台湾総統選に痛感する「人生も政治も万事塞翁が馬」

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【謝長廷候補:Candidate, Frank Hsieh】

チベットでの支那軍による殺戮が続く中で行われた2008年台湾総統選挙が昨日終わりました。国民党の馬英九・前主席(元台北市長:57)と与党・民主進歩党(民進党)の謝長廷・元行政院長(=首相&高雄市長:61)との一騎打ちになった台湾総統選挙。

で、結果は。はい、結果は「開票率99.32%の段階で得票数は馬氏が約759万票(得票率58.46%)、謝氏は約539万票(同41.54%)。投票率は前回2004年総統選の80.28%を下回り、約72.19%前後」とのこと。完敗でした。KABUも応援していた民進党の完敗。

この選挙の前に私は、「マックス・ウェーバーの有名な言葉を援用すれば、「政治とは理想を掲げながらも、現実を一歩でも半歩でも改善するべく、分厚く堅い板にギリギリと錐で穴を穿つ作業」である。ならば、まさかの逆転で民進党が勝とうがそう多くを期待せず、また、国民党が勝とうが日本にとっては「次善」くらいのつもりで、粛々と支那との「政凍経冷」関係への移行と日本の生命線である台湾とのコミットメントの一層の強化をはかるべきなのだ」と考えていましたが、やはり、民進党の敗北は正直残念です。

聞く所によれば、チベットで起きた「騒乱事態」が報じられるに従い、台湾でも支那共産党政権の暴虐強権ぶりに(国民党のかっての白色テロの記憶が甦ったことも加え、親支那の国民党に逆風が吹きつけ、その)国民党と民進党の支持率差が20ポイント近く狭まったとか。

しかし、率直に言って、チベットの「騒乱」に総統選の逆転の目を期待せざるをえなかった段階で、民進党には政権を担う力量(=台湾国民の支持)はないと多くの台湾国民は判断していたのかもしれません。もちろん、それはメディアの80%以上を握る国民党による情報操作、地方ボスによる票の取りまとめ、民進党とその支持者への国民党系暴力集団の白色テロの横行等々の裏面でもあるでしょう。しかし、「国民の支持」というのはすべからくそのような不純で非対称的の要素を清濁合わせ飲むじゃない濁濁鯨飲した上で定まるものだろ私は思います。


而して、一騎打ちの場合、勝者の得票と敗者の得票の差が「勝者の票の10%」を越える場合には、その勝負は<勝者の圧勝=敗者の惨敗>、「勝者の票の0%~5%未満」なら<勝者の辛勝>と政治統計学では考えます。

要は、あの木下藤吉郎氏やラルフ・ネーダー氏のような選挙に出ことに意義がある方の場合は別にして、その選挙が「本当の一騎打ち」と呼ばれるに価する展開になったケースでは、それぞれの固定支援者が有権者の各40%はいる(本当は、線形代数と確率論を使って整理されるもので、想定される場合分けもある程度複雑なのですがここでは40%にまとめます)。となると、結局、勝敗の帰趨は残り20%の取り合いにかかって来る。つまり、この構図で最終的に「勝者の得票の10%の差」がつくということは、投票先未決定者の60%強を勝者が取ったということ。少なくとも(当日に)この差を埋めることは「不可能だった」(←仮定法過去完了)と政治統計学からの選挙分析では考えるのです。

このブログ読者の皆さんにアイデアの押し売りはしませんが、どちらが勝ったとしても私はこの物指しに従いこの選挙を評価します。而して、残念ながらこの選挙結果分析基準からも民進党の完敗でした。

民進党大敗。国民党の圧勝。



この結果を素人ながら考えるに、結局、「支那」自体は争点にはならなかったということでしょうか。逆に言えば「台湾人意識」が集票力失った。すなわち、台湾人意識が台湾国内に遍く広がり、それは最早、国民党と民進党との差別化要因ではなくなったということ。

而して、多くの有権者にとって総統選びのポイントは経済と民進党の足腰の弱さだったのかもしれない、と。加えて、そのシャビーな経済政策とパフォーマンス優先の台湾独立の言動に関して、現在の総統・民進党の陳水扁氏への不満というか怨嗟の声は大きかったのかとも。特に、後者の「台湾独立」に関しては、不言実行の李登輝先生の総統としての手腕と比べれば陳総統の有言不実行ぶりは雲泥の差と台湾有権者の目には映ったと言えるかもしれません。畢竟、現在の民進党・陳水扁政権の政治的パフォーマンスの派手さと政治のパフォーマンスの陳腐さの落差が今回の総統選挙の結果にも少なからず影響したのかもしれない、と。台湾政治の素人ながら私はそう感じざるを得ません。


ウィトゲンシュタインが記した箴言にもある通り「人は語りえぬものについては沈黙せねばならない」。ならば、2008年総統選の結果分析と要因分析は専門のブロガーの皆さんにお願いするのが筋というものでしょう。而して、それらの分析はおいおいご教授いただくとして、畢竟、いずれにせよ、台湾が日本の生命線であることは紛うことなき事実。ならば、その政権が民進党であれ国民党であれ日本は台湾により深くコミットしていき、日米台の基軸を強化することで支那の影響を可能な限り封じ込めるしかないのではないか。

また、勝利した馬候補の主張がその国際関係の改革手順に関して現実性を些か欠いていることも事実。ならば、「国民党=馬候補」が勝利した今、日本は「日米台の同盟枠組み」の堅持を台湾の新政権に促し、更に、その枠組みを維持強化する現実の手順をも日米が誘導する覚悟を(矢面に立つ覚悟、血と汗を流す覚悟を)持つべきではないのか。蓋し、台湾への物心両面の支持を一層強め、支那とは「政凍経冷」の関係に一刻も早く入ることが肝要と思うということです。

すなわち、台湾と日本は運命共同体であり日米関係は日本外交の基軸であるが、偽ユダヤ人のイザヤ・ペンダサン流に言えば、台湾もアメリカも「空気」や「水」のようなものと日本人は考えているのではないか。ところが、一般のアメリカ国民(否、アメリカの上院下院の圧倒的多数のlaw makers)は日本のことなど関心はないに等しいし、台湾国民の親日意識も未来永劫不変なものではないと思います。

つまり、「結婚」と同じでそれらとの関係は努力しなければ漸次劣化する。この点で、私は日本の台湾への態度は「冷戦期」の意識のままのようなものではないかと危惧しています。要は、少々手を抜いても国際関係の基本枠組みから日米や日台関係は良好な装いを変えることはない、と。そう高を括っている傾向が日本人にはありはしないか。蓋し、それは二つの側面から言えるのではないでしょうか。

(1)外国人登録の国名表記や「支那製地球儀」や外務省のHPでも明らかなように、台湾への日本政府の対応はあまりにも失礼ということ。

(2)台湾への働きかけが極めて消極的ということ(よく言えば、不干渉、悪く言えば、戦略の欠如)。台湾が日本の生命線である以上、日本と日本人は台湾政権のどのような政策が日本にとって望ましいのか、さらには、(もちろん、台湾が日本の生命線である限り、台湾が支那に併合されない限り、どのような政策を台湾の政権が採用しようともベーシックな日台関係は維持されるとしても)望ましい政策を台湾政権が採用した場合と望ましくない政策が採用された場合とでは各々どんな対応を日本が採らざるを得ないかを台湾政府と台湾国民にアピールすることを怠っていること。


後者の(2)は、国際法が禁止する内政干渉などではないしそれは国際政治の定番の手練手管でさえあります。畢竟、(1)(2)を通じて言えることは、要は、良くも悪くも日本から台湾に対してコミットを強化することが必要と私は思うのです。コミットすることのリスクも果実も自己責任でenjoyする、その覚悟が日本には欠落してはいないか。それを私は危惧しています。

ならば、上記(1)の如き、到底、日本の生命線であり日本の運命共同体である台湾に対する行いとは思えない「失礼」な現実を改訂する要求をまず行うこと。それと並行して、より多くの日本人が台湾を訪れ台湾人と親しくなり、また、台湾企業とのジョイントベンチャーを始め企業間の取引を盛んにすること。これら友人への礼節を正すことと台湾との人的・文化的・経済的な相互依存関係の強化という地道なことから始めるべきだと思うのです。


正に、勝利した馬候補が仰った通り「選挙の終わりは改革の始まり」でしょう。ならば、その旧態依然とした国民党政治を倒せる民進党の再構築のためには民進党も自己改革を始めなければならないのではないか。蓋し、(a)内外の政策の練り直しは当然のこととして、(b)民進党の伝統的地盤である台湾南部だけでなく全国各地域の支持者を組織化し、(c)4年後を担える有為人材を発掘育成することが肝要。そして、政党の政治活動の足腰の強化と内外から安心感と期待感をもって迎えられる内政外交の政策の練磨の作業には4年間の準備期間はむしろ絶望的なほど短いとさえ言えると思います。

サッチャー首相(→メジャー首相)の磐石な保守党政権を倒すため、英国労働党は解党的出直しを行い、若手の宰相候補ブレア氏やブラウン氏等の育成、および、(新自由主義でも福祉国家型社会を目指す社会民主主義でもない)所謂「第三の道」の政策の構築と練磨におよそ10年近い歳月をかけた。また、平成の大宰相・小泉純一郎元首相の「小泉構造改革」は、実にその政治の師である先代・福田赳夫元首相が自民党守旧派に引きずり降ろされた1978年12月7日から小泉政権が誕生する2001年4月26日までの22年余にわたって練り上げらたものなのですから。

蓋し、次の戦いは4年後ではなく今日から(総統選挙の翌日の今日2008年3月23日から)始まっている。いや、むしろ、群論の先見的な研究により現代数学への道を切り開いた天才ガロアが(それが原因で亡くなる)決闘に出かける直前に論文に書き記したように「もう、時間がない」くらいなのです。そう私は考えます。而して、台湾を日本の生命線と捉える我々は、4年後といわず今日から「巻き返し」にかかりましょう。なーに、万事塞翁が馬です。勝ったのが国民党の「馬」候補だからなおさらそう言えるかも。(←駄洒落です。根拠はありません!)


それにしても、謝謝長廷候補の敗戦の挨拶と表情は立派でした。奥様も東洋的美人。人間の値打ちは「自分が逆境にあるときにどれだけ他者に優しくできるか」「自分が不遇のときにどれだけ自己開発できるか」にかかっていると私は自分の今までの実体験から確信していますが、謝氏はその点でも一角の人物であるとあらためて実感しました。

而して、そのような人物がそこにおられる限り民進党の改革的出直しの成功は堅いのではないか。ならば、台湾の政治は、将来的にはより健全になり強化されるに違いない。謝謝長廷候補の敗戦の挨拶をTVで垣間見て私はそう確信しました。

畢竟、「チベットの問題にかかわりなく日本が北京オリンピックをボイコットすることはない」とチベットの「騒乱」勃発から早々に表明する外務大臣、支那製毒餃子問題に関して「支那の関与」を全面的に否定する支那当局の発表を「非常に前向きと思う」と明後日なコメントを発して恥じない首相等々、マックス・ウェーバーの言う意味の「政治」に最も不向きな政治家にこの国の舵取りを任せているとしか思えなくなる昨今、日本人としては一種の羨ましささえ感じた今回の台湾総統選挙でした。


台湾加油!
西蔵加油!
日本加油!




(2008年3月23日:yahoo版にアップロード)

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