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ALT(外国語指導助手)は必要でしょうか?

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まる4年前。もう随分前になりますが、2001年7月に文部科学省は「英語が使える日本人の育成のための戦略構想」という英語教育の指針を発表しました。この「戦略構想」の中で文部科学省は、①中学卒業時に英検三級程度、高校卒業時には英検二級または準二級程度の英語力を子供達に身につけさせるという具体的な成果目標を、日本の英語教育行政の歴史上初めて明示しました。また、その成果目標の達成をにらんだ施策として、英語を学ぶ子供達の動機づけのために、②高校・大学では在学中の留学の機会を増やす、③2006年度を目標に大学入試センター試験への英語のリスニングテスト導入を謳い。かつ、中学・高校における英語の指導体制の充実をはかるべく、④週2回以上は外国人が英語を教えること(そのために必要な外国語指導助手(ALT)総計11,500人の確保を目差すほか、外国人教員の正規採用を促進すること)を提唱しました。

旧聞に属する「戦略構想」ではありますが、私は小学・中学・高校の英語教育のあり方を考えるとき、いつもこの提唱を思い出します。それは、この提言が英語教育行政の指針として影響力を保持し続けていること;4年が経過た今も、この国の初等中等の英語教育はこの提唱の<御釈迦さんの掌>から一歩も出ていないように思われる。これが一つ。そして、特にALTの本格導入というポイントに私は当時も今も違和感を覚えているからです。

「何のための英語教育なのか」、「子供達にとって、また、国家や社会にとってALTの週2回程度の授業にどんな意味があるというのか」。数値目標を設定したことは評価されるべきだと思うものの、これら英語教育の目的について「戦略構想」はあんまり真面目に考えていないのではないか。そういう感想を私は払拭できない。以下、「ALTは必要か」というテーマを検討しながら行政が達成すべき英語教育の目的について考えてみたいと思います。


最初この「戦略構想」を目にしたとき私はいささか複雑な気持ちになりました。それは次のような葛藤を覚えたからです。

(イ)全国の津々浦々の学校現場で(それこそ今まで英語を母語とする生身の外国人なんか、大東亜戦争後に村にジープでやって来た進駐軍の兵隊さんくらいしか誰も見たことがないような地域でも)、週に2回程度とはいえ英語のネーティブスピーカーの外国人の先生から子供達が直接英語を教わることは、「純粋に素晴らしいことだよ」というポジティブな気持ち。

他方、(ロ)ALT導入は「コストパフォーマンスに問題があるよな」という認識;1名のALTを1年間雇う費用と現場が担うしかない彼/彼女のケアの大変さを考えると(格安のALTブローカーの仲介を頼んだとしても、そのコストと現場の気苦労は、日本人の英語教師をフルタイムで雇うのに比べても安いことはないでしょう)、11,500名のALTを雇う費用があれば英語教育に限定しても他にもっとやれることがあるんじゃないか、という気持ち。


これらのALTについての相反する(イ)(ロ)評価を同時に抱いてしまったのです。4年前も現在も、多くの<ALTの先生方>は、幾つかの学校を掛け持ちしながら多数多様なクラスを順次巡回されている。彼等のアカデミックやプロフェッショナルなバックグランドは(必ずしも)教育関係とは限らないし、実際、「時々教室に来て(日本人の英語の)先生の話を生徒と一緒に聞いている外国人のお兄さん/お姉さん」の域を出ないALTも少なくない。このALTのマクロ的に見た実情を知っている身としては、後者の「11,500名のALTを雇う費用があれば他にやれることがもっとあるんじゃないか」というネガティブな感想の方が漸次強くなってきています。

週に2回以上、よしんば、週5回のレッスンを英語のネーティブスピーカーから受けたとして、30人から40人の一斉授業を通して子供達の英語力が(会話力・読解力・聞き取り能力・英文作成能力のすべてが)、日本人の先生から授業を受けるよりも格段に伸びるということはまずありえない。この点については納得できないという方も少なくないでしょうが、ALTの授業を受け始める段階ですでに単語や文法の知識が豊富で、かつ、ALTのレッスンが始まってからも授業とは別に(自宅でも最低毎日)リスニングのトレーニングを30分以上は持続できるというような、能力的や向学心も高く家庭環境にも恵れたごく一部の生徒を除けば、私はそう断言できます。「基礎なくして応用なし」です。

そして、能力と向学心が備わっている生徒などどんなに多く見積もっても全体の2割どころか1割にも満たない。つまり、11,500名のALT導入というのは、公的な予算を使って全体の2割から1割の子供達にだけ有効かもしれない英語教育サーヴィスの提供にすぎないのではないのか、私は当時も今もこの疑念を捨てることはできません。私に言わせれば、ALT配備の制度目的は、英語のネーティブスピーカーと話す経験を積むことを通して子供達が英語を話せるようになることではありえない。もし、子供達の英会話能力の向上をALTの制度目的と言うのなら、厳しく言えば、そう言われる論者は英会話レッスンの効果についての素人か(どんな名目であれ予算が取れればいいと考える)詐欺師か、その両方かのいずれかだと思います。

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では、ALT配備の制度目的は何なのか? ALTはまったくの役立たずなのか。そんなことはない。実際、ALTの授業は子供達にそう評判が悪いわけではない。あたりまえです。異文化体験、しかも、異文化と生に接触する経験は誰にとってもファンタスティックであり、ALTとの生身の交流を通して英語圏の人々の生活や歴史や文化に関心を持つ機会を子供達に与えることは素晴らしいことに違いありません。ならば、ALTに関心を持つ ⇒ 英語に関心を持つ ⇒ 英語学習に気合いが入る/英語学習を継続しようと思う ⇒ 英語学習を頑張り続ける ⇒ 英語力が向上する ⇒ もっと頑張ろう思う ⇒ 英語力がさらに向上する、という良い意味の「風が吹けば桶屋が儲かる」式の<動機と努力と成果>の連鎖も期待できないではないでしょう。

まじ、<動機と努力と成果>の連鎖は馬鹿にならない。例えば、現在1学齢120万人の子供達がいるとして、(大学・短大・専門学校への進学の有無に関わらず)高校卒業の段階で英語学習をギブアップする生徒が同一学齢の(大あまに少なく見積もって)25%いるとします。すると、この中の1割でもALT制度のお蔭で英語への興味を持続できたとすれば、英語ができる/必要とあれば英語を身につける努力を厭わないタイプの労働力として、毎年毎年、現状よりも3万人多くの若者が社会に出て行くことになるのですから(∵120万人×25%×10%=3万人)。もちろん、この試算は「ALTの効果」と「日本の子供達の英語力の現状」に対してかなり甘い想定に基づいている。我ながらそう思います。けれども、ALT配備の制度目的として子供達のモティベーション維持向上を考えることは満更間違いではないと思います。

しかし、と私の中の天邪鬼魂がささやく(笑)。子供達に英語への興味を持ってもらい英語学習を頑張り続けてもらうことは果たして11,500名ものALTを配備するコストは見合うものだろうか、と。つまり、ALTのコストパフォーマンスは妥当なものか、と。しかも、子供達のモティベーションアップのためにALTはそもそも効率的な方法なのでしょうか。もっと、有効かつ廉価な方法があるのではないでしょうか。11,500名のALTを配備するコストはその人件費と採用・研修費用および研修と着任のための交通・宿泊費だけでも恐らく500億円は下らない。果たして、子供達に英語への興味を持ってもらい英語学習を頑張り続けてもらうことに500億円も使う余裕が我が国にあるのでしょうか。そういう問題です。

例えば、教科書採択区単位での年2回(各2週間)の英語コミュニケーション能力強化・異文化理解促進合宿、そして、その合宿準備も兼ねた月1回の英語のネーティブALT(というか、Assistant Language Performer = ALPという規定の方が現状に合うと思いますが)の巡回レッスンとかの方がはるかに廉価で効果にも当たり外れがないのではないでしょうか(効果が高いとまでは言いませんが)。まして、英語の能力開発以外にも教育の課題は幾らでもある;例えば、現在の子供達の国語力低下をなんとか挽回する、あるいは、国を思い国を愛する心を育てそれを子供達が日々の行動で表せるようにすることなど文教行政がタックルすべき課題は山積でしょう。ならば、財政再建の途上の現下の文教行政を取り巻く状況下で、11,500名ものALTを配備することは果たして合理的なのか。私は一英語教育屋として疑問を感じています。

冒頭で紹介した「文部科学省戦略構想策定」は数値目標と納期、およびそれらを達成するための施策を明記したものであり優れた政策の提唱だと思います。しかし、再度言いますが、肝心なことは「何のための英語教育なのか」、「子供達にとって、また、国家や社会にとってALTの週2回程度の授業にどんな意味があるのか」であり、「戦略構想」ではこの点はそう真面目に考えられているとは思えない。皆さんはいかがお考えでしょうか。ご意見を伺いたいと思っています。尚、日本の英語教育、就中、小学校からの英語教育導入に関しての私の基本的な考えについては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

小学校からの英語は必要か

英語ディバイドという現象-日本人に英語力は必要か



(2005年7月18日:goo版「英語と書評 de 海馬之玄関」にアップロード)

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