Fantastic!――「風立ちぬ」が映す米英リベラルの歪んだ日本理解(中)




You might have thought Japanese conservatives would be delighted. In fact, Mr Miyazaki has received an outpouring of hatred, and been labelled as “anti-Japanese” and a “traitor” on rightwing chat sites. The cause of such ire, in addition to the pacifist tone of The Wind Rises, which portrays the war as a pitiful waste of human life, is an essay he published at the time of the film’s launch in July.

There, in an eccentric and somewhat rambling style, he strongly opposes revision of the pacifist constitution, which forbids Japan from waging war, and chides politicians such as Shinzo Abe, the hawkish prime minister, for airbrushing history.

日本の保守派は【世界的に有名な映像作家が零戦をその作品のモチーフに取り上げたとあっては】大喜びしているだろうと思われたかもしれない。けれど、現実には、宮崎氏には、てんこ盛りの大皿からさえ溢れんばかりの大量の憎悪が浴びせられ、右翼のウェブサイトでは、宮崎氏に対する「反日」や「裏切り者」とったレッテル貼りが横行しているのだ。宮崎氏に向けられたこれらの怒りのきっかけは、「風立ちぬ」を貫く非戦主義の色調に加えて--確かに、「風立ちぬ」は戦争を人間の命の無意味かつ悲惨な浪費として描いてはいるのだけれども、この作品のそのような色調に加えて--「風立ちぬ」の公開に合わせて7月に宮崎氏が発表した1本の記事である。

その記事で宮崎氏は、一風変わった理路と物言いで、かつ、些か、くどくどした理路と漫然とした物言いではあるけれど、現行の非戦主義の憲法を改正することに強く反対している。ちなみに、日本の現行憲法は日本国が戦争することを禁じているのだけれども。更に、宮崎氏はその記事の中で、タカ派の総理大臣、安倍首相のような政治家が歴史認識を安易に塗りかえようとしていることを窘めてもいる。

【現行の占領憲法も、かつ、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」とする現行の政府解釈を前提にしても、自衛戦争を禁止しているものではありません。そして、「自衛戦争」の概念には、国際法上、先制攻撃も報復攻撃も包含されているのですから、本文テクストの「日本の現行憲法は日本国が戦争することを禁じている」(which forbids Japan from waging war)とする表現は明らかな事実誤認と言えます。ただし、訳は原文テクストに従っています】


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Mr Miyazaki urges proper compensation for the “comfort women”, young women from Korea, China, Japan and elsewhere who were often tricked or forced into working in military brothels. (Japan’s rightwing insists they were all volunteers.) More controversially, he suggests dividing or sharing with China the Japanese-administered islands that are the subject of a nasty stand-off between Tokyo and Beijing.

In the Asahi interview, he said the ultraright had adopted the genius of Horikoshi, the Zero’s creator, as an “outlet for their patriotism and inferiority complex”. In making the film, he said: “I hope to have snatched Horikoshi back from those people.”

所謂「従軍慰安婦」なるものへの適切な補償を宮崎氏はこの記事の中で日本政府に強く要求している。ちなみに、所謂「従軍慰安婦」なるものとは、その多くはあるいは騙されあるいは強制された、軍の売春宿で働いていた朝鮮半島・支那・日本、その他の地域出身の若い女性達のことである(もっとも、日本の右翼は彼女達のすべては自由意志で「慰安婦=戦地の公娼」になったと強弁している(insists)のだけれども)。そして、宮崎氏の記事に関して、他のなによりも論争を巻き起こしたことは、日本と支那がそれを巡って険悪な行き詰まり状態に陥っている領土、すなわち、現在は日本の統治下にある、とある島礁を日本と支那とで分割もしくは共同統治することも宮崎氏はこの記事の中で日本政府に提案している。

この朝日新聞とのインタビュー記事の中で、宮崎氏は、極右が零戦の設計者である堀越氏の才能を借用したのは事実であるけれど、それは彼等極右が自分達の「愛国心と劣等感のはけ口」として堀越氏の才能を用いたということなのだと述べている。「風立ちぬ」を制作しているときに、「極右から堀越を取り戻したいと私は念じていました」とも。


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【本文テクスト中の「日本の右翼は彼女達のすべては自由意志で「慰安婦=戦地の公娼」になったと強弁している」(Japan’s rightwing insists they were all volunteers.)とは「講釈師、見てきたような嘘をつき」の類なの、鴨。実際、最早、大部分の「証人」も亡くなっておられるだろうし、資料や証拠にしても大部分は散逸・消滅しているでしょうから、「全部」など言い切れる根拠は左右どちらの側にもないと考えるのが普通。而して、「右翼」なるものの発言を見ても、おそらく誰も、少なくとも、99%とは言わないが98%の「右翼」は「全部」などとは主張していない。

要は、98%の「右翼」の主張は、「①確かに「慰安婦=戦地公娼」になった方の中には、騙されたり威かされたり暴力を振るわれた方もいたのでしょう。でもね、そのケースでは、②「誰に」騙され/威かされ/暴力を振るわれたのでしょうか(要は、韓国人の手配師が韓国人の女性に行ったことも日本の責任なのですか)、③少なくとも、(インドネシアのスマラン事件も含め)日本軍が軍として組織的に騙し/威かし/暴力を振るった事実は確認されていませんよね。④ならば、「慰安婦=戦地公娼」に対する道義的責任など成立しないでしょう。いずれにせよ、⑤よしんば、「従軍慰安婦=性奴隷」が存在していたとして、日本国の法的責任はすべての交戦国、あるいは、旧植民地だった韓国等の間でも完全かつ最終的に解決済みのことでしょう」というものだ。と、そう私は考えています。尚、このイシューに関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです】


・「慰安婦は必要だった」--慰安婦問題を巡る橋下氏の発言は妥当である--
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/61865685.html

・橋下「慰安婦発言」批判の海外報道紹介
 --歪んだ論理の磁場の確認とその消磁化の契機として(1)~(9) 
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/61938729.html


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The argument over The Wind Rises matches shifting domestic opinions about Japan’s obligations to the past and its relations with its neighbours, particularly towards a more assertive and militarily powerful China. According to a recent Pew poll, 63 per cent of Japanese think Japan has apologised enough for the war, a figure that rises to 73 per cent of those aged 18-29.

How, say defenders of Japanese youth, can they be expected to feel guilty about events that happened more than half a century before they were born? (David Cameron, the UK prime minister, said something similar when he issued a non-apology about the British massacre of Indian civilians in Amritsar in 1919.)

この「風立ちぬ」を巡る議論の展開は、過去に対する日本の義務、および、近隣諸国と日本との関係のあるべきあり方、就中、その強面振りと軍事力の強大さにおいて世界中を見渡しても群を抜いている支那との今後の関係に関する日本国内の世論の変動と対応している。ピュー研究所【Pew Research Center】が実施している最近の世論調査によれば、63%の日本人が、日本は戦争についてもう十分に謝罪し終えていると考えているが、この数字は回答者を18歳-29歳に限れば73%に跳ね上がるということだから。

日本の若者を擁護すれば(Defenders of Japanese youth say, "How can they be expected・・・)、実際、自分が産まれる前の、半世紀以上前に起こったことについて罪悪感を持ちなさいなどは誰に対してであれ到底期待できることではないのかもしれない。(英国のキャメロン首相も、1919年のインドのアムリットサルで英国が多くのインドの民間人を虐殺した事件について謝罪の言葉を口にしなかった際に、これとなにがしか似たようなことを述べているのだから)

【原則(つまり、「植民地支配への評価と謝罪」だけが旧宗主国と旧植民地国との交渉のアジェンダの場合)植民地支配を謝罪した旧帝国主義国はありません。それどころか、実は、旧帝国主義国は植民地の独立を承認するのと引き替えに、その旧植民地国に残す資産等々の賠償を求めるのが普通でさえあった。この意味でも、日本は韓国に「植民地支配の謝罪と賠償」など求められる筋合いは常識的にはありえないのです。まして、産まれる前のことについて責任。そんなんを他人から要求される筋合いは金輪際ない。蓋し、キャメロン首相の発言が国際的な常識というものでしょう】



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<続く>
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