安倍総理の「特定アジア外交の暫時の穏健化」は<政治>の常道である(下)





▼記者の目:安倍政権と歴史問題
(【】内はKABUのコメント)
日本の右傾化が内外で話題となる中、その空気を体現するように党内右派の安倍晋三氏率いる自民党が総選挙で圧勝した。安倍新首相の外交における重要なポイントは、前回と同様、歴史問題をどう管理するかだと思われる。・・・

安倍氏は、この問題で「おわびと反省」を述べた河野(洋平)官房長官談話(1993年)を見直す考えを明らかにしている。「狭義の強制(いやがる女性を無理やり連行したこと)はなかった」とし、「これを正さないと将来の日本の人々に申し訳ない」という趣旨のことを述べた。

私は以前、オランダで従軍慰安婦問題をかなり深く取材した。日本軍がオランダの植民地だったインドネシアを占領した際、オランダ人女性を慰安婦にした問題だ。安倍氏は従軍慰安婦に対して不特定多数を相手にした公娼所にいた女性のイメージを抱いていて、貧しさなどから働くようになった人もいて「狭義の強制はなかった」と言いたいのだろう。

しかし、女性たち全員が公娼所のようなところにいたわけではない。・・・つまり従軍慰安婦といってもさまざまで、少女や少年もいた状況にあって、狭義か広義かの区分は意味をなさない。・・・


【全くの間違い。なぜならば、上に述べた如く、②戦地における日本軍の軍人・軍属を主なマーケットとする、③非日本人の公娼の方々が、公娼になるにおいて、①「軍の強制」や「軍の組織的関与」により、⑤本人の自発的意志とは言えない理由が与して力あったのでなければ、それはなんら国際法上の問題にも国際政治における道義的責任の問題にもなり得ないからです】


強制連行があったかどうかに関係なく、女性を嫌悪すべき状況に置いたこと自体を人権違反と捉えている。


【その通りでしょう。而して、「スマラン事件」等を除き、日本がそのようなことを行ったという事実はないのです】


すでに07年、米下院本会議で日本に対し、慰安婦問題で謝罪を要求する決議案が採択された。オランダ、カナダ、欧州連合(EU)も続き、同種の決議が議会で採択された。領土問題で国際社会の支持とりつけに走り回っている日本外交にとって、この二の舞いは大きな打撃である。


【間違った事実認定に依拠して採択された決議に(土台、法的拘束力がないのは当然として)なんの道徳的価値も存在しないでしょう。まして、所謂「従軍慰安婦」なるものに関してそのような間違った概念とイメージを世界に流布した毎日新聞の記者が、「領土問題で国際社会の支持とりつけに走り回っている日本外交にとって、この二の舞いは大きな打撃である」というのは、居直り強盗も裸足で逃げる強弁ではないでしょうか】


最近の右傾化の空気で私が危惧するのは、国際社会の共通認識や価値観と乖離したところで、独りよがりともいえる議論が時折、目につくことだ。・・・国際的な公共益に背を向けるような「狭義の強制はない」といった主張は、日本を孤立させかねない。


【その通りです。而して、「国際的公共益」の規範内容は、朝日新聞や毎日新聞に代表される反日・リベラル派が勝手に夢想するものではなく、国際法と確立した国際政治の慣習によって示唆されるものであり、ならば、所謂「従軍慰安婦」なる虚偽と妄想に基づき日本を批判する特定アジアの言説こそ国際的な公共益に背を向けるものと言えると思います】

(毎日新聞・2012年12月18日

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要は、単なる<御伽噺>にすぎなかった吉田清治『私の戦争犯罪』(1983年)を<事実>として報じた誤報(Ⅰ)、および、(内容的にはそれが、真逆の、「軍の直接の強制の結果」や「軍が組織的に関与した」ことを否定する証拠でさえあることが現在では明らかな、)「軍が組織的に関与した」証拠として吉見義明氏が防衛研究所で発見した「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という通達を<証拠の発見>として報じた誤報(Ⅱ)。

これら二つの朝日新聞の誤報がこの問題を<問題>にした直接の原因であり、毎日新聞やNHK等の反日・リベラル派の後追い報道がこの<問題>を更に錯綜させ、而して、これらの誤報により生じた<外圧>に応じる形で「河野談話」が出された経緯については日本国内ではほぼ異論はなくなっているということです。

加之、河野談話が認定した「官憲等がこれに直接に加担した」事例は、上にも述べたインドネシアでのオランダ人女性に対する所謂「スマラン事件」だけであり、この事例はそもそも軍律違反の<事件>にすぎず(実際、戦時中に日本軍自体がこの慰安施設を閉鎖しており、また、戦後この<事件>に関与した者は当時の国際法に則り所謂「B/C級戦犯」として連合軍に処罰されている。)、軍が組織的に関与した制度としての所謂「従軍慰安婦」なるものとは概念を異にしている。

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ことほど左様に、リベラル派でさえある論者は(繰り返しますけれど、リベラル派は姑息にも「従軍慰安婦」という呼称を「慰安婦」という名称に差し替えて、「強制」「軍の組織的関与」「制度」という当初のこの問題の問題性をシフトさせているのですが、)「韓国や中国側のあきらかに誤った主張にさえ反論を控えることによって、それを不満に思うごくあたり前の日本の市民の「左」や「リベラル」な論者への不満と不信を招」いている(大沼保昭『「慰安婦」問題とは何だったのか』(中公新書・2007年), p.213)と彼等の<敗北>を認めているのです。

例えば、アメリカ下院の反日決議の文面を見れば赤裸々なように、報告書を受領した当の国連も「参考に聞き置く(take note)」程度の扱いしかしていない1996年の「ラディカ・クマラスワミ報告:Report of the Special Rapporteur on violence against women, its causes and consequences, Ms. Radhika Coomaraswamy, submitted in accordance with Commission on Human Rights resolution 1995/85 」(その種本は、これまた<御伽噺>にすぎないジョージ・ヒックス「The Comfort Women」(1995年)であり、しかも、その不正確な引用!)や、その「クマラスワミ報告」にもまして<御伽噺>的要素濃厚な1998年の「ゲイ・マクドゥガル報告:Systematic rape, sexual slavery and slavery-like practices during armed conflict Final report submitted by Ms. Gay J. McDougall, Special Rapporteur」が、所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る欧米の反日報道と反日認識の源泉と言えましょう。要は、「従軍慰安婦」問題などは(「アポロ宇宙船は月に着陸していない」等の主張とパラレルに、)日本の国益に特に影響がないのであれば無視して笑っていればいいだけのものなのです。


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要は、「従軍慰安婦」問題などは元来<問題>にもならないはずの事柄ということ。けれども、このような<御伽噺>が世界に<事実>として流布されているという事実は現実。そして、その<事実>を日本政府が容認したと受け取られても文句を言いにくい「河野談話」を日本政府が放置してきた以上、それに対して、安倍自民党政権は、

(ⅰ)単に「クマラスワミ報告」や「マクドゥガル報告」の誤謬性の指摘、および、「河野談話」の否定だけではなく、

(ⅱ)「なぜ河野談話が出されたのか」「その否定がなぜかくも遅れたのか」を、(ⅱa)朝日新聞の誤報(Ⅰ)(Ⅱ)が出された背景、および、(ⅱb)「茶番劇」にすぎなかった(それに対しては、リベラル派の論者さえ「法的な観点からみれば、・・・法廷の構成をはじめ、裁判として満たさなければならない公平性の要件の欠如やその他多くの面で深刻な問題を抱えていた」(大沼,ibid,pp.219-220)と評している)2000年-2001年の「女性国際戦犯法廷:The Women's International War Crimes Tribunal on Japan's Military Sexual Slavery」の荒唐無稽を含め、(ⅱc)例えば、国会に設ける第三者機関で検討した結果も添えて世界に向けて発信するべきではないでしょうか。

(ⅲ)而して、その「発信」は欧米に対して、具体的には、アメリカ下院の反日決議(United States House of Representatives proposed House Resolution 121, 2007)や欧州議会の反日決議(European Parliament resolution of 13 December 2007 on Justice for the 'Comfort Women' (sex slaves in Asia before and during World War II)の撤回と謝罪を要求するものでなければならないと思います。


いずれにせよ、この問題は、少なくとも、単に「河野談話を否定する/河野談話は継承しない」と安倍総理が宣言するだけで解決するのは難しいと私は思います。まさか彼等が「拒否権」を持つわけではあるまいに、特定アジアが納得する必要は必ずしもないけれど、「神光あれと言たまひければ光ありき」(創世記1-3)の如く日本の宣言だけで積み重ねられた<負の遺産>がゼロになることはないのでしょうから。そこには国際的な広報の戦略とある程度の蓄積が不可欠と言うこと。この帰結が私が安倍総理の「暫時の穏健化」を支持称賛する理由なのです。閑話休題。


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再度述べます。戦時下の公娼に他ならない所謂「従軍慰安婦」なるものも「首相の靖国神社参拝」も、「竹島」も「尖閣」も、

(甲)それらを解決する現在の最適の手段は、今までの負の遺産の蓄積の上に「ベクトルの和」としてしか存在しない。

加之、(乙)日本を中心に世界が廻っているわけではないのであり、例えば、日本政府が「河野談話を否定」しただけでは、あるいは、「尖閣諸島に公務員を常駐させる/自衛隊が防衛出動として竹島を奪還」するだけでは問題が解決するわけではない。

ならば、(丙)安倍自民党政権としては「それらの措置を日本政府がいつでも選択できるカード」であることを特定アジアと世界に繰り返し発信しつつ、コストパフォーマンスが最適化した時点でそのカードを切るべきである。

而して、(丁)このためにも、日本は軍備と原子力エネルギーの更なる開発を中核とする経済・産業、加之、有事法の整備を粛々と行い国力と国家の体制を再構築する必要がある。


と、そう私は考えます。尚、最後の(丁)に関して、左翼・リベラル派の中には自衛隊の増強は支那との間での緊張を高め、なにより、「囚人のジレンマ=愚かな軍拡競争」に向かうことになると述べる論者も散見されます。

しかし、ゲーム理論的に言えば(すべてのプレーヤーにとってその選択の帰結が外的視点からは愚かであっても)「囚人のジレンマは最適戦略」であるという、悲しい、けれども、論理の厳然たる帰結を彼等は看過している。彼等は、ゲーム全体の帰趨を概観できる立場、すなわち、人間ならぬ<神の視点>、あるいは、無責任な「評論家」の視点から安全保障を論じているにすぎない。と、そう私は考えます。

ことほど左様に、こう考えれば、安倍総理の「対特定アジア」路線を一旦穏健化するという判断は、(論証は割愛しますけれど)おそらくゲーム理論から見ても合理的な、かつ、有限なる人間存在が、(時間の不可逆性を始め)現実に与えられた条件下で最適な行動の選択肢を希求する営み、すなわち、カント哲学と通底する、剛直で豊穣な<政治の神髄>を穿つ常道、鴨。そう私は考えます。


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