海外報道紹介☆国際捕鯨員会葬送の宴「61回IWC年次総会」に向けて水面下の日米交渉を振り返る

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何も決めることのできない国際捕鯨委員会(IWC:the International Whaling Commission)定例年次総会の季節がまた巡ってきました。「鯨を食べるなんて可哀想」「イルカを殺すなんて恥を知れ」等々の反捕鯨国の非論理に抗して、科学的な根拠を粘り強く提示しつつ「鯨資源の持続可能な国際的管理」というIWCの本旨に沿って委員会として商業捕鯨再開の決定を求める捕鯨推進国と、情緒的で文化帝国主義丸出しの<優しい顔をした傲岸不遜>を貫き通す反捕鯨国の無意味なセレモニーがまた始まろうとしているのです。

2009年の舞台はポルトガル。期間は6月22日から26日(これに先んじて、IWC科学委員会は5月31日から6月12日の予定で既に開催されています)。而して、当然行なうべき捕鯨再開の手順についてなんらの決定も行えないだけでなく、IWCは捕鯨を巡る現在世界で唯一の国際協議機関としてその最低限の機能も果たせてはいない。

すなわち、今年も、グリーンピースやシー・シェパード等の環境テロリスト集団が日本やノルウェー、アイスランドの捕鯨船に暴力的な妨害行為を行いました。また、昨年の今頃、グリーンピース・ジャパンの2名のテロリストが破廉恥にも(宅配便の伝票で個人の住所を盗み見るという)個人のプライバシーを侵害し、かつ、捕鯨船の乗組員の方に配られた会社からの心づくしのお土産(鯨肉)を盗み出すという事件が起こりました。これらの人権と主権国家が国際法を遵守しつつ行なっている捕鯨活動に対する妨害に対して(非難決議を繰り返すだけで)何ら有効な手立てを講じられないIWCには最早存在する理由はほとんど残っていないのではないか。畢竟、捕鯨推進国だけの新しい「鯨資源の持続可能な国際的管理」体制への移行が必然の情勢と言えるのではないか。私はそう考えます。IWCの葬送の鐘が鳴っている、と。

このようなIWC葬送の宴となる可能性も高い、今年第61回IWC年次総会を控えて、昨年後半から今年の早春に向けて行なわれた日米交渉を振り返ってみたい。「南極海での調査捕鯨を全廃もしくは大幅に削減するかわりに日本の沿岸捕鯨を認める」ことを巡って非公開で行われた日米交渉です。日米交渉といっても、アメリカ側の交渉責任者はIWCのTopをも兼ねるウイリアム・ホガース委員長。つまりこの交渉はアメリカがIWC体制の生き残りをかけて行なった、「葬送の宴」を回避する最後の賭けだったと言えなくもない。以下、かなり旧聞に属しますが、その後の経過をも踏まえた上で満を持して(「後出しジャンケン」とも言う?)ある海外報道を紹介します。

出典は、Washington Post 紙”U.S., Japan Negotiate Over Whaling Limits-New Type of Hunting May Be Allowed”「日米両国が捕鯨の制限について交渉を行なう-新しい形式の捕鯨が容認される可能性も」(January 25, 2009)。尚、捕鯨を巡る私の基本的な考えについては下記拙稿をご一読いただければと思います。



・鯨と日本の再生
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-306.html

・反捕鯨論の文化帝国主義的で傲慢な謬論を逐条撃破する
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-313.html

・書評☆星川淳GPJ事務局長『日本人はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-318.html


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The United States is initiating a closed-door negotiation that could open up new areas to whale hunting for the first time in decades, part of an attempt to end a long-standing impasse over whaling limits with Japan, the world's most avid whaling nation.

The tentative plan, outlined in documents obtained by The Washington Post, seeks to achieve a breakthrough in the dispute that has raged since the International Whaling Commission voted in 1986 to ban commercial whaling. Faced with the reality that Japan and its allies have continued to hunt whales and have succeeded in blocking new conservation efforts, commission Chairman William Hogarth -- an appointee of President George W. Bush -- has been trying this weekend in Hawaii to craft a pact that would permit a new type of "coastal whaling" in exchange for a commitment by Japan to scale back its "scientific" whale hunts.

The proposal is running into stiff opposition from whaling opponents, however.


アメリカは、もしそれが妥結すれば数十年間ぶりに捕鯨の新しい仕組みに道を開くかもしれない非公開の交渉を率先して進めている。それは、世界でも最も捕鯨に熱心な国である日本の捕鯨制限を巡り長らく袋小路に入り込んできた状態を打破する試みの一環である。

現在の段階の仮のものではあるけれど、ワシントン・ポストが入手した文章によれば、交渉の中で吟味検討されている計画は、1986年にIWCが商業捕鯨を禁止して以来、出口の見えない激烈な論争に終止符を打つことを目指している。日本とその同調者が捕鯨を続けている事実、および、彼等が鯨類保護に関する新たな施策を封じることに成功してきた現実に直面した結果、IWCのウイリアム・ホガース委員長は(彼はブッシュ(子)大統領から任命された人物であるけれど、そのホガース委員長は)この週末ハワイで、日本がその「調査」捕鯨(Scientific whale hunts)の規模を縮小することを約束をするのと引き換えに新しい種類の「沿岸捕鯨」を認めるという協定をまとめることに鋭意邁進してきた。

その提案は、しかし、捕鯨反対者達から激烈な抵抗を受けつつある。


In recent years, the whaling commission, which requires a supermajority vote to take action, has been deadlocked between the anti- and pro-whaling camps. Rather than setting a clear direction for conserving and managing whale populations worldwide, its meetings have become contentious donnybrooks in which the two sides have competed for influence while little changed.

Worldwide, three countries -- Japan, Iceland and Norway -- continue to hunt whales, either in the name of research or, in Norway's case, under a commercial exception established more than 20 years ago.

The draft proposal, which does not specify how many whales could be killed under the plan, would allow Japan to engage in "coastal whaling" off its shores in exchange for a cut in the number of Antarctic minke whales it takes each year in the Southern Ocean. Several anti-whaling nations have pushed for the creation of a whale sanctuary in the Southern Ocean, the site of the current whale hunt. ・・・


ここ数年、IWCは、委員会としてなんらかの行動を取るためには圧倒的多数での議決が必要とされていることもあって捕鯨反対派と捕鯨推進派の間で膠着状態が続いてきた。而して、世界的な鯨類の保護と管理のための明確な方針を打ち立てるどころではなく、IWCの会議は両陣営がその影響力を競い口論のためにする口論の場と成り果ててしまった。そして、その熾烈な言い争いの結果、状況にはほとんどなんの変化も起きないのである。

世界的に見て、三ヵ国、すなわち、日本・ノルウェー・アイスランドだけが、調査の名目によるか、あるいは、20年以上前になされた商業捕鯨禁止の免除【留保】によって捕鯨を継続している。

この計画によって何頭の鯨が殺されることになるのかは特定されていないけれど、目下日米間で行なわれている非公開交渉の文書によれば、この交渉は、日本にその領土近海での「沿岸捕鯨」に従事することを許容しようとするものであり、その代わり日本は現在の所の捕鯨実施海域である南極海で毎年捕獲している南ミンク鯨の捕獲数を削減することを内容としている。(中略)



In an interview, Hogarth said he knew it would be controversial to condone a new form of whaling, but he argued that it probably is essential to reach an agreement with Japan. ・・・

Joji Morishita, Japan's chief negotiator on the commission, said in an e-mail that the outcome of the negotiations could determine whether the international body will continue to function.

"It's decision time," he said. "Very important, very serious decisions need to be taken. It is a critical time for this organization. The IWC could still collapse."


あるインタビューの中でホガース委員長は、この交渉は新たな捕鯨の仕組みを許容するものとの反発を巻き起こしかねないことは想定内のことだと述べた。しかし、日本と合意に至ることがより本質的に重要ではないかと思うとも同委員長は言葉を加えた。(中略)

森下丈二【水産庁】IWC担当主席漁業交渉官は、eメールで、交渉の帰趨はこれからもIWCが機能し続けて行くかどうかを決めるものになるだろうと述べている。

「決断の時だ」「大変重要で、真剣な決断が行なわれなければならない。この国際組織にとって今後のそのあり方を決定しかねない時点に我々は来ている。そうしなければIWCは今以上に機能不全に陥るのではないだろうか」とも。


Scientists and environmentalists questioned the proposal, noting that it could increase pressure on small coastal whale stocks without ending the whaling Japan has conducted for years. Japan has begun taking more whales in recent years under the science designation, killing 872 in 2007, compared with 540 in 1997. In addition, Japan reported that in 2007 it accidentally killed 156 minke whales off its coast as bycatch. Korea -- which no longer intentionally hunts whales -- caught 80 coastal minkes as bycatch and identified 14 others as illegally killed.

Norway caught 597 whales in commercial hunts in 2007. Iceland, which conducts scientific and commercial whaling, killed 45 that year.

Scott Baker, associate director of the Marine Mammal Institute at Oregon State University and a U.S. scientific delegate to the commission, said the Sea of Japan is home to a depleted population of minke whales classified as "J-stock" whales. Allowing ships from Japanese coastal villages to target nearby whales in the northwestern Pacific, he said, could hurt a population that has already declined because of bycatch and intentional hunts. ・・・


科学者や環境保護論者はこのアメリカ側の提案に疑問を呈している。すなわち、それは日本が何年にも亘って行なってきた捕鯨を終らせることもなく、他方、それは小規模集団の捕鯨資源に対する抑圧を増加させかねないと注意を喚起しているのだ。科学調査の名目の下、1997年に540頭であったのに対して2007年には872頭と日本はここ数年漸次その捕鯨頭数を増やしてきた。加えて、日本は2007年には混獲によりその領土の沿岸で156頭のミンク鯨を意図的にではなく殺したと報告している。而して、韓国は捕鯨を目的とした漁は行なってはいないのだけれど、韓国は80頭のミンク鯨を混獲により捕獲し、また、14頭を違法に殺したとされている。

ノルウェーは商業捕鯨により597頭を2007年に捕獲しており、アイスランドは調査捕鯨と商業捕鯨の双方を実施しているのだけれども、そのアイスランドは2007年に45頭を殺している。

オレゴン州立大学海洋哺乳類研究所の所長であり、アメリカがIWCに派遣している科学者代表団の一人、スコット・ベイカー氏は、日本海は【←「東海」ではない!】「J資源」の鯨集団として特定される、個体数が激減してしまったミンク鯨の本拠地であり、而して、日本沿岸の漁村からその近傍の北西太平洋に住む鯨を捕獲しようとする船舶の出航を許すことは、混獲や捕鯨によってすでに減少しているそれらの鯨の個体数に一層の打撃を与えかねないと述べている。(中略)


Patrick Ramage, who directs the global whale program at the International Fund for Animal Welfare, called the proposal "a lousy idea." He added: "Declaring open season on Japan's coasts would have grave implications for vulnerable whale stocks."

Hogarth headed the National Oceanic and Atmospheric Administration's Fisheries Service for nearly seven years and was selected by Bush in February 2006 to serve on the whaling commission. Hogarth said he tried to broker a compromise because he became convinced that the current process is broken.・・・

Ramage questioned why Hogarth would push such a controversial proposal now that President Obama has taken office: "The Bush administration has decided to wave the white flag on whaling and say, 'We can't end this,' and we're saying, in the words of a certain presidential campaign, 'Yes, we can.' "

Hogarth said he is well aware that he could be replaced before the pact is finalized or be instructed to kill the deal. ・・・


国際動物福祉基金の地球捕鯨計画を率いるパトリック・ラメージ氏は、このアメリカ側の提案を指して「下策中の下策」と断じ、更に、「日本の沿岸捕鯨の再開を宣言することはその個体数の維持に関して常時綱渡りをしているような鯨資源にとって重大な事態を意味する」と述べている。

ホガース委員長は、アメリカ商務省海洋大気庁海洋漁業局を【局長として】7年近くに亘って率いてきたが、2006年の2月ブッシュ(子)大統領によってIWCにも従事するように選任された。ホガース委員長は、現在のIWCの協議のプロセスが破綻していることを確信するようになったがゆえに妥協案を仲介しようとしているのだと語ってくれた。(中略)

ラメージ氏は、オバマ大統領が就任したというのに、ホガース委員長がどうしてこのような反発を呼ぶ提案を推進しようとしているのか疑問だと述べ。そして、「ブッシ(子)政権は捕鯨に関して白旗を揚げることに決めたのだ、そして、「我々【ブッシュ政権】は捕鯨国にそれを止めさせることはできない」と言っている。けれども、我々【捕鯨反対派】は大統領選挙期間中に使われたある言葉を用いてこう言ってやろう、「いや、我々は【捕鯨国にそれを】止めさせることができる」」とも述べた。

ホガース委員長は、日本とのこの協定交渉の帰趨が判明する前にその任を解かれる可能性を充分に認識していると語ってくれた。(後略)



★KABU註:
この非公開の日米交渉は、日本が「調査捕鯨からの全面撤退」や「大幅な調査捕鯨の削減」を断乎拒否したことで結局決裂しました。よくやった! 農林水産庁遠洋課捕鯨班!

而して、このWPST紙の記事の後、ホガース委員長はIWC第61回総会を最後に勇退することが決まりました。そして、5月20日、アメリカの連邦議会下院の公聴会で、民主党議員から日本に対して譲歩しすぎたのではないかと激しく批判され、その公聴会の席上、ホガース委員長は「日本の提案は不十分だとの認識を表明。「米国は(日本側の提案を)妥当な提案だとはまったく思わない。日本が(これ以上の)議論を望んでいないのであれば、(IWCの枠組みの中での)問題解決は不可能だと思う」と述べた。これは、正に、(自分達は大幅に譲歩してやったのに、という)文化帝国主義丸出しの<逆怨み>的とも言うべき発言でしょう。私はそう思いました。

畢竟、鯨は鯨だけの問題に非ず、たかが鯨されど鯨。鯨問題は、食糧安保・国家主権・日本の文化の確保を日本人が自分で守れるかどうかの問題である。一刻も早い商業捕鯨の再開のために頑張りましょう。
共に闘わん。






(2009年6月9日:yahoo版にアップロード)

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