朝日新聞の前原発言批判☆十年一日の如きその「集団的自衛権批判」の滑稽と「大連立」という戦術の可能性

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【Patriot Advanced Capability】


自民党と民主党との「大連立」が泡立ち、そして、露と消えた感のあるここ数日、平成17年12月11日の朝日新聞社説「前原発言 外交センスを疑う」を読みかえした。朝日新聞の政治センスを疑った。と、同時にこの2年間の時間の流れが朝日新聞には全く影響していないことに「感動」した。そして、平成19年11月2日の福田首相と小沢民主党党首の会談で「大連立構想」が真面目に話し合われたこともあり、本稿でも記した自民党と民主党の「大連立」という手が日本再生のためには有効かもしれないとあらためて思った。

而して、自民・民主を問わずわれわれ保守改革派が闘っているのは、冷戦構造下の「安定した国際関係」の条件においてのみ、その荒唐無稽さが表面化することを免れてきた、「非武装中立」なるものが可能でもあり、また、日本はそれを率先して目指すべきとする戦後民主主義的安全保障認識をいまだに信奉する勢力だということがはっきり分かった。ならば、「大連立」を目指して、あるいは、政権政党としての国民信頼を勝ち取ることを期して、前原氏を含む民主党内の保守改革派には頑張っていただきたいものである。以下、2年前の旧稿の再録。

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正に、「センス」は雀百まで踊り忘れずの好例か。平成17年12月11日の朝日新聞社説「前原発言 外交センスを疑う」を読んでそう思った。この「センス」という言葉は、朝日新聞社説に特徴的な文学的表現ではなくて、論理性の欠如と国益意識の欠落を意味している。朝日新聞の政治センスの乏しさは、例えば、この社説が書かれた二日後、平成17年12月13日の産経新聞の社説「前原民主党 国益貫く路線支持したい」と対比するとき一層際だってくる。そう感じられた。

この社説は民主党の中枢が、(1)朝日新聞から見れば憎みて余りある小泉政権よりも過激な安全保障政策をぶち上げたこと、しかも、あろうことか、(2)朝日新聞が不倶戴天の敵と看做すアメリカとの協調を謳っただけでなく、あまつさえ、(3)朝日新聞が最もその意向を尊重配慮している中国を牽制批判したことに衝撃を受けて書かれたものと思われる。ここ数年肩入れしてきた民主党に裏切られた衝撃であろうか、それはいつもにもまして支離滅裂な内容。これを鑑みるに「前原発言」が朝日新聞に与えた衝撃は大きかったのだろう。気の毒なことだ。以下、原文を引用しておく。

前原代表は、民主党をどこへ導こうとしているのか。耳を疑う発言が米国発で届いた。

いわく、原油や物資を運ぶシーレーン(海上交通路)防衛のうち日本から千カイリ以遠については「米国に頼っているが、日本も責任を負うべきだ」。このため「憲法改正と自衛隊の活動・能力の拡大が必要になるかもしれない」。さらにミサイル防衛や、周辺事態になるような状況で「集団的自衛権を行使できるよう憲法改正を認める方向で検討すべきだ」と踏み込んだ。

これまでの自民党政権も踏み出さなかった、米軍などとの共同軍事行動の拡大論である。「対米一辺倒」と批判する小泉政権をも飛び越えて、いっそう米国に寄り添う政策を示したことになる。(中略)

もうひとつ、気になる発言が講演にあった。中国の軍事力は「現実的脅威」であり、「毅然(きぜん)とした対応で中国の膨張を抑止する」などと語ったことだ。(中略)中国に対して弱腰と取られたくないのだろう。だが、肝心なのは威勢の良さではない。首相の靖国神社参拝でずたずたになってしまったアジア外交を、民主党ならこうしてみせるという、外交政策の対立軸を示すことである。

韓国に関しても、竹島や教科書問題についての盧武鉉大統領の態度を手厳しく批判したこともある。その結果、希望した訪韓さえできない始末だ。

日米同盟は何より大事。中国には毅然と対する。だから民主党が政権をとっても自民党と変わりませんよ、心配はいりません。そう米国に言いたかったのだろうか。ならば、自民党政権のままでいいではないか。(以上、引用終了)


この社説の支離滅裂さは大きく2点に収斂すると私は考える。(甲)朝日新聞の推奨する外交・安全保障政策を誰もが認めるべきと考え、それを他者批判の基準に据える傲岸不遜、(乙)野党は与党とは異なる外交・安全保障政策を取るべきだという、根拠の乏しい認識というか朝日新聞が勝手にこしらえた妄想から前原民主党を批判する荒唐無稽さである。

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【Airborne Warning and Control System】


◆朝日新聞を中心に地球も安全保障も廻ってはいない
シーレーン防衛強化・集団的自衛権の容認・中国の脅威の認識:これらの前原発言については確かに賛否は分かれると思う。例えば、私は現行憲法においても日本は集団的自衛権を保有しておりそれを行使することもできると考えており、憲法改正によって「集団的自衛権を行使できるよう」にしようという前原発言にはいささか不満である。しかし、細部はどうあれ、はたして前原発言は「耳を疑われる」ほど特殊で間違った主張だろうか。実際、この同じ発言を他紙社説はこう評しているのである。

・シーレーン防衛:
「シーレーンの安全は、日本にとって死活的に重要であり、米国頼みでなく日本も責任を負うべきだというのは当然と考える」(産経新聞) 「中東からの原油輸送ルートは、日本経済の生命線だ。マラッカ海峡では海賊が出没し、海上テロへの懸念も強まっている」(読売新聞)

・集団的自衛権:
「前原氏はこの防衛で多国間の協力の枠組みに言及した。役割を分担する以上、集団的自衛権の行使とそれに伴う自衛隊の活動、能力の拡大が必要との主張だ。日本の生存がかかっているのに放置してきた問題を野党第一党の党首が提起したことを評価したい」(産経新聞) 「多国間でシーレーンを守るには集団的自衛権を行使する必要も出てくる。そのために集団的自衛権を行使できるよう憲法改正を検討すべきだ、というのが前原氏の主張だ」(読売新聞)

・中国の脅威:
「日中関係は、建前的な「友好」だけでは到底律しきれない。より根本的な利害の不一致が生起している関係を認め合うことで、建設的関係を取り戻す一歩になることを期待する」(産経新聞) 「中国は公表ベースで、国防費を17年連続で毎年10%以上も増やしているが、実際の額はその2~3倍とも言われる。海軍は、西太平洋にまで進出し、昨年11月には中国の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯した。中国の軍事大国化は地域の安全保障を脅かす要因となっている」(読売新聞) 「「中国脅威論」は国内の一部には根強いものの、党首が外遊先で発言するには政治的計算も必要ではないのか」(毎日新聞)


★社説出典:
産経新聞は先述の平成17年12月13日「前原民主党 国益貫く路線支持したい」:読売新聞・平成17年12月14日「前原米中訪問 責任政党としての自覚を示した」:毎日新聞・平成17年12月14日「前原発言 党活性化の引き金にせよ」



再度記す。私自身は産経新聞の認識を支持するけれど、これら3点について批判的に捉える見解があっても不思議ではないと思う。問題は他紙が自らの主張を何らかの事実で補強して読者の支持を獲得しようと努力しているのに対して、朝日新聞の社説は自己の認識について何ら敷衍していないことである。それは、あたかも「朝日新聞の認識は無謬であり、安全保障や外交の政策はその認識に従って行われるべきだ」と言わんばかりの態度ではないか。

「耳を疑う発言」の6文字を目にするとき、また、前原発言がなぜに「耳を疑う発言」なのかについて一切の説明を朝日新聞がスルーしているのを見るとき、「自分の無謬性を信じる傲岸不遜な朝日新聞」という理解以外のどんな解釈も難しいとおもう。而して、朝日新聞に対して私はこう言いたい。「あなた何様? 朝日新聞!」、と。
  
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【JMSDF AEGIS DESTROYER】


◆政権奪取を目指す野党が基本的な外交政策で与党に接近するのは当然
次の記事文章は、おそらく、朝日新聞の歴史に残る<迷文句>として朝日新聞の歴史が続く限り記憶されることになるだろう。「民主党が政権をとっても自民党と変わりませんよ、心配はいりません。そう米国に言いたかったのだろうか。ならば、自民党政権のままでいいではないか」である。

野党は(少なくとも)外交と安全保障の基本的な政策では与党とは異なる政策を取らなければならないとでも朝日新聞は言うのか? もしそうなら、どんな根拠でもってそう言えるというのか? 

読売新聞が社説で書いているように、「野党が政権交代を目指し、現実的な外交・安保を模索すれば、政府の政策と近くならざるを得ない。国の存立にかかわる政策が政権交代で大幅に変わっては、有権者は安心して政権を託せない」のであり;世界の政治史を紐解けば、むしろ事実は朝日新聞の主張の反対である。

例えば、かって、旧西ドイツで社会民主党(SPD)は、第二次世界大戦後の何度かの選挙で政権奪取を目前にして右派キリスト教民主同盟(CDP)に敗れ続けた。1959年に社会主義革命政党から中道左翼の政党に脱皮した後もSPDの敗北は続いた。経世済民の政権運営を任せるにたる信頼感を国民に与えることができなかったのである。さもあろう、SPD主導の政権が始めて誕生したのは1969年のことであり;それは1966年、SPDがキリスト教民主同盟と大連立を組みその政権運営能力について西ドイツ国民の信頼を勝ちとった後のことなのだから。

畢竟、CDPとの大連立の中でSPDはCDPの政策を真似、CDPから政権運営のノウハウを学んだのである。ならば、民主党が真剣に政権の奪取を目指しているのなら、民主党と自民党の(少なくとも)外交と安全保障の基本的な政策は接近してしかるべきなのではなかろうか。

要するに、朝日新聞の「ならば、自民党政権のままでいいではないか」という、心変わりした恋人に投げかけるに相応しいような前原発言批判は、単に、朝日新聞が自民党政権の安全保障と外交政策に反対してくれる野党を応援しているというだけのことではないのか。朝日新聞と(旧社会党出身者を中心に)自民党の安全保障と外交政策に反対してきた(今までの)民主党の間の個別特殊な支援の関係が、前原氏の登場によって変容しつつあるのかもしれないというだけのことであろう。

而して、朝日新聞の<迷文句>は自社と民主党との個別の関係を、与党と野党の安全保障と外交政策の差異一般に拡大したものにすぎない。そして、その拡大適用にさしたる根拠がないことは読売新聞の社説と旧西ドイツの故事からも明らかだと私は考える。

少なくとも、「首相の靖国神社参拝でずたずたになってしまったアジア外交」とか「竹島や教科書問題についての盧武鉉大統領の態度を手厳しく批判したこともある。その結果、希望した訪韓さえできない始末だ」という、外国(特に、中韓朝という特定アジア諸国)との間で紛争があるのは外交の拙劣さであり、その責任は日本側にあると、無条件に考えるような朝日新聞からの支持などは可及的速やかに捨てるべきことだけは確かであろう。民主党が政権奪取可能な野党に再生しようと本気で考えているのならそうだと思う。

前原発言が広げている民主党内の波紋について、産経新聞は「民主党内では前原氏の講演に対し、旧社会党出身者を中心に「非常に問題が多い」などと批判が出ている」「前原氏はあえてこうした批判を受けて立ち、党内議論を深め、基本路線を確立すべきだろう。憲法や安全保障などの基本政策をめぐる不一致の露呈を恐れるあまり、あいまいな結論を出すのに終始してきた従来の体質を払拭(ふっしよく)する好機でもある」と延べており、また読売新聞も、「訪米、訪中での一連の前原発言に、「反米・反安保」を引きずる旧社会党勢力を抱えた党内からは、「小泉首相と同じ発言だ」「党の方針に反する」と反発の声が上がっている。前原氏にとっては、想定内の反応だろう」と好意的に分析している。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

前原路線に従って民主党が政権奪取可能な本格的な責任野党に脱皮できるかどうか、私はそう楽観してはいない。しかし、民主党の生き残る道はその方向でしか開かれないだろうし、「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」の理(KOTOWARI)が正しいとするならば、民主党が責任野党に再生できず、(このまま)政権を担当する能力を持つ政党を一つしか持てないようでは日本の将来も危ういと言わざるを得ないだろう。



(2005年12月15日:yahoo版にアップロード)

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