マンハッタンで書店が激減--そこに垣間見える日本の地方創生のヒント




本屋さんが減っているらしい。このことは、誰しも気付いていることでしょう。
実際、私達の地元、川崎市の小田急線・柿生~読売ランド間でもこの15年間で、
イトーヨーカドーとかのテナント店と新百合ヶ丘駅の併設書店を
除けば他の5店舗が全滅したから、多分。

この件、毎日新聞はこう報じていた。

書店空白:新刊買えない332市町村 1日1店消滅の割合
新刊本を扱う書店が地元にない自治体数が、全国で4市を含む332市町村に上り、全体の5分の1に上ることが、書店情報を集計している出版社の調査で分かった。東京への一極集中や人口の急減によって、将来的に生活基盤が失われる恐れがある「消滅可能性都市」と一致する自治体が多い。一方、「地方の活字文化の拠点を残そう」と書店を復活させる動きも出ている。

調査は、書店のデータベース「ブックストア全ガイド」を発行する出版社アルメディア(東京都)が、取次店から仕入れている書店を対象に実施した。・・・全国の書店数は1万3736店(昨年11月末時点)で、調査を開始した00年以降で過去最低を更新。00年時点は2万1654店で、14年間で37%減少したことになる【外商のみの、つまり、店舗を構えない教科書販売専門の書店を除けば、2014年11月現在、実数は13000前後と思われるとのこと】。

最近では年約300店舗減っており、計算上では全国で1日1店弱の書店が消えていることになる。利用者が減っていることに加え、本を扱うコンビニエンス店の拡大やネット通販なども影響しているとみられる。アルメディアの担当者は「小規模店の売り上げの多くを占める雑誌が売れなくなったことも大きい」とする。

一方、店舗数は減り続けているものの、全国書店の総売り場面積は465万平方メートル、1店平均では363平方メートル(ともに昨年5月時点)で増加傾向を示しており、大規模店が増えている状況も裏付けられた。・・・

(毎日新聞・2015年01月05日


б(≧◇≦)ノ ・・・アマゾン!
б(≧◇≦)ノ ・・・コンビニ!
б(≧◇≦)ノ ・・・大型店舗!


そう言えば書店を巡る事情はマンハッタンでも同様らしい。
1年くらい前にNYTでこんな記事を見かけたから。

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Literary City, Bookstore Desert
Surging Rents Force Booksellers From Manhattan


When Sarah McNally, the owner of McNally Jackson bookstore in Lower Manhattan, set out to open a second location, she went to a neighborhood with a sterling literary reputation, the home turf of writers from Edgar Allan Poe to Nora Ephron: the Upper West Side.

She was stopped by the skyscraper-high rents.

“They were unsustainable,” Ms. McNally said. “Small spaces for $40,000 or more each month. It was so disheartening.”


文学の街が書店砂漠に
高騰する賃料がマンハッタンの書店に退場を迫る


Lower Manhattan【ウォール街もあり自由の女神像も遠望できるLower Manhattanにある】McNally Jackson書店のオーナーSarah McNallyが、もう一店舗(a second location)出店しようと思い文学的な声望に包まれたある地区を訪ねたとき。そう、Edgar Allan PoeからNora Ephronに至る作者が住んでいた地区、【セントラルパーク横の】Upper West Sideを訪れたときの話。

彼女はその超高層ビル並みの家賃の高さに愕然として出店計画を見合わせた。

「到底ビジネスを維持できる賃料ではないんですよ」「書店としては少し狭い床面積でも月に4万ドルかそれ以上するのですから。がっかりです(涙)」と、Sarah McNallyは語ってくれた。


Rising rents in Manhattan have forced out many retailers, from pizza joints to flower shops. But the rapidly escalating cost of doing business there is also driving out bookstores, threatening the city’s sense of self as the center of the literary universe, the home of the publishing industry and a place that lures and nurtures authors and avid readers.・・・

賃料の高騰によってピザハウスから花屋まで多くの小売業者がマンハッタンから追い出されている。而して、とどまる気配のないマンハッタンのビジネスコストの上昇によって廃業する書店も少なくない。このことは、けれども、世界の文学の中心というニューヨークの自己イメージを危うくするものだ。多くの出版社の拠点があるニューヨーク、また、そこは作家や熱心な読者を引きつけ育ててきた街なのだから。・・・


In the past, those smaller stores were pushed out by superstores — a trend memorably depicted in the 1998 film “You’ve Got Mail” — leaving book lovers worried that someday, Manhattan would be dominated by chain bookstores.

But now the chain stores are shutting down, too. Since 2007, five Barnes & Noble stores throughout Manhattan have closed, including its former flagship store on Fifth Avenue and 18th Street, which was shuttered in January. Five Borders stores in Manhattan were closed in 2011 when the chain went bankrupt, vacating huge spaces on Park Avenue, near Penn Station and in the Shops at Columbus Circle.

State data reveals that from 2000 to 2012, the number of bookstores in Manhattan fell almost 30 percent, to 106 stores from 150. Jobs, naturally, have suffered as well: Annual employment in bookstores has decreased 46 percent during that period, according to the state’s Department of Labor.・・・

少し前までは、中小規模の書店は超大型書店によって圧迫され廃業に追い込まれていた。そう、1998年に上映された映画「You’ve Got Mail」がよくその様子を描いていたように。その頃は、本好きの間では、マンハッタンは大型の書店チェーンによって早晩席巻されるかもしれないと危惧されていた。

しかし、その大型書店チェーンも今では廃業に追い込まれている。2007年以来、Barnes & Noble書店はマンハッタンの5店舗を閉鎖したけれど、その中にはこの1月に店じまいしたFifth Avenue and 18th Street【銀座四丁目】の旗艦店も含まれている。また、マンハッタンのFive Borders書店チェーンの2011年の倒産によって【マディソンスクエアガーデンやエンパイヤ-ステートビル近傍の】ペン駅の近く、そう、【マンハッタンの名所の一つ】コロンバスサークルのロータリー沿いの商店街にぽっかりと巨大な空き家ができてしまった。

ニューヨーク州の統計資料によれば、2000年から2012年にかけてマンハッタンの書店数は150店舗から106店舗に大凡30%減少している。当然ながら雇用機会も縮小するわけで、同期間に書店の雇用も46%減少。と、ニューヨーク州労働局はそう伝えている。・・・

(NYT・MARCH 25, 2014

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アメリカ全体では、しかし、大型書店はまだ健闘していると思います。つまり、アマゾンと棲み分けている、と。統計資料が手許にありませんから、この認識が間違いなら即撤回しますけれど、アメリカ在住の何人かのブログ友に聞いても大体同じ感想だった。

もしそうなら何が言えるのか。

それはマンハッタンという狭いエリア、しかも、世界の経済活動の中心でありよって賃料が高いマンハッタンという狭いエリアにこだわるから「世界の文学の中心もいまや書店砂漠」などというナイーブでセンチメンタルな認識が出るのであり、その賃料でビジネスができないならビジネスができる賃料のエリアに移転するか廃業しかないでしょうよということ。残存者利益を享受できるかもしれない少数のプレーヤー以外にとってはそういうことでしょう。これは日本でも同様、鴨。

重要なことはその際に、マーケットエリアを半径1.5キロではなく15キロとかに拡大して考えてみること。つまり、自分の書店が奉仕する<地域>をより広い範囲で考えることでしょうか。例えば、「書店が地元にない332市町村」は書店のある近隣の自治体と併せて<地域>と見立てるということ。要は、大駐車場とガソリンスタンド併設の大型書店。もって、<マンハッタン>の拡大。


アマゾンの創業が1995年、日本上陸も2000年。

では、そもそも人はなぜ書店に行くのか。
では、そもそも書店は何を売っているのか。

何を言いたいのか。

それは<物>としての書籍はアマゾンで買えるし、週刊誌はコンビニでも買える。自分のものにはならないけれど、また、いつでもお目当ての書籍が読めるというわけでもないけれど図書館にも<物>としての書籍は溢れている。ならば、書店が売っているのは「数多の書籍が実際に作り出している隠喩としての知的な情報空間で、お気に入りの書物があれば即座に自分の所有物にできる権利を与えられている自分という好ましいイメージ、および、自分と同様な他の人々とそんな好ましい時間を共有しているイメージ」、すなわち、<事>としての書籍だろうということ。

すなわち、書店、そして、いきなりですが、
ある意味、地方創生の鍵の一つは、

<地方>の拡大
<事>の明確化


ではないか。と、そう私は考えます。

・メディア論から考える古書店-古本屋はなぜ潰れないのか
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59466145.html

・海外報道紹介☆京都の<観光開発>に見るマーケティングの欠如(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59531586.html


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