松尾光太郎 de 海馬之玄関 FC2版 | 上田桃子プロは女子ゴルフ界のエリカ様? 頑張れ桃子姫! 
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erikamomoko
【Beautiful Beast and Brilliant Champion】

もう10日前のことになりますが、KABUが応援している上田桃子プロが、全米女子プロ公式戦を兼ねたミズノクラシックで優勝。今期4勝目で上田プロ自身初の賞金女王に一歩近づきました。今日、11月15日現在、女子プロトーナメントツアーも残すところ後2試合(大王製紙エリエールレディスオープン:11月16日〜18日, LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ:11月22日〜25日)。上田さんはKABU&寛子さんと同じ九州出身ですが、広い意味の同郷というそれだけでなく、今回の桃子姫の優勝を私は大変嬉しく思いました。なぜか。

これまた、かなり旧聞に属しますが、上田桃子プロのオフィシャルブログが「炎上」したそうです。TBS系「情熱大陸」の10月7日の放送で、「同級生とかで、バレーとかバスケとかをしてる子がもう、不思議でしょうがなかったと言うか、先がないスポーツを何でできるんだろうと思って」という上田さんのコメントが発端になり、「他のスポーツを解りもしないのに語らないでほしい」「見てただただ腹が立つ。ゴルフだって稼げるの一部の人間だけじゃないか」「思ったことを何でもずばずば言えばいいというものではありません。【2007年度のツアーも最終盤に入った段階で賞金ランキングで貴方はTopに立っているのだから】昨年までの上田プロとは立場が違うということを認識しましょう」などといった批判的なコメントが多数寄せられたとのこと。この「ブログ炎上事件」以来、週刊誌等は桃子姫を「女子ゴルフ界のエリカ様」と揶揄する記事の on parade 。

「女子ゴルフ界ではないエリカ様」とは、そう、ご自分が主演した映画の舞台挨拶の際に「別っーに」と「不機嫌モード炸裂」させて世間から「おいお前、その小娘、お前何様」の顰蹙とバッシングの十字砲火を浴びた末に涙の謝罪会見に追い込まれた、あの<美獣>沢尻エリカ嬢のことです。上田プロの公式ブログのタイトルが「桃尻桃子の「待ってろ世界!」」ということもあり、後ほど記すように本来「月とスッポン」の両者を非常識な言動で世間を騒がせた21歳という共通項で括り、「沢尻&桃尻」とパラレルに扱う記事が続出したのです。

そんな、世間の「女子ゴルフ界のエリカ様」批判から1ヵ月。我らがおてもやん桃子姫は上で紹介したように、日本の女子プロトーナメントの中でも最も格上の大会の一つ、ミズノクラッシックの優勝で見事に世間の誹謗中傷を自力で捩じ伏せた。流石、肥後女! 凄いぞ桃子姫♪

さて、ここで話しはまた10月7日の「情熱大陸」に戻ります。「先がないスポーツ」発言によるブログ「炎上」を受け、翌10月8日、上田プロは速攻で件の発言の真意を説明しました。その大意は、件の発言はゴルフ以外のスポーツに情熱をもって取り組んでいる人を嘲笑したものではないということです。そして、インタヴューで話した「先がないスポーツ」 という批判の中心となった言葉の意味についても「だって、プロっていうものがないじゃないですか? なのにどうしてそこまで頑張れるのかなっと思って」と、これ以上ないほど正直かつ率直に自分の真意を説明した。また、その同じ10月8日の公式ブログ記事では、上田プロが、小学校4年生でゴルフを始め、バレーやバスケも学校でよくやってたことや、今では「冗談抜きで私スポーツ界の中で一番バレーをよく観るんですよ」とバレーボール好きをアピールしたのです。


こうして、ブログ炎上に結びついた桃子姫のTVインタビューコメントの内容を調べてみると、同じ21歳の<非常識な言動>として取り上げられたものの、<美獣>エリカ嬢の「別っーに」発言が、TPOにそぐわないだけでなく、TPOから切り離してその発言だけを見た場合にも無内容かつ礼儀知らずのものであったのに対して、(TV局が編集したインタヴューがゆえにTPOは元来問題にならない上に)問題にされた桃子姫のコメントは実は内容的になんら問題がないことは明らかだ、そう私には思われてきたのです。

否、桃子姫のコメントは現在の日本の若者に切に求められているあるタイプの資質を彼女が濃密に備えていることを示しているとさえ思える。それは何か? あるタイプの資質と何か? それは冗談抜きに「おてもやん性」であり「肥後もっこす性」ではないか。今現在、私はそう考えるに至ったのですが、それを説明する前に桃子姫と<美獣>エリカ嬢のプロフィールを比較しておきましょう。

◆おてもやん桃子姫
D.O.B. :June 15, 1986
Home Town:熊本県熊本市
School graduated from:東海大学付属第二高等学校卒業
Size: hight ー161cm, weight ー54kg, blood type ーA
Ranking:2006年賞金ランキング13位ー0勝
   2007年賞金ランキング01位ー4勝(2007年11月15日現在)
公式Web:http://www.momokoueda.com/
公式Blog:http://www.golblo.jp/momoko

◆<美獣>沢尻エリカ嬢
D.O.B. :April 8, 1986
Home Town:東京都
School graduated from:日出女子学園高等学校中退
Size: hight ー160cm, weight ーN/A kg, blood type ーA
公式Web:http://erika-official.com/index.html (女優キャラクタ版)
     http://www.erika-web.com/ (歌手キャラクタ版)


momoko


上田桃子プロの発言は何も間違ってはいない。私はそう思っています。上田プロが「お金が稼げるかどうか」という基準で、任意のスポーツを「先があるスポーツ」か「先がないスポーツ」かに2分したことは誰からも批判される筋合いわないということです。実際、「情熱大陸」の録画を何度見返しても、上田さんが「先がないスポーツ」を馬鹿にしているなどということはない。上田さんの語る「先がないスポーツ」とは「将来、人気が低迷し競技者人口も減少するようなスポーツ」という意味ではなく、「競技者がそれに職業として携われるスポーツ」という意味であり、これは「馬鹿にする」などの価値判断ではなく、「スポーツの職業としての可能性」という純粋な「事実認識」の問題に他なりません。

加えて、放送されたインタヴューの中で上田さんは、このような「スポーツの職業としての可能性」という純粋な「事実認識」を前提にした上で、あくまで、「私なら先がないスポーツではそんなに頑張れないよ」と正直に告白しただけではないでしょうか。つまり、上田さんは「先がないスポーツなんかやめれば」と他人に言っているわけではない。上田桃子プロのコメントをこう捉えるとき、「スポーツの職業としての可能性」と「どんなスポーツなら自分は頑張れるか」を巡る認識を披露したことの何を批判されなければならないというのでしょうか。何も批判されることはないに決まっています。

上田プロの言う、バレーボールやバスケットボールが(日本の女子において)「先がないスポーツ」という事実認識が間違いならそれを指摘すればよい。けれども、上田プロの事実認識が満更間違いでない場合、上田プロが「私なら先のないスポーツではそんなに頑張れないな」と吐露することを他人がとやかく批判することなどできはしないのです。それとも、ゴルフやテニスの賞金女王は、競馬の賞金獲得 Top 騎手は、あるいは、プロ野球やサッカーの億円プレーヤーは、その影響力を考えて「自分がどんなスポーツなら頑張れるのか/どんなスポーツなら頑張れないのか」を言ってはいけないとでもいうのでしょうか。

もし、そんな主張をする論者がいれば、その主張はそれこそ憲法の表現の自由と思想信条の自由を理解しない議論でしょうし、加えて、それは若い才能がどんな認識と覚悟でもって厳しい競争世界であるスポーツ界に飛び込んだかの本音を知りたいと思う多くの若者の知る権利を封じる権威主義的な言説と言われるべきではないでしょうか。

桃子姫の言う「先がないスポーツ」関係者が、「ゴルフの賞金女王は、「自分がどんなスポーツなら頑張れるのか/どんなスポーツなら頑張れないのか」などを公言して欲しくない」という願望を持たれることを私は否定も批判もしません。けれども、その願望は他者を拘束する権限も他者に反省を促すような内容も持ち合わせていないことは明確でしょう。この点が、自分が主演した映画の舞台挨拶という、いわば(それがグレーゾーンであるにせよ、おそらく)「主演女優」のタスクの範囲内かその極めて近傍の活動において、「別っーに」を連発したあの<美獣>のケースとは決定的に違う。私はそう考えるのです。


神ならぬ身の人間だもの。好きなスポーツや嫌い(というか、あまり、興味のないスポーツ)はゴルフやテニスの賞金女王にもあるに決まっています。けれども、「所詮人気商売」のプロスポーツ。ゴルフやテニス、野球やサッカーという「先のあるスポーツ」の、そのまた影響力の大きいTopプレーヤーがその好き嫌いや、興味の有無強弱を述べることには<政治的>というか<ビジネス的>配慮が求められるかもしれない。そして、そのような配慮はある競技分野で天下を取るほどの選手であれば21歳の小娘だからと言って免除されるものでもないのかもしれない。

この点で忘れられないのは、忘れもしない1983年の6月、史上最年少で将棋の名人位を獲得した21歳の谷川浩司さんのこと。現在の谷川九段(永世名人有資格者)はその時に既に、実にmatureな雰囲気を漂わせておられたと記憶していますから。而して、逆に、映画の主演女優という地位と状況にありながら、肝心の映画ファンを無視する態度と指弾されても反論できない「別っーに」を連発した行為は、21歳という年齢によっては弁明不可能なのだと私は思います。

自分が主演した映画の舞台挨拶で無関係な第三者の如き「別っーに」発言を連発したプロ意識の欠如(というより、成人した人間なら当然備えているべき社会性の欠如)について、もちろん、それらをすべて21歳の小娘のせいにするのは酷であり、それらの不細工な仕儀は沢尻エリカ嬢を「エリカ様」と舞い上がらせた周りが悪いという声もあるようです。けれども、沢尻エリカ嬢は沢口靖子さん以来の、ほとんど20年ぶりに日本映画界が得た「生まれつきのお姫様女優」にして「大女優」になりうる可能性も秘めた逸材だと期待していた分辛口になりましたが、概略、「「別っーに」は、21歳という年齢によっては弁明不可能」と私は考えています。

ここまで考えてくれば、われらが桃子姫の「情熱大陸」での言動が誰からも批判される筋合いのものではなかったことはいよいよ自明でしょう。蓋し、桃子姫は、「先がないスポーツ」を嘲笑中傷したのではなく、まして、バレーボールやバスケットボールなどの「先がないスポーツ」を嫌いとも興味がないとも言ったのではないのですから。

畢竟、「プロの世界と地続きでその道でお金を稼げる可能性のある、先があるスポーツかどうか」という平明明瞭な基準で「私ならそのスポーツで頑張れる」と判断すること。これは、冷静な自己分析と客観的な状況認識に基づくmatureな進路判断でしょう。つまり、芳紀21歳の上田桃子嬢の「情熱大陸」でのコメントは、しっかりしたセルフキャリアディベロップメントのイメージを桃子姫が小中学生の頃から持っていたことの証左なのです。而して、そのような自己分析能力と状況認識、加えて、ある進路を進んで行く自分の姿を具体的にビジュアルにイメージできる資質とスキルこそは、現在、小中高生の進路指導一般においても正に求められているものなのです。蓋し、上田桃子嬢の「職業としてのゴルフ選択」の決心のプロセスは公教育における進路指導の再構築のためにも大変参考になる素晴らしい成功事例と言えるでしょう。畢竟、上田嬢にその選択を可能ならしめた資質こそ、頑固な合理主義としての「おてもやん」性、あるいは、「肥後もっこす」性。そう表現するのが適当であるsomething ではないか。私はそう考えています。

ならば、上田プロのブログを「炎上」させたものは何なのか? 蓋し、桃子姫のブログを「炎上」させたものは、

(A)小学生や中学生が「そのスポーツの先のあるなし」で競技を選択すべきではない

(B)「先がないスポーツ」と「先があるスポーツ」などという2分法はそれが事実であったとしても(否、むしろ「事実であるがゆえに」でしょうか。)公の電波を使って流すべきアイデアではない

(C)昨年の優勝経験のない賞金ランキング13位の熊本の芋ねーちゃんゴルファーの発言ではなく、すでに今期4勝をあげほぼ賞金女王を掌中にしている選手の発言は「影響」が大きいがゆえに叩かれねばならない。また、ほぼ今期の賞金女王を掌中にしている選手なら「反論などすれば社会的に(あるいはCM契約などを考慮すれば金銭的にも)失うものが大きく」、つまり、こちら側は批判のし放題に違いない



というようなさもしい心根ではなかったかと私は想像しています。敷衍すれば、「スポーツでお金を稼ぐなどは本来美しくない」という大東亜戦争後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義的な思い込みと、上田プロ側から反論すれば「彼女自身失うものの方が大きい→上田プロ側が反論などするはずがない→叩き放題だ!」といった左翼や労組的なさもしい心根。少なくとも、それらと同質同根なものを私は「桃子姫ブログ炎上」に感じたのです。

畢竟、桃子姫は、姫より1学年年長の宮里藍プロ(1985年6月19日生まれ)や横峯さくらプロ(1985年12月13日生まれ)が、一足先にマスメディアに取り上げられ舞い上がっているここ2年間で着実に強くなったと思います。プロゴルフ関係者の間では「現在の日本女子で最強」と彼女が評されているのも同じ九州出身者の贔屓目ではなく納得がいくというものです。今年に関しては、(素人目にはですが)なんと言っても宮里・横峯の現在の両スター選手達より5センチ高い桃子姫の身長が(および、他者の追随を許さない桃尻姫の「脚の短さ」、もとい、上背の割に安定したその重心が)物を言っている気もしますが、今後、順当に推移すれば向こう10年以上続くだろう競い合いの中で上田桃子プロとそのライバル達の力関係がどうなるかは、正直、「神のみぞ知る」でしょう。

けれども、繰り返しになりますが、「私は先がないスポーツではそんなに頑張れないタイプだ」、ならば、「先があるゴルフの道で頑張ろう」と小学校高学年の少女時代に自己分析に基づく進路決断をできた上田プロの Self-Management Skill の資質は素晴らしいし、その資質こそ、正に、現下の日本の教育界がすべての子供達に涵養しようとしている「自己実現力」そのものでしょう。而して、今回のブログ炎上事件で端無くも明らかになったように、日本ではまだまだ嫌われる向きも少なくない、「自己実現力を持つ自立した人格」の進路決定プロセスの表白でもあった「情熱大陸」における上田桃子プロのインタヴューコメントは子供達にも参考になる進路思考パターンのサンプルであったし、それは自立した若きプロフェッショナルとしての気品と品格の表出でさえあった。私はそう総括せざるをえないのです。

蓋し、芳紀21歳の今にして戦う賢女の気品と品格漂わせる桃子姫。そのおてもやん桃子姫を、あの<美獣>と比べるなどは無意味な作業と言うべきである。あるいは、<美しいかもしれないが動物>の衝動的言動と上田桃子プロの「先があるスポーツ」コメントを比べること自体が桃子姫に対して失礼。私はそう考えています。今期残すはあと2戦。頑張れ、桃子姫! 


(2007年11月15日:goo版「英語と書評 de 海馬之玄関」にアップロード)

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