安倍総理の歴史認識を批判する海外報道紹介(11)




(8)Shinzo Abe must resist dangerous distractions

(FT社説・2013年4月28日)

Shinzo Abe must resist dangerous distractions

Japan’s leader should stick to what is important

It was only a matter of time. Until now, Shinzo Abe, Japan’s prime minister, has managed to control the demons of his inner nationalism. Unlike his first term five years ago, this time he has concentrated on the business of reviving Japan’s long-moribund economy. He has avoided opening up fractious questions of history and has refrained from visiting Yasukuni, the shrine hated by Japan’s neighbours because it honours 14 convicted Class-A war criminals as well as 2m ordinary war dead.

Now Mr Abe – riding high with more than a 70 per cent approval rating – has let the mask slip. Last week he sent an offering of a cypress tree branch to Yasukuni along with several members of his cabinet. Worse, he appeared to question whether Japan had been “aggressive” in the second world war, a rightwing hobby horse. He has also opened a campaign to make it easier to amend the constitution.


安倍晋三首相は危険を惹起しかねない移り気を自制すべきだ

日本の最高指導者は現下の重要課題に専念したらどうか

それは時間の問題ではあった。日本の安倍晋三首相は、これまでは、自身が信奉するナショナリズムという悪霊を上手に制御していた(★)。5年前の第1次安倍政権のときとは違って、今般の第2次安倍政権では、長らく瀕死の状態にある日本経済を再生させるという自政権の本務に安倍氏は注力邁進してきたから。実際、歴史認識を巡る厄介な問題は「寝た子を起こさず」、靖国神社参拝も自粛してきた。ちなみに、靖国神社とは、2百万の一般の戦死者とともにA級戦犯として有罪判決を受けた14人も祀られているがゆえに近隣諸国からは蛇蝎の如く嫌われている日本の神社である。

各種世論調査でも軒並み70%を超える高い内閣支持率を得て好調なためか、衣の下の鎧を安倍首相はとうとう見せてしまった。先週、イトスギの枝の供物を幾人かの閣僚と共に靖国神社にお供えしたのだ(★)。より悪いことには、--そのような疑問の提示は右翼のおはこなのだけれども--第二次世界大戦で日本は他国を「侵略」したのかどうかについて疑問を懐いている様子をみせてしまった。而して、現行憲法の改正をより容易にするための運動もまた安倍首相は発進させた。


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These actions have provoked a predictable reaction from neighbours. South Korea’s foreign minister cancelled a meeting. Beijing condemned the actions and, coincidentally or not, upped the stakes over the Senkaku/Diaoyu islands by officially designating the disputed islands a “core” Chinese interest. Even the US, Japan’s ally, is annoyed that Mr Abe should have opened up this can of worms.

Mr Abe holds some unpleasant views. Still, his wish to be able to mourn his country’s war dead is not unreasonable. The problem is that Yasukuni, which is irredeemably associated with the nationalist cult of emperor worship, is the wrong place to do it. Mr Abe should use his rightwing credentials to push for the establishment of a less controversial secular memorial.

安倍首相のこれらの言動は大方の予想通り近隣諸国の反発を呼び起こした。韓国の外相は会談をキャンセル。支那政府はそれら一連の行動を激しく非難。このこととつながりがあるのかどうかは不明ながら、偶然の一致にせよ、日本と支那とがそれを巡って紛争を抱えている尖閣諸島/釣魚【島およびその付属島嶼と呼ばれている島礁】を初めて支那の「核心的」利益と公式に呼び、なにがなんでもそれを手に入れる(up /go to the stakes over)意志を赤裸々にした。日本の同盟国であるアメリカさえも、安倍首相が歴史認識という厄介な問題のパンドラの箱を開けたについては苛々しつつ頭を抱えている。

安倍首相は幾つかの論点に関してはあまり愉快ではないものの考え方をする人だ。それでも、自分の国の戦死者の喪に服することができるようにしたい(wish to be able to-V)という安倍氏の願望は道理をわきまえないものとまでは言えないだろう。ならばこそ問題は靖国神社である。天皇崇拝の民族主義的儀礼と救いようもなく密接に結びつきそれと表裏一体のものとして連想される靖国神社は【倫理的観点からも(the wrong place to do it)】戦死者の喪に服するための場所であってはならない。安倍首相は、右翼に対する自分の信用を駆使してでも論争の種によりなりにくい非宗教の戦死者記念施設を創る方向で汗をかくべきなのだ(★)。


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In general, though, Mr Abe has better things to do with his time. He has set in train the boldest effort in many years to spark the economy into life. His establishment of a 2 per cent inflation target and appointment of a can-do central bank governor has brought a real sense of hope that perhaps Japan can turn things around. The experiment, however, is exceedingly risky. It also requires the goodwill of other countries, which must tolerate a weaker yen as a side-effect of massive monetary expansion.

That cause will hardly be helped if the world loses sympathy. Mr Abe must also follow up with structural reforms to improve economic efficiency. His forays into revisionism are distractions at best, dangerous at worst. He should stick to his knitting.

全体としては、さはさりながら、安倍首相は今回の首相としての任期をよく務めている。日本経済に生気を注入すべく、長らく誰も手をつけなかった程に大胆な施策の手はずをすでに整えたのだから。而して、安倍氏が打ち立てた2%のインフレターゲット、および、日本の中央銀行総裁にやる気満々の人物を据えたことによって、単なる願望ではなく日本再生に向けて手応えのある明るい期待をもたらしている。日本経済再生を期した安倍首相のこれらの実験は、しかし、極めてリスクの高いものでもある。そして、その実験成功のためには他国の好意が不可欠だ。なぜならば、安倍氏の実験の結果、金融の大規模な拡大の副作用として不可避な円安に他国は耐えなければならなくなるのだから。

畢竟、世界から寄せられる同情が失われれば、他国の好意は期待できず、安倍首相の実験も失速する。加之、経済の生産性を改善する構造改革もまた安倍氏は引き続き行わなければならない。而して、歴史の修正主義に素人が手を突っ込むが如き、歴史認識を巡る彼の言動は、せいぜいが所、気晴らしの類にすぎず、最悪の場合、それは極めて危険なものと言える。安倍首相は余計なことに手を出さず自分の仕事に専念すべきなのだ(★)。


★註:「ナショナリズム」の語感は否定的なもの?

この箇所、「the demons of nationalism」は「a demon/demons of nationalism」ではく、ofの同格用法ですから、「ナショナリズムの中には悪い要素も善い要素も存在する」ではなく「ナショナリズムはすべからく悪い」と社説子は理解している。但し、それは欧米一般の「ナショナリズム」に関する語感とは違うと思います。例えば、OEDにはこうあります。

nationalism:民族主義
・patriotic feeling, principles, or efforts
・an extreme form of patriotism marked by a feeling of superiority over other countries
・advocacy of political independence for a particular country
・愛国的な感情・情緒、愛国に価値を置く政治や法の原則や実践
・他の国に対する自国の優越感によって特徴づけられる極端な愛国主義
・【民族と国家の範囲を一致させるべく】ある地域の独立を支持する主張


(この註続く)




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<続く>



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