ウクライナ問題解決の正しい処方箋と思われる海外記事紹介(余滴)





◆ガラパゴス化してしまっている日本リベラル派
この60日余り、New York Times掲載記事と朝日新聞の社説を何度か読み比べていて私はある確信を得ました。それは、朝日新聞に代表される日本のリベラル派の使う幾つかの用語の語義は世界的に見てもおそらく日本のリベラル派の脳内にしかない極めて異様な表象なのだろうという確信です。例えば、冒頭に引用した朝日新聞社説「クリミア投票--ゆがめられた民族自決」(3月18日)、そして、その前哨となった10日前の社説「ウクライナ危機--領土併合は認められぬ」(3月8日)で朝日新聞の社説子はこう述べていますから。

尚、これらの社説と関連する国際法--とりあえず、国連憲章(1945年6月署名-10月発効)--の条項は次のとおり。官報に掲載された外務省の訳は些か意味不明ですが英語正文の意味内容は明確です。ちなみに、占領憲法草案がGHQによって起草されたのは1946年2月上旬の10日間(2月3日-13日)、そして、その日本語訳としての占領憲法が公布されたのは1946年11月3日、施行が1947年5月3日。占領憲法には国連憲章の影響が少なくないことは、ある意味当然なの、鴨です。

Excerpt from the Charter of the United Nations
Chapter1 Purposes and Principles
Art. 1 The Purposes of the United Nations are:
2. To develop friendly relations among nations based on respect for the principle of equal rights and self-determination of peoples, and take other appropriate measures to strengthen universal peace;

Art. 2 The Organization and its Members, in pursuit of the Purposes stated Article 1, shall act in accordance with the following Principles.
1. The Organization is based on the Principle of the sovereign equality of all its Members.
4. All Members shall refrain in their international relations from the threat or use of force against the territorial integrity or political independence of any state, or in any other manner inconsistent with the Purposes of the United Nations.

国連憲章の関連条項抜粋
第1章 目的及び原則
第1条 国際連合の目的は、次のとおりである。
2. 人民の同権及び民族自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適切な措置をとること。

第2条 この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当たっては、次の原則に従って行動しなければならない。
1. この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
4. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

同条項のKABU訳
第1章 目的及び原則
第1条 国際連合の目的は、次のとおりである。
2. 諸民族--現在および将来の主権国家を形成する主体であるか、あるいは、少なくともその主体の一部ではあるほどの個性と勢力、すなわち、政治的と社会的と文化的なまとまりを潜在的にせよ保っているひとまとまりの社会集団--は同等の権利をもっているという考え方、および、民族自決の考え方、これらの原則を尊重することに基礎をおいた諸国家間の友好関係を発展させること、ならびに、世界平和をより一層確実なものにしていくために適切と思われる他の措置をとること。

第2条 この機構およびその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当たっては、次の原則に従って行動しなければならない。
1. この機構は、「そのすべての加盟国の国家主権は平等である」という考え方、すなわち、主権平等の原則に基礎をおいている。
4. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を、他国の領土保全または政治的独立を圧迫する態様において用いること、もしくは、国際連合の目的と両立しない他のいかなる態様においても武力による威嚇または武力の行使は慎まなければならない。


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▽ウクライナ危機--領土併合は認められぬ
「国境」とはなんだろう。国が主権の及ぶ範囲を人為的に定めたものにすぎない。現実には地球の多くの地で、同じ民族の人々が国境をまたいで暮らしている。国境の向こう側にわれわれと同じ言葉を話す住民がいるからといって、「そこもわれわれの領土だ」と主張すれば、どうなるか。未曾有の混乱と争いが世界規模で広がるのは目に見えている。だからこそ、国際社会は「主権と領土の一体性」というルールを掲げて、平和的共存を図ってきたのだ。・・・

▽クリミア投票--ゆがめられた民族自決
・・・ウクライナのクリミア自治共和をロシアに編入するかどうかを問うた住民投票は、国際的な反対に抗して強行された。編入に9割超が賛成したというが・・・反対派を銃口で沈黙させたうえでの投票は、国際法が定める「人民の自決の権利」とかけ離れているのは明白である。・・・

そもそも、独立や併合といった国境線の変更は、過去どのように認められてきたのか。近代に勢いを得た民族自決の権利は、植民地からの解放求める権利として、1960年代以降のアフリカ諸国などの独立を後押ししたものだ。冷戦後は、弾圧や内戦で民族の共存ができなくなった結果として、国際社会が独立を認めるケースが生まれた。旧ユーゴスラビアのコソボや、アフリカの南スーダンがその例だ。

それ以外では、当事者の間で分離独立の合意を平和的に築いている。チェコとスロバキアは93年に連邦を解体した。英国では、スコットランドの独立を問う住民投票が秋にある。クリミアの事態は、そのいずれにも当てはまらない。・・・

(以上、朝日新聞社説引用終了)


蓋し、朝日新聞の用いる「国際社会」、あるいは、「外交交渉」や「対話」や「平和」、もしくは、「国境」よって「国家」や「民族」なるものは世界的に見ても極めて異様な内包を抱えている用語であるか、あるいは、まったく無内容なもの、あるいは、その両方であろう。いずれにせよ、それらの意味内容や指示対象まで踏まえるとき、彼等日本のリベラル派が常用するこれらの<言葉>は日本のリベラル派の脳内にしか存在しないものであることは確実ではないか。私はそう考えます。

畢竟、確かに「国境」は人為的なものでしょう。しかし、「国境」が人為的なものなら--よって、その論理的帰結として「国家」もまた人為的なものなら--国際情勢と国内情勢の変動にともない独立にせよ併合にせよある国境が引き直されることは当然であり、そして、その国境の引き直しに際して<民族主義>がそれなりの威力を発揮することは善悪の問題ではない。

而して、「主権と領土の一体性」というルールは現前の国際秩序を理解する認識枠組みであり、現在の国際秩序をより平和的共存可能なものにする行為規範ではある。けれども、それは、より一層平和的共存可能な国際秩序に移行するために、あるいは、平和的共存可能性の度合いが劣化してきた現下の状況を打破するために、ある民族やある国民の--具体的にはクリミアやウクライナ東部のロシア系の人々とロシア国民の--<未来>の行動を縛る神通力も法的拘束力も帯びてはいない。

加之、「民族自決権」。説明するまでもないでしょうけれど、「民族自決」が権利であることは1950年の国連総会で採択確認され、国際人権規約(1966年)--経済的、社会的及び文化的権利に関する国連規約1条、および、市民的及び政治的権利に関する国際規約1条--にも組み込まれたもの。しかし、例えば、1960年の『植民地独立付与宣言』によって初めて、国際法上の「民族自決権」が植民地の独立に際しても適用される旨が明示された経緯を見れば明らかなように、「民族自決」(self-determination of peoples)の権利性の唱導は、遅くとも、第一次世界大戦直後のウィルソンであり、その主張はソ連の影響拡大に対する対抗措置として東欧諸国、ならびに、バルト諸国の政治的独立を促したものでしかないのです。


なにを私は言いたいのか。それは、「民族自決の権利は、植民地からの解放求める権利として、1960年代以降のアフリカ諸国などの独立を後押しした」などは「民族自決」のイデオロギーを巡る政治史と思想史の中では番外編の劇中劇程度の意義しかもたないこと。そして、「民族自決」のど真ん中の舞台は、英国のピューリタン革命、フランス革命、アメリカの南北戦争、もしくは、日本の明治維新に典型的な民族主義による国民国家形成の政治史と思想史であること。

後者を換言すれば、「民族自決」はゲルナーの言う意味での--「ある民族の地理的な分布と国際政治における政治的単位とを可能な限り一致させるべきだという主張である--民族主義の同義語にほかならない。ならば、民族主義がその内容においても説得力においても自己完結型のイデオロギーである以上、「民族自決」が人為的な現下の「国境」なるものの制約を原理的に受けることはないということです。而して、未来の国境の帰趨はある<民族>の民族主義の強固さとその<民族>の経済的と軍事的な実力の変数である。と、そう私は考えます。そして、諸民族が、百花繚乱、千紫万紅、咲き誇る<実存的な状況>としての「国際社会」なるものはそれ以上でも以下でもないということも。

蓋し、「外交交渉の歯車も加速させる」ことと「欧米による制裁強化」は矛盾しないし、白黒はっきり言えば、「外交交渉の歯車も加速させる」ことと「欧米およびロシアの双方の武力行使または武力による威嚇」もまた矛盾しない。要は、経済制裁も武力行使または武力による威嚇も<外交交渉>における持ち札に過ぎないだろうから。

いずれにせよ、少なくとも、朝日新聞が述べるようには「平和」なるものの価値、よって、「外交交渉」や「対話」の手段としてのプライオリティーが、現実の国際法秩序と国際政治において「民族主義」の価値、あるいは、ある種の「軍事的な交渉」や「武器を言語にして行われる対話」のプライオリティーに対してアプリオリに優っているとは誰も言えない。「対話を尽くす」という言葉の外延と内包には、「言語を武器にして行われる対話」の他に「武器を言語にして行われる対話」も含まれている。と、このことは確かであろうと思います。畢竟、日本のリベラル派の使う幾つかの用語の語義は世界的に見ても極めて異様な表象ではなかろうか。そう私は確信しています。


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木花咲耶姫



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