jkconservative

 
ここに紹介するのは、先日、2009年2月27日にCPAC(Conservative Political Action Conference)で行なわれたスピーチ。講演者は13歳の Jonathan Krohn 氏("Define Conservatism"『保守主義の定義』の著者)です。カリフォールニア在住のブログ友ラミさんの情報では、このYoutube 動画は現在アメリカでもかなり話題になっているとのこと。確かに、少し検索しただけでも「13歳の少年がどの政治家や政治指導者と呼ばれている人々よりも保守主義の何たるかを明確にかったてくれた」「私は民主党支持者であり、リベラルの立場だから彼の主張には全く賛成できないが、正直、こんな少年が要を得て簡潔に保守主義のエッセンスを語るのを見て感動した」「Jonathan Krohn Addresses at CPAC の三分間は同じく非常に短いリンカーンのゲティスバーグ演説に比肩されるべきものだ」等々の positive なコメントがアメリカのオピニオンリーダー的なブログに書かれていました。

私自身も、Jonathan Krohn Addresses at CPAC の内容は少し抽象的ではあるけれども、彼の言わんとするところはよくわかるし、同じく保守主義を掲げ、而して、保守主義の国際連帯を模索している者として彼の主張には共感できた。そして、「厨房」(=中学生)がこのような水準と内容のスピーチを行なったことに対して些か驚きと共に感動を覚えました。アメリカ保守主義侮り難し、アメリカ合衆国侮り難し。その感を更に深めるとともに、日本の中学生・高校生の学力水準に思いを巡らすと暗澹たる気持ちになってしまった。これが偽らざる感想です。どげんかせんといかん、と。で、どげんする?

畢竟、大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義の止揚。すなわち、日教組・全教粉砕、自治労解体、憲法改正断行・核武装断行、旧宮家の皇籍復帰、日米同盟強化・露西亜との連携推進、(県民が望むなら旧日本軍と自衛隊に無礼極まりない沖縄など支那に進呈してもよいから)台湾との二重国家化実現、特定アジアとの「政凍経冷」化の可及的速やかな実現、小泉改革の更なる推進と地方再生の断行を願わずにはおられません。而して、麻生総理断乎支持、総選挙後の保守改革派主導による政界再々編をも。ではJonathan Krohn 氏の Addresses をご覧ください。共に闘わん。





http://www.youtube.com/watch?v=_vz1TVpwme0    



Jonathan Krohn Addresses CPACのエッセンス
The key for the Conservative view is to have principle over power, the people first, the people's rights based on principled views.

Conservatism is not an ideology based on feelings, it is an ideology of protecting the people and the people's rights.  

  
保守主義的なものの見方の<肝>は政治権力を基礎づけそれを導くある特定の考え方の原則です。それは、国家権力よりも国民国家を構成する人々が政治的な権威を握るべきであり、また、優先されるべきこと、而して、そのような主張に基礎づけられた人々の権利が枢要であるという原則です。

保守主義は情緒的な「好き嫌い」の感情に基礎を置くイデオロギーではなく、それは国民国家の構成員たるこの社会の人々とその人々の権利を守ろうとするイデオロギーなのです。



Who Jonathan Krohn is
Born March 1, 1995: Georgia
    
1995年3月1日生まれの14歳(このYoutubeのスピーチの時は13歳!)

http://en.wikipedia.org/wiki/Jonathan_Krohn



What he would like to say in his book:"Define Conservatism"
A Conservative is someone who believes in

1.Life
2.Personal Responsibility
3.Less Government
4.The Founding Principles

These are the basic principles of Conservatism, but they each require an individual in-depth analysis. ・・・

This book is all about the definition of Conservatism. It is about the values, the views, and the principles of the Conservative mindset. Conservatism is key to America because it keeps America on track in morals, in the size of government, and in the people's power. If we lose track of what we believe, then we will lose track of America's most important ideals.

    
「保守主義的人物」とは以下の事柄に価値を置く人のことです。

1.生き物の命/個々が引き受けている生の素晴らしさに対する確信
2.自己責任の原則
3.小さな政府/人生の枢要な領域に政府が関与することへの懐疑
4.アメリカ憲法を制定した理念

本書は保守主義の定義について書かれたもの。それは、保守主義の信奉する価値、世界観、そして、保守主義的な態度の原則について書かれたものです。保守主義はアメリカの基軸です。なぜならば、それはアメリカをしてその本来あるべき路線に留まらしめるものだから。アメリカをして、道徳、政府の規模、そして、国民の政治的影響力と社会・経済的な活力の部面においてその本来あるべき路線に留まらしめるものだからです。もし、保守主義が画するそのような路線を我々が踏み外すようなことがあれば、我々はアメリカの最も重要な理念を失うことにならざるを得ない。私はそう考えています。

註:保守主義が信奉する4個の価値
Jonathan Krohn 氏は、Jonathan Krohn Addresses CPAC の中で、保守主義が信奉する4個の価値を次の言葉で表現しています。すなわち、support for the United States Constitution:アメリカ合衆国憲法の支持, respect for life:生命の尊重, less government:小さな政府, more personal responsibility:自己責任の原則の貫徹。而して、上で紹介した"Define Conservatism"『保守主義の定義』の中で著者が保守主義者が尊ぶべき4項目として顕揚している、Life, Personal Responsibility, Less Government, The Founding Principles は(一部)次のように言い換えることができると思います。

1.Life:respect for life
2.Personal Responsibility:more personal responsibility
3.Less Government:less government
4.The Founding Principles:support for the United States Constitution


http://www.defineconservatism.com/



KABUの考える保守主義と麻生総理の保守主義の共鳴
保守主義とは何か? 保守主義の主張内容はどんなものか? 而して、現在の日本に生きる保守改革派はどのような政策コングロマリットを追求すべきなのか? これらについては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいと思います。


・保守主義とは何か(1)~(6)
http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/56937831.html

・これこそ保守改革派の神髄☆麻生太郎首相の所信表明演説
http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/55225639.html

・祝・麻生太郎自民党新総裁誕生☆
 けれど、総裁選も総選挙も政界再編も手段であって目的ではない!
http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/55143875.html

・麻生太郎『とてつもない日本』に迸る保守主義の政治哲学
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/08af31555a2f386edcd85261925262d3




(2009年3月10日:yahoo版にアップロード)

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ジャンル : 政治・経済

asotarobook1


麻生総理の著書『とてつもない日本』(新潮新書・2007年6月)を読み返してみました。来るべき衆議院総選挙(および、来年の参議院選挙)でその大勢が決まるだろう政界再編の帰趨を考えるためにもう一度読んでおきたいと思ったからです。蓋し、「非自民」や「反自民」という否定的な媒介項にせよ、来たるべき政界再編の軸となり向こう4年から5年の(2013年の参議院選挙、あるいは、衆参同日選挙の結果にそれが順接するとすれば今後10年の)日本の政治のあり方を決めるものは、現在の自民党のあり方であり、畢竟、麻生政権のあり方と理念に他ならない。ならば、来るべき政界再編の意義とその着地点を闡明にするためには宰相・麻生太郎の政治哲学を知るに若くはない、と。

本書は安倍政権が地滑り的敗北を喫し政界の風景を一変させた<7・29>の参議院選挙直前に上梓された。しかし、今読み返してもそれは新しい。そこには、中庸と伝統を尊ぶ姿勢、日本を誇りに思い日本の文化伝統を継承している自己に感じる誇りと心地よさを隠さない保守主義が息づいている。我々保守改革派が希求すべき「伝統の恒常的な再構築を通してする日本再生の指針」が著者の30年に及ぶ豊富な政治経験に裏打ちされつつ平易な言葉で綴られている。蓋し、来るべき政界再編においても保守改革派は麻生総理の状況認識と政治理念を基軸として行動すべきである。本書を再読していよいよそう確信しました。

細川連立政権の発足(1993年8月)に始まる政界流動化。その後、自社さ連立政権(1994年6月)から自(自)公連立政権(1998年7月)とこの16年間で三回を数えた政界再編は(小泉政権-安倍政権下の6年を除き)この国の社会と経済の迷走の原因となり、また、その結果だったと思います。人口に膾炙している如く、それは社会主義体制の崩壊にともなう「冷戦構造の終焉」によって、東西冷戦への適応に特化していた内政外交の政策軸が神通力を失い、而して、所謂「55年体制」や所謂「40年体制」が具現していた「貧弱な社会的規制と強固な経済規制」「複雑長大な流通機構」「許認可権と行政指導を手段とした官僚支配」「税制面での地方在住者による大都市圏住民の搾取」「低い消費税と高所得者に対する高い累進税率」「日教組・全教・自治労という寄生虫的な労組の跳梁」「差別利権団体の跋扈」「伝統と国家を軽視する学習指導要領と反日マスコミの乱舞」「国防・安全保障のアメリカへの丸投げ体制」等々の見直しが迫られた結果でしょう。

この間の政界再編は、「冷戦勝利の事前配当」とも言える「バブル経済」(1985年~1991年)の崩壊が誰の目にも明らかになり「失われた10年」に突入する中で、つまり、「経済のパイ」が縮小する中で始まり続行されました。それもあり、三次に亘る政界再編はあらゆる政治勢力とその支持者にとって極めて中途半端で不明瞭なものに終始するしかなかった。かつて、ワイマール憲法の時代のドイツは「右からも左からも最悪の時代として回顧される時代」と呼ばれましたが、小泉政権発足(2001年4月)までの日本の「失われた10年」は政治・経済の両面において「漂流していただけの最悪の時代」だったのかもしれませんから。

而して、小泉改革が中途で終えた改革の更なる断行と小泉改革において高い優先順位が与えられていなかった地方の再生および伝統の蘇生、畢竟、官僚支配から政治支配への移行、すなわち、社会主義的な国家権力主導型から保守主義的な市民社会主導型への政治の仕組みの変革。「あらゆる政界再編動向を終らせる最後の政界再編」になりうる政界再編が現実味を帯びてきている現在の状況において、我々保守改革派はこれら小泉改革の継承と展開をこそ政界再編の軸として顕揚すべきであり、それらを槓桿にして日本の再生を期すべきではないかと私は考えています。そして、麻生太郎『とてつもない日本』にはそのような保守主義からの日本再生に向けた指針と現下日本の置かれている状況の認識が書かれている。正気の沙汰とは思えないマスメディアによる麻生内閣に対する誹謗中傷、揶揄嘲笑が渦巻く現在、保守改革派の皆さんに改めて本書の一読再読をお薦めする所以です。




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■『とてつもない日本』内容紹介
本書は、前書・後書の他全7章の構成。目次を入れても190頁(400字原稿用紙約170枚程度)の小著です。文体もむしろ「上質の街頭演説風」の、上でも述べたように極めて平易な言葉で綴られており4時間もあれば一読できる「読者に優しい新書」です。

以下、総論的叙述と内政に取り組む麻生総理の基本となる考え方が述べられている前半の5章を紹介します。而して、本書の圧巻白眉たる麻生外交の準拠枠組、すなわち、(対支那外交戦略や所謂「靖国神社」分祀論批判をも含め)最後の2章で展開されている麻生外交の判断枠組みについては、是非、直接本書で読んでいただきたいと思います。

目次:
はじめに
第一章:アジアの実践的先駆者
第二章:日本の底力
第三章:高齢化を讃える
第四章:「格差感」に騙されてないか
第五章:地方は生き返る
第六章:外交の見取り図
第七章:新たなアジア主義-麻生ドクトリン
おわりに



◆日本の凄いところ
麻生総理は、本書の第一章で次章以降の論述の前提となる日本の置かれている状況認識を提示されています。曰く、「国際社会における日本の姿、日本の強みとは何か。この問いに対しては三つの答えがある」(p.21)。而して、その「日本の凄いところ」は以下の三点であり、「経済の繁栄と民主主義を通して、平和と幸福をPeace and Happiness through Economic Prosperity and Democracy」(p.34)麻生太郎は目指して行く、と。

・アジアにおける先駆的存在「Thought Leader」
・アジアに埋め込まれた安定勢力「Built-in Stabilizer」
・国対国の関係に上下概念を持ち込まない国


要は、「人よりも先に難問にぶち当たらざるを得ない星回りにある」先駆者であり(pp.21-22)、「アジアで最も古い民主主義国家、市場経済国家として、アジアに埋め込まれた安定勢力」(p.27)、そして、「アジア各国と、真に同輩同士の関係、対等な仲間としての関係を結んできた」(p.32)フェアな国、それが日本である、と。これは「他国との関係を上下概念」でしか認識できない支那や韓国や北朝鮮と好対照をなす、誰も否定できない日本の現状分析ではないでしょうか。




◆今だからこそ言える日本のとてつもなさ
日本の凄さの基盤のスケッチと返す刀での戦後民主主義の欺瞞の暴露。これが第二章「日本の底力」の内容です。Jポップ・アニメ・産業用ロボット等々、元気な日本を象徴する事象を紹介しつつ日本社会の今を歪めている戦後民主主義的心性の残滓に疑問を呈する、その麻生総理の筆致はあくまで前向きで限りなく明るく朗らか、読んでいるこちらまで元気になってきます。


「政治家、特に野党は「日本はこんなに駄目な国だ」「日本はお先真っ暗だ」といいたがる。もちろん、先の心配をするのは政治家の大切な仕事だろう。しかし、そんなに心配ばかりして、「下を向いて歩こう」でいいのかとも思う。日本は素晴らしい「底力」を持っていると確信している。これは何も国粋主義とかそんな野暮なものではない。(中略)少なくともそう考えてみたほうが、「駄目だ、駄目だ」の野党流よりも、元気がでるんじゃないか。そう思うのだが、どうだろう」(pp.38-39)


「時代が急激に変化していく時には、いつの頃も、社会の中で身の置き場に迷う人が多く出たものである。幕末維新の権力闘争に敗れた徳川幕府の幕臣たちはいうまでもないが、(中略)敗戦直後の軍人や引き揚げ者、戦災孤児などもそうだっただろう。しかし、いずれの時代も、貧しく、生きていくのが大変な時代だったから、甘えたりひねくれたりする暇もなく、(中略)ただただ懸命に生きて行こうと努力していた」(p.44)


「誰もが「こんな仕事をしたい」という理想の仕事に恵まれて、それにより自己実現ができれば幸せな話である。そして社会を、その状態にできるだけ近づけていくように努力するのは、政治家の大切な責務だろう。だが、残念ながら(中略)おそらく百パーセントの人が満足して、仕事で自己実現できる社会というのは不可能であろう。(中略)【ならば】議論の前提として「すべての人が仕事で自己実現すべきだ」などという極端な理想論を置くのはいかがなものだろうか。(中略)だから私自身は、安易に「負け組」などという言葉を使う風潮も気に入らない。「負け組」を応援するという大義名分で、収入が低い人に新しいレッテルを貼って差別しているんじゃないか、という気がしてならないからだ」(pp.44-46)


「戦後、民主・自由・平等を掲げて進められてきた平準化教育は、まだまだ近代工業化社会の発展途上にあった日本には適していたかもしれない。最も必要とされた労働者、サラリーマンを量産する上では、実に優れたシステムだったからだ。(中略)戦後の歩みは誇るべきものだが、冷戦が終結したあたりから、いろいろと歪みが表面化してきた。(中略)私は戦後の日本にはびこっている「平等」への信仰に対し、それは建前、偽りではないかと、常に疑問を持ち続けているのである」(pp63-66)



◆日本の陰鬱な部面に光を見る
日本再生のために日本人が持つべき心性を提案した前章を受けて、第三章から第五章にかけて麻生総理は、日本再生の可能性、すなわち、日本のとてつもなさを所謂「高齢化社会」「格差社会」「地方の衰微」という日本の陰鬱な側面を俎上に載せる中で逆照射される。特に、産業構造の転換の中、衰退著しかった自身の選挙区・筑豊を再活性化するべく汗をかかれたその実践経験に基づく第五章「地方は生き返る」の中の官僚支配批判は秀逸。是非、本書で直接堪能していただきたいと思います。



「昨今の日本では「老い」が嫌われ、「若さ」がよいとされる風潮が強いようである。(中略)だから私は、あえてここで「少子高齢化でもいいじゃないか」という話をしてみたいのである。(中略)「高齢化」を暗黒の未来のように考えることは、実は自分の未来を暗いと考えるのと同じでことだ。そんなバカげた考えは、即刻捨てた方がよい、と申し上げたいのである」(pp.70-74)


「平等主義思想を作り出したもとは労働価値説だろう。マルクス経済学の中心となる考え方で、人間の労働が価値を生む、というものである。それ自体は正しいのだろうが、この考え方の場合、個々の人間の差というものを視野に入れていない。極めて限られた、古いタイプの“労働”しかあてはまらない」(pp.89-90)


「かつての中国(ママ)は、仮に皆が平等であったとしても、平等に貧しいというだけだったのではないか。(中略)一方、今の中国(ママ)には、なぜ活力があるのか。市場経済を導入し、「結果の平等」の建前を崩して、「機会の平等」へとシフトしたからである。「勤勉で成功する者を罰し、怠け者を奨励する税制こそが英国社会の衰退を招いた」二十一世紀の日本を考えるとき、私は鉄の女、イギリスのサッチャー元首相のこの言葉を、真剣に検討すべきだと確信している」(pp.91-92)


「格差拡大の第一の理由は高齢化である。(中略)次に、デフレも大きな要因だと思われる。(中略)規制緩和が格差拡大に影響を与えるという論理も【あるが】不況、デフレによって低所得者が増えた話と、規制緩和が所得格差を煽ったという話は、別の話である」(pp.93-96)


「ようするに、格差の是正は、人々の価値観に依存するということだ。最低の生活水準保障や社会保障制度の整備、教育を含め幼児期における格差を小さくして、運・不運の影響を小さくするといったところが、皆で合意できる格差対策の基本ではないだろうか。「格差」と「格差感」は似て非なるものではないか、と思うのである」(p.97)


「福岡の旧産炭地・筑豊が、私の選挙区である。昭和三十年代、筑豊の石炭産業はエネルギー革命の影響をもろに受け、以後、人口の減少などを含め壊滅的な打撃を受けた。昭和五十四(1979)年、私が初めて衆議院選挙に出た頃でさえ、筑豊はまだまだ疲弊から回復しておらず、そこに住む人たちは、未来より今をどう生きるかがすべて、明日をも知れぬ暮らしぶりだった。(中略)一時は筑豊の町々も日本一の失業率と生活保護受給率でマスコミを賑わしたことがあったのである。(中略)

私は当時、国立大学誘致に血眼になって走り回っていた。(中略)私はこう考えた。目の前の問題の解決策を考えるのも大切なことだろう。だが、それでも若者は未来を夢見るべきだし、(中略)ましてや、筑豊を見捨てず、誇りを持って郷土に留まった若者が、自分たちの未来を託す夢を持てるようにしてしかるべきではないだろうか。そのためにも大学誘致は大切だという確信があった。当選から六年後、(中略)昭和六十(1985)年十二月二十六日、九州工業大学情報工学部の創設が大蔵省から正式に認可された。(中略)

スタンフォード大学の中心的な研究機関CSLIと飯塚市との提携や、高度な金型の研究開発など産学官の取り組みも進んでいる。こうしたことも雇用の創出につながっている。(中略)【現在は】大学を呼んだだけではなく、そこから地元に根付いた産業が生まれつつあるという話を聞くと、あの頃の苦労など吹っ飛んでしまうほどうれしい」(pp.104-109)


「戦後、日本が経済復興を目指すにあたり、どの産業から手を付けるかを決めたのは通産省(当時)だった。石炭、繊維、造船、鉄鋼、自動車、半導体など、産業政策によって順番を決め、国策銀行が優先的に資金を回し、あるいは、大蔵省(当時)銀行局が民間銀行に対して優先融資するように行政指導してきた。(中略)

ところが冷戦終結とともに、官僚体制の典型ともいえる社会主義計画経済体制の国家が姿を消していった。世の中が自由競争を前提とした国家、社会を求めるようになった。しかも情報化が進むことで、役所の仕事はどんどん合理化されていった。にもかかわらず、官僚は自分たちの権限(予算、人員・・・)を手放そうとしない。しかも「官僚主義」、つまり前例にこだわり、新しいことに手を出すことに慎重で臆病な性質ははびこったままである。この官僚が牛耳っているシステムが維持されるようでは、地方の活性化はのぞむべくもない」(pp.117-118)


「日本は「とてつもない力」を持った国である。(中略)日本は不況といわれ、格差が拡大したといわれながらも、相変わらず世界第二の経済大国であり、貿易収支、経常収支ともに黒字なのは先進国の中では唯一日本だけだ。しかも、犯罪発生率は最低、特許取得率は一番、外貨準備高も一番。数字で見れば日本が「とてつもない力」を持った国であることは一目瞭然である。これで将来を悲観する方がどうかしている。かつて、あるイギリス人が「日本が不況だというなら、その不況を輸出してほしいものだ」といったという。外国人から見れば、九〇年代の日本ですら、どこが不況なの? ということだったのである。日本への評価は、われわれが思っているよりはるかに高い。そして潜在力も高い。そのことを知っておいてもいいのではないだろうか」(pp.122-123)



(2009年3月9日:yahoo版にアップロード)

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テーマ : 麻生太郎
ジャンル : 政治・経済

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ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』『続あしながおじさん』(“Daddy Long Legs,” 1912:”Dear Enemy, ”1915;以下、前者を「DL」、後者を「DE」と略記)は20世紀初頭のアメリカ社会に対する批判の書であると同時に、アメリカ人が規矩準縄とした当時の世界認識の枠組みを色濃く反映した作品だと思います。後者に関しては科学に寄せる信頼を吐露した主人公達の発言が、前者に関しては婦人参政権ならびに前稿(下記URL参照)で紹介した社会主義を巡る数多の主人公達の発言がそれらを闡明にしていると思います。

・温故知新:「あしながおじさん」を貫くアメリカ保守主義の精神
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/57066869.html

科学に寄せる素朴な信頼。例えば、大学1年生時の主人公ジュディ・アボットの10月10日の発言「【この最初の学期では生理学を履修しています。】おじ様はお酒は召し上がらないでしょうね。アルコールは肝臓にとても悪い影響を及ぼします」(DL, F-Oct.10)、あるいは、サリー・マクブライドの「【ウイコッフ】閣下は再びうなり声をあげ、近ごろ流行している科学的慈善なんていうものには余り興味は持たないとおっしゃるのでした」(DE, Mar.8)、「わが国の刑務所が収容している囚人の三分の一は精神薄弱者なのです。社会で精神薄弱児園を作りそこにそういう子供達を隔離して、そこで平和な召使のような仕事を覚えさせ、それによって生活費を得させ、子供を産ませないようにすべきだと思います」(DE, April 17)等々の発言はスターリン統治下のソヴィエトロシアもかくばかりという「科学主義」からのそれと言えるのではないでしょうか。

而して、科学万能的の世界観は「科学的」を称した「マルクス=レーニン主義」の破綻や知の究極的な相対性を見極めた分析哲学の確立とともに、最早、過去の遺物となり、また、婦人参政権もアメリカではアメリカ合衆国憲法修正19条(1920年)の確定とともに(日本でも1945年の改正衆議院議員選挙法によって)実現された今となっては、DLやDEは過去の風俗資料としての意味しか持っていないのでしょうか。私はそうは考えません。

DLとDEには、特に、婦人参政権と女性の社会的あり方を巡る記述には単なる「女性の投票権獲得」のイシューを超えて、アメリカ以外の社会、例えば、日本の2009年に生きてある我々保守改革派にとっていまだに現在をよりよく生きるための、かつ、我々の社会をよりよく変革するための槓桿たりうるsomethingが凝結している。而して、そのsomethingとは社会的存在としての人間が、所詮、(性同一性障害の事例も含め)男か女かでしかありえない個々の人間が他者とより好ましい社会的関係の紐帯を取り結ぶための「人間存在に対する深い理解=人間観」に他ならない。蓋し、我々、現在の日本の保守改革派も、100年の時を越えてDLとDEになお力強く流れている豊潤な「人間観」を拳々服膺すべきである。そう私は考えるのです。著者は、ジュディとサリーにこう語らせています。尚、翻訳は前稿で述べた理由で松本恵子さんの新潮文庫版を参考にさせていただきました。


「サリーは学年代表に立候補しています。・・・いろいろ作戦をたてているこの雰囲気、私達の政治家ぶりをお目にかけたいくらいでございます! やがて私共女性が参政権を獲得した暁には、おじ様方は男性の権利を守るために、大いに運動なさらなければなりませんでしょうよ」


Sallie is running for class president.・・・Such an atmosphere of intrigue-you should see what politicians we are! Oh, I tell you, Daddy, when we women get our rights, you men will have to look alive in order to keep yours. (DL, S-Sep.25)



「おじ様への唯一のご恩返しは私が非常に有用な公民(女も公民になれるんでしたかしら? そうでない気もしますけれど)になることです。とにかくとても役に立つ人間になるのです。そして、おじ様が私をごらんになるたびに、「あの非常に有用な人物を社会に送り出したのは私である」とおっしゃることがおできになるようにするのです」


The only way I can ever repay you is by turning out a Very Useful Citizen(Are women citizens? I don’t suppose they are). Anyway, a Very Useful Person. And when you look at me you can say, ‘ I gave that Very Useful Person to the world. ’ (DL, J-June 10 ff.)



「今年は経済学を選択しました。・・・これがすんだら慈善事業と感化事業をとるつもりです。そうすると評議員様よ、私は孤児院をいかに経営すべきかを、ちゃんと心得ることになるのです。もし私に投票権があったら、私は優秀な有権者になるとお思いになりませんこと? 私は先週満21歳になりました。私のような正直で学識あり、良心的で聡明な市民に選挙権を与えないなんて、この国はなんというもったいないことをする国なんでしょう」


I’ve elected economics this year.・・・When I finish that I’m going to take Charity and Reform; then, Mr. Trustee, I’ll know just how an orphan asylum ought to be run. Don’t you think I’d make an admirable voter if I had my rights? I was twenty-one last week. This is an awfully wasteful country to throw away such an honest, educated, conscientious, intelligent citizen as I would be. (DL, J-Nov.9)



繰り返しますが、「あらゆる戦争を終らせるための戦争」との位置づけの下、国家間の総力戦として戦われた第一次世界大戦の期間中(1914年-1918年)、女性が果たした社会と国家への貢献を背景にしてアメリカでは1920年に婦人参政権が認められました。而して、現在においてはなおさらこれらの引用箇所は次の諸引用に垣間見えるウェブスター女史の(現実主義的で経験主義的、価値相対主義的で実存主義的な、すなわち、保守主義と通底する)人間観と併せて熟読吟味すべきものと思います。尚、「保守主義」とフェミニズムに対する私の基本的理解については下記拙稿をご一読ください。

・保守主義とは何か(1)~(6)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/56937831.html

・完全攻略夫婦別姓論-マルクス主義フェミニズムの構造と射程(上)~(下)
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-398.html


「女性というものは、その関心が赤ちゃんにあろうと、病原菌にあろうと、夫にあろうと、詩にあろうと、奉公人にあろうと、平行四辺形にあろうと、庭園にあろうと、プラトン哲学にあろうと、或いはかるた遊びにあろうと、根本的の興味は常に衣装にあるものです。この自然の持ち前ゆえに世界じゅうが同胞になるのです(これは私の独創ではありません、シェークスピアの戯曲の中から借用したのです)」


Whereas a woman -whether she is interested in babies or microbes or husbands or poetry or servants or parallelograms or gardens or Plato or bridge - is fundamentally and always interested in clothes. It’s the one touch of nature that makes the whole world kin. (This isn’t original. I got it out of one of Shakespeare’s plays.)(DL, J-Dec. 7)



「【ここジョン・グリア孤児院の出身者である】あなたは食堂の入り口の上にあった、飾り文字の聖句「神は恵みたもう」を覚えていらっしゃるでしょう、私達はあれを塗りつぶしてしまいました。・・・まともな両親や家庭のある普通の子供達にそういう信仰を教えるのは、たやすい事ですが、困り果てて寝るところは公園のベンチに避難所を求めるよりほかにない者には、もっと戦闘的な信仰を身につけさせなければなりません。

「神は二本の手と一つの頭と、それを使う広い世界をお与えくださった。それを良く使えば報いをいただける。悪く使えば餓えてしまう」これが【サリー・マクブライドがジョン・グリア孤児院の院長に就任して以後の】ここでの信条で、それも【機会の平等を人為や社会制度により完全に整えるのは不可能であり、運命を人間は甘受しなければならないという】条件つきです」


You remember that illuminated text over the dining-room door - “The Lord will provide.” We’ve painted it out.・・・It’s all very well to teach so easy a belief to normal children, who have a proper family and roof behind them; but a person whose only refuge in distress will be a park bench must learn a more militant creed than that.

“The Lord has given you two hands and a brain and a big world to use them in. Use them well, and you will be provided for; use them ill, and you will want,” is our motto, and that with reservations. (DE, Mar. 13ff.)



ここで引用した発言を貫いているものは、自立と自律を尊ぶ自己責任の原則に対するウェブスター女史の揺ぎない信頼であろうと私は思います。畢竟、それは、所謂「派遣切れ」なるものを企業や政府、就中、資本主義の責任と捉える(但し、資本主義の運動法則が所謂「派遣切れ」なるもの原因の一つであることは間違いないでしょうけれども)、自己責任の心性を欠く一部の労働運動圏の住人に蔓延している他力本願的な心性や認識と好対照をなしている。そう言えるのではないでしょうか。

以下、この「人間観」を基底に据えて「社会的存在としての女性の実存」を描くウェブスター女史の筆致を更になぞっていくことにします。而して、“Daddy Long Legs”はLong long time ago や Only yesterday の話ではなく現在の日本の思想状況と地続きの物語であることを紹介したいと思います。


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「この度新しい職員、しかも素晴らしい職員を一人迎えましたのよ。1910年度卒業のベッシー・キンドレッドさんを覚えていらっしゃって?・・・あの方はここからたった19キロのところに住んでらっしゃるのよ。私は昨日の朝、村街道で、あの方が自動車を走らせていらっしゃるのに偶然ぶつかったのです。というよりも、むしろあの方の自動車がもう少しで私にぶつかるところだったのです。・・・で私はあの方の自動車のステップに飛び乗って、こう言いましたの。「1910年度のベッシー・キンドレッドさん、ぜひ私の孤児院へいらして、子供達の一覧表を作るお手伝いをして下さいませよ」・・・

子供達があの方になついてしまって、あの方が孤児達から離れがたくなっておしまいになればいいと思っています。高給を支払ったら、ずっといてくださるだろうと思うんですの。この不況時代に、あの方は私達と同じように家庭から独立したがっていらっしゃるんです」


We have a new worker, a gem of a worker. Do you remember Betsy Kindred, 1910? ・・・ She lives only twelve miles from here. I ran across her by chance yesterday morning as she was motoring through the village; or, rather, she just escaped running across me. ・・・ I hopped upon the running-board of her car and said: “Betsy Kindred, 1910, you’ve got to come back to my orphan-asylum and help me catalogue my orphans.”・・・

I am hoping that orphans will become such a habit with her that she won’t be able to give them up. I think she might stay if we pay her a big enough salary. She likes to be independent of her family, as do all of us in these degenerate times. (DE, Mar.6)



「ベッシーさんのサラリーが増加されると伺って、私はどんなに嬉しいかしれません。そうなれば、ベッシーさんにずっとここに居てもらえますもの。でもサイ・ウイコック閣下はこの処置に非を唱えていらっしゃいます。閣下はベッシーさんの身元調査をしていらして、あの方のご両親はベッシーさんがサラリーをいただかなくても立派に暮らせるだけの資力がおありになるのを知っていらっしゃるのです。そこで私はこういってあげました。

「まさか閣下は無報酬で法律上の相談にお乗りにはなりませんでしょうね。それならベッシーさんだって訓練を受けた仕事を無報酬でするという法はございませんでしょう」「これは慈善事業じゃ」「では閣下は利益のある仕事なら報酬を受けていいが、公益のための仕事の場合は、報酬を受けるべきではないとおっしゃるんですの?」「くだらん事を! あの人は女じゃ、親が養うのが当然じゃ」


I can’t tell you how pleased I am that Betsy’s salary is to be raised, and that we are to keep her permanently. But Hon. Cy Wykoff deprecates the step. He has been making inquiries, and he finds that her people are perfectly able to take care of her without any salary.

“You don’t furnish legal advice for nothing,” say I to him. “Why should she furnish her trained services for nothing?” “This is charitable work.” “Then work which is undertaken for you own good should be paid, but work which is undertaken for the public good should not be paid?” “Fiddlesticks!” says he. “She’s a woman, and her family ought to support her.” (DE, June 9ff.)



「ニューヨークへ帰ると、私は買いものかたがた二、三の用をたそうと思って百貨店へ入りました。私が回転ドアをおして入っていこうとすると、反対側から来たのは誰あろう、【大学の同級生の】ヘレン・ブルークスさんではありませんか!・・・私はいつもヘレンが好きでしたわ。あの人は目立ちませんでしたがしっかりしていて、信頼のおける人でした。ミルドレッドが四年生の演劇部をめちゃくちゃにしてしまったときに、あの人が委員達をはげまして具体化させたあの手腕をお忘れにはならないでしょう?・・・

可哀そうにヘレンは、彼女の生涯をめちゃくちゃにしてしまったらしいのです。こんな短期間にこんないろいろな経験をした人はないと思います。大学卒業直後に結婚し、出産し、その赤ちゃんを亡くし、夫と離婚して、両親と喧嘩して自活するためにニューヨークへ出てきたのです。彼女は出版社で原稿読みをしているのです。・・・

ヘレンは女の天職は家庭を作ることだという理論のもとに教育されたのです。それで大学を卒業すると、彼女は自然に定められた自分の道に踏み出そうとあせったのです。そこへヘンリーが現われたのです。・・・彼女は盛大な結婚式をあげ、・・・すべてがさい先よく見えました。ところが二人は互いに知り合ってみると、本でも冗談でも人でも娯楽でも、二人の好みに共通なところがないのでした。ヘンリーは、屈託がなく社交好きで陽気なのに、ヘレンはそうでありません。二人はうんざりしました。それからお互いにいらいらし出しました。・・・

そんなわけである朝の食事中で、夏になったらどうしようかという話が出たときに、ヘレンは西部に行って、相当な理由があれば離婚できる州に居留したいと思うと、全く不用意にいってしまったのでした。するとヘンリーは何ヵ月ぶりかで初めてヘレンと同じ意見だったのだそうです」


Back in New York, I took myself to a department store to accomplish a few trifles in the way of shopping. As I was entering through their revolving-doors, who should be revolving in the other direction but Helen Brooks!・・・ I always liked Helen. She’s not spectacular, but steady and dependable. Will you ever forget the way she took hold of that senior pageant committee and whipped it into shape after Mildred had made such a mess of it?・・・

Poor Helen appears to have made an awful mess of her life. I don’t know any one who has covered so much ground in such a short space of time. Since her graduation, she has been married, has had a baby and lost him, divorced her husband, quarreled with her family, and come to the city to earn her own living. She is reading manuscripts for a publishing house.・・・

She was brought up on the theory that a woman’s only legitimate profession is home-making. When she finished college, she was naturally eager to start on her career, and Henry presented himself.・・・She had a big wedding. ・・・ Everything looked propitious. But as they began to get acquainted, they didn’t like the same books or jokes or people or amusements. He was expansive and social and hilarious, and she wasn’t. First they bored, and then they irritated, each other.・・・

So one morning at breakfast, when the subject of what they should do for the summer came up, she said quite casually that she thought she would go West and get a residence in some State where you could get a divorce for a respectable cause; and for the first time in months he agreed with her.(DE, Dec. 2)




(2009年3月8日:yahoo版にアップロード)

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vassar

ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』(Jean Webster, “Daddy Long Legs,” 1912)は20世紀初頭のアメリカ社会においては、ある意味、一種の「社会主義」を勧奨するパンフレットだった。そう言っても満更間違いではないと思います。

1919年と1920年に各々確定するアメリカ憲法修正18条(所謂「禁酒法」)と同修正19条「婦人参政権規定」を巡る数多の記述に明らかなように、『あしながおじさん』とその続編”Dear Enemy, ”1915(以下、前者を「DL」、後者を「DE」と略記。尚、DEは日本では『続あしながおじさん』のタイトルで翻訳されています。)には濃厚に「時代」が反映されていますが「DL」と「DE」を貫く著者の「社会主義」への好意もまたそんな「時代背景」の一つだと思います(ちなみに、修正18条「禁酒法」は1933年確定の同修正21条で廃止されました。為念)。

社会主義顕揚の書としての『あしながおじさん』。例えば、DLで大学3年生の主人公ジュディがあしながおじさんに書いた1月11日付の手紙には「ジュリアのお母様のおっしゃるには、ジャーヴィスさんは気が変で、社会主義者なんですって、・・・それでね、おじ様、私も社会主義者になるつもりですの。よろしいでしょう? 無政府主義なんかとは全然ちがいます。爆弾を投げて人を吹きとばしたりするようなやり方には賛成しないのです。たぶん私は生まれながらにして社会主義者の一員なんでしょうと思います。私は無産階級ですもの。でもまだ何主義者になるか、はっきりきめていません。日曜日によく研究した上で、次の手紙に私の主義を発表することにいたします」という記述が見えます(この箇所の原文は以下の通り)。

Julia’s mother says he’s unbalanced. He’s a Socialist.・・・You know, I think I’ll be a Socialist, too. You wouldn’t mind, would you, Daddy? They’re quite different from Anarchists; they don’t believe in blowing people up. Probably I am one by rights; I belong to the proletariat. I haven’t determined yet just which kind I am going to be. I will look into the subject over Sunday, and declare my principles in my next. (DL, J-Jan.11)


そして、この記述を受けた次の短信には更に明確にジュディの考えが説明されている。

「親愛なる同志よ、
ばんざい! 私は右派社会主義者です! つまり気ながに機が熟するのを待つ社会主義者なのです。この一派は明日の朝社会革命を起こそうなどとは望んでいません。そんな急激なことをすれば社会に混乱を来します。世の中の人がみんな驚かないだけの心構えができるまで、遠い将来をめざして革命をじわじわと進めていくのです。目下のところは産業、教育、孤児院の改革に着手することによってその準備をしなければならないのです」


Dear Comrade,
Hooray! I’m a Fabian. That’s a Socialist who’s willing to wait. We don’t want the social revolution to come tomorrow morning; it would be too upsetting. We want it to come very gradually in the distant future, when we shall all be prepared and able to sustain the shock. In the meantime we must be getting ready, by instituting industrial ,educational and orphan asylum reforms.(DL, J-Jan.11ff.) 



DEは第一次世界大戦中(1914年-1918年)に書かれ、著者のウェブスター女史自身、ロシア革命(1917年)を見ることなく1916年40歳の若さで亡くなっています。上の訳文は、多数ある和訳の中で原著者と年齢も近く古きよきアメリカやヨーロッパの雰囲気を体得しておられた松本恵子さん(1891-1976:新潮文庫)の訳を参考にさせていただいたものですが、引用文中の「右派社会主義者」の原語「a Fabian」は「フェビアン協会型社会主義支持者」の意味。而して、フェビアン協会は言うまでもなく英国労働党(1900年発足)の源流の一つとなった、議会制民主主義を堅持しながら斬新的な産業等の社会化を目指す社会主義団体のことです。


DLの舞台となった女子大は著者ウェブスター女史の母校ヴァッサー・カレッジ(Vassar College)がモデルとされています。マンハッタンからハドソン川を遡ること約100キロ、ニューヨーク州ポーキープシー(Poughkeepsie)にある同大学は1861年創設。残念ながら1969年からは男女共学に移行しましたが、(専門教育は大学院で行ない大学学部では高い水準の教養「liberal arts」を身につけることが今でもエリート教育の本筋とされているアメリカ社会にあって)教養と教育重視の大学(liberal arts college)の最新ランキングでも全米Top10前後に入る名門大学。かって、アメリカ東部の名門女子大学7校(Seven Sisters:one of seven most prestigious Eastern liberal arts women’s colleges)にハーバード大学の女子部ともいうべきラドクリフ大学(1999年に正式にハーバード大学と合併)とともに名を連ねた米国女子大学の雄(?)です。ちなみに、岩倉使節団とともに1871年に渡米し、後に、日露戦争時の満州軍総司令官・陸軍元帥・陸軍大臣の大山厳公爵の夫人となった捨松夫人(1882年卒業)もヴァッサー・カレッジの卒業生であり、ウェブスター女史は大山公爵夫人の19期下の後輩に当たります。

畢竟、DLとDEで展開される社会主義は、しかし、「マルクス=レーニン主義」と無縁なのは当然として、現在、通常言われるヨーロッパ型の「社会民主主義」とも異質。蓋し、著者の主張には「自己責任」に価値を置くアメリカの健全な自由主義を私は感じるのですが、それも女史がヴァッサー・カレッジの卒業生と聞けば納得できる気がします。人を物として管理することへの嫌悪と自助努力の価値の顕正がDLとDEの底流に流れている。而して、これこそ「資本主義」の社会的制御が喧伝されている2009年現在、我々保守改革派が『あしながおじさん』から学ぶべき精神ではないか。ジュディとサリーに著者がこう言わせているのを目にして私はそう思いました。


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「ジョン・グリア孤児院の目的は・・・九十七人の孤児を九十七人の双生児のように同じ人間に仕立てることでございました」


The aim of the John Grier Home ・・・ is to turn the ninety-seven orphans into ninety-seven twins. (DL, F-Oct.10ff.)




「私共はここの子供達を、金持ちの息子によくあるように、頭脳もないのに無理に大学へ入れるなどという事はいたしません。また貧乏人の息子によくあるように向学心のある子供を、十四歳になったからといって、無理に就職させるような事はしません。私共は子供達一人ひとりをよく観察して、相応した所を見つけてやります。もしも子供達が、農夫や保母になる適性を示したら、できるだけ優秀な農夫、優秀な保母になるように教え込んでやります。もし法律家になる素質を持っていたら、誠実で聡明で偏見のない法律家に仕立ててやります」


We weren’t trying to force them into college if they hadn’t any brains, as happens with rich men’s sons; and we weren’t putting them to work at fourteen if they were naturally ambitious, as happens with poor men’s sons. We were watching them closely and individually and discovering their level. If our children showed an aptitude to become farm labourers and nursemaids, we were going to teach them to be the best possible farm labourers and nursemaids; and if they showed a tendency to become lawyers we would turn them into honest, intelligent, open-minded lawyers. (DE, April 1)




「私は子供達に独立精神と自発的に何かする精神を植え付けてやりたいと希望しています。この二つのたくましい性格がここの子供達に目立って欠けています」


I do so want to develop self-reliance and initiative in these children, two sturdy qualities in which they are conspicuously lacking. (DE, April 20ff.)




「私はこの孤児院の毎日の仕事を百に区分して、子供達を毎週交代で次々と不慣れな仕事をさせることにしました。・・・どの子供にもよく覚えた一定の仕事を永久にやらせておくあの非道徳的な方法に従う方が、私達にとっては遥かに楽なのです。その誘惑に陥りそうになると、私はこの院の戸の真鍮のハンドルを七年間磨かされていた、フローレンス・ヘンティーのみじめな姿を心にうかべて、決然として子供達を他の仕事に移らせるのです」


Therefore I have divided the daily work of this institution into hundred parcels, and the children rotate weekly through a succession of unaccustomed tasks. ・・・It would be infinitely easier for us to follow・・・ 【the】 immoral custom of keeping each child sentenced for life to a well-learned routine; but when the temptation assails me, I recall the dreary picture of Florence Henty, who polished the brass door-knobs of this institution for seven years. (DE, June 9ff.)




(2009年3月2日:yahoo版にアップロード)

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