北朝鮮の軽水炉建設費を日本が「肩代り」☆福田政権は一刻も早く退陣せよ

kedo
【from KEDO Annual Report 2005, Appendix 1;in U.S. dollars】



福田政権は一刻も早く退陣すべきである。

このニュースに接してその感を深くしました。



●北朝鮮の軽水炉建設費債務、日本が事実上「肩代り」
政府は、北朝鮮が返済することになっている朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の軽水炉建設費用に対する国際協力銀行(JBIC)の融資残高448億円について、事実上、肩代わりすることを決めた。

政府がKEDOに資金を拠出し、KEDOが同銀行に返済する形を取る。資金の拠出は来年度から最長5年間にわたり、来年度当初予算案に約90億円を計上した。

外務省幹部は21日、「北朝鮮に今後、返済を要求する」として、「肩代わり」ではないとの立場を強調した。ただ、「北朝鮮が今後、返済に応じる可能性はほとんどない」(政府関係者)と見られており、北朝鮮の債務を日本国民の税金で補てんする形となるのは不可避の情勢だ。与党内からも、対応を疑問視する声が出ている。(読売新聞電子版:12月22日11時31分)


【資料】
・外務省KEDO関連資料
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/kedo/

・KEDO Official Site:Annual Report 2005
 http://www.kedo.org/pdfs/KEDO_AR_2005.pdf

冒頭に掲げた ”Total Financial Support by Country”でも分かるように、確かにKEDOに日本が出資した金額は必ずしも法外というわけでありません。「北朝鮮を主な不安定要因とする極東地域において、安定的な秩序が構築される場合、そのことから誰が最も利益を得るのか」という、受益者負担の観点からは、韓国(ROK)に次いで日本と米国が応分の負担を引き受けるのは当然といえば当然だろうからです。癪に障りはするが、東南アジアとオセアニアの諸国、そして、EUや南米の国々も幾ばくかの負担に応じていることを鑑みればそれもやむなし、ということです。

けれど、北朝鮮の核開発によってKEDOの枠組みが完全に崩壊した現在、なぜに日本が「北朝鮮の軽水炉建設費債務」を肩代わりしなければならないのか。それを納得する日本国民はそう多くないのではないでしょうか。それは金額の多寡の問題ではない。論理の筋の問題であり、感情の問題である。而して、(これは「死刑廃止」や「少年法改正」、あるいは、「ゆとり教育の見直し」等に向けた議論でも同様なのですが、)感情に任せた論議は厳に慎むべきことは当然ですが、国民に「ある特定の感情」が広範に共有されているという事実はあらゆる政策論議において無視できないファクターである。

加えて、国際政治のリアリスティックからは、「北朝鮮の軽水炉建設費債務を肩代わりする」という決断は、北朝鮮、そして、韓国と支那に対して今後「日本が北朝鮮に融和的に出る」という間違ったメッセージを送ることになりかねないと私は危惧します。畢竟、北朝鮮や韓国や支那に対してというより、率直に言えばアメリカに対して恩を売ったつもりが、逆に、支那・韓国・北朝鮮・米国からの日本への更なる北朝鮮支援の期待と北朝鮮に対する極めて冷淡な国内世論の乖離を拡大させることによって、「北朝鮮の軽水炉建設費債務の肩代わり」という今回の日本政府の決断は日本の極東アジア外交そのもを硬直化させ停滞させかねない。私はそう予想します。蓋し、「北朝鮮の軽水炉建設費債務の肩代わり」は愚策中の愚策である、と。

しかも、おそらく、この福田外交への批判はないものねだりではない。なぜならば、間違ったメッセージの送信を避けるためには、それこそKEDOの枠組み、すなわち、多国籍コンソーシアムの枠組みを使いそのコンソーシアムの中で日本が突出することなく国際協力銀行の債務を処理する方法はいくらでもあったと思うからです。蓋し、これは国際金融と国際政治を少しかじったことがある方なら、おそらく大学生でも思いつく程度のアイデアでさえある。

敷衍すれば、JBICからのKEDOへの融資は、将来北朝鮮が返済しない場合には、JBICが被る損失を関係各国政府(すなわち、日本政府)が補てんすると決まっていたことは間違いない。よって、今日明らかになった「肩代わり」という事態が孕む問題は、「日本が肩代わりする」ことを発表したことが帯びる国際政治的-国内政治的な意味内容とその発表形式の是非に収斂する。つまり、480億円は日本が払うにせよ、「日本は今後も北朝鮮に対して無原則な融和政策を取ることはない」というメッセージを発信する仕方は幾通りもある。例えば、「この480億円はKEDOの枠組みを壊した北朝鮮が払うべきだ」と世界に向けて数次にわたり発信する/その後、「信託」や「預託」類似の方法で480億円をJBIC自体や世界銀行に預けつつ、6カ国協議の中でこの問題を話し合うことを日本の北朝鮮支援の更なる条件として他の4カ国に認めさせる等々、手は幾らでもあったし、それは外交の常套手段でさえあるでしょう。

ならば、福田政権は確信犯的に、北朝鮮と韓国、ならびに、支那と米国に対して「日本は北朝鮮に対して今後は融和的に振舞う」というメッセージを送ったことになる。つまり、「日本が北朝鮮の軽水炉建設費債務の肩代わりする」という意思表示は間違ったメッセージなどではなく、それこそ福田政権の真意だったということです。而して、この対北朝鮮姿勢は、「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化も、(その核開発放棄にともなう)日本単独の北朝鮮支援も日本が取ることはありえない」という平成の大宰相・小泉純一郎元首相と安倍晋三前首相が堅持したラインを翻すものにほかならない。

しかし、時の宰相が自己の責任において熟慮と果断によって前政権の外交方針を改めることはあってもいい。否、国家としての基本的な外国方針と前提的な国際関係認識さえ維持するのならば、而して、個別日本の場合、日米関係の最大限の尊重と東南アジア-南アジア-中央アジアとの連携強化によって大洋国家を目指すというその外交のグランドデザインを機会ある毎に愚直に繰り返し繰り返し発信し続ける限り、その基本的な外交方針の枠内で個々のイシューに関して果断に方針を転換することは、むしろ、したたかな<外交の要諦>でさえあるでしょう。

蓋し、私は、福田政権が「小泉-安倍路線」の修正を決断したこと自体は批判されるべきことだとは思わない。そして、もし、、「北朝鮮の軽水炉建設費債務の肩代わり」を決断したことによって福田政権が今後批判されるとしたら、それは前政権の対北朝鮮政策の変更ではなくその変更の内容と変更に対する国民の支持を取りつけるパフォーマンスの貧しさに由来すると考えます。

すなわち、「国家の最大の責務は国民の生命・身体・自由・財産を守ることだ」という「小泉-安倍政権」の6年間で確認された日本外交の原則を否定する方向で、再度、田中-竹下派という守旧派が政権与党を牛耳っていた時代の日本外交に福田政権が戻そうとしているのかどうか。更に、この6年間で確認された日本外交の原則を変えることによって、どのような国際関係の再編を福田政権が目指そうとしているのかが今回の北朝鮮政策の変更が孕む最大の論点ではないでしょうか。

これらのことを日本国民に対して明確に説明することなく、あたかも、「北朝鮮の軽水炉建設費債務の肩代わりの案件」は、ある国際機関と日本との間の法技術的な債務処理の問題にすぎないと対内的には装いつつ、他方、対外的には、「日本は今後、北朝鮮に対して融和政策を取る」というメッセージを発信したことは、(その政権の外交姿勢を判断する材料の提示を政権自らが避けたということなのですから)「国家の最大の責務は国民の生命・身体・自由・財産を守るものだ」というアイデアに共感を覚える一群の日本国民からの支持を福田政権が不要と考えたこと以外の何ものでもない。


畢竟、「北朝鮮の軽水炉建設費債務の肩代わり問題」の核心は、福田政権の対北朝鮮政策(ひいては、特定アジア外交政策)の変化、および、国家の外交原則の変化なのではないでしょうか。らば、私は遠慮なくこう書きたい。

「北朝鮮の軽水炉建設費の肩代り」を決断した福田政権。しかも、(KEDOの枠組みと本質的に矛盾する「核実験」を行っておきながら/核実験を行ったことを自ら世界に宣伝しておきながら、KEDO枠組み崩壊の責任を日米韓に転嫁して毫も恥じない北朝鮮が「今後、返済に応じる可能性はほとんどない」どころか、少なくとも、KEDO枠組み崩壊の責任を急転直下北朝鮮が認めるのでもない限り「今後、返済に応じる可能性は論理的にもありえない」ことは子供でもわかることなのですから)「北朝鮮に今後、返済を要求する」として、姑息にも、今回の日本政府の措置は「肩代わり」ではないと外務省に強弁させるような福田政権。

国民を守る気概とスキルを欠いた

福田政権は一刻も早く退陣せよ、と。


私はこのニュースに接してそう思いました。

では、福田政権後の日本の権力図式はどうなるのか、また、どのような図式が望ましいのか(最もましか/最悪を免れうるのか)。これらについては機会があれば稿をあらためて私の予想と希望を示したいと思います。いずれにせよ、福田退陣による政局の混乱や政治空白の恐れ、あるいは、後継・後続の政権が果たして国益と国民を守ることにおいて福田政権よりも高いパフォーマンスを発揮しうるかどうかの心配などよりもなによりも、福田政権の一刻も早い退場がこの国と国民にとって現在の段階での最善手である。このニュースに接して私はそう確信しました。




(2007年12月22日:yahoo版にアップロード)

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
戦後民主主義を批判する営為の一環として、ブログランキングに
参加しています。結構、真面目に取り組んでいます。よろしければ、
下記リンク先【FC2ランキング】及び【人気blogランキングへ】
にクリックを二つお願いいたします。

fc2rankbanner
(↑)【FC2ランキング】

img35475
(↑)【人気blogランキングへ】
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


スポンサーサイト

テーマ : 北朝鮮問題
ジャンル : 政治・経済

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

少年法の改正

少年法の改正の情報です。

KEDO

KEDO向け融資返済支援=国際協力銀に、補正で90億円時事通信政府は20日、北朝鮮への軽水炉提供を計画した朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の活動停止を受け、KEDOに運営資金を供給していた国際協力銀行(JBIC) ... 北朝鮮の軽水炉建設費債務、日...

コメントの投稿

非公開コメント

正しいご意見です。賛成します。

福田政権に危惧していたことが現実となってしまいました。

投げ出しでも、方法はなんでもいいから、退陣希望します。
プロフィール

KABU

Author:KABU
大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義の批判を果敢に推進するための
yahoo版のミラーブログ。
2007年9月10日以降の新記事を随時、厳選した過去の自薦稿を漸次アップロードしていきます♪

百人一首 de 海馬之玄関
問い合わせ先
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
使用状況de電気予報
人間が好きになる名言集

presented by 地球の名言

人生が輝き出す名言集


presented by 地球の名言
夢を叶えるための名言集


presented by 地球の名言
仕事が楽しくなる名言集

presented by 地球の名言

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

ブログ内検索
検索 de 記事リスト
最新の記事
最近の記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2ブログランキング
fc2rankbanner
miniTube