差別排外主義に抗して「国籍法改正に賛成→改正国籍法の単独の施行に反対」する

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「日本人たる父の子」が日本国籍の保有者であるかどうかを巡り、さる6月4日、最高裁が違憲判断を下した現行国籍法。その改正案も閣議決定され、国籍法改正が目前に迫ってきました。蓋し、現行の国籍法が「日本人たる父の子」と「日本人たる母の子」に、所謂「偽装認知」の危惧では説明のつかない不平等をもたらしているがゆえに、(憲法規範の内容を具体的に定める国民の法意識の変化に鑑み)遅くとも本判決の提訴がなされた2003年1月には現行国籍法は違憲状態にあったとの最高裁判決は憲法解釈的には妥当なものと言わざるをえないと思います。尚、閣議決定された国籍法改正案、当該最高裁判決および当該判決に対する私の基本的な考えについては下記拙稿をご参照ください。

・国籍法改正案
 http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan40.html

・最高裁大法廷国籍法違憲判決(2008年6月4日)
 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36416&hanreiKbn=01

・国籍法違憲判決が問う<国民概念>の実相と再生
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/54869476.html


11月4日の閣議決定。而して、国籍法改正法案は、18日に衆議院通過、翌週参議院で可決成立の予定。6月4日の最高裁判決以来、現在、90名を越える申請が保留されているとのことですから、法務省はいかに遅くとも来年の通常国会前半には改正案を成立させ今年度末に間に合わせる覚悟でしょう。而して、同法案に対する私の立場は次の通り、

「国籍法改正には賛成」
「改正国籍法だけの先行施行には反対」


蓋し、①予想される「偽装認知の横行」により我が国の「人的国境線」が有名無実化する不安、よって、この社会を統合している文化と伝統を共有する日本人という<政治的神話>の劣化による社会秩序の揺らぎ、端的に言えば治安悪化の不安により、(どのような世論調査によっても)国民の多数が同法改正に反対している事実、②同法案単独の改正には問題が多いこと。これらをアピールして、国籍法の改正は法論理的に必須としてもその施行は、今後行われるべき(DNA鑑定等を盛り込んだ)偽装認知等を予防牽制する具体的な戸籍法の下位規則の施行日と同日にする線で、私は懇意の自民・民主・公明の議員と議員秘書にロビーしていますが、正直、状況は厳しい。

なぜならば、法務省は、偽装認知が実際に社会問題化するのを待って、その既成事実を楯に「外国人差別」「男女差別」の批判を受けることなく(悪者にならずに)数年後の戸籍法等の下位規則の立法を狙っている節がある。また、DNA鑑定等を盛り込む当該下位規則自体に批判的な反日人権派も今般の国籍法改正に関しては法務省と連帯していますから。


■国籍法改正には賛成、国籍法単独の改正には反対
私は閣議決定された線での国籍法改正には「賛成」です。けれど国籍法改正だけを先行することには「反対」する。最高裁で違憲判決が出された以上、今回閣議決定された線での国籍法改正は不可避であり、よって、主張すべきは、国籍法改正よりもその運用を補強するための戸籍法等の下位規則の制定、ならびに、(特別永住権などという、一般の外国人からは、「不平等」とそれこそ現行憲法違反で訴えられかねない制度を残している)外国人管理法制度の同時改正であろうから。而して、それらの下位規則と外国人管理法制度が整わない限り国籍法改正も行うべきではない。

畢竟、今次の線での国籍法の改正、下位規則の整備、外国人管理一般の法制の改正という三位一体の法改正によって、「差別的でなく公平かつ合理的な国籍付与と外国人管理制度」の構築を目指すべきだ、とそう私は考えています。

●三位一体の法改正を!
・国籍法の改正
・下位規則の整備
・外国人管理一般の法制の改正



再度記しますが、今年、2008年6月4日に最高裁の国籍法違憲判決が出された以上、政府(行政・立法両府)にとって国籍法改正は不可避。しかるに、国粋馬鹿右翼の中には、「日本人たる父の子」が現在受けている不平等を直視したこの最高裁判決の意味を全く理解することなく、法理論的には反対しようもない国籍法自体の改正に反対する向きもある。そのような「差別主義的」な姿勢では、国籍法改正は当然としてその後の認知の手続を定める下位規則の立法論議においても、その主張は広く国民各層の賛同を得ることは難しくなろう。そう私は危惧しています。



■認知とDNA鑑定
「認知」は父または母の自由意思による申請のみで効力を発する。これは、「自己決定-自己責任の原則」という旧憲法から現行憲法まで我が国法秩序を貫く原則に沿った制度です。

よって、「日本人たる父の子」の認知におけるDNA鑑定導入の是非は、この「認知」制度一般との法的整合性が保たれるかどうか鍵になる。加えて、DNA鑑定導入には、(イ)プライバシー侵害・個人情報を行政が制度的に掌中にすることの是非、(ロ)「日本人たる父の子」と「日本人たる母の子」の間で生じる一般的な不平等を偽装認知の危惧によって「日本人たる父の子」だけに課すことを正当化できるかという憲法問題が伏在しており、これらをクリアにしなければDNA鑑定の導入は法的には難しいと思います。

蓋し、(父または母の自由意思による申請のみで効力を発する)認知は性善説に立った世間知らずの制度ではないのです。而して、さる11月14日に衆議院法務委員会で、国籍法改正に伴いDNA鑑定を導入すべきではないのかという自民党の赤池まさあき議員の質問に対して、法務省が以下の3個の言わば技術的難点、

[1]提出DNA鑑定検体のすり替えなどの問題
[2]DNA鑑定の精度に対する疑問
[3]DNA鑑定費用の問題


これらの難点に加え法務省が最初に挙げたDNA鑑定が難しい理由こそ、[0]「認知」が本来父または母の自由意思に基づく制度であることであることであり、これが上で私が述べたことなのです。畢竟、「日本人たる父と外国人たる母の子」だけにDNA鑑定を要求することは認知制度全体の整合性から難しい、と。

敷衍すれば、日本国籍とDNAは無関係ではないが法的にはそう必然性のある事柄ではありません。また、国粋馬鹿右翼のブログを見れば、要は、国籍法の改正は「支那人」や「韓国人」の偽装国籍取得が増えるから反対というものが少なくなく(甚だしきは、偽装でなくとも、支那人や韓国人とのハーフが日本人になるのは反対と主張する者も皆無ではない!)、最高裁が違憲とした現在の状態に言及するものは寧ろ稀。蓋し、このような差別主義的-排外主義的な主張ではおそらく世論の継続的かつ広範な支持を取り付けて「国籍法改正→下位規則の制定」を推進することは難しい。そう私は危惧せざるを得ません。


■差別排外主義からの為にする国籍法改正反対論は有害無益
国籍法改正反対を説く論者の中には、「国籍法が改正されれば20万円で国籍が買えるようになる(=偽装認知での国籍付与の罰金20万円)」「今次の国籍法改正案は河野太郎氏が座長を務める自民党法務部会国籍問題プロジェクトチームで、河野氏が提出した座長私案に基づくものだ」等々荒唐無稽な「批判」が展開されています。しかし、それらが虚構に過ぎないことは例えば河野議員の次のブログ記事を読まれれば明らかではないでしょうか。

 http://www.taro.org/blog/index.php/archives/946


畢竟、国粋馬鹿右翼が(支那人や韓国人を主に念頭に置きつつ)外国人の流入を防ぎたいという差別排外主義の気持を抱くのは彼等の勝手。けれど、その願望を「6月4日の最高裁判決」が違憲と判断した現行国籍法の改正反対の理由にするなどは法的には筋悪の主張である。このことを、「偽装認知→国籍の違法付与」の横行を危惧する健全な反対派は理解すべきでしょう。

而して、「通常(米国永住権)の申告制度では申告する側がその証明・証拠となる資料を用意するのが常識」「改正国籍法案は(現行の)国籍付与条件である「婚姻による嫡出子の身分」を破棄し、「父母の認知だけを要件」とするものだ」、あるいは、「ドイツでも「認知」だけによる国籍付与は失敗し見直されている」等々の虚偽、百歩譲ってもミスリィーディングな言説は、反日人権派に格好の反撃の糸口を与えるものであり、中長期どころか短期的にも健全な反対派が危惧する単体での「国籍法改正」とその定着に道を開きかねない有害無益なものになるのではないかと怖れます。

例えば、米国における永住権の申請は、外国人に自国の国籍(=米国籍)を新たに取得させるかどうかに関する手続であり、それは何をもって自国籍保有権者かどうかを判定するかを巡る現下の「国籍法改正論議」とは位相を異にしている。また、「改正国籍法案は国籍付与条件である「婚姻による嫡出子の身分」を破棄し、「父母の認知だけを要件」とするものだ」などは、現行の国籍法では出生前に父から認知を受けた子、更には、日本人たる母の子は日本国籍を取得すること、よって、現行法でも、「婚姻」は必ずしも国籍取得要件ではないこと(而して、国籍法2条1号と同法3条1項を巡るこのポイントこそ6月4日の最高裁判決の焦点であったこと)を故意か過失か知らないけれど看過した噴飯ものの主張なのです。

蓋し、アメリカにおける「永住権付与手続」と本邦の国籍付与ルールの差異、あるいは、ドイツを始めとするEU諸国の「出生による国籍付与=権利主体を定めるルール」とそれを判断する手続規定との差異、更には、外国人労働者の受入制度や二重国籍制度と出生による国籍付与制度の差異を混同した国籍法改正反対論は説得力を持ち得ない。

いずれにせよ、(i)最高裁判決から見て必至たる国籍法改正の問題と、(ii)その改正から生じる不具合を予防する手続規則の制定の問題、かつ、(iii)改正国籍法と手続規則の同時施行の要求、これら三者はきちんと区別されるべきだと思います。

畢竟、国籍法改正反対のイシューを「差別排外主義的な政治運動」としてではなく、グローバル化の時代におけるこの社会の、社会統合と秩序維持のパフォーマンスを維持向上させるために不可避な課題として捉え、そのための立法を立法府に論理と条理を添えて要求する。この目的と営為のために私も微力を尽していく所存です。

而して、私の具体的な主張は、

(A)閣議決定での線での国籍法改正は不可避

(B)DNA鑑定を国籍法・戸籍法自体に盛り込むのも憲法論的には難しい

(C)戸籍法の手続規定や、国籍法・戸籍法の運用下位規則で、「偽装認知がいかにも疑わしい/組織的偽装が疑われる法的要件」に対する、違法状態の瑕疵を職権で治癒するための手段として(「国籍付与の判断の瑕疵」を判断する手続規定に)DNA鑑定等は導入すべき

(D)国籍法改正の施行は(C)述の下位の運用規則の施行日をもって同時に行うべき。すなわち、それまでの、単体での国籍法改正は不当というもの


差別排外主義に抗して、「国籍法改正に賛成」かつ「国籍法の単独の改正には反対」。連帯を求めて孤立を恐れず(笑)、頑張りましょう。




(2008年11月16日:yahoo版にアップロード)

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