領土内に施設することは容易ではないけれども、日本の領海から核兵器を行使することは「現在においても」可能であると彼自身確信している旨もまた佐藤氏は述べた。

もし必要とあらば、非軍事の平和的な宇宙開発のために推進してきたロケットを軍事利用に転換することも日本にとって可能であると佐藤氏は公式に言明した。

この言明はマクナマラ国防長官の日本に対する要望に対するものである。而して、マクナマラ氏の要望とは、日本がその防衛産業を発展させ、もって、他のアジア諸国の軍事力充実の計画に対する支援を提供することを望むというものであった。

【対マクナマラ会談とは】別に行なわれた佐藤-ジョンソンの首脳会談では、佐藤首相は、その核の傘の安全保障によって日本を守るという米国の保証を要請しており、他方、ジョンソン大統領はこの要請に対して「私が保証する」と応じた。而して、1967年、佐藤首相は日本が核兵器を保有することも作ることもしないし、更には、その領域内に持ち込まれることを許容することもない旨を誓約するに至ったのである。



【参考記事:核武装と安全保障を巡る憲法論】

・破綻する峻別論☆集団的自衛権と個別的自衛権
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/41008859.html

・敵基地先制攻撃と専守防衛論
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/37578758.html

・第二次世界大戦の終焉☆海外の日本核武装推進論紹介(上) (下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/41643367.html

・米国にとって日本の核武装は福音である☆<Frum>論説紹介(上) (下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/41975111.html

・護憲派による自殺点☆愛敬浩二『改憲問題』(1)~(8)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/34986878.html








(2010年3月11日:yahoo版にアップロード)

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usnavy2


The current push for tough sanctions has generated skepticism among some observers, who recall that the Security Council never enforced sanctions on North Korea following its first nuclear test in October 2006.

In fact, North Korea's overseas trade has grown substantially since then, with trade volumes last year at their highest levels since 1990, when a far more prosperous and less isolated North Korea was heavily subsidized by the Soviet Union, according to an analysis by the Korea Trade-Investment Promotion Agency, a government-funded organization in Seoul.

North Korean exports surged 23 percent last year, compared with the previous year, and imports jumped 33 percent, the agency said. It found that China's share of overseas trade with the North is soaring, up from 33 percent in 2003 to 73 percent last year.

In an effort to ensure the sanctions are enforced this time around, the council established a panel of seven experts with the authority to carry out investigations to determine whether states are honoring their obligation to impose sanctions.


強い制裁措置に対する現在の【安保理の】積極的姿勢に関しては、しかし、識者の間で些かそれに懐疑的な感想を生み出している。というもの、2006年の10月の最初の核実験の後に北朝鮮に対して課された制裁措置を安保理自体が実施してこなかったことをそれら識者は忘れてはいないからだ。

実際、北朝鮮の貿易はその最初の制裁措置の発表以来目に見えて増加してきた。すなわち、韓国の政府系団体、大韓貿易投資振興公社のある研究員によれば、昨年度の北朝鮮の貿易総額は1990年以来最大規模であったのであり、而して、1990年と言えば、ソ連から支援をたっぷり受けていた北朝鮮がまだむしろ繁栄していて、それほど孤立もしていなかった時期なのである。

北朝鮮の輸出は昨年前年度比で23%も増加したし、輸入に至っては同じく33%の増加であった。と、先の大韓貿易投資振興公社は述べている。而して、大韓貿易投資振興公社によれば、北朝鮮の貿易に占める支那の比重は急拡大しており、2003年には33%足らずであったものが昨年には73%に達しているとのことである。

これらの事実を鑑み、今回の制裁決議の実効性を今回こそ確実なものにするための施策の一環として、安保理は7人の専門家による委員会を設けた。而して、その委員会は国連加盟国が北朝鮮に制裁を行なう義務を尊重し遵守しているかどうかを安保理が判断するために調査を実施する権限が与えられているのだ。

◆参考資料:
対北朝鮮制裁の効果は、実際の所、公海上の「臨検」などによるものよりも、禁止されている弾道ミサイルや核兵器にかかわる貿易の決済を封じ込める金融規制によるものが大きいと思われます。実際、安保理決議1874号の可決採択直後に日本の高須幸雄国連大使は「決議1718号にはさまざまな制裁措置が盛り込まれていたが、実効性がなかった。今回は、実効性を持たせるために具体的にモノとカネの流れを制限する措置を盛り込み、結果的に非常に強い内容となった」と話しています。正に、金融制裁は今回の制裁決議の「肝」。この点について「第二報」は次の如く敷衍しています。NYT記事の認識、産経新聞の報道と併せて紹介しておきます。

At the White House, Susan E. Rice, the U.S. ambassador to the United Nations, said the resolution's financial sanctions are "very robust" and have "teeth that will bite." For instance, she said, a provision banning all arms exports from North Korea would cut off a major source of foreign revenue that could be used for its nuclear programs. ・・・

The Treasury Department in 2005 targeted Banco Delta Asia, based in the Chinese special administrative region of Macau, alleging it was involved in laundering counterfeit U.S. currency for North Korea. The Treasury action had wide repercussions, forcing all U.S. banks and many leading financial institutions around the world to curtail dealings with North Korea to avoid any similar taint.(WPST2)

「ホワイト・ハウスでの会見で、アメリカのスーザン・ライス国連大使は、今回採択された安保理決議の金融制裁は「極めて頑強」なものであり、「噛むための歯」を備えたものだ、と語った。例えば、すべての武器の北朝鮮からの輸出を禁止する決議の条項は、核開発に使われ得る外貨の収入源を断ち切るものになるだろうとも。(中略)

アメリカ財務省は2005年に支那の特別行政区(special administrative region)マカオを拠点とするバンコデルタアジアを狙い撃ちした。それは、偽ドルのマネーロンダリングに同銀行が関与しているとの主張によるものだった。而して、すべての米銀と世界中の多くの指導的な金融機関にバンコデルタアジアに加えられたような処置を避けるべく北朝鮮との取引を見合わせることを促す結果になり、この財務省の行動は広く影響を与えるものとなった」


The sanctions that are expected to have the biggest impact are financial. They call upon member states to cut off financial services related to the North’s nuclear and weapons programs, to avoid any new grants or loans to the country and to halt other trade support like export credits. Financial transactions for humanitarian or development purposes would be allowed.(NYT)

「制裁措置の中でも北朝鮮対して最も大きな影響を与えるものと見られているのは金融部面のものである。安保理決議は、国連加盟国に対して北朝鮮の核兵器と弾道ミサイル開発計画と関連する金融サービスを打ち切ることを要請している。而して、その措置は、北朝鮮に対して新たな援助金の供給、あるいは、低利の融資を行なわないこと求めており、また、輸出信用状その他の貿易活動を支援する制度の運用を止めるよう要請している。但し、人道目的や経済開発目的の金融取引は許されることになろう」


●産経新聞記事:【安保理決議案合意】北金融制裁に力点 強化の余地
北朝鮮の2回目の核実験を受けた国連安全保障理事会(15カ国)の協議で、5常任理事国と日本、韓国の7カ国は6月10日、北朝鮮への追加制裁を定めた新たな決議案で最終合意した。12日の採択を目指す。決議案には北朝鮮船舶への貨物検査(臨検)強化策や新たな金融制裁が盛り込まれたが、日米が強く主張した貨物検査義務化は中国の反対で見送られ、加盟国への「要請」となった。2006年の第1回核実験を受けた安保理決議1718は、制裁措置を盛り込んだものの実際の履行はほとんど行われず、事実上死文化してしまった経緯がある。新決議はその教訓を生かし、実効性を保てるのか。

貨物検査の義務化は見送られたが、スーザン・ライス米国連大使(44)は「前例のない(ほどに強い)検査態勢ができあがった」と自賛する。

その理由は、こうだ。

確かに、公海上の強制的な貨物検査の権限は与えられなかったが、拒否した場合、その事実は安保理に報告されることになった。安保理がどのような対応を取るかは未定だが、国際社会の意思として、見過ごされることはないだろう…。

ただ、検査が義務化されていない以上、どこまで本格的に検査を行うかは各国の判断次第。西側外交筋は「中露は決議案の起草者でもある」として前向きな履行に期待をかけるが、一方で、北朝鮮情勢の不安定化を恐れ、「完全な取り締まりに踏み込むことはないだろう」(ロイター通信)との見方も強い。

・決議採択後30日以内に資産凍結も
一方、日本は幅広い制裁の実現を目指す中で、金融制裁に力点を置いた。

決議案には「新規金融取引の停止」など一見、漠然とした内容が並んだ。しかし、その中にさりげなく置かれた「決議採択後30日以内に(安保理の)北朝鮮制裁委員会が追加の措置を決定する」との部分が実は重要-と関係筋は指摘する。

「追加的措置」の中身は具体的に記述はされていないが、対象をリストアップした上での資産凍結や銀行取引の停止などが想定されているという。つまり、安保理メンバーで構成される制裁委員会の今後の議論次第で、さらに強力な金融制裁を打ち出せる余地が残されているわけだ。ただし、そもそも制裁委員会の議論が進まなければ、実効性のある措置は実現しないことにもつながる。

・「国際社会に行使責任」
2006年の北朝鮮による1回目の核実験を受けて国連安保理が採択したのが、制裁措置を盛り込んだ決議1718だった。実際の制裁はほとんど行われなかったこの決議は、それでも大きな圧力となり、北朝鮮は決議採択の2カ月後、一時的にせよ6カ国協議に復帰した経緯がある。

さらなるミサイル発射や核実験実施の可能性、あるいは金正日(キム・ジョンイル)総書記(68)の健康不安など、現状は2006年当時よりもはるかに複雑さを増している。そうした中で、新たな決議案が前回同様、北朝鮮の圧力として機能するのか。

決議案は、決議1718を土台に、北朝鮮に出入りする「モノ・カネ」の流れを制限する制裁措置の強化を図った内容となっている。金融制裁については、人道目的をのぞく新規取引の禁止を各国に求めるとした上で、既存の取引についても縮小を念頭に監視を強めていくとした。また、決議1718で定められた大型兵器の禁輸措置について、「すべての兵器とその関連物資や金融取引、技術訓練やサービス」にまで広げるなど、強化を図った。「1718は、メニューはあるが中身がない状態だった。今回はその反省を踏まえ実効性を重視した。国際社会は、今回の決議案で示された枠組みを機能させる重い責任がある」。高須幸雄国連大使(62)はこう話している。(産経新聞:2009年6月12日)


bellfreedom



■参考記事

・国連憲章における安全保障制度の整理(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/57964889.html

・<神風>としての北朝鮮ミサイル発射☆「集団的自衛権行使違憲論」の崩壊の予兆
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/57476954.html

・護憲派による自殺点☆愛敬浩二『改憲問題』(1)~(8)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/34986878.html

・長谷部恭男教授の<憲法9条改正不要論>の検討
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-194.html

・憲法改正の秋-長谷部恭男の護憲派最終防御ラインを突破せよ!
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-195.html

・憲法無効論は不毛ではないが無効である
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/57820628.html

・海外報道紹介☆北朝鮮で勃発する戦争の相貌(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/58102481.html

・海外報道紹介☆二匹目の泥鰌を狙った北朝鮮の核実験(1)~(4)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/57933749.html

・北朝鮮に突きつけられたオバマの匕首☆「プラハ演説」に盛り込まれた恫喝の意味
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/58053834.html

・海外報道紹介☆十年一日の如き北朝鮮の「瀬戸際外交」
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/57515900.html




(2009年6月15日:yahoo版にアップロード)

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テーマ : 北朝鮮問題
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zerofighter


But the authority of the council's move was mitigated by its unwillingness to use force to ensure compliance, or to impose a comprehensive economic blockade that would severely curtail a boom in North Korean trade, particularly with China. "This is not a trade embargo," Britain's deputy U.N. ambassador, Philip Parham, said shortly before the vote.

In a sign of its reluctance to cut off Pyongyang, Beijing insisted that today's resolution include an exemption from an arms embargo that allows China to sell Pyongyang small arms and light weapons, including the signature AK-47 used by North Korea's giant military, according to council diplomats.


安保理の処置の権威は、しかし、決議の遵守を確実にするための武力の行使や包括的な経済封鎖にまでは踏み込まなかったことにより毀損されている。而して、北朝鮮の経済封鎖は、最近上昇していた北朝鮮を巡る貿易、就中、支那と北朝鮮間の貿易を決定的に低下させるものになっていたものと思われる。実際、決議採択の直後に英国のフィリップ・パーハム次席大使は「この決議は禁輸措置ではない」と述べているのだから。

北朝鮮を孤立させることに積極的ではないことの一つの証左ではあるけれど、支那は今日採決された決議には武器禁輸に関する一つの免除規定が盛り込まれるべきだと主張した。安保理の会議に参加していた外交筋によれば、その免除規定によって支那は、例えば、北朝鮮の巨大な軍隊が採用しているカラシニコフ小銃に代表される小火器、ならびに、軽火器を北朝鮮に売却することを許容するものである。

◆参考資料:
“The measures in this resolution are targeted very precisely at the nuclear and missile and weapons of mass destruction programs of North Korea,” said Ambassador Philip Parham, the deputy permanent representative for Britain. “They are not intended to restrict legitimate activity and trade and should not have an adverse affect on the already hard-pressed people of North Korea.”(NYT)

「英国の国連代表部次席代表(DPR:Deputy Permanent Representative)のフィリップ・パーハム大使は「この決議に含まれている措置は北朝鮮による核とミサイル、すなわち、大量破壊兵器の開発計画に正確に焦点を当てているものだ」「而して、この決議の措置の射程は合法的な活動や貿易の制限には及ばないし、また、現在においてさえ困窮著しい状態におかれている北朝鮮の人々に不利益な効果を及ぼすものであってはならない」と述べた」




Still, the 15-nation council's unanimous condemnation of North Korea represented a diplomatic blow for North Korea, which has previously counted on China and Russia to derail U.S.-led efforts to impose sanctions on Kim Jong Il's government. ・・・

The resolution's adoption followed weeks of intensive closed-door negotiations among the Security Council's permanent members --the United States, Russia, China, France and Britain -- plus Japan and South Korea. It condemns North Korea in the "strongest terms" and demands that it cease any future nuclear or ballistic missile tests. It also demands that North Korea allow U.N. nuclear inspectors back into the country and provide them with greater access to documents, individuals and facilities linked to its most sensitive military programs.


しかし、15ヵ国が構成する安保理で全会一致の対北朝鮮非難決議が可決採択されたことは、いずれにせよ、北朝鮮に外交的なダメージを与えるものではあろう。なぜならば、北朝鮮は、対金正日体制に向けられたアメリカ主導の制裁実施の企てを横転させる上で、支那とロシアをこれまで頼りにしてきたのだから。(中略)

今回の決議採択は、安保理の常任理事国 ―― すなわち、アメリカ・ロシア・支那・フランス・英国―― および日本と韓国の間で行なわれた数週間に及ぶ集中的な非公開交渉を経てなされたものである。制裁決議は北朝鮮を「最も強い表現」で非難しており、また、北朝鮮に今後はいかなる核開発と弾道ミサイル開発ための実験を行なわないことを強く求めている。更に、当該の決議は北朝鮮に対して、国連の核査察を北朝鮮国内に再度受け入れること、而して、国連の核査察に対して、この最も機密性の高い北朝鮮の軍事計画と関連する文書・個人・施設に対する広範な接触の機会を提供するように要求している。



usnavy1



The resolution would restrict Pyongyang's access to international grants, financial assistance and low-interest loans. It would also reinvigorate efforts to enforce a range of sanctions imposed on North Korea after its first nuclear test in October 2006.

The resolution calls for U.N. members to inspect all shipments entering or leaving North Korea if there is a reasonable suspicion that the cargo contains banned nuclear or missile technology. Member nations would be given the right to search ships suspected of carrying banned materials on the high seas and to seize any contraband.

The resolution, however, includes important caveats, such as the need for the flag state -- the country in which a ship is registered --to approve the searches. If the flag state does not allow inspections on the high seas, it would be required to direct the ship to a nearby port for a search. But council members would not be authorized to use force to ensure that happens.


今回の制裁決議により、北朝鮮は国際的な援助金制度・金融支援制度、あるいは、低利の融資制度を利用することができなくなる。そして、2006年10月の最初の核実験の際に北朝鮮に課された一連の制裁措置を実施に移すための施策もまた今回の制裁により再活性化されることになる。

而して、同決議は国連加盟国に対して、もし、その船舶が核とミサイルに関して禁止されている技術が組み込まれている船荷を積んでいる合理的な疑いがあれば、北朝鮮を出入りしたすべての船舶を臨検するよう要請している。すなわち、国連加盟国には、禁止されている船荷を運搬している疑いのある船舶を公海上で臨検する権限、そして、そのような禁輸品を押収する権限が与えられたのである。

同決議には、しかし、重要な但書条項が含まれている。それは、例えば、臨検を行なうためには、当該の船舶の旗国―― その船舶がその国に所属する旨を登録されている国:船籍国――の同意が必要というような規定である。而して、当該船舶の旗国が公海上における臨検を拒否した場合には【逆に言えば、「旗国-船籍国」の同意を得られない場合でも】、当該船舶に対して臨検調査を受けるために近隣の港への移動を指示することがその旗国には義務づけられている。もっとも、安保理のメンバー国には、このような臨検の仕組みを担保するために武力を行使することは認められていないのではあるけれども。

◆参考資料:
この部分は「第二報」(以下、「WPST2」と記します)では次のようにリライトされています。日本では保守派内部でも今回の「安保理決議の評価」が分かれている論点であろうと思いますので、NYT記事の該当箇所と併せて紹介しておきます。

The most controversial measure calls for the inspection of North Korean cargo on the high seas if there are "reasonable grounds" to believe it contains banned military equipment. But it remained unclear how the council would compel a North Korean ship to allow such a search, since there is no provision to force compliance.

Under the terms of the resolution, the crew of a foreign vessel is permitted to board a ship suspected of transporting banned North Korean weapons or equipment only if the country where the ship is registered agrees. If not, the resolution requires that country to direct the ship to an "appropriate" port to be searched. North Korea has warned that it would consider any attempts to board its ships to be an act of war, and that it would respond with force. (WPST2)

「もし、当該の船舶が禁止されている軍事物資を運輸しているとの「合理的に根拠」がある場合には公海上で北朝鮮船舶の船荷を臨検するこの要請は最も議論が集中した措置である。而して、臨検の実施を武力によって貫徹することを許す条項は決議には含まれておらず、北朝鮮船舶に対して安保理がいかにして臨検に従わせるかは曖昧なままに置かれている。

決議の条項に基づき、【北朝鮮から見て】外国艦船の乗員は、北朝鮮製の禁輸品目に属する武器や装備を運送していると疑のある【北朝鮮船籍であるか否かにかかわらず、そのような】船舶に乗船することが許されている。けれども、この措置は臨検対象となった当該船舶が船籍を登録している国が同意した場合にのみ行なえる措置なのである。而して、もし、当該船舶の旗国が同意しない場合には、決議はその旗国に対して、問題の船舶にそこで臨検調査を受けるべく「適当な」港に向かうように指示するよう要請している。もっとも、北朝鮮は、北朝鮮の船舶に臨検のために乗船するようないかなる行為もそれは戦争の行為と看做し、そのような行為に対しては武力でもって対応する旨を警告しているのだけれども」


The compromise that was reached on weapons inspections requests that states inspect ships on the high seas. If the country where the ship is registered decided to reject an inspection in international waters, then the country would be required to direct the vessel to a nearby harbor for an inspection.

If neither happened, the episode would be reported to the Security Council’s sanctions committee. The resolution also suggests that states should cut off ”bunkering” services, like refueling, for North Korean vessels.

It was unclear how much effect that would have. First, North Korea ships significant cargo on its own vessels, and hence would likely refuse any inspection. Second, the 34-article resolution was written under provisions that do not include the use of force. (NYT)

「【今回の安保理決議採択に向けて】武器の調査・臨検に関してなされた【日米と支那との】妥協によれば、国連加盟諸国には公海上で船舶を臨検することが要請されている。もし、当該船舶が船籍を登録している国が公海上での臨検を拒否しようとする場合には、その当該船舶の旗国はその船舶に対して臨検調査のために近傍の港に向かうように支持しなければならないものとされている。

而して、いずれの事態も生じなかった場合【北朝鮮が公海上の臨検も近傍の港での臨検調査をも拒否した場合】、その出来事は安保理の制裁委員会(the Security Council’s sanctions committee)に報告されることになる。また、同決議は北朝鮮船舶に対する「燃料補給」サービスを拒否するよう加盟国に呼びかけている。

けれども、今回の制裁決議がどれほどの実効性を発揮するかどうかは未知数と言うべきだ。第一に、【日本とは異なり!!】北朝鮮はその貨物の大部分を自国の船舶を用いて行なっており、よって、北朝鮮はあらゆる臨検を拒否するだろうから。第二に、【公海上の臨検の仕組みを規定した】同決議34条には武力行使を許容する規定は含まれていないからだ」



<続く>



(2009年6月14-15日:yahoo版にアップロード)

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テーマ : 北朝鮮問題
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nucleraweapon


2009年6月12日(日本時間13日未明)、国連安全保理事会(United Nations Security Council)は、北朝鮮が去る5月25日に実施した核実験に鑑み、それを非難する制裁決議を可決採択しました(同決議、「United Nations Security Council Resolution 1874:国連安保理決議1874号」の原典テキストは下記URL参照)。

・UN press release
 http://www.un.org/News/Press/docs//2009/sc9679.doc.htm

・United Nations Security Council Resolution
 http://www.un.org/documents/scres.htm
(但し、本記事アップロード時点では未収録)

今回の制裁決議を日米両国政府は「極めて強い決議」「very robust resolution」と評価していますが、他方、その制裁の実効性に疑い呈する向きも少なくありません。

例えば、「当初、アメリカが起草した決議案では、公海上(on the high seas)における北朝鮮船舶に対する「臨検の義務」が明記されていたにもかかわらず、そのような措置は北朝鮮を過度に刺激するとして難色を示した支那の反対により、強制力を持たない「要請」に変えられた。更に、臨検には「船舶旗国の同意」という条件までつけられているではないか」、あるいは、「前回の北朝鮮制裁決議に関しても、それを遵守する国は日米を除いてほとんどなかった。今回も、臨検等が強制力を伴う「義務」ではなく「要請」であってみれば、今回の1874号決議に関する運用もまた前回の1718号決議に関するそれの繰り返しになることは自明であろう」、更には、「畢竟、今回の制裁決議は、政治的なセレモニーの小道具にすぎず、単なるつじつま合わせのお題目にすぎない」というような主張を目にすることも稀ではありません。

けれども、土台、国際法上、①無条件の強制的臨検は、被臨検側に対する「宣戦布告」に等しいものであり、また、②国連加盟国対して「臨検実施の義務」を課したところで、究極の所、その「義務」には「義務違反に対する制裁」を当然のようには含ませることはできないことから、多くの国連加盟国にとって安保理で採択された決議に含まれている文言が「義務」であるか「要請」であるかは実際の所大差ないのです。要は、臨検することを怠ったからといって特に制裁が自国に加えられないのだから、それこそ6ヵ国協議(six party talks)のメンバー国以外の国が、本心では誰も関わりたくない北朝鮮から「臨検は宣戦布告ニダ!」と難癖つけられる面倒を引き受けて臨検を実施すると考える方がナイーブであろうと思います。

而して、(支那とロシア、あるいは、韓国にとって北朝鮮の暴発も崩壊もそれが自国に及ぼす影響にほとんど差はないのでしょうから)6ヵ国協議の構成国である支那とロシアは、臨検を怠ることで失う北朝鮮問題に関する発言権の度合と臨検実施によって北朝鮮が暴発または崩壊することの期待値の比較考量によって「曖昧な臨検の形態」を取るだろうことはほぼ確実でしょう。例えば、New York Timesは今般の決議採択を報じた” U.N. Security Council Adopts Stiffer Curbs on North Korea”「国連安保理、断固とした制約を北朝鮮に課す」(June 13, 2009)の中でこう述べています。

The Chinese reluctance to implement stronger measures was based largely on concern about destabilizing North Korea and sending a flood of refugees across the border. Ultimately, a collapse in the North Korean government, and a possible reunification of Korea, could mean having a stronger American ally right on China and Russia’s border.


「より強い制裁手段の実行に支那が積極的になれない最大の理由はそれによって北朝鮮が不安定化する危惧であり、不安定化した北朝鮮から中朝の国境線を越えて難民が洪水のように押し寄せてくる危惧である。而して、北朝鮮の政治体制の崩壊、そして、そうなれば満更あり得ないことではない朝鮮半島の再統一は、本質的な所、強大なるアメリカの同盟国と正にその国境で接することになることを支那とロシアには意味するのである」


けれども、今回可決採択された国連安保理1874号決議は「政治的なセレモニーの小道具にすぎず、つじつま合わせのお題目にすぎない」とは必ずしも言い切れない。而して、この経緯は前回の1718号決議に関しても同じであった。そう私は考えています。

蓋し、むしろ、国連決議などは常に政治的セレモニーの小道具にすぎず(否、国連自体が「常設の国際会議場組織」に他ならず)、それ自体が現実の国際紛争を解決する効能を持っているわけではありません、けれども、例えば、対北朝鮮制裁を強化すべきと考えている有志連合の行動はこれらの国連決議を根拠にして正当化されるのであり、ならば、被制裁国にとっては国連決議は「アクセサリー」や「お題目」どころではないのです。まして、北朝鮮の核と弾道ミサイルの開発の問題は(「北朝鮮危機=自国の周辺地域内の危機」である日本・韓国・支那・ロシアとは別の意味で)多くの国にとって、核不拡散体制の揺らぎと再構築を巡る掛け値なしに重大な問題である。北朝鮮の核開発がイランのそれと背中合わせの問題であることは当然として、畢竟、北朝鮮危機は世界の多くの国にとっても「身近ではないが重大な事態」であることは間違いないと思います。この経緯を先に述べたNew York Timesの記事は上に引用した箇所の直下でこう記しています。

Western diplomats suggested that recent military actions by the North Koreans had sufficiently alarmed Beijing and Moscow, however, for them to back tighter sanctions. “Their concern about it and indeed their anger about it is genuine,” said one Western diplomat・・・

In addition, there was a sense that a message had to be sent to other countries like Iran which has its own nuclear program and has been ignoring Security Council sanctions designed to convince it to negotiate.


「【支那とロシアは厳格な対北朝鮮制裁には積極的ではないけれども】しかし、西側の外交筋によれば、北朝鮮の近時の軍事行動は支那とロシアを不安に陥れるに十分なインパクトのあるものだった。「北朝鮮危機に関する支露両国の危惧とそれを引き起こしている北朝鮮に対する両国の怒りは本物である」と、ある西側の外交官は語ってくれた(中略)

これに加えて、今回の安保理決議が採択されたについては、自国独自の核開発計画を進め、かつ、交渉に戻るよう促すために起案採決された安保理の制裁決議を無視し続けているイランの様な北朝鮮以外の国に対しても【国際社会からの】メッセージを送らなければならないという判断が作用したものと思われる」


もちろん、国連決議が<武器>としてどの程度の効能を発揮するかは(逆に言えば、どの程度は<アクセサリー>であり<お題目>であるかは)有志連合の力量と覚悟をパラメーターとする関数でしかないでしょう。しかし、いずれにせよ、当該の国連決議が「軍事的制裁措置」を定めている国連憲章7章42条「軍事的制裁措置」ではなく「非軍事的制裁措置」を定める国連憲章7章41条であっても、つまり、(「紛争の平和的解決」を定めた国連憲章6章ではなく)所謂「紛争の強制的解決」を定めた国連憲章7章に言及している場合には、「国連決議=アクセサリー」などではないのです。このことは、(その開戦が国際法違反であったかどうかは別にして、安保理決議1441号(更には、678号および687号)に含まれていた)国連憲章7章への言及を有力な根拠の一つにしてアメリカがイラク戦争を開始した故事、また、北朝鮮自体が2006年10月の安保理決議の四ヵ月後には6ヵ国協議に復帰せざるをえなかった事実を想起すれば明らかではないかと思います。

蓋し、国連安保理決議は「国際政治のアクセサリー」にすぎないが、「国際政治を彩るアクセサリー」ではある。而して、例えば、現下の北朝鮮危機に関しても、国際政治のリアルポリティクスにおける国連安保理決議の価値を決めるものは、独り、有志連合の力量と覚悟である。蓋し、その力量と覚悟には(北朝鮮を訪問した外国人の再入国不許可・あらゆる法規を総動員した朝鮮総連の締め付け強化・独自の金融経済制裁・領海内と公海での独自の臨検強化等々の)「日本独自の制裁措置」や「敵基地先制攻撃能力開発とそれをスムースに実行するための法整備」、更には、「核武装の推進」だけではなく、(それらを行なうことで国際政治的に「日本の強い覚悟」を示すことと併せて)有志連合の同心円を漸次広げていく、言葉の正確な意味での「政治」の継続的な営為が含まれるものと考えます。

このような国連と国連安保理決議に関する認識を踏まえるとき、今回の国連安保理決議を与件としつつ我々は北朝鮮危機にいかなる覚悟と方針で臨むべきなのか。このことを考える上ための資料として、以下、今回の国連安保理決議採択を報じた海外報道を紹介したいと思います。出典は、Washington Postの” U.N. Imposes Tough New Sanctions on North Korea”「国連、新たに厳しい制裁を北朝鮮に課す」(June 12, 2009)。このイシューに関するWPSTの第一報です。但し、適宜、同じ記者による第二報” U.N. Panel Adopts Wider Sanctions on North Korea”「国連安保理北朝鮮に対して広範なる制裁を採決」(June 13, 2009)も引用します。もって、第一報の緊張感や臨場感と第二報の制裁採決後のより客観的な情報の「いいとこ取り」ができたのなら嬉しいのですけれども。

尚、国連と日本の安全保障、現行憲法と集団的自衛権を巡る私の基本的な考え、そして、現下の北朝鮮危機の状況認識に関しては本稿末尾にURLを記した拙稿をご参照ください。




gunfreedom



The U.N. Security Council unanimously voted Friday to impose a broad range of additional financial, military and trade sanctions on North Korea in response to its recent nuclear and ballistic missile tests, and called on states for the first time to seize banned North Korean cargo on the high seas.

The Security Council's action marked a significant escalation in the United Nations' effort to coerce North Korea into halting a barrage of ballistic missile tests and to prod it back into six-nation talks aimed at denuclearizing the Korean Peninsula. The 15-nation council is now set to begin negotiations over imposition of an asset freeze or travel ban on additional individuals and state companies linked to North Korea's nuclear and ballistic missile program


国連案保理は金曜日【2009年6月12日:日本時間13日未明】、北朝鮮に対する追加の金融・軍事・貿易に関する幅広い制裁措置を課すことを全会一致で可決採択した。これは、北朝鮮が最近行なった核実験と弾道ミサイル実験に対する制裁であり、国連安保理は国連加盟国に対して北朝鮮の禁止されている船荷を公海上で押収することもまた初めて公式に要請した。

今回の安保理の決議採択は、北朝鮮に一連の弾道ミサイル実験を止めてさせ、もって、北朝鮮に対して朝鮮半島の比較化を目指している六者協議への復帰を促す国連の努力が一層明確に形になったものと言える。決議を採択した後、15ヵ国によって構成されている安保理は、現在、北朝鮮の核と弾道ミサイル開発計画に関連している個人や国営企業に対して、新たな資産凍結や旅行の禁止を課すことに関する話し合いを始めた。

◆参考資料:
上に紹介したNew York Timesの記事(以下、「NYT」と記します)は今回の国連安保理の対北朝鮮制裁決議についてこう総評を記しています。

The resolution condemned the latest nuclear test, ordered a halt to all such future tests and to the building of ballistic missiles. It also said the country should rejoin the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons.(NYT)

「今回採択された決議は、最近行なわれた核実験を厳しく非難しており、また、今後一切核実験を行わないこと、そして、弾道ミサイルを製造しないことを北朝鮮に命じている。決議はまた、北朝鮮が核不拡散条約に復帰すべきであると述べている」


<続く>





(2009年6月13-14日:yahoo版にアップロード)

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