アメリカ再起動-オバマ次期政権の骨格浮上する☆WPST記事紹介(上)

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2008年12月1日、オバマ次期政権の外交安保チームの人選が発表され、バラク・オバマ次期大統領は「米国が指導力を発揮し、21世紀の課題に取り組む新たな時代が来るべき時だ」とその抱負を吐露された。而して、「米国が安全であるためには、軍事力と強大な外交を組み合わせなければならない」とも。ところで、日本ではオバマ政権はブッシュ政権と比べ、

(1)軍事力より外交重視の外交スタイル
(2)単独行動主義ではなく国連中心主義の対外政策
(3)新自由主義的経済政策ではなく福祉重視の経済政策
を採るものと伝えられている向きもあります。

もちろん、ブッシュ現政権との比較においては(1)~(3)は間違いではないかもしれな。けれども、しかし、それは日本で伝えられているものとはかなり濃淡を異にすると私は思っています。

まず、軍事力より外交重視の外交スタイル。畢竟、オバマ次期大統領もまた必要とあればその「軍事力の行使」を毫も躊躇うアメリカ大統領ではないです。むしろ、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争というアメリカが係わった大規模戦争はすべて民主党政権下の出来事であったこと、前回の民主党政権(クリントン政権)下でもアメリカ主導のNATO軍はユーゴ空爆を敢行しユーゴの再分割を促したことを想起すればこのことは自明ではないでしょうか。

また、アメリカにおける国連の評価、国連の権威なるものは(日本を除く世界の大部分の国におけるのと同様)「常設の国際会議場」を大きく超えるものではない。要は、「単独行動主義」なるものをオバマ政権が採用しないということは、アメリカは自国の問題にのみ専念してそれ以外の問題には他国との連携が取れる範囲でかかわるという、一種の「モンロー主義」をオバマ次期政権が採用することと同値だと考えておいた方がよいとさえ思います。

而して、新自由主義的経済政策の放棄。経済運営においてはかなりドラスティックな変化が起きるかもしれない。しかし、ここでも(大東亜戦争の戦後、否、1940年体制以降、小泉構造改革までの60年余の間)「世界で成功した唯一の社会主義国」であった日本が肝に銘じて置くべきは、アメリカは徹頭徹尾、自由競争と自助努力、すなわち、自己責任の原則に価値を置く「資本主義-自由主義」の国だということです。

而して、次期オバマ政権下で新自由主義的経済政策の放棄なるものが実施されるとしてもそれは、所謂「勝ち組-負け組み」の現出を嫌う「平等主義」的の心性からのものではなく(自由な競争を歪める独占を排除すべく、資本主義的な競争を守るために「独占禁止法」が制定されたのとパラレルに)、むしろ、現在の(特に、野放図な金融業界の)競争のあり方が「自由な競争」や「敗者復活」の余地を狭めており、富の不公正な社会的配分を引き起こしているという資本主義的な競争の再生と貫徹を望む心性からのものかもしれない。そう私は考えています。

いずれにせよ、オバマ政権下のアメリカは、世界唯一の超大国でなくなったアメリカをアメリカ国民が現実に直視せざるをえないアメリカ。前途多難ではあると思います。而して、アメリカの同盟国の我が日本も。

今回発表されたオバマ政権の陣容を目にした第一印象は「安定基盤の上で改革断行を目指す布陣」というもの。ある意味、オバマ氏の<老獪>さを感じました。蓋し、民主党支持者から見ればゴアがしくじったときから、そして、共和党支持者に言わせれば先代ブッシュ大統領が再選に失敗した時から、つまり、1992年から16年間、アメリカは「分裂」していたのがこれでようやく「挙国一致」に向かう予感を感じる。而して、この「分裂からの再統合」こそオバマ次期大統領が大統領選挙期間中から、否、あの伝説の2004年7月27日の民主党全国党大会での基調演説から2008年12月4日の勝利演説に至るまで繰り返し国民に語りかけてきたものだと思います。勝利宣言でオバマ氏は共和党支持者にこう語りかけています。

Let's remember that it was a man from this state who first carried the banner of the Republican Party to the White House, a party founded on the values of self-reliance and individual liberty and national unity. Those are values that we all share.


思い出してください、共和党の旗を掲げて初めてホワイトハウス入りしたのは、この【イリノイ】州の人【エイブラハム・リンカーン】でした。共和党とは、自助自立に個人の自由、そして国家の統一という価値観を掲げて作られた政党です。そうした価値は、私たち全員が共有するものです。


・オバマ次期大統領の勝利演説
 http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20081105-06.html


これから共和党は冬の時代だと思いますが、アメリカ政治が好むと好まざるとにかかわらず「内政中心」になることは避けられず、そうなると、アメリカ人のアイデンティティの再構築がアメリカ政治の一つの争点になるのかもしれない。具体的には新しい移民層をどうアメリカが社会的に既存の「アメリカ人」と融和的に統合できるかどうか。その場合、アメリカ社会の地下を流れる大水脈「キリスト教的心性」がどう変容していくのか。これがこれからのアメリカ社会の相貌を決定していくのではないか。そう私は考えています。

以下、紹介したのはWashington Postの記事、”Obama Names Team to Face A Complex Security Picture, “December 2, 2008,「オバマ氏、混沌とする安全保障状況に対応すべく外交安保チームの人事を発表」。尚、アメリカ大統領選挙一般と英文法に関しては私が作成した「アメリカ大統領検定」と「再出発の英文法」をご参照いただければ嬉しいです。下記URL参照。



・アメリカ大統領選挙観戦資格検定(四級)(五級)(六級)
 http://minna.cert.yahoo.co.jp/ormh/cert_list?order=0

・『再出発の英文法』目次&完全準拠「英文法検定」案内
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/c/5fdc86510e61126eda55a6d3ee4133da


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President-elect Barack Obama's high-powered national security team, introduced yesterday at a Chicago news conference, faces the challenge of managing two wars and various ongoing foreign policy crises even as it helps the president-elect shape what he called "a new beginning, a new dawn of American leadership" in the world.

In announcing his choices of Sen. Hillary Rodham Clinton (D-N.Y.) to be secretary of state, Defense Secretary Robert M. Gates to continue in office and retired Marine Gen. James L. Jones to serve as national security adviser, Obama laid out a vision of an America whose global stature is restored and whose military, diplomatic and economic power are balanced with one another and with "the power of our moral example."

But he acknowledged that "grave" and "urgent" national security issues, including the wars in Iraq and Afghanistan, potential conflict between Pakistan and India, and economic crisis at home and abroad, require immediate attention. The challenge will be balancing those immediate priorities handed over by the Bush administration -- what the Obama camp calls the "inheritance issues" -- with national and international expectations for the longer-term changes he pledged during the campaign.


昨日【12月2日】、シカゴの記者会見でその顔ぶれが発表されたバラク・オバマ次期大統領の重厚な国家安全チームは、次期大統領を輔弼し、次期大統領自身が世界における「アメリカのリーダーシップの再起動、アメリカのリーダーシップの新たな夜明け」と呼んでいるものの具現化に邁進する中で二つの戦争の舵取りと外交における現下の多様な危機に直面することになる。

ヒラリー・クリントン上院議員(民主党-ニューヨーク州選出)を国務長官に、国防長官のロバート・ゲーツ氏の【共和・民主両党の政権を跨いでの】留任、ジェームズ・L・ジョーンズ元海兵隊大将の【ホワイトハウスで国家安全保障会議(NSC)を取り仕切る】国家安全保障担当大統領補佐官への補任を発表することで、オバマ氏はこれからのアメリカの理想像を示した。すなわち、アメリカの名声を回復させ、アメリカの軍事力と外交力と経済力、そして、「道徳的な模範としてのアメリカの権威」を相互に緊密に連携させるべきことを示唆したのだ。

しかし、他方、オバマ氏は、イラクとアフガニスタンにおける戦争、パキスタンとインドの間の紛争勃発の潜在的な危機、そして、アメリカ国内における経済危機を含む「重大」かつ「緊急」の国家安全にかかわる諸問題に直ちに取り組まなければならないことも認めた。ブッシュ政権から引き継がれる、優先的に取り組まれるべきこれらの緊急の課題(オバマ陣営ではそれを「遺産的懸案」と呼んでいるけれども、そのような諸課題)に取り組む営為と、オバマ氏が選挙戦の中で誓約してきた長期的に取り組まれるべき諸変革に対する国内外からの期待に応える営為とのバランスを取るという試練がオバマ氏を待ち受けているだろう。


The members of his new team, Obama said yesterday, "share my pragmatism about the use of power, and my sense of purpose." Three other Cabinet selections announced were Eric H. Holder Jr. as attorney general, Arizona Gov. Janet Napolitano as secretary of homeland security and Susan Rice as U.S. ambassador to the United Nations.

Obama repeatedly emphasized his intention to expand U.S. diplomacy while buttressing the size and capabilities of the military, and he stressed the interconnectedness of national security and economic issues. Rice, who served as a senior foreign policy aide to Obama during the campaign, listed an ambitious global agenda -- "to prevent conflict, to promote peace, combat terrorism, prevent the spread and use of nuclear weapons, tackle climate change, end genocide, fight poverty and disease."・・・

In addition to the pressing issues in Iraq, Afghanistan, Pakistan and India, Obama must quickly decide whether to continue negotiations begun by President Bush on North Korea and the Israeli-Palestinian conflict, how to deal with Iran, and what to do about the U.S. detention facility at Guantanamo Bay, Cuba. Preparations must be made for three major summits -- NATO, the Group of 20 and the Summit of the Americas -- scheduled within three months of the inauguration.


オバマ氏の新しいチームは、オバマ氏自身の言う所では「権力行使に関する私のプラグマティズムと私の目的意識を共有している」とのこと。他に発表された閣僚級の3ポストは、司法長官にエリック・H・ホルダー氏、国土安全保障長官にアリゾナ州のジャネット・ナポリターノ知事、国連大使にスーザン・ライス氏の面々である。

オバマ氏は繰り返し米軍の規模と能力を強化しつつアメリカ外交を拡大する意向を強調した。他方、オバマ氏は国家の安全保障と経済問題の相互連関の重要性をも力説。ライス氏は、大統領選挙期間中はオバマ氏の外交問題を担当する側近として彼を支えたのだけれども、彼女は世界戦略に関する野心的な行動指針を提示した。すなわち、「紛争を防ぎ平和を促進するために、テロと戦い、核兵器の拡散と使用を防ぎ、地球規模の気候変動に対処し、組織的大量殺戮を終らせ、而して、貧困および疫病と戦う」、と。(中略)

イラク、アフガニスタン、パキスタン、および、インドを巡る諸問題を重要視するのに加えて、オバマ氏はブッシュ大統領が開始した北朝鮮やイスラエル-パレスチナ間の紛争に関する交渉を継続するのか否か、更には、キューバのグァンタナモ湾【の米軍基地】にあるアメリカの収容所施設をどう処置するのかについて早急に決断することになろう。これらの諸問題に取り組む準備は、新大統領就任から3ヵ月の間に開催されることになっている三つの主要な首脳会議、すなわち、NATO首脳会議、世界経済20ヵ国首脳会議、および、アメリカ・サミットの間になされるに違いない。


<続く>
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