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赤福と白い恋人☆賞味期限は必要なのか

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その地方を代表する食品メーカーが長期にわたり賞味期限表示ルールを逸脱していたことが次々に発覚している。例えば、北海道の「白い恋人」と伊勢神宮詣での定番土産「赤福餅」。法の網を潜ってきたその状況はこんなことらしい。以下、新聞報道(電子版)の引用。


●伊勢名物「赤福餅」、製造年月日を偽装表示の疑い

もち菓子の老舗「赤福」(本社・三重県伊勢市)が、製造年月日を偽って表示、販売していた疑いがあるとして、農林水産省と地元保健所が関係先の立ち入り調査に入っていることがわかった。

同省などは事実関係の解明を進めており、不正行為が判明すれば同社を処分するとみられる。関係者によると、偽装表示の情報を受けた地元保健所などが、同社の関係者から事情を聞くなどしているという。( 読売新聞:2007年10月12日3時5分配信)


●賞味期限改ざん10年「白い恋人」…社長も把握
北海道の代表的な土産「白い恋人」の賞味期限を製造元の石屋製菓(札幌市)が改ざんした問題で、石屋製菓の石水勲社長は16日記者会見し、賞味期限の改ざんは過去10年にわたり日常的に行っていたと発表した。改ざんの事実は石水社長も把握していた。

石水社長は白い恋人を含むすべての商品を店頭などから回収し、当初16日から4日間としていた自主休業を延長する意向を明らかにした。社員やパート職員の雇用は全員維持し、休業中に衛生教育を徹底するという。

石水社長らによると、「白い恋人」の包装袋を品質保持性能に優れたものに切り替えた1996年以降、同社の社内規定で4か月と決めていた賞味期限を、出荷する商品の2、3割程度について、5か月か6か月に改ざんしていた。7、8月は繁忙期になるので、急な注文に対応できるように在庫を増やしておくという。石水社長は「(今回の問題で)『石屋製菓の商品は気持ち悪い』というイメージがついたことはどうしようもない。消費者への裏切り行為をおわびする。創業精神を取り戻し、しっかりやっていきたい」と話した。(スポーツ報知:2007年8月16日15時45分配信)


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こんなことを言うと、私の若い同僚諸君からは「えー、嘘!」と言われかねないのですが、我が家は「食品の賞味期限」をあまり守らない。大体、缶詰や素麺冷麦等は極論すれば「古ければ古いほど美味い」というのは常識ですよね。加えて、我が家では納豆は早くて賞味期限を越えたあたりから食卓に乗せ始めます。つまり、KABU家においては納豆の賞味期限は美味しくいただくために「その日からは、まー食べ始めてもいいか」という解禁日なのです。こんな具合ですから、豆腐や魚貝類という足の速いものを除けば気をつけているのは牛乳くらいでしょうか。

だから、はっきり言って、「赤福餅」や「白い恋人」が賞味期限をたかだか1-2ヵ月胡麻菓子ていただの、売れ残った商品を原材料として再利用していただのは私達にとってはどうでもいいこと。それよりか、伊勢神宮の参拝というか名古屋出張には欠かせない「赤福」。北海道と言えば「中島みゆきさんでしょう」の次には声の掛かる「白い恋人」がしばらく食べられないことの方が(否、場合によっては赤福や石屋製菓が倒産したりして、そいでもって、「口に入るものなのだから消費者に一度与えたネガティブなブランドイメージの復旧不可能」とかで金輪際「赤福」と「白い恋人」が口にできなくなるかもしれない現下の情勢の方が)大問題です。

賞味期限・消費期限などの法的根拠は食品衛生法19条、また、同条を受けた「環食第299号厚生省環境衛生局長通知」(昭和54年11月8日付け)。けれども、それらに規定されている内容は、結局、「一般細菌、大腸菌群、食中毒菌等の検査をもとに製造業者が設定」あるいは「業界団体が作成した期限の設定に関するガイドライン等を参考にする」ことになることが多く、賞味期限・消費期限の期日確定はかなりベーグでフレキシブルなプロセスを経て決まっている。それが現状だと思います。尚、ご興味があれば、この賞味期限・消費期限システムの概要については厚生労働省の次のサイトを参照ください。念のために食品衛生法の関連条項を引用しておきます。

「加工食品に関する共通Q&A」
 http://www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/kakou2/index.html

食品衛生法
第18条 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
2 前項の規定により規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはならない。

第19条 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第1項の規定により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。
2 前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。



食品衛生法に基づく賞味期限の定義。つまり、「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」の「但書」を見れば明らかなように、畢竟、賞味期限なるものはかなりいい加減に決められている。つまり、賞味期限には多くの場合そう科学的な根拠があるとはいえない。実際、KABU家では夏に美味しく冷やし素麺をいただくために、わざと賞味期限から最低1年間は麺を暗所に保存しているくらいですから。

まして、「赤福餅」や「白い恋人」はよく練ったアンや堅く焼き上げた菓子。而して、よく練ったアンや堅く焼き上げた菓子の賞味期限、つまり、「美味しく食べられる期限」や「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」が(もちろん、それが何日間とか何ヵ月とかは素人でもあり何も言えませんが)、少なくとも新聞報道されている問題の「赤福餅」や「白い恋人」に表示されていた期間よりも遥かに長いことは確実だと思います。

更に、両社とも賞味期限表示に関しては違法行為を10年とか30年とかにわたって恒常的に繰り返してきたらしい。しかるに、表立っての健康被害は報告されていない。このことは、「赤福餅」や「白い恋人」の形式上の賞味期限にはなんの合理性もないことが証明されたということではないでしょうか。換言すれば、今回の不祥事の発覚は(少なくとも、「赤福餅」や「白い恋人」に関しては)現在の賞味期限の不合理性がいわば「全数調査」によって明らかになった事件でもある。それに、大体が使える材料を「焼却処分」するなんてもったいない。而して、売れ残った商品を再利用した赤福の姿勢は逆に日本人と日本企業の鑑と言ってもいいのではないか。「ネタ」などではなく真面目に私はそう考えています。

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けれども他方では、私は赤福や石屋製菓がこの不祥事が原因で倒産して「赤福餅」や「白い恋人」が金輪際口にできなくなったとしても仕方がないとも思う。煎じ詰めればその理由は唯一です。すなわち、「ルールの規定内容自体に合理性がないとしても、一度定まったルールを守ることは尊重されるべきだ」と私は考えるということ。


ルールの規定には合理性がないとしても、
一度定まったルールを守る姿勢は尊重されなければならない



納豆の賞味期限を「美味しく食べられる限界の期日」ではなく「美味しく食べ始められるようになる解禁日」として活用するのは、KABU家の勝手であり、その判断や習慣にともなう結果は自己責任のマターだと覚悟しています。けれども、その判断や習慣も賞味期限が誠実かつ正確に表示されているとの信頼の上に始めて成り立つこと。

加えて、賞味期限の表示にはゲーム理論の頻出論点、所謂「情報保有の非対称性」の問題が横たわっている。蓋し、商品情報に関して消費者に比べ圧倒的な情報量を持つ製造メーカーが、法律で義務づけられた情報提供のルールさえも守らないとすれば、消費者は商品購買ゲームにおいて(また、こと食品を巡っては「健康」の自己防衛において)極めて不利な立場に置かれることは明らかです。

蓋し、消費者と製造メーカーの取引関係をフェアにするという目的は、個々の商材について賞味期限の設定に介在する不合理の存在によっては自動的に否定されるようなことはない。そう私は考えるのであり、畢竟、市場の信頼を維持するためにも「ルールの規定内容自体に合理性がないとしても、一度定まったルールを守ることは尊重されるべき」なのです。

而して、何より、賞味期限表示ルールを製造メーカーが遵守しているという信頼が揺らぐようになれば、大げさではなく、食品商材の流通自体が凍結しかねないのではないでしょうか。また、賞味期限の表示ルールも守らない製造メーカーが他のルールは守っていると(例えば、汚染された支那の材料を使わない、安全基準値を遥かに越える支那製の添加物を使わない、輸入が禁止されている北朝鮮からの原料は間違っても使わない・・・等々のルールを遵守していると)信じろという方が無理というもの。

蓋し、ここまで考えたとき、来年伊勢神宮にお参りにいった帰りには「赤福餅」をお土産にすることはできないかもしれない、と。これら一連の報道に接して私は密かにそう覚悟を決めました。

でも、「赤福」も「白い恋人」もそれぞれ包装紙にも味わいがあるし、両方ともとっても美味しいですよね。倒産もやむなしだけれど、もしかなうことならば、「赤福」come back! 「白い恋人」come back! I miss you! ですね。これが正直な今の気持ちです。

「赤福」come back!

「白い恋人」come back!




(2007年10月24日:yahoo版にアップロード)

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