Fantastic!――「風立ちぬ」が映す米英リベラルの歪んだ日本理解(上)




現在、米英のリベラル派の目には<日本>はどう映っているのか。それが垣間見える記事を目にしました。Financial Times(FT)の「Japan’s culture warriors enlist an emblem of the imperial past」(By David Pilling, August 16, 2013)。

宮崎駿さんの「風立ちぬ」とそれに対する左右の反応を媒介に、(ⅰ)1990年代以降の日本社会の変化(朝日新聞用語で言えば「右傾化」?)を危惧しながらも、しかし、(ⅱ)表面的(immediately apparent)にはいざ知らず「日本にもまだまだ健全なものの見方(the views)はしっかり残っていますよ」とかなんとか、(ⅲ)善意の独善、あるいは、独善の善意、すなわち、文化帝国主義の上から目線でご自分の希望的認識(his own fantasy)を披露したもの。論評抜きでご紹介します。

尚、この記事の著者の日本理解の程度を知るについては--要は、彼等、米英のリベラル派の日本認識がいかに<朝日新聞>に影響を受けているかを確認するについては--同じくFTにアップロードされた同著者の「Abe refrains from visiting shrine to ease China tensions」の一読が便利、鴨。で、偶然にも下記拙稿「靖国<不戦勝>の安倍総理の作戦勝ちに歯ぎしりする海外報道紹介」の(6)で紹介していたりします。米英メディアからの「日本の歴史認識批判」、および、リベラル派の「戦争責任/戦後責任論」の荒唐無稽さを指摘した拙稿と併せてご一読いただければ嬉しいです。

ウマウマ(^◇^)


・靖国<不戦勝>の安倍総理の作戦勝ちに歯ぎしりする海外報道紹介(1)~(6)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/62035912.html

・安倍総理の歴史認識を批判する海外報道紹介(1)~(12)+後記(上)(下)
(「後記(下)」に所謂「従軍慰安婦」なるものを巡る現下の論点をまとめています)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/61855076.html

・戦争責任論--語るに落ちた朝日新聞の社説--(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/62017974.html

・戦後責任論の崩壊とナショナリズム批判の失速
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59898544.html


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而して、「論評」ではなく「印象」になりますけれど、ここに紹介する本文テクストを読んで真っ先に私が想起したこと。それは、チャーチル(Sir Winston Churchill)の「If you are not a liberal at age 20, you have no heart. If you are not a conservative at age 40, you have no brain:二十歳のときにリベラル派でない者はおよそ人の心というものが備わっていない人間だ。そして、四十にもなって保守派になっていないとしたら、その人物は、土台、考えるということのできない人間だ」という箴言。

正直、このPilling記者は米英のリベラル派の中でも(これでも!!)、かなりよく日本のことに精通しておられる方だと思う。また、その記事の英語も記者の教養の高さを感じさせる。褒め殺しではなくそう思います。けれども、そのPilling記者にしてからが、おそらく、<朝日新聞という窓>から射し込んでくる限られた、かつ、歪んだ情報をもとにして<日本>を理解している/理解した気になっている。畢竟、彼等リベラル派はそんな自分達が自分達の脳内で編み上げたファンタジーの世界の<日本>と戯れているにすぎないの、鴨。蓋し、Fantastic! 蓋し、そういう天動説的な幼児性こそチャーチルが喝破したリベラルの本性なのではないか。と、そう私は考えざるを得ませんでした。

前置きの最後に本文テクストの記事タイトルについて老婆心ながら一言。「Japan’s culture warriors:日本文化の戦士」とは「日本文化の伝統を守護するべく、撤退戦の殿の役回りを引き受けその持ち場で鋭意努力している人々」という意味ではなく「日本の文化領域の最前線で独創的な、かつ、世界に通用する作品を発表している人物」の意味。要は、それは宮崎駿氏のことを示唆しているの、鴨です。と、その「warriors」解釈の是非優劣は読者各位の判断にお任せしたいと思います。いずれにせよ、


б(≧◇≦)ノ ・・・Fantastic!



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Japan’s culture warriors enlist an emblem of the imperial past
Controversy over a new film highlights the change in Japanese attitudes since the 1990s


In the entrance hall of Tokyo’s Yushukan war museum, a temple to Japanese revisionism, the first thing you notice is the dark green livery of the legendary Mitsubishi A6M Zero fighter aircraft, in its day the world’s most advanced carrier-based fighter. More manoeuvrable than the British Spitfire and with an astonishingly long range, it greatly aided Japan’s war effort before the Allies developed the technology and tactics to beat it. Deployed in the 1941 attack on Pearl Harbor, three years later, when Japan’s defeat had become inevitable, the Zero was being sent out on desperate kamikaze missions.・・・

It is something of a surprise, then, that Hayao Miyazaki, the world-renowned director of children’s animated films with pacifist, even socialist, leanings, should have chosen to make his latest film about the Zero. Mr Miyazaki’s films, including the delicately beautiful My Neighbour Totoro and the Oscar-winning Spirited Away, enthral with their depiction of wide-eyed childhood and the hidden Shinto world of wood spirits and river gods. Flight and machinery – in all its Heath Robinson-hissing wonder – figure prominently, and The Wind Rises, which came out in Japan last month, is a tribute to what Mr Miyazaki calls “the extraordinary genius” of the Zero’s designer Jiro Horikoshi.・・・


日本文化の戦士、帝国主義時代の象徴をも活用する
先頃公開された映画を巡る議論の中で1990年代以降の日本の変化が浮き彫りになっている

KABUによる記事タイトル解題:日本の文化戦線で活躍する「正義=リベラル」の戦士が、「敵=右翼」の持ち駒の「飛車=大日本帝国時代の象徴」を奪い、日本社会の右傾化に抗すべくその<飛車>を左右のイデオロギー戦線の要衝に打ち込む】

東京にある遊就館戦争博物館のエントランスホールに足を踏み入れるとき、この日本の歴史修正主義の殿堂に来場した人々の目に最初に飛び込んでくるのは、往時の濃緑色の正式塗装を施されたあの伝説の戦闘機、その全盛期には世界でも最先端の艦上戦闘機と讃えられた零式艦上戦闘機であろう。英国のスピットファイヤーを凌駕する操作性と驚異的な長い航続距離を誇った零戦は、よって、連合国側(the Allies)が技術開発を押し進めることができるまで、そして、対零戦対策を練り上げることができるまでの期間、日本の戦争遂行に大いに貢献した。すなわち、1941年の真珠湾攻撃に出撃、また、それから3年後の最早日本の敗戦が不可避になった局面での絶望的な神風特攻作戦への投入と、日本の戦争遂行への零戦の貢献は実に大きかったと言える。(中略)

而して、お子様向けアニメ映画の分野では世界的に有名な宮崎駿氏が最新作のモチーフとして零戦を、おそらく、熟慮の末に選んだ(should have chosen)ということは些か驚くべきことかもしれない。というのも、宮崎氏は非戦主義者というか、寧ろ、社会主義者に分類される人物なのだから。宮崎氏のこれまでの諸作品、例えば、悲しいほどに美しい「となりのトトロ」、アカデミー賞受賞作の「千と千尋の神隠し」は、目をキラキラ輝かせる子供達の仕草の描写、ならびに、森に宿る精霊や川に住まう神々が形成する神道的な世界、そう、日常の世界と隣接しながらも、普通は隠されている神道的な世界の描写を通して、それらを見る者を魅了してきた(enthral [people/children] with)。飛行シーンと機械設備--それすべて、滑稽なほど精巧に考案されていて到底実用には適さないと思われる機械設備--が際だった特徴なのだけれど、先月【2013年7月】に上演が始まった宮崎氏の最新作、それらの飛行シーンと不思議な機械設備という素敵な要素満載の「風立ちぬ」は、宮崎氏が「尋常ならざる天才」と呼ぶ堀越二郎氏、零戦の設計主任であった堀越氏に捧げられた作品ということだ。(中略)

【「社会主義」と「非戦主義」との間には論理必然の関係はありません。よって、この箇所は著者が朝日新聞の社説子なみの米英でもかなり特異なカルト的左派、あるいは、朝日新聞の熱烈な読者なみの「あまちゃん」であることが露呈していると思います。尚、「左翼」よって「保守主義」に関する私の基本的な認識については下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです】

・「左翼」という言葉の理解に見る保守派の貧困と脆弱(1)~(4)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60002055.html

・保守主義の再定義(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60444711.html


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木花咲耶姫



<続く>

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