ブログ友の書評:里山資本主義



 

「里山資本主義」(角川書店・2013年07月)藻谷浩介。副題は「日本経済は安心の原理で動く」 

2011年の東日本大震災のあとで話題になった本である。
あのときは、なんとなく一部でブームという雰囲気があったので、天邪鬼な私としては手を出しづらかった。
みんな、そろそろ忘れたころなので、安心して読むことにした(苦笑)。 

そもそも「里山資本主義」なる言葉自体が著者らの造語である。
では、その反対語は何か?「マネー資本主義」である。

 米国経済も、そもそも製造業を主軸としていたのだが、90年代に日本に完膚なきまでに叩き潰された。(ジャパンアズナンバーワンの時代)
 自動車も家電も日本の一強時代となり、職を失った米国の労働者が日本車を叩き壊した時代である。
で、日本企業は海外現地生産に大きく舵をきることになる。 

一方、米国は瀕死の自動車産業にてこ入れすると同時に、もうひとつの成長産業を生み出した。
それがITと金融である。


そして、その金融は実体経済をはるかに上回り、世界中を動きながら、すべての産業を投資対象という「商品」にしてしまった。
いまや、実体経済が金融経済に飲み込まれ、金融の動き次第でどうにでもなる。
 金融には国境がないから「グローバル経済」の波に全世界の人々が飲み込まれていくわけである。(グローバリズム)

 そこに、カウンターカルチャーとして登場したのが「里山資本主義」である。
ようは、大昔の里山であった「晴耕雨読」の生活を現代によみがえらせよう、という試みである。
 本書の中では、自然農法による農作物生産やたきぎの効率的な利用法であるエコストーブ、木質バイオマス発電などが紹介される。
バイオマス発電で脱原発をしましょう、という話ではない。


 本書のなかにあるように、それは現実的でもないし、目的でもない。
そうでなくて、地域経済の中で「燃料代」が外に流れていかないことが大事なのである。
そうすれば、地域外にお金が流出することが減る。流出が減ったお金は、地域の中で回り始める。
さらに「手間返し」といった、貨幣以外の価値の交換もはじまるだろう。


グローバル経済と正面向かって戦って勝てる経済体制は難しいし、現実的でもない。
しかし「ゲリラ戦」はできる、というのが本書の主張なのである。


そういうローカルな地域での「サブシステム」として里山資本主義が動きだせば、グローバル資本主義にじわじわと抵抗する、強靭な経済が出来上がることになる。
 自分で育てた野菜を食べ、釣った魚をたきぎで焼いて食べればGDPではゼロだが、しかし、彼の夕食は豪華で、しかもマネー資本主義に左右されない。

 

評価は☆☆。
 反グローバリズムって、こういうことだと思う。


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移民を制限して(それは別にいいけど)管理貿易を徹底し、内向きの経済体制にする。
そういう体制にすれば、反グローバリズムでやっていけるのだ、という論者が一部にある。
しかし、たぶん、それは駄目だろう。


 売れなければ買えなくなるのが市場主義の原則だ。
 動きの鈍いマネーは、それだけで食われる対象でしかない。


 管理貿易の網から逃れたところで、特権階級がうまい汁を吸うだけの結果になる。統制経済、全体主義のいたる結論は常に同じなのである。
それよりも、マネー資本主義で使えるところは使えばいい。


テキトーに付き合って、その裏で、ちゃっかり里山資本主義というサブシステムをまわすのだ。
 正規軍の戦いでは歯が立たないが、ゲリラ戦になればこっちのものだ。


なにしろ、その地形地勢を知りぬいた里山がこちらにはある。勝てないまでも、負けない戦いはできるのである。

 この本は、サバイバルの本なのである。
マネー資本主義とグローバリズムの真っ只中で、死なないために。
かといって、勝てない戦いをしないために。生き延びるために、里山に逃げ込もう、と誘っているのである。

 そうだそうだ。駄目なら逃げろ、とっとと逃げろ。
 三十六計逃げるにしかずと、昔から申す。 逃げるは恥だが役にたつ!!
そんな生き方があってもいいんじゃないかねえ。


転載元: 50過ぎて悪あがき(往生際が悪い男のブログ

 

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 <KABUコメント&関連記事>

私は、人間に「欲望・見栄」がある限り「里山資本主義」なるものは不可能であり、

「里山資本主義」などは、そう、アーミッシュとかヤマギシ会の域をこの主張は超えられないと思います。

 ・ウォーキング de 我が街「新百合ヶ丘」:
  岡上地区-完全包囲編(七)←後半に「里山」のこと少し整理しています。
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/b787614799ea209b634aa105fc7a7378


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飯豊青皇女


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