アーカイブ☆英語教材としての<カーペンターズ>




カーペンターズ(Carpenters)は、わざわざ紹介するまでもなくロサンゼルス・ポップスの伝統を引き継いで1969年にデビューしたRichard Carpenter と Karen Carpenter の兄妹デュオです。カーペンターズの楽曲は、カラオケの練習用としてだけでなく英語の聞き取りと発話のトレーニング教材としてもその評価は定まっている。特に、日本では「英語教材」としてのその人気は高く、1983年2月4日にKaren Carpenterが亡くなってから早や22年が過ぎた現在も、ビートルズ(The Beatles)やオリビア・ニュートン・ジョン(Olivia Newton-John)、サイモンとガーファンクル(Simon & Garfunkel)や ABBA などの<類似教材>の追随を許さない。

カーペンターズの「英語教材」としての成功の原因は何か? 特に、日本で圧倒的な支持を集め続けているのはなぜか? 私はそれを、①ボーカルのKaren Carpenterの発声の綺麗さと、②比較的(あくまでも相対的にですが)スローな曲の流れ、逆に、③適度な歌詞の(英語としての)難度の3点と考えています。

①ボーカルの美しい発声
②比較的スローな曲のテンポ
③英語としての適度な歌詞の難易度


ハードロックやヘビメタ、ラップやヒップホップの楽曲が英語教材としては若干使いづらいことはもちろんですが、The Beatles や Olivia Newton-John、Simon & Garfunkel や ABBA に比べても Karen の英語は際立って綺麗なのです。誤解しないでください。Karenの英語が美しいなどと私は言っているのではありません。つまり、Karenの英語が美しいかどうか、例えば Olivia Newton-John の英語よりも美しいかどうかなどは聞く方の好みでしょう。私が言っているのは、Karen Carpenter の発生が英語的に正確で均整のとれたものだということです。私は音楽のことはとんと素人ですが、あるサイトでこんな記事を見かけました。

「カーペンターズの音楽は私が今さらここに書くまでもなく、とても美しいものです。その美しさは「なにもここまで美しくなくてもいいんじゃないの?」と思ってしまうほど徹底したもので、潔癖症のような病的な要素を感じさせます。そうした病的な部分までフィル・スペクターやブライアン・ウィルソンの要素を受け継いでいるのですから、これはもうロサンゼルスでポップスを作る人達に遺伝する病気としか思えません」(West Coast Rockより引用)



私のアメリカ人の同僚の中にも「カーペンターズは「教材」としては使いやすいけれど、プライベートで聞いて楽しんだりカラオケで唄う曲としては、行儀が良すぎてつまらない:It is too clean, so it is not so interesting.」というコメントをされる方が少なくない。無機質とまでは言わないが、<機械が唄っている感じの楽曲>が” Carpenters”であり、” Karen Carpenter”は<唄う精密機械>である。そして、その正確さ綺麗さが英語学習における日本人の美意識にフィットするのではないか。荘厳な文法体系を熱烈に求め、タクシーキャブのドライバーの方との会話においさえ文法と語法において一点非の打ち所のない完全な英語を話そうとする我々日本人の感性から見てKaren Carpenterの英語は大変心地よいのだと私は思うのです。

実際、カーペンターズの名曲” TOP OF THE WORLD”の歌詞(Lyrics)を使いこの「綺麗な英語」というポイントを確認しておきます。まずは、聞いてみてください。





Such a feelin’s comin’ over me
There is wonder in most everything I see
Not a cloud in the sky
Got the sun in my eyes
And I won’t be surprised if it’s a dream

Everything I want the world to be
Is now coming true especially for me
And the reason is clear
It’s because you are here
You’re the nearest thing to heaven that I’ve seen

I’m on the top of the world lookin’ down on creation
And the only explanation I can find
Is the love that I’ve found ever since you’ve been around
Your love’s put me at the top of the world

Something in the wind has learned my name
And it’s tellin’ me that things are not the same
In the leaves on the trees and the touch of the breeze
There’s a pleasin’ sense of happiness for me

There is only one wish on my mind
When this day is through I hope that I will find
That tomorrow will be just the same for you and me
All I need will be mine if you are here



carpenters


どうでしたか。少し詳しく分析してみましょう。以下引用した歌詞の中で赤字の分部は音の「短縮」と「消失」と「弱化」が生じていることを表しており、青字の部分は音の「連結」と「同化」と「脱落」が生じているポイント、そして、緑字の部分は他の<教材>に比べて明瞭に発声されていると私が感じる箇所です(★)。これを見れば、” TOP OF THE WORLD”が実に英語の音声発話のルール通り唄われていることが一目瞭然だと思います。

Such a feelin’s comin’ over me
There is wonder in most everything I see
Not a cloud in the sky
Got the sun in my eyes
And I won’t be surprised if it’s a dream

Everything I want the world to be
Is now coming true especially for me
And the reason is clear
It’s because you are here
You’re the nearest thing to heaven that I’ve seen

I’m on the top of the world lookin’ down on creation
And the only explanation I can find
Is the love that I’ve found ever since you’ve been around
Your love’s put me at the top of the world

Something in the wind has learned my name
And it’s tellin’ me that things are not the same
In the leaves on the trees and the touch of the breeze
There’s a pleasin’ sense of happiness for me

There is only one wish on my mind
When this day is through I hope that I will find
That tomorrow will be just the same for you and me
All I need will be mine if you are here

★註:英語発話の躓きの石
イントネーションやリズムは問題にしないとして、個々の単語の発音記号を正確に発声するだけでは全体としてフレーズやセンテンスを英語として正しくナチュラルに発声できるとは限らない。部分の総和は全体ではないのですから♪ なぜか? それは英語にはフレーズやセンテンスを発話する際に単語の音(ならびに単語と単語の塊の音を)変化させなければならない幾つかのルールがあるから。逆に言えば、これらのルールが英語に独特のイントネーションやリズムを醸し出していると言えましょう。

そのようなルールが幾つありそれぞれがどんな内容なのかについては、実は論者によって意見が結構異なっています。しかし、大体、次の6個が<最大公約数的な理解>だと思います。そして、カーペンターズの教材としての優秀さを確認する上ではこの6種類を知っていれば充分ではないでしょうか。

Reduction:弱化(What are you doing? → What are (you) doing?)
Contraction:短縮(There are → There’re)
Liaison:連結(far away → 「ファラウェー」)
Elision:消失(about → ‘bout・「バゥト」)
Deletion:脱落(a cup of tea → 「カパティー」)
Assimilation:同化(of course「オブ コース」→ もちろん「オフコース」)

尚、私自身は、音の変化が、(X)音節内部で生じる場合:音節と音節を跨る場合:単語と単語を跨る場合の違いと、(Y)音の変化が文字列に反映されている場合:反映されていない場合の差異、更に、(Z)音が別の音に変わる場合:音が弱く短く発声される場合:音が発声されない場合:これらの組み合わせが生じる場合という、つまり、3×2×4の24のケースに分けて考えています。私見の詳細は、別の機会にご紹介したいと思います。



ここまで述べてきたように、比較的にスローな曲の流れと「教科書のような」綺麗な英語の発声が、特に日本におけるカーペンターズの「英語教材」としての成功の要因である。このことは間違いないと思います。しかし、前に述べましたように三番目の成功の要因として「適度な歌詞の難度」を私は想定しています。

本来、楽曲の歌詞を始めとする韻文の中で使用される単語の難易度は(散文と比べればですが)そう高くはありません。要は、大叙事詩でもない限り、ワード数がそう多いことはないし、所詮、使用される単語の個数(だぶらずに数えた単語の個数)はそう多くない。しかし、楽曲の歌詞は、文法的には省略や倒置が多用される傾向があり、また、一つの単語に様々な意味が重層的に担わせられる象徴表現が多用されがちです。

つまり、童謡や子守唄を除けば、楽曲の歌詞は英語の教材としては必ずしも初級・中級者用ではない。そして、カーペンターズの歌詞は<類似教材>に比べて比較的に英語的な難度が高いと思いますし、そのことが日本人の大人の英語学習者からカーペンターズが支持される理由なのではないか。なぜならば、適度な難易度の単語や文法の知識が盛り込まれたものでなければ、逆に、そのテキストは大人が学ぶ教材としては、正直、「つまらない」と受け取られかねないだろうからです。


最後に、再度” TOP OF THE WORLD”の歌詞(Lyrics)を取り上げてこのことを説明します。緑字の箇所が(ピリオドを除き)文法的に省略されている内容と私が考えるポイント。どうです? 「以下の歌詞で文法的に省略されていると思われる字句を入れて完全な文章にしなさい」という問題としてこの歌詞を考えれば結構これはこれで骨のある英文ではないでしょうか。尚、英文法について不明な所があれば下記の拙稿をご参照ください。

・『再出発の英文法』目次
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce

Such a feeling is coming over me.
There is wonder in almost everything I see.
There is not a cloud in the sky.
I have got the sun in my eyes.
And I won’t be surprised if it’s a dream.

Everything (that) I want the world to be
is now coming true, especially for me.
And the reason is clear.
It’s because you are here.
You’re the nearest thing to heaven that I’ve seen.

I’m on the top of the world looking down on creation.
And the only explanation that I can find
is the love that I’ve found ever since you’ve been around.
Your love has put me at the top of the world.

Something in the wind has learned my name.
And it’s telling me that things are not the same.
In the leaves on the trees and the touch of the breeze,
there’s a pleasing
sense of happiness for me.

There is only one wish on my mind.
When this day is through, I hope that I will find
that tomorrow will be just the same for you and me.
All (that) I need will be mine if you are here.






(2009年7月27日:英語と書評de海馬之玄関にアップロード)

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