英語教材として読む☆靖国神社参拝を巡る安倍首相談話とアメリカ大使館の声明





2013年12月26日。安倍晋三総理が靖国神社に参拝されました。以下の英文テクストは、その際に出された首相談話、および、日本の現職の首相(a sitting Prime Minister of Japan)の7年振りの靖国参拝という事態(incident)を受けて「失望した」と評したアメリカ大使館の声明。和訳も前者については首相官邸のウェブサイトで閲覧できる公式和訳、後者も--あくまでも、「日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文」とはしながらも--アメリカ大使館が英文とともに公表したものです。

首相官邸ウェブサイト:
http://www.kantei.go.jp/foreign/96_abe/statement/201312/1202986_7801.html
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/discource/20131226danwa.html

駐日アメリカ大使館ウェブサイト:
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20131226-01.html
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20131226-01.html


例によって、TOEICパート7の後半問題と見立てて、この二つのテクストから「自分ならどんな設問を出題するだろうか」と考えながら読んでいただければ、TOEIC対策の効果も一層上がる、鴨です。

б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう日本!
б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう英語!


2_20140117144726e74.jpg


Statement by Prime Minister Abe - Pledge for everlasting peace -
Thursday, December 26, 2013
Today, I paid a visit to Yasukuni Shrine and expressed my sincere condolences, paid my respects and prayed for the souls of all those who had fought for the country and made ultimate sacrifices. I also visited Chinreisha, a remembrance memorial to pray for the souls of all the people regardless of nationalities who lost their lives in the war, but not enshrined in Yasukuni Shrine.

While praying for the souls of the war dead, the preciousness of peace Japan enjoys today really came home to me.

The peace and prosperity Japan enjoys today is not created only by those who are living today. The peace and prosperity we enjoy today is built on the precious sacrifices of numerous people who perished on the field wishing for the happiness of their loving wives and children, and thinking about their fathers and mothers who had raised them.

Today, I have contemplated on this, and paid my deepest respects and gratitudes on my visit.

Japan must never wage a war again. This is my conviction based on the severe remorse for the past. I have renewed my determination before the souls of the war dead to firmly uphold the pledge never to wage a war again.

I have also made a pledge that we must build an age which is free from the sufferings by the devastation of war; Japan must be a country which joins hands with friends in Asia and friends around the world to realize peace of the entire world.

For 68 years after the war, Japan created a free and democratic country, and consistently walked the path of peace. There is no doubt whatsoever that we will continue to pursue this path. Under the spirit of international cooperation, Japan will discharge its responsibilities for the peace, stability and prosperity of the world.

Regrettably, it is a reality that the visit to Yasukuni Shrine has become a political and diplomatic issue. Some people criticize the visit to Yasukuni as paying homage to war criminals, but the purpose of my visit today, on the anniversary of my administration’s taking office, is to report before the souls of the war dead how my administration has worked for one year and to renew the pledge that Japan must never wage a war again.

It is not my intention at all to hurt the feelings of the Chinese and Korean people. It is my wish to respect each other’s character, protect freedom and democracy, and build friendship with China and Korea with respect, as did all the previous Prime Ministers who visited Yasukuni Shrine.

I would like to ask for the kind understanding of all of you.

(444 words)


Statement on Prime Minister Abe's December 26 Visit to Yasukuni Shrine
December 26, 2013
Japan is a valued ally and friend. Nevertheless, the United States is disappointed that Japan's leadership has taken an action that will exacerbate tensions with Japan's neighbors.

The United States hopes that both Japan and its neighbors will find constructive ways to deal with sensitive issues from the past, to improve their relations, and to promote cooperation in advancing our shared goals of regional peace and stability.

We take note of the Prime Minister’s expression of remorse for the past and his reaffirmation of Japan's commitment to peace.

(88 words)




3_2014011714472764a.jpg


【語彙】
pledge for:~を誓約する, everlasting:永遠に続く/変わることのない, pay a visit to:ある明確な意図や目的から~を訪問する/参拝する, condolence:哀悼の言葉や意志, make ultimate sacrifice:国家のためにその生命を捧げる, remembrance memorial:追悼のための記念施設, regardless of:~に関係なく, come home to me:私はそれが完全に理解できる/しみじみとあることの意味や重要性が私には感じられる,

peace and prosperity:平和と繁栄, perish:不慮の事故や戦争で亡くなる, contemplate:じっくりと考える, gratitude:感謝の念, wage a war:戦争に訴える/闘争に打って出る, conviction:事実に基づく確信, remorse:悔恨や痛恨, determination:決意や決心, uphold:支持する/確かに保持する, devastation:荒廃, consistently:首尾一貫/徹頭徹尾, whatsoever:全くもって, discharge:義務を果たす/安倍総理の如くやるべきことはきちんとやる, stability:安定性,

regrettably:遺憾ながら, a political and diplomatic issue:政治および外交の争点(cf.「a political and diplomatic incident:政治や外交の世界で関心を呼ぶかもしれない出来事」), homage:強い尊敬や敬意, war criminal:戦犯, my administration:私の政権(=安倍政権), intention:意図/狙い, character:人格(cf. 類型化される「personality」とは違い、ある個人に特有の性格や特徴)

* * * * * 

statement on:~に関する声明, valued:貴重な/他をもっては代え難い, ally and friend:同盟国であり友好国, nevertheless:~にもかかわらず, be disappointed:失望する/当てがはずれる(cf.「類語:condemn, deplore, concern, regret」。ちなみに、「非難の強烈さ」において、be disappointedの度合いはcondemn, deploreよりも低いです), leadership:指導部/指導層, exacerbate:悪化させる,

constructive:建設的な, deal with:取り扱う/処理する, sensitive issue:扱いに注意を要する微妙な問題, cooperation in:~を行う上での協力関係, take note of:~を備忘録に書き留める/~について頭の中に入れている, reaffirmation:再度断言すること, commitment to:~に対する貢献/~に主体的に関わるという約束


予備


【読解躓きの石】
今回の両テクストに関しては、アメリカ大使館の声明についてそれが「異例の声明」等々と報道されていることもあり、英語的な観点から幾つかコメントしておきましょう。まずはこの箇所、

Japan is a valued ally and friend.
Nevertheless, the United States is disappointed that・・・

参考例文:
This defeat was widely predicted.
Nevertheless, it is disappointing.(OED)
(この敗北は大方の予想通りのものではあった。
確かにそうなのだけれど、しかし、現実に負けてしまうと正直辛いよ)

The old system had its own flaws.
Nevertheless, it was preferable to the new one.(OED)
(旧システムには、それ自体に内在するどうしようもない不具合があった。
確かにそうなのだけれど、しかし、旧システムの方が寧ろ好ましかった)

もちろん、「nevertheless」は先行センテンスの意味を逆接で受ける後続のセンテンスを導く接続副詞。ですから、話者や筆者の主張の力点は、neverthelessが導く後続のセンテンスに盛られているはずとは言えましょう。けれども、重要なことは、あたりまえですが、英語は前から後ろに続くわけであり、ならば、(接続詞や接続副詞に先導されていない)「素のセンテンス」が先行していることの意味です。それは、

それは、話者や筆者の主張の力点は後方のセンテンスにあるとしても、--それが話者や筆者に好ましいか否かに関わらず--、話者や筆者の認識の枠組み、あるいは、認識の前提は先行する「素のセンテンス」の方にあるということ。

よって、件の箇所の大意は、

Japan is a valued ally and friend.
Nevertheless, the United States is disappointed that・・・
(日本は代替不可能なほど重要な同盟国であり友好国である。
確かにそうなのだけれども--つまり、その事実は今回の事件で毫も変化はしないのだけれども--、しかし、アメリカ政府は、that以下の事柄について失望している)

5_20140117144728b4a.jpg

次は、「be disappointed」の語感です。これ朝日新聞とかが言っているようにそんなに「強烈な不快感」を示唆するものなのかしら? その判定は第3センテンスの述語動詞(hope)と併せて考えないとよくわからない、鴨です。「怒り→要求」は連鎖ですからね。例えば、国家機密を漏洩したエドワード・スノーデン容疑者がロシアに亡命した際、このような声明をアメリカは発表しています。

We are extremely disappointed that the Russian government would take this step despite our very clear and lawful requests in public and in private to have Mr. Snowden expelled to the United States・・・. Mr. Snowden・・・should be returned to the United States as soon as possible・・・.

はい、「be extremely disappointed」
そう、「should be returned」
=「the Russian government should return」


と、これ桁違いに「強烈」なんですけど(笑)



最後に、最後のセンテンス。

We take note of the Prime Minister’s expression・・・

実は、この箇所を根拠に「今後は、アメリカは安倍首相の靖国神社参拝に対してより注視していく/参拝しないように働きかける」と述べたものとこの声明を理解している人がいるらしいんです。吃驚。

あのー、「首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現」とは、例えば、安倍総理の談話、就中、第8と第9センテンスの「This is my conviction・・・」「I have renewed my determination・・・」を中核とする安倍談話の該当部分であろうと思いますよ。

だって、
We take note of ・・・
の述語動詞は動作動詞であり時制は現在。

よって、白く黒はっきり言えば、このセンテンスは「今後は、安倍首相の表現に注目します」ではなくて「今の時点で、過去の安倍首相の表現に注目しています」という意味と取るべきでしょう。

もちろん、逆に、動作動詞の現在時制は「過去から現在を通過して未来」の事柄まで併せて表す漠然というか鷹揚なもの。ならば、このセンテンスを、後者「今の時点で、過去の安倍首相の表現に注目しています」を中核に据えて前者「今後は、安倍首相の表現に注目します」も併せたものとする解釈は間違いではない。でもね、この部分を、前者だけの意味と取ることは無理でしょう、多分。と、そう私は考えます。



6_201401171447465c0.jpg


【和訳】

安倍内閣総理大臣の談話~ 恒久平和への誓い ~
平成25年12月26日
本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。また、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、及び諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも、参拝いたしました。

御英霊に対して手を合わせながら、現在、日本が平和であることのありがたさを噛みしめました。
(the preciousness of peace [that] Japan enjoys)

今の日本の平和と繁栄は(The peace and prosperity [that] we enjoy)、今を生きる人だけで成り立っているわけではありません。愛する妻や子どもたちの幸せを祈り、育ててくれた父や母を思いながら、戦場に倒れたたくさんの方々。その尊い犠牲の上に、私たちの平和と繁栄があります。

今日は、そのことに改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って、参拝いたしました。

日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。

同時に、二度と戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくらなければならない。アジアの友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました。

日本は、戦後68年間にわたり、自由で民主的な国をつくり、ひたすらに平和の道を邁進してきました。今後もこの姿勢を貫くことに一点の曇りもありません。世界の平和と安定、そして繁栄のために、国際協調の下、今後その責任を果たしてまいります。

靖国神社への参拝については、残念ながら、政治問題、外交問題化している現実があります。

靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権一年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです。

中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。靖国神社に参拝した歴代の首相がそうであった様に、人格を尊重し、自由と民主主義を守り、中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。

国民の皆さんの御理解を賜りますよう、お願い申し上げます。


安倍首相の靖国神社参拝(12月26日)についての声明
2013年12月26日
日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。

米国は、日本と近隣諸国が過去からの微妙な問題に対応する建設的な方策を見いだし、関係を改善させ、地域の平和と安定という共通の目標を発展させるための協力を推進することを希望する。

米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する。

* * * * * 

【備考】
アメリカ大使館の声明に関する私の基本的理解に関しては、それがニューヨークタイムズの社説と記事に取り上げられた範囲でのコメントになりますが、取りあえず下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

・安倍総理靖国神社参拝を批判するニューヨークタイムズ社説紹介(1)~(4)
(この(4)末尾に「声明に対する総括コメント」を書いています)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/62270029.html


7_201401171447475d9.jpg



スポンサーサイト

テーマ : 靖国参拝
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

KABU

Author:KABU
大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義の批判を果敢に推進するための
yahoo版のミラーブログ。
2007年9月10日以降の新記事を随時、厳選した過去の自薦稿を漸次アップロードしていきます♪

百人一首 de 海馬之玄関
問い合わせ先
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
使用状況de電気予報
人間が好きになる名言集

presented by 地球の名言

人生が輝き出す名言集


presented by 地球の名言
夢を叶えるための名言集


presented by 地球の名言
仕事が楽しくなる名言集

presented by 地球の名言

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

ブログ内検索
検索 de 記事リスト
最新の記事
最近の記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2ブログランキング
fc2rankbanner
miniTube