安倍総理を批判するファイナンシャルタイムズ社説紹介



【社説が書かれた2月9日の豊葦原之瑞穂国の夕日】


ファイナンシャルタイムズ社説を紹介します。出典は「Abe’s nationalism takes a worrying turn:ナショナリズムに向かう安倍首相の憂慮されるべき軌道修正」(February 9, 2014)です。ファイナンシャルタイムズの著作権を配慮してリリースから1カ月後のエントリー。前半は朝日新聞の引き写しのようで嗤ってしまいましたが、最終パラグラフはひと味違う、鴨です。


Abe’s nationalism takes a worrying turn
Much of the motivation for Abenomics, Japan’s bold gambit to breathe life into its economy, comes courtesy of Beijing. It was fear of a rising, more assertive China that led the Liberal Democratic party to turn to the jingoistic Shinzo Abe in the first place and convinced many Japanese to hold their nose and vote for him. It was the same conviction that persuaded Mr Abe himself that something had to be done to rid the country of 15 years of deflation and to build a prosperous country capable of defending its interests. For a while Mr Abe, a revisionist who thinks Japan has been unfairly singled out for criticism about wartime atrocities, concentrated on getting his economic plan up and running. Now, more than a year into a premiership likely to last at least until 2016, he is pushing his nationalist agenda more forcefully - with some worrying implications for Japanese democracy.

ナショナリズムに向かう安倍首相の憂慮されるべき軌道修正
アベノミクスの狙いの多くは支那を睨んだものである。ちなみに、アベノミクスとは、その経済再生に向けた日本の大胆な経済戦略なのだけれども。自民党が好戦的愛国者の(jingoistic)安倍晋三氏をその総裁に選んだのは興隆する、益々独善的で強面になりつつある支那に対する脅威を感じたためだった。そして、この経緯は、日本国民の多くが安倍氏の胡散臭さに対して片眼を瞑っても安倍自民党に投票しようと考えたこととも通底している。而して、支那が脅威であるというこの確信が、15年間の経済衰退からこの国を抜け出させ、国益を守りうる繁栄する国に日本を再建すべくなにかをなさなければならないと安倍氏自身に確信させた当のものだ。戦時中の残虐行為に関して日本は他の諸国に比べて不当に批判され続けていると考える歴史修正主義者(a revisionist)の安倍首相は首相就任後しばらくは経済戦略の立ち上げと実行に注力してきた。けれども、首相就任から1年余が経過した現在、かつ、安倍政権がおそらく最短でも2016年までは続くと見られている現在、安倍首相は自身の民族主義的の政策課題により積極的に取り組もうとしている。その民族主義的の政策課題は日本の民主主義を脅かす要素を幾分含んだものなのだけれども。


In December Mr Abe visited the controversial Yasukuni shrine against the advice of Washington and in defiance of diplomatic sense. The prospects of dialogue with Beijing - and perhaps even South Korea - have sharply receded as a result. Before his visit to Yasukuni, the government rammed home a secrecy bill that is too draconian. There is always a balance between security and freedom of speech. But Japan’s law tilts too far towards secrecy.

12月、安倍首相は、アメリカ政府の助言に反して、かつ、外交的な思慮分別を度外視して論争の渦中にある靖国神社に参拝した。これにより支那政府との--そして、おそらく韓国政府とも--対話の見込みは一気にしぼむことになった。あるいは、首相の靖国神社参拝の前、安倍政権は極めて過酷な秘密保護法の成立を断行した。もちろん、どの国においても安全保障と言論の自由の間には常に緊張関係はあろう。けれども、日本の同法は秘密の保護側に大きく傾いたものである。


Suspicions about the state secrets law have been reinforced by Mr Abe’s clumsy attempt to rein in NHK, the national broadcaster that is Japan’s equivalent of the BBC. In December the NHK board appointed Katsuto Momii as president. He has alarmed many by suggesting that NHK should not challenge the government on important issues. ・・・

秘密保護法に対する懸念は、而して、日本におけるBBCとも言うべきNHKを牽制しようとする安倍首相の傍若無人な着手によって一層高まっている。すなわち、12月にNHKの経営委員会は籾井勝人氏を新会長に任命したのだけれども、重要な政治問題についてNHKは政府に反抗すべきではないと示唆したこの新会長の発言に慄然とさせられた向きは少なくないのだから(★)。・・・


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Mr Abe’s government is seeking to narrow the scope of public debate. Beijing is making his task easier by its constant hectoring of Japan. A recent Pew poll found that only 5 per cent of Japanese had a positive opinion of China. But Mr Abe’s manipulation of events to further his agenda is dangerous in a country where the public is, if anything, too passive, not too boisterous.

安倍政権は広汎な国民間の議論の余地を狭めようとしている。而して、支那が常套する日本叩きの動きが安倍首相のこの試みを後押しする形になっているのだ。Pew社の最近の世論調査では、支那に対して好印象を持っている日本人は5%しかいないのだから。自身の民族主義的な政策課題の推進に向けて現下の事態を処理する安倍首相の手練手管は、しかし、口角沫を飛ばしての喧々諤々の議論を好むとは言えない、どちらかと言えば受け身の傾向の強い国民性の国では危険である。


The Japanese people have much to discuss. It may be reasonable, for example, to change Japan’s interpretation of “collective self-defence” such that its military could come to allies’ aid. It is even legitimate to debate the possibility of amending article nine of Japan’s constitution, which - virtually alone among nations - forbids it from the right to wage war. The inconvenient truth for Mr Abe, however, is that a majority of Japanese are strong supporters of Japan’s postwar pacifism and significantly less conservative than the prime minister. Mr Abe’s plan seems to be to shift opinion in his direction through the steady erosion of debate. China’s claim that Mr Abe is a danger to Japan’s neighbours is mostly nonsense. But he could be a danger to Japan itself. It would be a tragedy if the threat of China were used as an excuse to mount an attack on Japan’s relatively open society.

日本の国民はもっと議論してしかるべきなのだ。例えば、その軍隊が同盟国を支援できるように「集団的自衛権」に関する日本政府の解釈を変更することは合理的なのかもしれない。あるいはまた、その条項が実質的には世界で唯一自国の交戦権を否定しているのだけれども、日本の憲法9条を改正することの是非を議論することも毫も抑制されるべきではない当然のことだろう。安倍首相にとっての不都合な真実は、しかし、日本国民の多数派は日本の戦後の非戦主義の強固な支持者であり、そして、明らかに日本国の現在の首相ほどには保守的ではないこと。而して、安倍首相の狙いは国民間の議論を逓減させることによって世論を自身の思う方向に誘導しようとするもののように見える。もちろん、安倍首相は日本の近隣諸国にとって危険な存在とする支那の主張は白黒はっきり言えばほとんど出鱈目ではある。けれども、安倍首相は日本自体にとって危険な存在になるのではないか。いずれにせよ、支那による脅しが、もし、日本の比較的開かれた社会に対する攻撃の理由に使われることになれば、それは悲劇だろう。


★関連記事
・NHKの「政治的中立」と首相の人事権(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/62207787.html


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