「福田康夫首相」とは何だったのか☆胡錦濤主席訪日の<成功>が照射する日本外交の機能不全

beijingolympic


5月連休明けの胡錦濤主席の訪日。北京オリンピックも閉幕した今となっては3ヵ月以上も前の出来事ですが、「福田康夫首相とその時代」を考える上でこのことを反芻してみることは無駄ではないかもしれない。これが「季節はずれの鯉幟」を俎上に載せようと思った理由です。出典は、New York Timesの Editorial(社説:May 10, 2008)” Mr. Hu’s Peaceable Visit to Tokyo” 「胡氏の穏やかなる日本訪問」 です。

胡主席訪日の成否は如何。例えば、The Financial Times(” Hu makes friends with old foe” 「仇敵を朋友にした胡氏」, May 8 2008)が” If diplomacy were built on goodwill gestures alone, there would be few worries about the state of Sino-Japanese relations. ”「外交の成否の度合いが表面的な好意の度合いとパラレルであるならば(もちろん、そんなことはありえないのだけれども)、支那と日本の関係には危惧されるべき事象は存在しない」と報じたように、胡訪日の具体的な成果はパンダのレンタルだけであったにしても、両国の協調関係を枠づけた点でそれは成功だったと世界は認識したと思います。流石は私が尊敬してやまない小平先生の弟子・胡錦濤主席。北京オリンピックがイベント単体としては<史上稀に見る成功>を収めたことも併せ「胡錦濤侮り難し」です。

私は「外交の成功」とは相手国と<友人関係>になることではなく、相手方がする行動選択の予測可能性が高まることであり、かつ、相手との紛争処理に関しては国際法と確立した国際政治の慣習に従い処理することに双方が合意できたこと、而して、交渉前の我が方の主張を相手方に採用させないまでも容認させることだと考えています。蓋し、支那と世界にとって胡主席の訪日は確かに成功であった。けれども、日本にとってそれは国際法的には理不尽で荒唐無稽なこれまでの支那の言動を不問に付したものに他ならない。すなわち、それは失敗であった。そう私は考えています。

畢竟、職業外交官として「福田康夫」は練達の士かもしれない。しかし、国益と国家のプライドを守ることがその責務のαでありωである内閣総理大臣としては彼は評価の対象にすらならないのではないか。蓋し、「福田康夫首相」とは宰相の器でない官僚流の器量自慢が国家の最高指導者の地位につくことが可能だった、そんな時代の日本社会の徒花である。私はそう思わざるを得ません。



President Hu Jintao’s visit to Japan this week was the first by a Chinese leader in a decade. It was a lot friendlier than the previous one — when President Jiang Zemin publicly chastised his hosts for not showing sufficient contrition over Japan’s brutal occupation of China in 1930s and 1940s. Unlike some of his recent predecessors, Japan’s prime minister, Yasuo Fukuda, has made an effort not to infuriate the Chinese. Notably, he has refused to pander to Japanese nationalists by visiting Tokyo’s tainted Yasukuni war shrine.


今週(2008年5月6日~10日)行われた胡錦濤主席の日本訪問は10年ぶりの支那最高指導者の訪日だった。江沢民主席の訪日、すなわち、1930年代から1940年代の野蛮なその支那占領を日本はきちんと悔恨していないと自分を迎え入れたホストを公然と非難した支那最高指導者の前回の訪日に比べればそれは際立って友好的だった。日本の首相、福田康夫氏も彼の前任者達とは一線を画して支那の国民を憤慨させないように努めてきた。とりわけ、福田首相は、東京の悪名高い靖国神社に参拝せず、つまり、日本の民族主義者に迎合することを拒絶し続けている。(★KABU註:靖国神社に対してtainted「腐った」「道徳的に堕落している」という形容詞をつけていることにこのNYTの社説子の勉強不足が露呈している。蓋し、日本政府はこのような間違った近現代史認識を助長する記事に対しては断固たる抗議を行うべきであろう)


It will be a good thing for everyone, including the United States, if these two powerful countries can finally get along. For that to happen, it will take more than just one harmonious visit.

Both sides worked hard to ensure that all went well this time, touching only cursorily on their bitter history. The two leaders agreed to regular summits and increased civil and military exchanges. Then there were the two pandas that Mr. Hu offered to Japan in lieu of one that recently died — an emotionally seductive touch.

There was more that should have been done. The two sides lamentably failed to resolve a lingering and potentially dangerous dispute over gas resources in the East China Sea. Still, they did claim progress. If that can be translated into a commitment for a joint exploration project, it could significantly ease tensions between them.


もし大枠において、これら強力な両国の関係がうまく行くのなら今回の胡氏の穏やかな日本訪問はアメリカのみならずすべての国にとって好ましいことである。胡氏の訪問が惹起した事どもを鑑みるとき、今回の訪問は1回きりの友好的な訪問には収まらないものであると言えよう。

今回、両国はすべてが無難に恙無く終わるよう精力を傾注した。実際、両国間に突き刺さっている歴史問題はほんのさわり程度に触れられだけだった。両首脳は定期的な首脳会談の開催、および、軍事・非軍事いずれの領域でも両国の交流を促進することで合意した。而して、胡主席は先ごろ死んだ一頭のパンダの代わりに二頭のパンダを日本に提供すると表明したけれど、これは日本側の琴線に触れることであった。(★KABU註:Yahooアンケート等を見るまでもなく、パンダ不要論が日本の圧倒的世論である。NYTのこの社説子は「日本人はパンダが大好き」固定観念に絡め取られているとしか思えない)

本来なされるべき幾つかのことが解決されずに終った。例えば、東シナ海のガス資源を巡る懸案。両国関係を抜き差しならないものにしかねないこの紛争が解決しなかったのは遺憾である。もっとも、交渉は前進したと両国は発表したのではあるけれども、もし、共同開発プロジェクトに関する協定の締結まで交渉が前進したとのならば両国間の緊張は著しく緩和されたに違いない。


On China’s side, Mr. Hu did not significantly address or allay concerns in Japan, and elsewhere, about his country’s military buildup. He could have offered to share information on its military strategy and arsenal. And he could have endorsed Japan for a permanent seat in the United Nations Security Council. Especially after the brutal crackdown in Tibet — and with the Olympics just three months away — Beijing needs all of the goodwill and understanding it can get.

That may explain Mr. Hu’s tolerant response when the Japanese leader laudably urged Mr. Hu to continue talks with the Dalai Lama. It will take a long time and a lot more serious effort for two competitors such as China and Japan to overcome their past. All in all, Mr. Hu’s visit to Tokyo was a start.


支那側では、日本でも他の国々でもそれに対する懸念が広がっている支那の軍備増強について胡主席は取り立てて言及せず、不信を払拭することもしなかった。胡主席にとっては、支那の軍事戦略と軍備についての情報共有化の提案や、他方、国連安保理における日本の常任理事国入りを支持することも満更できないことではなかったと思われるのだけれども。何といっても、チベットにおける残忍な弾圧以降、而して、北京オリンピックまで3ヵ月に迫った状況下では支那政府は獲得しうる限りの好意と共感的理解を必要としているのだろうから。

支那政府は獲得可能なすべての好意と共感を必要としている。福田首相が見上げたことにダライ・ラマとの対話継続を要求した際に胡主席が見せた穏やかな対応はその証左であろう。日本と支那という競争関係にある両国が過去のしがらみを乗り越えるためにはもう少し時間と更に一層真摯な努力が必要なのだろう。畢竟、胡主席の訪日は(両国関係改善の)スタートにすぎない。


(2008年8月27日:yahoo版にアップロード)

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