大統領の裁判官批判は「三権分立」を逸脱する異常な言動?--偏るのは勝手だけど、憲法もう少し勉強して記事書いてね朝日新聞さん

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>大統領の裁判官批判は「三権分立」を逸脱する異常な言動?
>偏るのは勝手だけど、憲法もう少し勉強して記事書いてね朝日新聞さん!
と感じた記事を目にしました。これです。

▼司法省、入国禁止無効「不服」 トランプ氏は裁判官批判
トランプ米大統領が署名した、難民や中東・アフリカの7カ国の国民の米国への入国を一時禁止する大統領令をめぐり、米司法省は4日、効力を一時停止させたワシントン州の連邦地裁の決定を不服として争う書面を同地裁に提出。地裁決定の効力の即時停止も連邦控訴裁に求めたが、こちらは退けられた。地裁決定を受けて米政府は入国を再開させ、取り消したビザも復活させたが、トランプ氏は今度は裁判官や司法制度に批判の矛先を向けている。

トランプ氏「馬鹿げている」 入国禁止、効力停止を批判

大統領令をめぐっては3日、無効を求めたワシントン州司法長官らの訴えを地裁が認め、一時的に効力を停止させる決定をした。司法省は4日、争う方針の書面を提出。同日夜には「入国禁止は大統領権限の範囲内だ」として、地裁決定の効力を直ちに停止するよう求める書面を連邦控訴裁に出したが、控訴裁は即時停止を認めず、改めて審理することを決めた。これにより、大統領令の差し止めが当面、続くことになる。

トランプ氏は4日朝、3日の地裁の決定についてツイッターで「法律執行を実質的に我が国から奪う、いわゆる裁判官の決定はばかばかしく、覆される」と発信。決定を出した裁判官に対し、正当性に疑問を投げかけた。

4日午後には「裁判官が国土安全のための入国禁止を止めることができ、悪意を持った人を含め、誰でも米国に入国できるようになるとは、どうなっているのか」と発信し、今度は司法が行政の決定を止めたことを問題とした。米国は憲法で三権分立を定めており、大統領が個別の裁判所の決定や判決を批判することはあっても、裁判官の資質を問題にしたり、司法と行政の関係を疑問視したりすることは極めて異例だ。・・・・

(朝日新聞・2017年2月5日19時35分, 下線部はKABUによるもの)
 
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あのー、セルフメイド男のあのアンドリュー・ジャクソン大統領は最高裁の違憲判決を歯牙にもかけなかったし、今でも世界の人権派さんのヒーロー、リンカーン大統領は、南北戦争中、コモンロー由来の鉄板の英米の憲法的権利の直系卑属「人身保護令状」を無視しまくった。そして、リベラル派の神君・フランクリン・ローズヴェルト大統領は「最高裁改革プラン=コートパッキングプラン」を掲げ最高裁に恫喝をかけ、あまたのニューディール関連法違憲判決を出していたその当時の最高裁を屈服させた。まして、トランプ大統領の今般の大統領令は憲法的にみても--内容への賛否は別にして、間違いなく憲法上の大統領権限内のものであり--合憲とする研究者が少なくない、筋もそう悪くないものなんですけど。

土台、アメリカにおいて「political questions:統治行為マター」に関する連邦憲法の有権解釈者は連邦議会とアメリカ大統領であり、司法府たる裁判所はそれらの案件については自己の解釈を控えるのが「正しい三権分立」の在り方とさえいえるのですけどね。朝日新聞は「三権分立」も「アメリカ憲法」もわからず、世界的にみても奇妙な日本の憲法研究者コミュニティーに流布してきた「立憲主義」なり「基本的人権」や「三権分立」の理解によりかかってこの記事かいたのかしら。他人事ながら心配になりました。

ArticleI. Section 8-9
To constitute Tribunals inferior to the supreme Court;
第1章[立法部]
第8条[連邦議会の立法権限]
第9項:最高裁判所の下に下位裁判所を組織する権限【を連邦議会は有する】

ArticleIII. Section 2-2
In all Cases affecting Ambassadors, other public Ministers and Consuls, and those in which a State shall be Party, the supreme Court shall have original Jurisdiction. In all the other Cases before mentioned, the supreme Court shall have appellate Jurisdiction, both as to Law and Fact, with such Exceptions, and under such Regulations as the Congress shall make.
第3章[司法部]
第2条[連邦裁判所の管轄事項]
第2項:大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件、ならびに州が当事者であるすべ ての事件については、最高裁判所は、第一審管轄権を有する。前項に掲げたその他の事件については、最 高裁判所は、連邦議会の定める例外の場合を除き、連邦議会の定める規則に従い、法律問題および事実問 題の双方について上訴管轄権を有する。

・立憲主義を守る<安全弁>としての統治行為論
 
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/d2b014fb5dcdcb6d9260f7aa8eec3c5f

・保守派のための「立憲主義」の要点整理
 
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9256b19f9df210f5dee56355ad43f5c3

・国際社会と日本との間で<人権>を巡る認識の落差が拡大しているらしい
 
http://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-11916348036.html 
 

而して、肉を切らせて骨を斬る。骨を斬らせて命を絶つ。今回の「敗北」によって共和党の穏健派も、今後、トランプ大統領が司法改革--最高裁判事および連邦判事への保守派の任命、および、所謂「裁判管轄権の剥奪:Jurisdiction-Stripping」(連邦憲法1条8節9項・3条2節2項)による、例えば、安全保障にかかわる入国審査手続に関する紛争事項の解決を連邦司法府の管轄外におく立法措置等々--をすすめることに反対しずらくなったの、鴨。

ならば、長い目でみれば、些か「春秋の筆法」になりますが、今回のリベラル派による差し止めはトランプ大統領の勝利の進軍の合図になったの、鴨。そして、今回の差し止めによって、トランプ大統領の2020年大統領選挙での再選もかなり可能性が高くなった。と、そう私は考えます。

いずれにせよ、イエール大学のアッカーマンはその主著『We the people, volume 1~3』(★)の中でアメリカにおいて憲法が変遷したことが過去に三~四回あったと主張しています。所謂「二重の民主制論」。つまり、アッカーマンとその愉快なリベラル派の仲間たちは、アメリカにおいて憲法が変遷したことが過去にもあったと考える。すなわち、建国期の「連合規約→連邦憲法」の創出、南北戦争前後の「国民国家としてのアメリカの形成」そしてニューディール期の修正資本主義の導入と1950-60年代の「Civil Rights:市民的権利」確立のときがそうであると。

これらの変革期にアメリカ連邦憲法は18世紀のその起草者の原意を少なからず手直しして--法哲学者のロナルド・ドウォーキン流に換言すれば「複数の著者により書き継がれた連作小説」の如く--現在に至っていると。ならば、8年後なり10年後、アッカーマン大先生は『We the People:volume 4』を書かなければならなくなる、鴨。保守主義と共和国アメリカの再生と蘇生をそのテーマとして。そうも私は希望を抱きながら予想しています。

>肉を切らせて骨を斬る!
>骨を斬らせて命を絶つ!
>これからさ、頑張れ、トランプ大統領!


★註:Bruce Ackerman『We the people』(1991-2014)
本書は--特に『volume 1』は--現在のアメリカにおける「リベラル系憲法基礎論」の一方の主柱。〈敵の手の内〉を知るためにも便利な一冊です。南北戦争の戦後復興期とFDRのニューディル期、加之、1950年代半ば以降の「市民的権利:civil rights」確立運動期におけるアメリカの政治的規範枠組みの変遷を扱う--よって、あの破廉恥極まる悪夢の「ウォーレンコート」がやらかしたトンデモ解釈改憲を俎上にのせて擁護する--続編(volume 2-3, 1991-2014)も「リベラル派による必死の言い訳」が敵ながら涙ぐましくて笑える楽しい労作です。

ちなみに、「二重の民主制論」とは、(1)政治過程を、憲法の変更に関わる「憲法政治」と、憲法の枠内で私的・公的な利害の調整が行われる「通常政治」に二分し、(2)前者に関しては、改正条項に則ったフォーマルな改憲手続きと、司法や行政府と立法府が解釈の変更によって行うインホーマルな改憲手続きも憲法基礎論の観点において差はない--すなわち、フォーマルとインホーマルなプロセスによって「変更後の憲法が帯びる正統性と正当性」に差はない--とするアイディアのことです(ちなみに、アメリカでは大統領ひきいるアメリカ政府が持つのは「執行権」であり、「行政権」は連邦政府と連邦議会、さらには、各州政府が分有しているのですけれども)。同論に関してご興味がおありのようなら、坂口正二郎『立憲主義と民主主義』(日本評論社・2001年2月)、阿川尚之『憲法改正とは何か-アメリカ改憲史から考える』(新潮選書・2016年5月)のご一読をお薦めします。
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大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義の批判を果敢に推進するための
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