印度の核と北朝鮮の核☆核開発容認のダブルスタンダードは当然である

torukistan


「インドの核開発はよくて北朝鮮の核開発はなぜ駄目なのか」「インドと北朝鮮の核を巡る日本政府の対応はダブルスタンダードだ」、この一週間あまりこのような主張を幾つかのブログで目にした。発端は、1月10日、「日本政府、インドの核保有容認」のニュースが報じられたこと。

更に、同じ10日午前の記者会見で塩崎官房長官が「インドに対し、今後も非核兵器国としてNPTに加盟するよう求めていく」という、前の報道を否定するかのような談話を発表したことが「核開発容認のダブルスタンダード」を疑問視する議論を勇気づけたと思う。

けれども、「インドの核保有容認」と「インドに対し、今後も非核兵器国としてNPTに加盟するよう求めていく」ことは必ずしも矛盾しない。後者の立場は堅持しつつも、インドが(非核国として持ってはいけない)核兵器を保有するがゆえに課してきた、幾つかの制限の解除を日本政府が検討している、と。要は、それだけのことなのだから。

蓋し、「核兵器は絶対の悪であり→無条件に即刻廃棄されるべきだ」などの議論はなんら自明のものではない。ならば、どの国の核兵器かという要素こそが、日本にとってのその核開発の脅威の度合いを左右する主要な要因になる。而して、潜在的同盟国たるインドと顕在的敵国たる北朝鮮の核開発容認の判断において差別(=核保有容認のダブルスタンダード)が生じるのは当然のことなのだ。

「核兵器は悪」という物神崇拝的とも言うべき態度は、大東亜戦後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義を信奉する勢力には広く観察されるものだ。例えば、「集団的自衛権の行使は悪」「人道復興支援の名目にせよ自衛隊の海外派遣は悪」「日の丸君が代は悪」、と。しかし、核兵器や集団的自衛権も、自衛隊の海外派遣も国旗・国歌もそれ自体は悪でも善でもない。その自衛隊の海外派遣が日本の国益を増進するのなら、あるいは、学校現場における国旗・国歌の尊重の徹底が社会統合を促進するのならそれらは良い政策、それだけのことである。

蓋し、日本の安全保障に関する米国のコミットメントを強化したことだけ見ても、今次のイラクとインド洋への陸海空三自衛隊の派遣は極めて良い政策だったと評すべきだろう(尚、集団的自衛権が悪どころか、現行憲法もそれを認めていることについては下記URLおよびそこにリンクを張っている拙稿を参照いただきたい)。

破綻する峻別論☆集団的自衛権と個別的自衛権
 
畢竟、インドの核開発と北朝鮮の核開発が日本の国際戦略からは全く別物とされるのは当然である。インドと北朝鮮、あるいは、日本の核開発を容認すべきか否かは(それらが日本の安全保障を強化するか危うくするかという)個別具体的な政策判断なのだから。報道記事を通してこの経緯を確認しておく(出典は各記事末尾に明記)。


●日本政府がインドの核保有容認へ、経済関係を優先
政府は9日、核兵器を保有するインドに対し、民生用原子力利用への協力として、日本企業が原子力発電所建設などに参入することを容認する方針を固めた。具体的には、米国によるインドの民生用原子力利用支援やインドの核保有容認を盛り込んだ米印原子力協力協定への支持を表明することでこうした道を開く。核拡散防止条約(NPT)体制堅持を掲げてきた日本の不拡散政策の例外措置となる。

政府は、安倍首相の年内の訪印を調整している。インドと国際原子力機関(IAEA)の査察に関する協議などを見極めながら、日印首脳会談で米印原子力協定に対する支持を表明する見通しだ。

NPT体制は、核保有国を米英仏中露の5か国に限定し、他の加盟国は核兵器保有をできず、民生用の原子力利用も兵器転用が行われないようIAEAの厳格な査察を定めている。核兵器を保有しているインドはNPTに加盟していない。

政府はこれまで、民生用原子力利用への協力をNPT加盟国に限定してきた。インドへの協力が実現すれば例外となるだけではなくインドの核保有を事実上容認することにつながる。政府は、唯一の被爆国としてインドの核実験に厳しい姿勢をとってきたが、経済発展が著しいインドとの関係強化を優先した。

また、政府は、インドが民主主義国家として政治体制が安定していることに加え、〈1〉核拡散の懸念がない〈2〉IAEAの査察受け入れを表明している〈3〉インドが経済発展に伴うエネルギー需要を原子力発電に切り替えることで温暖化防止につながる――と判断した。さらに米国に加え、仏中両国もインドとの原子力協力に踏み切るなど、インドに対する各国の対応が変化してきたことも考慮した。

米印原子力協定は2006年3月に合意され、同年末に米議会で関連法案が可決、大統領が署名した。同協定の発効には、日本やフランスなど原子力供給国グループ(NSG)の規則改正が必要となるため、インドのシン首相は06年12月に来日した際、安倍首相に対し同協定への理解と支援を求めた。安倍首相は「日本の立場は検討中だ」と述べるにとどめていた。(読売新聞電子版:2007年1月10日3時6分)



塩崎官房長官は、10日午前の記者会見で、アメリカが、NPT・核拡散防止条約に加盟していないインドに原子力協力を行うことに関連して、日本として、インドに対し、引き続きNPTへの加盟を求めていく考えを示しました。

アメリカのブッシュ大統領は、先月、NPTに加盟していないインドに対し、原子力発電用の核燃料などを例外的に提供できるようにする法案に署名しましたが、インドへの原子力協力は、核拡散の防止体制を骨抜きにし、北朝鮮やイランに核開発の口実を与えることになりかねないと批判が出ています。 (中略)

これに関連して、塩崎官房長官は「インドに対し、今後も非核兵器国としてNPTに加盟するよう求めていく。NPTに参加して、核不拡散体制や核軍縮の大きな流れに乗ってもらいたいという方針は何も変わっていない」と述べ、インドに対し引き続きNPTへの加盟を求めていく考えを示しました。 (NHKニュース:http://www3.nhk.or.jp/news/2007/01/10/k20070110000124.html 但しリンク終了)



●Japan urges India's nuclear disarmament
Japan's top government spokesman on Wednesday refused to acknowledge India as a nuclear weapons state, demanding the South Asian nation join the international nonproliferation treaty. Chief Cabinet Secretary Yasuhisa Shiozaki also urged India to abandon its atomic weapons program, denying a newspaper report Wednesday that Tokyo was mulling acknowledging India's nuclear possession. ・・・

Shiozaki said Tokyo will carefully study details of the U.S.-India nuclear pact signed in December, in which Washington agreed to supply the Indian power industry with fuel and technology, an exemption to American law that bans nuclear trade with countries such as India that have not submitted to full international inspections. In exchange, India agreed to place 14 civilian nuclear plants under international inspections, though eight military plants would remain off-limits.


●日本、インドに核廃棄を迫る
日本政府のスポークスマンは、水曜日、インドに核拡散防止条約に加盟することを促すと同時に、この南アジアの国を核兵器保有国と認めることを拒否した。「日本はインドの核保有の容認を考慮中」という新聞報道を否定しつつ、塩崎恭久内閣官房長官はインドに対してその核開発計画を放棄するように強く求めた。(中略)

塩崎官房長官は、日本政府は12月に米印両国が調印した原子力協定について十分に研究したいとも述べた。同協定において、インドの電力産業に燃料と技術を提供することに米国は同意したのだが、これは国際的で完全な査察を受け入れていないインドのような国に対して核関連の取引を禁じている米国の国内法の適用を免除するもの。それと引き替えに、14基の民生用の原子力発電所を国際的査察の監視下に入ることにインドは同意したが、8基の軍用発電所は引き続き立ち入り禁止の状態に置かれることになる。

In December, Prime Minister Shinzo Abe and his Indian counterpart, Manmohan Singh, agreed to bolster bilateral economic and military cooperation, but Abe expressed concerns about India's nuclear capabilities, and urged India to abide by international rules and address worries about proliferation. During the talks, Abe fell short of stating Japan's position on the U.S.-India nuclear pact.

A nuclear cooperation bill signed by U.S. President George W. Bush also requires Indian officials to negotiate a safeguard agreement with the U.N. nuclear watchdog, the International Atomic Energy Agency. (AP:January 10, 2007)


12月、安倍晋三首相とインドのシン首相は、経済と軍事にわたり両国の関係を強化することで合意した。しかし、その際、安倍首相はインドの核戦力について懸念を表明しており、また、核拡散を危惧する諸国の声明と国際的なルールを遵守するように強く要請していた。この主脳協議において安倍首相は、米印原子力協定に対する日本の立場を明確にしていなかった。

米国のブッシュ大統領が署名したインドとの核開発協力法案は、インド政府に対して、国連の核開発監視機関、国際原子力機関との間で予防協定につき協議することを求めている。


(2007年1月18日:yahoo版にアップロード)

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核燃料核燃料(かくねんりょう)とは、原子核分裂|核分裂や原子核融合|核融合などにより、原子核エネルギーを放出し、それにより原子炉などの動力システムを運転させる物質のこと。原子燃料とも。現在の技術では、核分裂に対する燃料のことを言い、ウラン235と人工元素プル

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