防衛「省」の誕生は東アジア地域内外の安定化要因☆海外報道紹介

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2007年1月9日、防衛庁が防衛省に昇格した。「庁」と「省」の一字の違い。海外活動が自衛隊の本来任務になったこと以外大きな変化のない「看板の付け替え」ではあるが、この一文字の変化の政治的意義は小さくないと思う。だからこそこの一文字を変えるのに50余年が必要だったのだろう。

蓋し、それは自国の安全保障を自国で担う意志を日本国民が内外に宣言したものだ。而して、自国の安全保障を自国で担うというプリコミットメントは、これまた必然的に中韓朝の特定アジア三国を始めとる他国との関係に影響を及ぼすに違いない。このことを考える材料としてある海外報道を紹介したい。” A military ministry”, The Financial Times:Editorial , January 9 2007(社の主張を世に問う社説ということもあり全訳した)。

防衛省の誕生は、しかし、日本が自国の安全保障を自国で担うための第一歩にすぎない。ならば、この件に関する海外の認識を知ることは、日本の安全保障政策変革の二の矢三の矢を考える上で参考になる。そう思ったからである。

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What a government department is called says a lot about what it is meant to do. Before 1945 most countries had a straightforward minister of war to run the military; post-1945 most were rebranded with the cuddlier moniker minister of defence. Japan's decision to upgrade its defence agency to a full ministry symbolises its desire, once again, to engage with the world as a "normal" country. Japan's neighbours should not see that as a threat.

Setting up a defence ministry is but a small part of prime minister Shinzo Abe's programme. Far more important is his intention to rewrite Japan's post-war constitution, imposed under US occupation in 1946 and designed to counter what its writers saw as deep-rooted militarism in Japanese society. It enshrines individual rights to liberty, equality, democracy and property. But, in Article 9, it renounces war and even Japan's right to maintain armed forces. 


名は体を表す。これは政府の省庁の名称についても言える。1945年以前、軍を統括する政府部局は大部分の国で端的に戦争省と名乗っていたけれど、それ以後はごく控えめな国防省が一般的となった。完全に独り立ちした防衛省への防衛庁の昇格。この日本政府の決定は、「普通の国」として再び世界と交わりたいという日本政府の願望の象徴である。而して、日本の近隣諸国はこの防衛庁の防衛省への昇格を特に危険視するべきではない。

防衛省の誕生は、しかし、安倍晋三首相の計画のごく一部にすぎない。遥かに重要なことは、戦後に制定された憲法を改正しようという意図を安倍首相が持っていることだ。その憲法とはアメリカ占領下の1946年に(アメリカから)押しつけられたものであり、日本社会に深く根ざしているとその起草者達が看做した軍国主義に対抗すべくデザインされたもの。それは、自由権、平等、民主主義と私有財産制度を称賛したものだが、他方、それは第9条において戦争を放棄するだけでなく軍備を保有する権利をも放棄している。


In reality, as the cold war took hold and fighting broke out between North and South Korea in 1950, the US began to encourage Japan, now an important ally, to rearm. The Self-Defence Forces were created in 1954. A defence ministry, and a change to the constitution to make the armed forces legal, while still renouncing war, will merely formalise a longstanding status quo.

Reform is unlikely to go much further because, while Japan's elite never accepted the postwar constitution, much of the population is deeply and committedly pacifist. That gives Japan a strong moral voice on issues such as nuclear weapons. But Mr Abe and his government are right to encourage a more realistic sort of pacifism, in which Japan, as a good international citizen, gets more involved in peacekeeping and regional security. 


その後の現実の推移は読者ご存知の通りである。冷戦が定着し、朝鮮戦争が1950年に勃発するにともない、アメリカはその頃には自国の重要な同盟国になっていた日本に再軍備を促し始めた。而して、1954年自衛隊が創設。畢竟、防衛省の誕生と、戦争を放棄しつつも軍備を合法とするような憲法への改正は長年続いてきた現状の公認にすぎない。

これらの現状の公認は現状をそう大きく変えるものではないように思われる。なぜならば、そのエリート達は決して戦後憲法を受け入れようとはしなかったものの、日本国民の過半は深く平和主義に帰依する人々なのだから。このことが核武装の是非を巡る議論において強い道徳な反対論が日本に存在する所以でもある。しかし、安倍首相率いる現在の日本政府はより現実主義的な平和主義を、つまり、国際社会の良き一員としての日本が地域の安全保障やPKO活動により深く関われるような現実的平和主義を推進しようとしている。

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It is the regional reaction that Japan has to be careful about. North Korea has, predictably, condemned the creation of the defence ministry. But Pyongyang's bellicosity is more of a justification than an obstacle for the Japanese move. It is what China thinks that really matters.

It is important that China does not see the slow normalisation of Japan's armed forces as a threat or an excuse for further military build-up of its own. China has no reason to do so: it already spends as much as Japan on defence and, as the economy grows, it will come to spend much more.


日本が注意を要するのは東アジア地域の反応だ。予想通りとはいえ北朝鮮は防衛省の創設を非難した。しかし、好戦的な支那の存在は防衛省を創設した日本の動きを妨げるよりはむしろ正当化する契機である。而して、この構図こそ支那が問題の核心と考えるものであろう。

その防衛力を緩やかに世界の常識に合わせようとしている日本の動きを支那は脅威とは看做しておらず、また、軍備拡張の理由にもしようとしていないことは重要だ。実際、日本を脅威と看做し一層の軍備増強をはかるなんらの理由も支那は持ち合わせてはいない。なぜならば、支那は日本と同じほど多くの予算を国防に費やしており、また、その経済成長にともない支那の軍事費は日本を凌駕することは目に見えているから。


But the onus will be on Mr Abe to continue to improve relations with his giant, fast-developing neighbour. The US also has an important role to play: Washington must maintain its strong security relationship with Tokyo but should not seek to use Japan as a bulwark against China. 

Given East Asia's wealth and the tensions in the region, it is both difficult and important to get things right. But as long as Japan keeps to the spirit of its 1946 constitution, while making necessary changes to the letter, it can be a force for stability both among its neighbours and beyond. 


成長著しいこの巨大な隣人との関係改善を進めようとしている安倍首相はいずれ重荷を背負うことになろう。而して、アメリカも重要な考慮要因である。すなわち、アメリカは日本との強固な同盟関係を維持しなければならず、他方、日本を支那と自国との間の防波堤とすべきではないからである。

東アジアの富とこの地域の緊張を鑑みれば物事は容易ではなく、かといって、適当に処理してよいような案件でもない。日本が、しかし、1946年制定の憲法の精神を保持する限り、その章典の字句に幾らか手を入れることがあったとしても、東アジアの内外で日本は安定的な秩序の創出に貢献しうる勢力になるだろう。


(2007年1月16日:yahoo版にアップロード)

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