橋下「慰安婦発言」批判の海外報道紹介--歪んだ論理の磁場の確認とその消磁化の契機として(9)




Whereas the `comfort women' system of forced military prostitution by the Government of Japan, considered unprecedented in its cruelty and magnitude, included gang rape, forced abortions, humiliation, and sexual violence resulting in mutilation, death, or eventual suicide in one of the largest cases of human trafficking in the 20th century;・・・

(以下の事実、すなわち、「従軍慰安婦」の制度が日本政府の手になる軍隊のための強制売春の仕組みであることを鑑みて、さらに、「従軍慰安婦」制度がその残酷さと規模において前例のないものであること、換言すれば、それは、強制連行、堕胎の強要、陵辱、および、身体を機能障害に至らしめる性的な暴力、死、あるいは、結局自殺を選ばざるをえなくした、20世紀の人身売買の中でも最大規模のものであることを考慮すれば、・・・)

Now, therefore, be it
Resolved, That it is the sense of the House of Representatives that the Government of Japan--
(1) should formally acknowledge, apologize, and accept historical responsibility in a clear and unequivocal manner for its Imperial Armed Force's coercion of young women into sexual slavery, known to the world as `comfort women', during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II;
(2) should have this official apology given as a public statement presented by the Prime Minister of Japan in his official capacity;
(3) should clearly and publicly refute any claims that the sexual enslavement and trafficking of the `comfort women' for the Japanese Imperial Armed Forces never occurred; and
(4) should educate current and future generations about this horrible crime while following the recommendations of the international community with respect to the `comfort women'.

(下院は日本政府が次のことを行うべきと考え、そう決議する。すなわち、
(1) 1930年代から第二次世界大戦の全期間に亘り、アジアの植民地支配と戦時に太平洋諸島を占領しているた戦時に、日本帝国の軍隊が強制力を行使し若い女性を性奴隷にしたことを(その性奴隷とは、現在では「従軍慰安婦」としてすっかり知れ渡っているのだが、)公式、かつ、平明・明瞭なやり方で認め謝罪すべきであり、また、そのような事実に対する歴史的な責任を受入れるべきであると、
(2) 首相の公的な資格に基づいた公式な謝罪を行い、かつ、それは【文書の形式で】公表されるべきであると、
(3) 日本帝国の軍隊のための【若い女性の】性奴隷化や「従軍慰安婦」の人身売買など存在したことはないという主張を明確かつ公式に否定すべきであると、
(4) 国際社会のすすめに従い、「従軍慰安婦」を巡るこの恐るべき犯罪のことを現在および将来の世代に対して教育すべきであると。)


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日本の内外での情報の非対称性。この非対称性こそ、ならびに、日本における海外報道が帯びているなにがしかの権威性と海外報道自体の玉石混淆性こそ(文芸評論と区別不可能な朝日新聞の社説と比べれば米英の報道は絶望的なほどロジカルとは言えるにせよ、その記事の信憑性に関する玉石混淆性こそ)、

例えば、あるいは、[1]「日本軍の組織的かつ直接的の強制がなかったとしても、「慰安婦=公娼」だった女性達がそのような辛い境遇になるについては日本軍が関与したのならば、日本の道義的責任は免れない」、または、[2]「従軍慰安婦=性奴隷」が存在した証拠が見つからないからといって「従軍慰安婦=性奴隷」が存在しなかったとは言えない、もしくは、[3]「韓国、中国などの元慰安婦が起こした10件の訴訟で、日本の裁判所はこれまで31人について、本人の証言にもとづき、日本兵らによって拉致、強制連行された事実を認めた(坪川宏子・大森典子『司法が認定した日本軍「慰安婦」』)」(朝日新聞2013年6月7日-記者有論・上丸洋一編集員)

等々の馬鹿げた、これまた、歪んだ論理の磁場でのみ成立する議論が途切れることなく紡ぎ出されるの、鴨。

comfort womenの二元論に基づく新手の詐術
[1]狭義の強制がなくとも広義の強制があれば道義的責任は発生する

comfort womenの一元論に基づく新手の詐術
[2]証拠の不在と事実の不在は別問題
[3]狭義の強制の存在を日本の裁判所は認定した
→狭義の強制がなかったとは言えまい!


蓋し、[1]「甘言・詐術」という間接的な「広義の強制」をメルクマールに採用したとしても、所謂「従軍慰安婦」なるものだったと称する人々を、①日本軍が組織的に、②朝鮮等の日本本土以外の地で、③本人の意志に反して強制的に女性を集め、④専ら戦地における日本軍将兵を相手に売春をさせるべく、⑤それらの女性の自由を拘束し続けた、⑥組織的計画の被害者と看做すための事実は存在しない。まして、その売春宿が日本軍の占領地域にあったことだけを根拠にして日本に課される責任なるものは、最早、「道義的責任」ですらなく「宗教的責任」と言うべき極めて特殊な人々にしか受け入れられないものでしょう。

[2]証拠の不在と事実の不在は別ものではある。けれども、(挙証責任を転換する合理的な理由がない限り)挙証責任は責任を問う側にあることは自明であり、他方、有限なる人間の現存在性を鑑みれば、結局、ある主張の基盤となりその主張が他者をも拘束する妥当性を帯びるに与して力あるような<事実>とは<証拠もしくは合意によってサポートされた事態>でしかない。ならば、本稿で紹介したNYTの記事を書いたTabuchi記者が、「橋下釈明」会見の席で橋下氏に投げかけた「では、慰安婦の方々が嘘をついているというのですか」という質問と同様、この類の抗弁は「負け惜しみ」以上のものではないのです。

[3]訴訟とは、就中、行政訴訟を含む民事訴訟とは、白黒はっきり言えば、歴史学的に過去の事実を明らかにするものではありません。加之、日韓条約等を根拠に被告の国側が容易に攻撃防御可能な従軍慰安婦訴訟の場合、被告が事実関係さえ争わないのは寧ろ普通。ならば、被告が争わなかった事実関係を裁判所が認定したとしても、それはその認定された事実関係が歴史学的に通用する事実かどうかとは無関係なのです。


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『ニューズウィーク日本版』(2013年6月11日号)の特集は「慰安婦問題という名の泥沼」。その特集タイトル記事(pp.24-28)の中で、問題の経過説明のみならず問題解決に向けた提案をしています。所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る問題が「日本を20年余り悩まし続け・・・もがけばもがくほど深みにはまる・・・問題が解決不能に近いレベルにまでもつれてしまった根源は、日本政府が90年代前半に犯した3つの失敗にある」(ibid, p.24ff)、と。

(壱)91年に出された二つの加藤紘一官房長官談話
(弐)93年に出された河野談話
「宮沢内閣と自民党一党支配の55年体制は崩壊の瀬戸際にあった。河野には「これ以上、時間をかけていられない」という焦りと、元慰安婦に対する「けじめ」という個人的な信念から、閣議決定を経ることもなく、93年8月に「強制性」を認める河野談話を発表する。宮沢内閣崩壊のわずか5日前のことだ」
(参)村山富市首相の従軍慰安婦に対する賠償支払いの模索


而して、同誌が提案する問題解決方法とは「新たな「談話」で日本の姿勢を世界に示す」こと。つまり、「強制連行の有無は確認できないことを明記しつつ、軍の関与は認める。一方で元慰安婦の女性たちが経験した苦痛への理解と謝罪を表明し、・・・問題となった河野談話には一切触れない、新たな「総理談話」を発表する」(ibid,p.28 )ということ。

蓋し、この問題の経過説明は満更間違いではないにしても、問題解決に向けた提案は無意味であろうと考えます。なぜならば、「強制連行の有無は確認できないことの明記しつつ、軍の関与は認める。一方で元慰安婦の女性たちが経験した苦痛への理解と謝罪を表明する」談話とは、実は「河野談話」そのものである。要は、「問題となった河野談話」の如き閣議決定を経ていない官房長官の謂わば「私的な談話」ではない「総理談話」であるとだけが、実質、この「新たな「総理談話」」と「河野談話」の違いになり、ならば、この違いがこの問題を漢方薬的にせよ解決に向けて前進させることは想像しがたいからです。

ではどうする。歪んだ論理の磁場を消磁化するにはそうすればよいのか。
蓋し、消磁化のポイントは、一部先にも触れたように、

(甲)日本国民のみならず世界のどの国民も、事実と異なる歴史認識を元に他国に謝罪をし続けることなど不可能であること。(乙)自国の「来し方行く末を巡る体系的イメージ」である「歴史観」や「歴史認識」などは他国に対してする自国の主張の正当化根拠にはなりえず、国際政治においても諸国家間の紛争の解決は最終的には確立した国際法に従いなされるしかないこと。(丙)所謂「従軍慰安婦」なるものが存在しないことと、特定アジア諸国に限らず世界の多くの国で「所謂「従軍慰安婦」なるものが存在した/日本は彼女達に対する責任を果たしていないどころか、隙あらば彼女達の存在自体を否定しようとしている姑息かつ狡猾な国だ」と思っている人々が少なからず存在していることは残念ながら両立可能な事柄であることの三点でしょう。

畢竟、(X)所謂「従軍慰安婦」なるものが存在しないという情報の世界に向けた啓蒙活動・広報活動の着手と持続、(Y)「河野談話」の破棄、(Z)歴史を外交に持ち込まない姿勢の確立堅持と、日本は未来永劫この姿勢を貫くことを諸外国、就中、特定アジア諸国に認知させること。これらこそが現実的に実現可能なこの問題解決の唯一指針であり消磁化の営みではないか。と、そう私は考えます。


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木花咲耶姫




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