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【予告編】外国人の地方参政権は残念ながら憲法違反ではない

pachigi


民主党の小沢一郎党首は、いよいよ、政局のためには政策や国益を道具に使っても毫も意に介さないというその本性を露にしてきたようです。

●永住外国人の地方選挙権法案 民主、提出へ調整
民主党は18日、永住外国人への地方選挙権を付与する法案の通常国会提出に向けた調整に入った。小沢一郎代表は同日、韓国の次期大統領特使として来日中の李相得国会副議長との会談で、「以前から早く実施すべきだと考えている。党内で早くまとめて実現したい」と述べるなど、積極的に取り組む考えを示した。李氏が「民主党と公明党が積極的に活動しているが、自民党が躊躇(ちゅうちょ)している。民主党がリードしてほしい」と要請したことに答えた。

参院へ民主党の法案を提出し、付与に前向きな公明党と慎重な自民党の「足並みの乱れを誘う」(参院民主党幹部)ねらいもあるようだ。

民主党内には、在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟の動きがある。また、民主党執行部の1人は産経新聞の取材に「代表が積極的なのだから旧自由党出身議員から反対の声はあがらないだろう。議論を始める」と述べた。

だが保守系議員には「自治体も安全保障に関する事務をとる。外国人が参政権で直接間接に影響を及ぼすのは困る」「選挙権は主権者である国民のもの」との反対意見がある。このため「逆に党内にガタつかないようにしなければ」(中堅)と警戒する声もあり、手続きがすんなり進むかは不透明だ。

民主党は結党時の「基本政策」で「定住外国人の地方参政権を早期に実現する」と明言。これまで、地方選挙権付与法案を国会提出したこともあるが、昨年の参院選の政権公約(マニフェスト)には、永住外国人の参政権に関する具体的な言及はなかった。(産経新聞:1月19日8時0分)



私自身は、地方レベルといえども外国人に選挙権を認めるべきではない。認めるとしても、1)(その地位が実質世襲されている)特別永住権者を除く普通の永住権者に対して、2)相互主義に基づき、かつ、3)地方参政権を新たに付与することにともない(犯罪歴や納税実績は言うに及ばず、日本語能力-日本の文化伝統の素養-日本国憲法の知識、就中、その核心たる皇室への崇敬がこの社会のマナーであること等々の要件をクリアすることを盛り込む)「厳格化された永住資格付与手続き」を経た上で、新たに永住資格を得た外国人市民に対してのみ地方レベルの選挙権を与えるべきであり、更に、4)その選挙権は一度取得されれば一生涯有効なものではなく毎年更新される類のものであるべきだと考えています。

・特別永住権者の排除

・相互主義

・永住資格の厳格化

・権利行使には毎年更新手続きが必要



ところが、「外国人の地方選挙権付与制度確立」に向け民主党がいよいよ舵を取ったことにともない、最近、「外国人選挙権は憲法違反」とする主張を目にするようになりました。もちろん、私自身、その結論には共感するのですが、この憲法論は成り立たないと考えます。而して、以下、外国人地方参政権の合憲判断を巡る私見のアウトラインを記すことにしました。このイシューにつきましては、民主党のロジックがもう少しクリアになった段階で「決定版-外国人参政権反対論」としてアップロードする予定。本稿はその「決定版」の<予告編>という位置づけになろうかと思います。

畢竟、「外国人地方参政権=憲法違反」の主張の結論には拍手ではあるが憲法論的にはそう簡単ではない(=そこには憲法違反のタイプと違反とは言えないタイプの「外国人への地方参政権付与」がある)。而して、そのような政治的には望ましくはあるが憲法論的には不正確な主張はむしろ利敵行為になりかねない。

まあ、「現行憲法は旧憲法に違反して無効」という主張ほど法論理的に馬鹿げていれば向こう側(戦後民主主義を信奉する勢力)も相手にしないから保守改革派としても実害はないのですが、「外国人地方参政権=憲法違反」の主張が戦後民主主義を信奉する論者に論破される場合、外国人参政権を認めるべきではないとする陣営全体のダメージになりかねない。これがこの予告編をアップした真意です。

***

日本が日本人の国であり、日本国が皇孫統べる豊葦原之瑞穂國のイデオロギーを中核として社会統合と社会の秩序を維持している国である以上、外国人、就中、(永住権が実質世襲される特別永住権者=)在日の人々に地方といえども、形式的な相互主義を根拠に参政権を認めるべきではないことは自明でしょう。けれども、定住外国人や永住権を持つ外国人に地方の選挙権を与えることは憲法違反とまでは言えない。憲法15条・93条の条から「憲法違反」だと断定する議論は、早晩、外国人地方選挙権を肯定する憲法論から粉砕されることになり、むしろ、それは否定論の足を引っ張る素人憲法論議である。私はそう思っています。

蓋し、個々の人権の固有の性質(Natur der Sache)から否定せられるべき内容に、すべての被選挙権と国政レベルの選挙権を含めることに関しては(「地球市民」なるオカルト的な権利主体を標榜する、大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義を信奉するカルト的憲法論者を除けば)争いはありません。他方、ある人権がその性質が許せば国籍・人種等々を超えて可能な限り広範に適用されるべきという主張は近代的な意味の憲法と整合的なのです。

ならば、地方の選挙権を外国人に与える立法は憲法が否定も要請もしていないニュートラルな領域にあると考えるべきである。少なくともそう考える立論は憲法論的にはそう簡単には否定されるものではない。ちなみに、そのような憲法論議を社会哲学的-政治哲学的な見地から乗り越えようとするのが(この予告編に続いてアップロードするであろう)私の主張の工夫なのですが、少なくとも、それを憲法15条や93条の字句だけから論証することは難しいのです。

畢竟、判例も通説も、外国人の地方選挙権(Not 国政&被選挙権)を認めることは憲法の要請とまではいえないが、それを認めるのが憲法違反というわけでもないとする。すなわち、判例・通説からは、外国人の地方選挙権付与の是非は立法政策の問題であり最終的には日本国民が決めるべき問題ということに尽きているのです(逆に言えば、一度、外国人に地方参政権を認めたとしても、後日、新たな立法でそれを否定することも憲法とはニュートラル)。

蓋し、外国人の地方選挙権が憲法の要請ではないどころか、憲法が否定するものだと主張したいのなら、地方自治と国政の具体的な連関性、および、外国人の地方選挙権を制限する人権制約の具体的な根拠を違憲論者の方が提示しなければならない。けれども、繰り返しになりますが、それは憲法15条や93条の文言だけからは演繹できないと思います。すなわち、外国人の地方選挙権に関しては憲法は否定も肯定もしていないと解する敵側の主張は見た目ほど攻略が容易ではないのです。

而して、外国人に(地方レベル)とはいえ参政権を与える立法例がどれくらいあるのかと言えば、EU域内を別にすれば、そして、「相互主義」を導入すれば自国が極めて有利になる韓国のようなケースを除けば、その実例は、大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義を信奉する反日人権派が喧伝するのとは異なりかなり限定されたものなのです。畢竟、この問題はその意味でも(諸外国はどうだとかの「潮流動向」とは別に)徹頭徹尾、立法政策の問題であり政治的な利害の対立の問題である。

私は、(納税の面でも素行の面でも日本社会のよき構成員であり、ご自身が日本の定住を選び、日本を愛しているが様々な理由から帰化をしていない一代限りに限れば)海洋国家日本という自由を愛する開かれた国家像と地方自治の制度と実務の成熟を考えれば、諸外国の例とは無関係に地方選挙権を認めてもよいと思いますが、逆に、本人の素行や貢献、日本への忠誠心とは別に<世襲>される「特別永住権者」の地位にある者に地方レベルとはいえ参政権を付与するなど認められないと考えています。

ならば、再三繰り返しますが、この問題は政治の領域の問題であり、政治哲学と政治運動の土俵で闘うべきものだと思います。尚、外国人を巡る私の基本的な社会哲学-政治哲学的な考えについては下記にURLを記した拙稿を参照いただければ嬉しいです。

外国人とはなんじゃらほい
 
アーカイブ☆外国人がいっぱい
 
・人権と民主主義は国境を越えるか
 http://www31.ocn.ne.jp/~matsuo2000/E/E36.htm



【資料】最高裁(第三小法廷)平成07年02月28日判決
憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。(中略)

そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。 (中略)

このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。

しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。(中略)

以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできず、その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤りがあるということもできない。所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定に憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法一四条及び右各法令の解釈の誤りがある旨の主張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条二項の解釈の誤りをいうに帰するものであって、右主張に理由がないことは既に述べたとおりである。(後略)


【資料】芦部信喜『憲法』三版
・・・地方自治体レベルにおける選挙権は、永住資格を有する定住外国人に認めることもできる、と解すべきであろう。(p.90)

【資料】長谷部恭男『憲法』三版
・・・定住外国人に選挙権を与えることが憲法によって要請されているとまで結論づけることは困難であろう。(p.131)




(2008年1月20日:yahoo版にアップロード)

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