安倍総理の「特定アジア外交の暫時の穏健化」は<政治>の常道である(上)




支那・韓国という特定アジア諸国への対応を巡り、今般の総選挙で訴えていた施策や路線を安倍晋三総理が穏健化あるいは先送りする意向を次々に表明しているそうです。

▼「竹島の日」式典を見送り 安倍自民、日韓関係改善に現実路線

自民党は21日、島根県の「竹島の日」(2月22日)にあわせた政府主催の式典の開催を来年は見送る方針を固めた。先の衆院選の総合政策集に「竹島の日を政府主催で祝う式典を開催する」と明記していたが、竹島を不法占拠する韓国で2月25日に朴槿恵氏の大統領就任式が予定されていることから、日韓関係の改善を優先すべきだと判断した。

安倍晋三総裁は21日、都内で記者団に対し、「(朴氏は)韓国にとって初の女性大統領で、われわれも大変期待している。日韓関係を発展、改善させていきたい」と強調。竹島の日の式典については「総合的な状況を踏まえて考えていきたい」と述べた。・・・

安倍氏は、日米同盟関係を再構築したうえで、中国や韓国、ロシアなどとの関係を緊密化させる方針を示してきた。日韓両国で首脳が交代することをきっかけに、まずは韓国との関係改善を急ぐ構えのようだ。

安倍氏は衆院選後、靖国神社参拝について「いま申し上げるのはつつしむ」とし、根拠もなく慰安婦募集の強制性を認めた河野談話の見直しも「急がない」などと慎重に発言している。外交でも当面は「安倍カラー」を封印し、安全運転に努めるようだ。


(産経新聞・2012年12月21日


▼安倍総裁、尖閣公務員常駐先送り

自民党の安倍晋三総裁は22日、沖縄・尖閣諸島の実効支配を強化するため現地に公務員を常駐させるとした衆院選公約の実施を、当面先送りする方針を固めた。反発が予想される中国に配慮したためで、政権発足後には特使の派遣も検討する。対中柔軟姿勢で、尖閣国有化をめぐり悪化した日中関係の改善に取り組む意向だ。ただ「竹島の日」式典の政府主催見送りに続く後退で、保守層から公約違反との指摘も出そうだ。


(共同通信・2012年12月22日


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これらの安倍総理の判断については「公約違反との指摘も出そうだ」どころではなく、すでに、少なくない保守系のブログで批判の記事やコメントが散見されています。けれども、私はこの判断こそ、正に、練達の<政治家の判断>であり<政治の常道>であると思います。「まあ、来年の参議院選挙まではしかたがないか」などではなくこの判断こそ「正解中の正解」である、と。而して、例えば、ある保守系ブログにはこう書いてありました。

>国民との公約よりも、支那や韓国との関係改善を優先する方針だ。
>自民党は、今後いったい幾つの公約を破るつもりなのか?!
>河野談話の見直しも「急がない」などと発言している。
>さらに、公約ではないが、靖国神社参拝についても
>「いま申し上げるのはつつしむ」と慎重だ。
>現実路線???
>安倍自民党は繰り返し【公約には】「出来ることしか書かない」
>と言っていたくせに、
>今になって「現実路線」もへったくれもない。
>そもそも、韓国に配慮して政府主催の竹島式典を見送ることや、
>支那に配慮して尖閣諸島への公務員常駐を見送ることが、
>本当に現実路線と言えるのか?!
>日本が韓国や支那に配慮すれば、本当に韓国や支那と関係改善が出来て、
>日本にとって良いことが起こると考えているのか?!


ちなみに、アメリカでは、大統領経験者の正式な呼称は大統領退任後も「president」であり、現職の大統領との区別の都合等、特に紛らわしくない限り「前・元:former/ex」などはつかないのとパラレルに(更に、日本の政界でも総理経験者に対しては、実は、国会議員の仲間内では「総理」と呼び「前・元」を付けない慣習を鑑みて)本稿では、第二次安倍政権発足前夜ではありますが、安倍総裁(元総理)を単に「安倍総理」と表記します。


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政府主催の「竹島の日式典」の延期や「尖閣諸島への公務員常駐」の延期、あるいは、韓国や支那への特使の派遣の検討。これらの安倍総理の「対特定アジア」路線の穏健化を支持すると書きましたが、もちろん、私は「竹島」や「尖閣諸島」などどうでもよいと考えているものでありません。まして況んや、首相の靖国神社参拝や所謂「従軍慰安婦」なるものにおいておやです。

蓋し、それらは、確かに、日本外交の中では極めてマイナーな問題ではあるでしょう。けれども、致命傷は一つでも<致命傷>であるのとパラレルに、それをないがしろにすることは日本外交の崩壊、すなわち、国家としての日本の融解を引き起こす死活的に重要な問題でもある。

簡単な話です。言うまでもないことですが、例えば、領土は連続した概念だから、「竹島」や「尖閣」がどうでもよければ「対馬」も「島根県」も「九州」もどうでもいいのかという話しになるでしょうから。

他方、しかし、日本を中心に世界が廻っているわけではない。支那や韓国がいかに無礼千万で非常識な国であれ、(国境を越える環境問題や鳥インフルエンザ・口蹄疫の蔓延、安全保障や国際金融、端的にはボートピープルを想起すれば自明の様に)国交断絶をしたとしても日本はそれらと無関係になれるわけではありません。ならば、政策の優先順位をつけて、日本側主張を繰り返し発信しつつ、政治のコストパフォーマンスの悪い案件は先送りするのは当然のことである。と、そう私は考えます。

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白黒はっきり言えば、実定国際法とも確立した国際政治の慣習とも異質な「中華主義」の微睡みから醒めていない(要は、近代主権国家としてのルールもマナーも理解できない)支那や韓国との「友好関係」などは不可能。よって、それらのカントリーリスクを鑑みれば、支那・韓国とは「政凍経冷」くらいがちょうどよいの、鴨。

でもね、上に書いたことの繰り返しになりますが、国交断絶したとしてもこれら特定アジア諸国と日本が無関係ではありえないことは保守派も自覚すべきでしょう。ならば、ポイントは、「竹島の日式典」も「自衛隊の防衛出動による竹島奪還」も竹島を安定的に実効支配するための手段であるということ。すなわち、民主党の負債を処理しつつ強固な国内体制を構築するための数年間は、(そうすれば気分は良いだろうけれど、問題解決に向けての)コストパフォーマンスはそう高くない「竹島の日式典」や「尖閣諸島への公務員常駐」などは(止めるのではなく)延期するのがクレバーである。と、そう私は考えます。

畢竟、現実の政治や歴史は<合算>であり<積み重ね>です。つまり、ベクトルの和(「力の平行四辺形の対角線」)。だから、民主党政権が常套した言説、「自民の負の遺産なるものがあるから民主党政権はうまくいかなかった」などはもともと現実政治を語る言葉ではないのですが、第二次安倍政権も民主党の負の遺産(更には、河野談話等々の旧自民党政権時代に遡る負の遺産)を前提にそこからベストを尽くすしかないのではないでしょうか。


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安倍総理の「対特定アジア」路線の穏健化の妥当性。以下、所謂「従軍慰安婦」なるものを例にこのことを敷衍します。尚、このイシューに関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

・安倍総理の逆襲-「従軍慰安婦」という空中楼閣に依拠した
 New York Timesの自民党新総裁紹介記事(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/61507543.html

・石原知事-橋下市長が「河野談話」を一刀両断
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/61346852.html

・「従軍慰安婦」問題-完封マニュアル(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60931202.html

・戦後責任論の崩壊とナショナリズム批判の失速
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59898544.html


所謂「従軍慰安婦」なるものの存在について、日本国内では「軍の直接の強制」どころか「軍が組織的に関与した制度」としての「従軍慰安婦」なるものが存在しなかったことは、最早、明らかになっています。だからこそ、現在では、朝日新聞といい毎日新聞といい、反日・リベラル派は、

①「軍の強制」や「軍の組織的関与」とは無関係に、かつ、「公的な軍の制度」であるかどうかを問わず、②戦地における日本軍の軍人・軍属を主なマーケットとする、③日本人以外の非日本人の公娼の方々が、公娼になるにおいて、④日本の植民地支配体制や占領体制において、⑤(実母や養父に身売りされた/女衒の詐術や脅迫等々、)本人の自発的意志とは言えない理由が与して力あったこと


これらをメルクマールに、(よって、当初の「従軍慰安婦」ではなく)戦地・戦時の非日本人「慰安婦=公娼」に対する日本の責任を問題にする論調にその主張をシフトさせてきている。

けれども、(α1)そのような①~⑤の如き「慰安婦」を巡る事例は、当時の国際法から見れば(というか、おそらくその大部分は現在の国際法においても)なんら「日本=当該国」の責任を発生させない、風俗ビジネスであり、あるいは、単なる民間業者による違法行為や不法行為にすぎない。

もちろん、(α2)実定法から離れた論者独自の倫理観や歴史観から、「植民地支配」や「帝国主義的対外政策」自体を批判することは自由である。そして、その批判の一斑として、大東亜戦争時の「慰安婦」を巡る責任を日本に対して問うことは論者の自由。けれども、実際、帝国主義国の代表たる、英仏、スペイン・ポルトガル・ドイツ、そして、オランダ・アメリカのどの一国も植民地支配自体を誤りと認め旧植民地国に対して謝罪をした例はない。このことも事実でしょう。

加之、(β1)このイシューを巡り重要なことは、所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る国際的な批判なるものは、(「慰安婦」ではなく)日本国内ではすでに否定されている「従軍慰安婦」の概念とイメージという妄想を根拠に繰り広げられているという事実です。

而して、(β2)朝日新聞や毎日新聞が姑息なのは、彼等自身が、事実とは異なる(言葉の正確な意味での)「誤報」として間違って世界に発信・流布した「従軍慰安婦」の概念とイメージを、世界に向けては修正・撤回することなく、他方、日本国内においてのみ「従軍慰安婦→慰安婦」という意味のすり替えを行い彼等に対する批判を糊塗する弥縫策を用いていること。二枚舌の破廉恥であろうと思います。


二枚舌的詭弁。「従軍慰安婦」と「慰安婦」の内外での使い分けの姑息。例えば、毎日新聞の西川恵氏は「記者の目-安倍政権と歴史問題:国際的公共益 念頭に外交を」(2012年12月18日)では明示的に「従軍慰安婦」と言う言葉を用いているけれど、それは、主にインドネシアのオランダ人女性に対する所謂「スマラン事件」を念頭に置いたものであり、西川氏は、下で些か詳しく説明する所謂「従軍慰安婦」なるものとは別カテゴリーの日本軍内部の軍律違反でもあるこの<事件>を取り上げながら、特定アジア諸国が主張する所謂「従軍慰安婦」なるものの存在を<事実>と強弁する筆先の離れ業を行っています。


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<続く>



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