チェルノブイリ原発事故で最大の被害をもたらしたものは何か-放射能狂騒終了の鐘は鳴り響く(下)




<承前>

チェルノブイリで退去命令が出たのは年間5ミリシーベルト以上で、これは日本の計画避難区域よりきびしい値である。当時のソ連は社会主義の崩壊直前で経済は疲弊していたため、移住を強いられた人々のほとんどは失業し、政府の援助も受けられなかった。結果的に20万人が家を失い、1250人がストレスで自殺し、10万人以上が妊娠中絶したと推定される。ロシア政府の報告書は次のように結論している。

『事故に続く25年の状況分析によって、放射能という要因と比較した場合、精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限、事故に関連した物質的損失といったチェルノブイリ事故による社会的・経済的影響のほうがはるかに大きな被害をもたらしていることが明らかになった。』

福島で起こっていることも同じである。放射線量はチェルノブイリよりはるかに低く、年間20ミリシーベルトを上回る地域はもうないのに、政府は住民の反発を恐れて避難民を帰宅させない。「除染してから帰宅させろ」という要望に応じる財源も要員もなく、除去した土を移動させる場所もないため、11万人以上が10ヶ月近く不安な避難生活を強いられている。

ロシア政府は「チェルノブイリ事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されなかったことである」と指摘し、「この教訓は福島第一発電所の事故にとっても今日的なものだ」と述べている。事故対策の最終目的は放射能を減らすことではなく、人々の被害を減らすことである。微量の放射線にこだわって、これ以上彼らを隔離したままにすることは人道上ゆるされない。

ニューズウィークより抜粋)


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日本再生の年頭に 京都大学原子炉実験所教授・山名元  
過度なリスク回避に縮こまるな

2012.1.12 03:05

2012年が日本再生の年になることを祈るばかりであるが、当座の復興を図るだけでなく、「あらゆるリスクに強い日本」を作り上げることを期待したい。予見されるリスクを冷静に分析したうえで事前の策を固める一方、過度なリスク回避に走る縮こまった国になることも避けねばならない。

≪欠落するリスクマネジメント≫
日本は、リスクマネジメントや危機管理に弱いとされる。未曽有の災害を克服して再生に向かう今年こそ、しっかりしたリスクマネジメントが定着することを、中でも、国のエネルギー戦略策定におけるリスクマネジメントの視点が強化されることを期待したい。

昨夏の電力危機は、節電や休止中の火力発電所の起動などで乗り切ったものの、産業や生活に大きな影響をもたらした。安定的な電力供給とは、送電系異常や発電所トラブルが起こってもなお大規模停電を回避でき、どんな擾乱に対しても電圧や周波数を一定に維持できるような、予備力や異常対応力を持った強固な状態である。

安定的な電力供給の保証がなくなることは、多くの産業にとって最大のリスクである。産業は、電力不安定というリスクに海外移転などの回避策で対応する可能性が高い。安定し強固な電力供給の確保は、国にとっても、優先的なリスクマネジメントなのである。

だが、福島第1子力発電所事故後、政府の情報提供やメディア報道では、「我が国のエネルギー確保に関わるリスクの全体像」はほとんど伝わってこない。世間の関心も、原発批判と事故責任追及に集中し、事故で生じたエネルギー戦略上の「リスク構造」の分析やリスクマネジメントの在り方に関してはほとんど説明がない。事故の収束措置や環境修復などが進み始めた今、政府や報道機関は、エネルギー戦略に関わるリスクマネジメントの在り方について、国民への詳細な説明と情報提供を増やしてゆくべきであると思う。

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≪電力の安定供給脅かすもの≫
電力の安定供給に向けて想定すべきリスクとして、(1)原発の安全リスク(2)安全面以外による原発の稼働率低下のリスク(3)火力発電に伴う化石燃料(特に天然ガス)の供給リスク(4)化石燃料のコスト上昇リスク(5)火力発電のCO2排出に伴う長期的リスク(6)発電プラントの老朽化などのプラントリスクの増加(7)再生可能エネルギー発電の大量導入に伴うコスト負担増や導入可能量の不確実性(8)大量導入による電力系統の脆弱性拡大リスク(9)過度な省エネ要求による産業へのリスク-が挙げられよう。

さらに、金融危機、財政問題、国際紛争などの政治、経済情勢に関わる不確定性はエネルギー資源確保にも大きく影響し得る。こうした多様なリスクの存在を前提とし、全体として強靱な発電体系が構築されてゆかねばならない。

事故がもたらした不安感から、原子力を排除したいという世論の願望(脱原子力)は強いが、それは火力発電や再生可能エネルギー発電への過度な集中により、(3)~(8)のリスクを高めることにつながる。過度な原子力依存を、「減原子力」に転換する必要はあるとしても、火力発電や再生可能エネルギーなどに過度に依存し過ぎるリスクを避けるには、CO2排出面や供給安定性上のリスクが低い原子力に、一定程度依存する必要があることを再考すべきである。

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≪エネルギーのベストミックス≫
水力、地熱、原子力、長期的なリスクは伴うものの技術的には確実な液化天然ガス(LNG)、そして石炭による火力発電を適切に組み合わせることで相互のリスクを減じつつ、再生可能エネルギー発電の着実な強化を進めるという方向性には、リスクヘッジの点から現実性があるのではないか。

原子力の安全リスクの抑制は、停止中の原発の再稼働を含め、原子力を継続利用していくうえで必要条件である。福島第1原発事故は、自然災害のリスクと、原子力の基本たるべき工学原理(深層防護、確率論的リスク評価など)における問題の存在を示した。自然災害を含む事故のリスクに備え安全上の盲点を排除する本質的な取り組みと、ハードやソフトの安全を強化する措置が求められる。

新たな安全規制によって事故のリスクを減らす措置を強化することが必要であるのは、言うまでもない。原子力の安全リスクを、国民が無理なく受け入れられる水準にまで下げることが求められており、そのためにリスクコミュニケーションが極めて重要になる。

新しいエネルギー計画は、我が国の経済や暮らしを保障する重要な戦略であるから、さまざまな不確実性やリスクを排除した上で、実現性や確実性を重視して立案されるべきである。これはまさに、リスクマネジメントとしての取り組みである。既存のインフラとの整合性や追加的な投資の妥当性を含め、不確実性やリスクを最小化し得る現実的なエネルギーの「ベストミックス」の検討が、慎重に進められるよう強く期待する。

産経より抜粋)


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追加資料:原子力委 ヨウ素剤の事前配布案

1月12日 19時2分

原発事故が起きた際に甲状腺被ばくを避けるための「ヨウ素剤」について、国の原子力安全委員会の分科会は、事故後に配布する時間はほとんどないなどとして、避難指示などが出る可能性のある原発から30キロ圏内の家庭には、あらかじめヨウ素剤を配布することが有効だとする案を初めて示しました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故では、甲状腺被ばくを避けるための「ヨウ素剤」の服用の指示が、事故直後に国から出されず、多くの住民に配布されないなど、課題を残しました。これを受けて、「ヨウ素剤」の服用や配布の在り方について議論してきた国の原子力安全委員会の分科会は、12日、提言の案を初めて示しました。この中で、事故の際に避難指示などが出される可能性のある、原発から30キロ圏内については、事故後にヨウ素剤を配布する時間はほとんどないとなどとして、あらかじめ各家庭に配布することが有効だとしています。

ただ、ヨウ素剤については副作用があることから、リスクについてどのように説明し配布するかや、副作用が出た場合に補償をどうするかなどについて検討する必要があるとしています。今回の案について、委員からは「事前に配布すると、なくす人が出る可能性があり、事故後に改めて配る、二重の体制が必要だ」などという意見も出されました。分科会では、早ければ来月の会合で提言をまとめ、委員会が今年度中に予定している、原子力事故に備えた防災指針の見直しに反映させたいとしています。(NHKより抜粋)


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木花咲耶姫

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