安倍総理の歴史認識を批判する海外報道紹介(1)




教科書検定基準における近隣諸国条項の撤廃、河野談話の廃棄、村山談話の見直し等々、所謂「東京裁判史観(自虐史観)」の打破あるいは相対化を目指す、而して、占領憲法の破棄/改正を期す安倍総理を--支那・韓国・北朝鮮といった特定アジア諸国、もしくは、特定アジアの走狗である日本国内の反日リベラルのマスメディアだけではなく--米英の有力紙が批判しているそうです。

本稿はそれら米英の報道を些か系統立てて紹介するもの。もって、東京裁判史観(それは欧米中心主義の傲岸不遜かつ独善的な史観と、その「変異型」の一つである(one of variants)講座派流の教条主義的なコミンテルン史観の寄せ集めであり、それこそ時代遅れのものにすぎない(a mere jumble of something obsolete but robust)のでしょうけれど。その東京裁判史観)の否定/相対化、ならびに、占領憲法の破棄/改正を支持する保守派の皆さんが、

(Ⅰ)米英の有力紙なるものがいかに歴史学と歴史について無知であるかということ、就中、アジアの歴史と歴史を巡る国際政治について無知であるかということ

(Ⅱ)米英の有力紙なるものは(あくまでも、日本の新聞と比較した相対的な違いにすぎないとしても、アメリカの朝日新聞と嘲笑されるNew York Timesでさえもが)、しかし、日本の新聞と比較した場合--すなわち、「憲法改正に前のめり」とか「勇ましい言動」、あるいは、「丁寧な議論」とか「96条改正についての慎重な対応」、もしくは、「しなやかでしたたかな平和外交」とか「国際社会の潮流に逆行すれば日本は孤立する」等々、指示対象が不明瞭な<詩的言語>が咲き乱れる朝日新聞とは違って、乏しい知識や間違った情報を前提にしているにしても--論理的かつ実証的に問題を分析していること、よって、彼等の議論(argument)も、そこに論者の価値判断やイデオロギーが剥き出しにならざるをえない主張や提言(assertion and recommendation)に至るまでロジカルであること

(Ⅲ)米国の3有力紙の政治的な立場には微妙な違いがあること


これら三者を体得・確認していただく上で、本稿が少しでも参考になるのであれば嬉しいです。而して、紹介する記事は、Washington Post(WPST)、Wallstreet Journal(WSJ)、New York Times(NYT)、Financial Times (FT)、および、Economistに掲載された次の9本です。基本的には、社説(editorial)は全訳で、記事や投稿記事(article and opinion)は要訳で紹介します。

(1)Shinzo Abe’s inability to face history(WPST社説・2013年4月27日)
(2)Japan must face the past(WPST投稿記事・2013年1月25日)
(3)One Man’s Invasion Is ・・・(WSJ社説・2013年4月26日)
(4)Dishonest Abe? (WSJ記事・2013年4月26日)
(5)Japanese Prime Minister Stokes Wartime Passions(WSJ記事・2013年4月25日)
(6)Japan’s Unnecessary Nationalism(NYT社説・2013年4月23日)
(7)Another Attempt to Deny Japan’s History(NYT社説・2013年1月2日)
(8)Shinzo Abe must resist dangerous distractions(FT社説・2013年4月28日)
(9)Japan’s new cabinet-Back to the future(Economist記事・2013年1月5日)



ちなみに、私の週刊愛読書の--医師の友人に「笑うのは健康に良いですよ」と言われてその用途のためにほぼ毎週号読んでいる--『週刊金曜日』の2013年2月15日号(931号)「世界が見ている-「慰安婦」で安倍首相は針のムシロ?!」所収の「「河野談話」見直しは破局的事態を招く」には(2)の投稿記事のことを「社説」と紹介してありましたが(p.25)、それは全くもって間違い。(2)の「Japan must face the past:日本は過去を直視すべきだ」の投稿者Jennifer Lind女史はダートマス大学の准教授でありWPSTのeditorial boardメンバーではありませんから。尚、WPSTはその「社説:editorial」の位置づけを公表しています。

The Post’s View Opinions of the editorial board

Editorials represent the views of The Washington Post as an institution, as determined through debate among members of the editorial board. ・・・Articles in the news pages sometimes prompt ideas for editorials, but every editorial is based on original reporting. News reporters and editors never contribute to editorial board discussions, and editorial board members don’t have any role in news coverage.

論説委員会が提示するワシントンポストの視点と主張

社説は単一の組織としてのWPSTの視点を述べるものです。そして、社説は論説委員会(editorial board)の構成メンバー間の議論を通してまとめられます。・・・社説以外の報道記事から社説が触発されることも希ではないのですが、すべての社説は独自の取材に基づいて書かれています。記者や編集者が論説委員会の議論に加わることはありませんし、論説委員会のメンバーが社説以外の普通の記事を担当することもありません。


まー、社説と投稿記事の区別もつかないような論者が「世界が見ている-「慰安婦」で安倍首相は針のムシロ」とか「「河野談話」見直しは破局的事態を招く」とか大騒ぎしてもあんまり説得力が感じられないことは事実でしょう。閑話休題。


前書きはこれくらいにして漸次本論に進んで行きたいと思います。まずは、安倍総理に対する米英の有力紙の批判に関する事実確認から(以下に引用した国内報道の下線もすべてKABUによるものです)。


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◆96条改正、参院選で堂々と掲げて戦う…首相

安倍首相は23日午前の参院予算委員会で、憲法改正の発議要件を過半数に緩和する憲法96条の改正について、「7月の参院選でも、堂々と掲げて戦うべきだと自民党総裁として考えている」と述べ、参院選の党公約に明記し、争点とする考えを示した。・・・

一方、過去の植民地支配と侵略について謝罪した1995年の村山首相談話について、「『侵略』という定義は、学界的にも国際的にも定まっていないと言ってもいい」と指摘。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り」などとした談話の記述に関しても、「あいまいな点と言ってもいい。この談話はそういう問題が指摘されている」と述べた。


( 読売新聞・2013年4月23日)


◆靖国参拝批判に首相「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」

安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で、安倍内閣の閣僚らの靖国神社参拝に中国や韓国が反発していることに関し「国のために尊い命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前だ。わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない。その自由は確保している。当然だろう」と述べた。・・・

また「歴史や伝統の上に立った私たちの誇りを守ることも私の仕事だ。それを削れば(中国や韓国との)関係がうまくいくとの考えは間違っている」とも語った。


(産経新聞・2013年4月24日)


◆歴史認識、日米関係に影 首相発言、米で批判報道相次ぐ

閣僚の靖国神社参拝を契機とした安倍晋三首相の歴史認識に関する発言が、順調にスタートしたかに見えた安倍政権下での日米関係にも、影を落としている。これまで好意的だった米メディアも、相次いで批判の論評を掲載した。オバマ政権は靖国参拝や首相の発言そのものへの評価は控えている。ただ、北朝鮮情勢で日米韓の協力を進め、尖閣諸島を巡る緊張緩和を求める立場から、日韓、日中関係がさらに不安定になることを懸念する。

国務省のベントレル副報道官代行は25日、「日本大使館に公式の抗議などはしていない」とする一方で、「友好的な方法と対話を通じて、お互いの違いを乗り越える取り組みを各国に望む」と述べ、こうした立場から日本側と意見交換していることを認めた。・・・

安倍首相が「侵略の定義は国際的にも定まっていない」などと述べたことに対しウォールストリート・ジャーナル紙は27日付の社説で「安倍氏の恥ずべき発言によって日本は外国での友人を持てなくなる」と批判した。これまで社説で安倍政権を一貫して評価してきたワシントン・ポスト紙も「今回の発言は経済政策などの成果を台無しにしかねない」と批判。「安倍氏は歴史を直視することができない。中国や韓国の怒りは理解できる」とした。

アジアに詳しい有識者の一部からは、オバマ政権がもっと強く、抑制的な対応を安倍首相に求めるべきだという意見も出始めた。日米関係に詳しいジャーナリストのピーター・エニス氏は「ホワイトハウスは、こうした問題は日米同盟を傷つけると明言すべきだ」。中国が専門のジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究所のデビッド・ランプトン教授も「侵略に関する安倍首相の発言も、もっと冷静な言葉遣いをするよう米国は求めるべきだ」と訴えた。


(朝日新聞・2013年4月28日)


ということで、いよいよ、海外報道紹介に移ります。尚、本稿は翻訳紹介記事ではありますが、些か、思い入れもある。他方、単一のテクストとしての本稿全体の「共示義:connotation」と機能が、保守派の読者の皆さんに反日リベラルからの安倍総理に対する攻撃に反撃を加える上で有用と思われる情報の提供であり、ひいては、「美しい国日本」としての日本の再生に向けた<貧者の一灯>であることを鑑みて、本稿の画像には、就中、理路のナビゲーターとしては、美と再生の女神である木花咲耶姫と弊ブログでは同一神格のほしのあきさんの画像を投入することにしました。

また、本稿が紹介する報道が扱う問題領域は、所謂「従軍慰安婦」なるものや所謂「南京大虐殺」なるもといった個別の事象だけではなく歴史認識一般の理解に及んでいる。よって、「歴史とは何か」「どのような歴史を巡る叙述が歴史の正しい解釈の具現と言えるのか」という、歴史学方法論を巡る議論をどうしても俎上に載せざるを得ませんでした。ただ、歴史学方法論を巡る記述がアメリカのヴァージニア州やジョージア州、あるいは、ドイツはニーダーザクセン州や台湾の台北にお住まいのブログ友のお姉様方を始め多くの読者を秒殺的に睡魔に引き渡すのもほぼ確実。よって、その類の記述を行う註には「哲学に興味のある方以外は読んだら寝るよ」ということを、「睡眠剤」(sleeping pills)ならぬ「睡眠剤的註」(sleeping annotation)という意味で「SA:哲学好きの読者専用」と明記することにしました。



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木花咲耶姫



<続く>


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