TPPを梃子にして太平洋を日米の<地中海>にせよ(上)




TPP参加に向けた交渉に入る意向を安倍晋三総理が正式に表明しました。この日本のTPP参加表明に対しては、いまだに「日本を中心に世界が廻っている」「核武装を行い特定アジア諸国と国交を断絶さえすれば、経済的にも文化的にも安全保障の面でも日本は一国で充分にやっていける」等の甘美な、しかし、主張の帰結こそ180度異なるにせよ、「竹槍でB29を叩き落とせる」かの如き根拠薄弱かつ情緒的なものである点では朝日新聞の社説並みの夜郎自大的な批判も散見される。

蓋し、日本も支那も、アメリカでさえも、まして況んや、弱小国の韓国やフランスやカナダなどは言うまでもなく、最早、どの国も自国一国だけでやっていくことなど経済的にも安全保障においても不可能な人類史の現在(よって、私はそれらを支持しますが、たとえ、日本が核武装しようが日本の安全が自己満足の域を超えて質的に向上するわけでもなく、また、「PM2.5」や「越前クラゲ」や「在日韓国人の大半が彼等自身か彼等の子孫である、終戦後に日本に逃げてきた朝鮮半島からの<ボートピープル>の存在」を想起すれば思い半ばに過ぎることでしょうが、特定アジア諸国と国交を断絶しようが特定アジア諸国と無関係になれるわけでもない、そんなあまり愉快ではない人類史の段階にある現在)、TPP参加が現時点においてさえも唯一絶対の選択肢などではあるはずはないにせよ、それは日本にとってあまり愉快ではないけれどより好ましい選択である。と、そう私は考えます。よって、安倍総理のTPP参加に向けた交渉に参加するという「参加×参加」の表明は妥当なものであるとも。


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蓋し、それが実現可能なら、日本は可及的速やかに<アメリカの51番目>の州に格上げしてもらうべきなのです。而して、例えば、アメリカ合衆国憲法4条4節(共和制条項)は、なんら天皇制と矛盾するものではない。このことは、アメリカ合衆国憲法をも参照にして起草されたナポレオン・ボナパルトの皇帝戴冠の際の宣言、「余はフランス共和国の皇帝である。余はこの共和国の領土を保全し、共和国国民の信仰的と政治的および市民的の自由を守護する」という宣言に端的な如く、「共和制-共和国」とは「その全国民が等しく、かつ、主体的に国政に参与できる/参与することが義務でもある政体であり国であり、また、そこにおける国家レベルの政治的決定は国民代表が合議によって行うか、その代表が合議によって決めるルールに従い選ばれた執行メンバーがこれまた合議を通して決める政治体制であり国家体制」ということ以上でも以下でもないこと。この経緯からも自明のことでしょう。

すなわち、聖徳太子の『17条憲法』(604年)および北条泰時の『御成敗式目』(1232年)を紐解くまでもなく、ならびに、旧憲法や現行憲法の根幹たる「天皇の不可侵性=天皇の非政治権力性」を反芻するまでもなく、日本は天照大神のころより<共和制>の国であったと解すべきなの、鴨。尚、「共和制-共和主義」を「立憲主義」もしくは「天賦人権」と結びつける議論が成り立たないことに関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。


The Constitution of the United States:Article4-Section 4.

The United States shall guarantee to every State in this Union a republican form of government, and shall protect each of them against invasion; and on application of the legislature, or of the executive (when the legislature cannot be convened) against domestic violence.

アメリカ合衆国憲法4条4節
合衆国は、この連邦のすべての州に共和政体を保障し、侵略に対してそれぞれの州に保護を与える、また立法府または(立法府が集会できない場合には)執行府の申出に基づいて州内の暴動に対しても、同様の保護を与える。



・瓦解する天賦人権論
 -立憲主義の<脱構築>、あるいは、<言語ゲーム>としての立憲主義(1)~(9)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/61686136.html


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けれども、日本を51番目の州として迎え入れた場合、アメリカ合衆国憲法の規定により、その日本州にはアメリカの連邦下院議員と大統領選挙人のほぼ25%の定員が割り当てられることになる(具体的には、例えば、2010年の人口統計では、538人の大統領選挙人の128人が「日本州」に割り当てられることになり、この場合、現在では最大の選挙人が割り当てられているカリフォルニア州は「55人→39人」と激減する)。蓋し、既存の州の政治的な影響力を著しく減じるこの結果を鑑みれば、アメリカ国内の政治力学的な観点からはアメリカが州としての日本の合衆国加盟を認めるはずがないだろうことも自明でしょう。

ならば、どの一国も自国一国だけでは生きていけないこの不愉快な人類史の時代において、日本が望むべくは、日米二重帝国、もしくは、より緩やかな二重連邦の構築なの、鴨。すなわち、国内政治に容喙する公的な発言権は相手国国民に認めないけれど、それ以外の権利と権限は自国民と同様に相手国の国民に対して両国が相互に認める体制(すなわち、日米両国民が各々相手国においては「市民ではない国民:a person holds noncitizen nationality」として処遇される体制)が現実的なの、鴨。而して、TPP参加はその望ましいあらま欲しき体制への一里塚にはなるの、鴨。と、そう私は考えます。


畢竟、神功皇后によって日本海は日本の内海になった。あるいは、「Pax Romana:ローマの平和」(B.C.27年~A.D.180年)の時代、帝政ローマの黄金時代、地中海はローマの内海となり、「地中海:the Mediterranean Sea」という言葉は海洋学上の普通名詞の「地中海:a mediterranean sea」から固有名詞の「地中海:the Mediterranean Sea」になった。

而して、日米二重国家もしくは日米連邦国家が誕生した暁には、太平洋はその「二重国家-二重連邦」の少し大きめの<琵琶湖>か<五大湖>、もしくは、<瀬戸内海>か<カリブ海>になるの、鴨。そして、そのような状況が具現するのならば、天皇はその「二重国家-二重連邦」の<天皇>になるはず。蓋し、様々な民族をその国家体制に包摂した「Pax Romana:ローマの平和」の時代、その状況下におけるローマの<皇帝>とは、そのような<天皇>とあるいはかなり近い存在だったの、鴨。と、そう私は考えます。


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以下、このような想像を促された「安倍首相のTPP交渉への参加表明」を巡る海外報道を紹介します。出典は、Wall Street Journalの「 Bid to Enter Trade Talks Marks New Phase in 'Abenomics':貿易交渉への参加表明は「アベノミクス」を更に一歩前進させる」( March 14, 2013)の抜粋、ならびにWashington Postの社説(editorial)「The benefits of a free-trade deal with Japan:日本との自由貿易交渉は有望な政治の地下鉱脈」(March 16, 2013)の全訳です。

前者は「TPP参加は険しい道にせよアベノミクスの論理必然の帰結である」という認識を提示する、後者は内容的には「TPPを梃子にして太平洋を日米の<地中海>にせよ」という私見と近しい主張を世に訴えたもの。而して、いずれも、旗幟鮮明かつ(どこかの国の朝日新聞とかとは違い)すぐれて論理的な記事。正直、その社説さえも文芸評論と区別のつかない朝日新聞の如き新聞が「新聞」を名乗る日本と比べて羨ましくなる記事です。

尚、TPPに関しては、英語的というか協定の内容的には「Trans-Pacific」は「環太平洋」ではなく「間太平洋」と訳するべきだと思います。しかし、前者の訳語が定着していることもあり、普通名詞の「Trans-Pacific」は「間太平洋」に、協定の名称、すなわち固有名詞の「Trans-Pacific」は「環太平洋」と訳し分けることにしました。


б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう日本!



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Bid to Enter Trade Talks Marks New Phase in 'Abenomics'

Prime Minister Shinzo Abe plans to announce on Friday Japan's intention to join negotiations for an ambitious trans-Pacific free-trade pact, a move that launches the final—and possibly most important—phase of his economic agenda: long-term growth strategies.

The step will mark the beginning of a hard battle that will require Mr. Abe to take on his own political base, testing the resilience of his administration.

Emboldened by sky-high approval ratings and the initial success of his economic stimulus plan, Mr. Abe is expected to announce Japan's participation in the talks to form the Trans-Pacific Partnership, known as TPP.


貿易交渉への参加表明は「アベノミクス」を更に一歩前進させる

安倍晋三総理大臣は、金曜日【2013年3月15日】にも、アメリカが主導している間太平洋圏における大胆な自由貿易協定を具現するための協議に日本も参加する意向を表明する。而して、その表明は、安倍首相が掲げている経済政策の最終にしておそらく最も重要な局面、すなわち、長期的な成長戦略に安倍首相が手をつけることを意味している。

而して、間太平洋圏の自由貿易協定への日本の参加表明は、自身の政治力の基盤との対決が不可避となる厳しい戦いを安倍首相が「喧嘩上等」と選択したこともまた意味するものだ。自身の支持勢力とのこの戦いを通して、安倍内閣の強靱さとしなやかさもまた試されるのだろうけれども。

極めて高い内閣支持率に支えられ、加之、初手として放った景気刺激策が上々の滑り出しであることに背中を押されて、安倍首相は、TPPと呼ばれる環太平洋パートナーシップ協定を立ち上げるための交渉への参加を表明する。


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Whether to join the emerging U.S.-led pact has been a contentious issue, pitting farmers and their representatives, worried about market-opening measures, against manufacturers and city dwellers, hoping for a fresh jolt to the economy to end a decadeslong slump. Highlighting such tensions in Mr. Abe's own Liberal Democratic Party, two members were caught on camera having a screaming match at one recent meeting held to discuss the pact.

"I think it is meaningful for Japan to play a leading role in creating such a free-trade zone, and make significant contributions to the region's prosperity and stability in a geopolitical sense as well," Mr. Abe said in a speech to parliament on Feb. 28.

その発効が目前に迫っているアメリカ主導のこの間太平洋圏の経済協定に参加するかどうかについて、日本では国論を二分する鋭い意見の対立がある。この争点を巡り、市場の自由化を危惧する農家やその利益代表と、他方、十年以上も続く経済の低迷を打破する新鮮な一撃を期待する製造業者や都市住民はがっぷり四つのガチンコ勝負の様相に入っているのだ。この火花飛び散る対立を象徴する事件が安倍首相率いる自由民主党の党内でも見られたくらいなのだ。すなわち、この協定を議題にした自民党内の最近の会議で、賛成派と反対派の二人の議員が激しく罵りあう絵柄をばっちりカメラがとらえたのだ。

「TPPがその実現を期しているような自由貿易圏を創造する上で指導的な役割を日本が果たすこと、それは、単に地政学的観点においては間太平洋地域の繁栄と安定に目に見える形で貢献する以上の意味を帯びる、日本にとってやってみるに値することではないでしょうか」、と。2月28日に国会で行った施政方針演説で安倍首相はそう述べた。


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The TPP is an important element in Mr. Abe's long-term growth strategy, which, in turn, is one of the "three arrows" that make up his policy package, dubbed Abenomics. Shortly after he took power in December, he successfully launched the first two arrows—aggressive monetary easing and massive stimulus spending—creating excitement in financial markets. The Nikkei Stock Average has soared 27% since his party won a mid-December landslide election, while the yen has weakened 15%.

"I will forcefully shoot the three arrows," Mr. Abe said in the late-February policy speech. "What we need is the will to climb up to the top of the world. I am convinced Japan can still grow."

TPPは安倍首相の掲げる長期成長戦略の成否を分かつ重要な要素である。安倍首相が推進している経済政策は、巷ではアベノミクスと呼称されているものだけれども、そのアベノミクスは「三本の矢」によって構成されており、そして、長期成長戦略こそその「三本の矢」の1本なのだから。去る12月に政権奪還をするやいなや安倍首相は立て続けに最初の2本の矢を放つ。すなわち、積極的な金融緩和と相当な規模の財政出動だ。而して、この2本の矢の成果は上首尾であり、金融市場はこれらの措置によって活況を呈して現在に至っている。安倍首相率いる自民党が12月中旬の総選挙で地滑り的勝利を収めて以降、日経株式平均は27%も値上がりし、他方、円は15%もの円安水準に移行したのだから。

「三本の矢を力強く、かつ、効果的に射込みます」。安倍首相は2月末の施政方針演説でそう述べた。「ひたすらに世界一を目指す気概。それこそが我々に必要なものであります。そういう気概を日本が失わない限り、そのような気概を懐く日本国民がいる限り、日本はまだまだ成長できる。そう私は確信しています」とも。


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Mr. Abe said his growth policies aim to sharpen the competitive edge of Japanese corporations, and focus on areas such as employment reform, clean energy, medical care and agricultural exports. He has appointed panels of experts and given them the task of crafting a full growth blueprint by midyear.

Critics of Abenomics say that except for the TPP, Mr. Abe's ideas aren't so different from those tried by his predecessors, with limited or no success. Even then, Japan's admission to the trade group isn't guaranteed. Mr. Abe must secure consent from participants in the talks, such as the U.S. and Australia, which have raised concerns about Japan's protectionist agricultural policy.・・・

安倍首相は、安倍政権の成長戦略は日本企業の国際競争における比較優位性を更に鍛え洗練するものであり、加之、それは雇用形態の変革、化石燃料に頼らないクリーンエネルギー、医療、そして、輸出主導型の攻めの農業の創出といった領域に特に重点と目配りをするもであると述べている。而して、安倍首相は専門家による幾つかの委員会を立ち上げ、各委員会の専門家に対して、今年の半ばまでには総合的な成長施策の詳細かつ具体的かつ体系的な実施計画を策定するように厳命している。

アベノミクスに批判的な口だけ達者な批評家の中は、TPPへの参加を見送るようなら、安倍政権のこの経済政策は、その効果もほとんど測定できない程度の限られた失敗に終わった、安倍首相の前任者が掲げた経済政策とそう変わるものではないと見るむきもある。他方、TPPへの日本の参加が認められるかどうかは、しかし、予断を許さないものでもある。日本がTPP協議に参加するためには、すでにこの協定の立ち上げにむけた協議に入っている国々、例えば、アメリカやオーストラリアの了承が必要なのだから。而して、これらアメリカやオーストラリアは、日本国内における保護主義的な農業政策に対する警戒感を露わにしているのだから。・・・

(Wall Street Journalの記事翻訳紹介終了)


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<続く>



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