日中首脳会談の「勝者は安倍総理」という単純な事実の言語哲学的な確認





先日3年ぶりに行われた日中首脳会談(2014年11月10日)について、日本ではリベラル派から噴飯ものの言説が出ているようです。曰く、「中国は日本の首相と会う必要はなかったけれど、アメリカの顔を立てて面談しただけだ」、あるいは、「安倍首相は「中国包囲網」を築く外交を展開してきたが、習主席の仏頂面を前に強気の突っ張り外交も転換を迎えた」(『週刊朝日』2014年11月28日号, p.29)とか。

その中でも最も唖然としたのは同上の週刊朝日の記事に引用されていた、
支那に詳しいジャーナリストとかいう富坂聡氏の見解。以下、引用開始。

言葉だけでは、中国の国内世論が許さない。そこで日中は合意文書の形をとりつつも、肝心の文言の解釈では、あいまいさを残すものになった。前出の富坂氏は、このあいまいさが問題だと指摘する。「文書には「歴史を直視し、未来に向かう」という言葉が含まれています。「靖国」などの具体的内容に触れなかったことで日本外交の勝利と分析する人もいますが、それは違う。「歴史問題」というあいまいな言葉になって、日中間の歴史問題が何でも合意文書違反になってしまう」(ibid)

φ(。。;) φ(。。;) φ(。。;)

唖然。なぜか。
簡単な話です。

すべからく外交文書というものは--というか、究極的には「あらゆるテクストは」というべきでしょうか--曖昧なものだから。ならば、外交交渉の勝敗を分かつものは、その文章がどの程度の曖昧さを採用したかに収斂する。要は、その文章が採用した曖昧さはどちらの当事者にとってより有利かがポイントということ。更には、「究極の曖昧さのケース」とパラレルな事態として、その文書が不要だったのはどちらかということもまた。

>こんど我が社と取引させていただきませんか?
>そのうちに考えときましょう。

б(≧◇≦)ノ ・・・「そのうち」っていつやねん!


而して、日中首脳会談の勝敗は明確。
それは安倍総理の完勝だった。

理由は二つ。一つは、靖国にせよ尖閣にせよ現状は日本側が圧倒的に有利なこと。つまり、尖閣を日本は実効支配しており、更に、日本の実効支配の現状を支那が脅かす場合にはアメリカは日米軍事同盟を発動すると数次にわたって表明している。また、日本の首相が日本国内にある靖国神社に参拝することを法的にはもちろん--ゴルゴ13でも雇わない限り--物理的にも阻止することは支那であれアメリカであれ不可能。ちなみに、ゴルゴ13は安倍総理の盟友麻生総理と昵懇の関係らしいので、支那がゴルゴ13を雇う線も可能性は低い、鴨。

二つ目。安倍首相が支那に対してこれまで毅然とした対応を
とり続けてきたこと。このことは国内外で周知のこと。

ならば、自国に有利な現状を今般の合意文書『日中関係の改善に向けた話合い』(2014年11月7日)が採用した曖昧さでもって日本が譲る筋合いも義理もない。また、支那が今後、確かに支那のことだから、日中間の歴史問題を何でもかんでも合意文書違反と言い募ってくることは、寧ろ、確実でしょうが、日本国内世論はもとより、世界でも--韓国と北朝鮮の他の特定アジアの両国を除けば--だれも真面目には相手にはしないだろうということです。

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畢竟、分析哲学の日常言語学派の源流の一人J.L.オースティンが『言語と行為』(1962年)で整理したように、言葉を使用する営みである「言語行為」は、文字通り言葉を発する「発語行為」の位相と重層的に、例えば、検察官の起訴状朗読や裁判官の判決言い渡しの如き「発語内行為=何かを言うことで何かを行う」位相、更には、例えば、債権回収を請け負った任侠系や神農系の親分さんが債権者に「うちの若いもんはおとなしいもんばかりやのうて、わたしも困っとるんですわ」と呟くが如き「発語媒介行為=何かを言うことでその発語内容と意味的には無関係な/必然性の乏しい何らかの事態を惹起させる」位相も存在している。

老婆心ながら申し添えておきますが、これら3個の位相は、言語行為の「行為の種類」ではなくて、ある言語行為が社会の中で観察される視点の違いによっていずれかに見えるという「様相の種類」なのです。

ならば、今般の合意文書を作成するという共同の言語行為は--それは、仲良く一緒に小論文作成ではなく、将棋や囲碁で双方の棋士が盤上に火花を散らしながら共同で<棋譜>を作るイメージに近い?--、発語内行為、および、発語媒介行為の位相においてこそ政治的な意味がある。政治的な勝敗が決する。

而して、繰り返しになりますけれども、その曖昧さの観点と現状の有利さから見て、日本にとってはどうでもよい文章が作成されて世界に向けて発信されたこと自体(発語内行為および発語媒介行為の位相からは)、安倍総理完勝の証左である。と、そう私は考えます。例えば、この点、海外でもこう報じられていますからね。

▼China's Xi, Japan's Abe hold landmark meeting
China has sought assurances that Abe would not repeat his December 2013 visit to Tokyo's Yasukuni Shrine・・・.
Such a promise would be hard for Abe to make and the Japanese leader said last Friday that last week's agreement did not cover specific issues such as his shrine visits.・・・

▼日中の首脳間で画期的な会談が実現
支那は、安倍首相が昨年12月を最後にして今後は靖国神社参拝を行わないという確約をとろうとしてきた・・・。
けれども、そんな約束など安倍首相が到底出来るはずのものではないだろうし、実際、安倍首相は金曜日【2014年11月7日】に、今般の合意文書は安倍首相の靖国神社参拝など具体的な事柄に言及したものではないと述べた。・・・

(Reuters, Nov 10, 2014)



蛇足ながら補足。
ならば、土台、

「中国側は日本の首相と会う必要はなかった」という認識は成立しないのです。
それはリベラル派の負け犬の遠吠えにすぎない。

畢竟、解釈という作業は<テクスト>の意味がなんらかの理由で<読者>にとって曖昧になるにおよんで必要となるもの。このことは、聖書解釈学の歴史においても、ホメロスの詩句を巡る古代ギリシアの文献解釈学の歴史においても、訓詁学や朱子学に代表される儒教の経典解釈の歴史を見ても確認できる経緯。

而して、確かに先般の合意文書は曖昧の程度がそこそこ高い--抽象度が高い--ものとは言える。けれども、その合意文書をパーツとして含む日中首脳会談という<テクスト>全体を眺めるとき、先般の合意文書『日中関係の改善に向けた話合い』には何の曖昧さもない。

なぜか、
簡単です。

あの習首席の仏頂面を見れば、日中首脳会談の「勝者は安倍総理」
ということは子供にもわかることだから。

ならば、
先般の合意文書の意味把握において解釈学の技術や解釈の作業は不要である。
なぜならば、その<テクスト>の意味は<読者>にとって極めて明瞭なものだから。
要は、本稿は論理的には不要な記事だったということ。

(><)


けれども、日本には子供にもわかることをわからない支那に詳しい人物なり、
その言説に飛びつくリベラル派のマスメディアがまちがいなく存在している以上、
本稿は、政治的と社会的な位相では必ずしも無駄なものではないの、鴨。


ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿


113_20141126140935502.jpg


【資料】
▼Regarding Discussions toward Improving Japan-China Relations
November 7, 2014
Toward the improvement of the Japan-China relations, quiet discussions have been held between the Governments of Japan and China. Both sides have come to share views on the following points:

1. Both sides confirmed that they would observe the principles and spirit of the four basic documents between Japan and China and that they would continue to develop a mutually beneficial relationship based on common strategic interests.
2. Both sides shared some recognition that, following the spirit of squarely facing history and advancing toward the future, they would overcome political difficulties that affect their bilateral relations.
3. Both sides recognized that they had different views as to the emergence of tense situations in recent years in the waters of the East China Sea, including those around the Senkaku Islands, and shared the view that, through dialogue and consultation, they would prevent the deterioration of the situation, establish a crisis management mechanism and avert the rise of unforeseen circumstances.
4. Both sides shared the view that, by utilizing various multilateral and bilateral channels, they would gradually resume dialogue in political, diplomatic and security fields and make an effort to build a political relationship of mutual trust.

▼日中関係の改善に向けた話合い
平成26年11月7日
日中関係の改善に向け,これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが,今般,以下の諸点につき意見の一致をみた。

1 双方は,日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し,日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。
2 双方は,歴史を直視し,未来に向かうという精神に従い,両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。
3 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。
4 双方は,様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して,政治・外交・安保対話を徐々に再開し,政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。

http://www.mofa.go.jp/a_o/c_m1/cn/page4e_000150.html




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