自民党、徴兵制復活を検討とな? これ「必須科目」からの逃避ちゃう?




自民党が憲法改正案修正とからめて「徴兵制」の検討をするそうです。正直、唖然。もちろん、この海馬之玄関ブログが「徴兵制に絶対反対」というはずはない、要は、「必要と必然性があれば徴兵制導入も可」。而して、(実は、例の内閣法制局は「徴兵・兵役は日本国憲法(第18条)で禁じる「意に反する苦役」であり、違憲である」との見解を示してはいるのですが、ここでは憲法解釈論は割愛するものの)「その導入に際して必ずしも憲法改正は必要ない」という立場を私は取っています。

けれど、この期に及んでの「泥縄式-徴兵制検討」は(民主党政権がこれだけ迷走を重ねているというのに)自民党の支持率が一向に芳しくない理由、つまり、三年前の<7・29>の参議院選挙と昨年の<8・30>の総選挙で有権者が自民党的政治の何に不満を感じて、「もう、自民党政権が継続するのだけは勘弁!」とばかりに、不安てんこ盛りの民主党政権を選んだのかが全く総括されていない。と、そう私は考えます。自民党のコア支持者としては大変残念なニュース。自民党というか保守改革派の捲土重来のための「Don'ts系資料」としてブログに格納しておきます。

馬鹿言ってんじゃねーよ!




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●自民、徴兵制検討を示唆:5月めど、改憲案修正へ
自民党憲法改正推進本部(本部長・保利耕輔前政調会長)は4日の会合で、徴兵制導入の検討を示唆するなど保守色を強く打ち出した論点を公表した。これを基に議論を進め、05年に策定した改憲草案に修正を加えて、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が施行される5月までの成案取りまとめを目指す。

参院選を視野に、離反した保守層を呼び戻す狙いとみられる。ただ05年草案も徴兵制には踏み込んでおらず、「右派」色を強めたと受け取られる可能性もある。今後党内外で論議を呼ぶのは必至だ。

論点では「国民の義務」の項目で、ドイツなどで憲法に国民の兵役義務が定められていると指摘した上で「民主主義国家における兵役義務の意味や軍隊と国民との関係について、さらに詰めた検討を行う必要がある」と記述。直接的な表現は避けたものの徴兵制復活の検討をうかがわせる主張を盛り込んだ。

2010/03/04 19:10 共同通信

  
  

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■徴兵制検討は軍事的に筋悪である
再度記しますが、私は、徴兵制には賛成でも反対でもない。と言うことは、「徴兵制などはもっての他」「「徴兵制」という言葉を口にすること自体、それは<軍靴の音>を呼び寄せる危険な発言だ」という<言霊信仰>に骨絡みになっている憲法9条教の信徒さんからは、「徴兵制の是非はその時我が国が置かれている内外の情勢によって定まる」という私の立場は「徴兵制賛成論」と分類されるかもしれません。

けれども、私は現下の段階での徴兵制には反対します。その理由は次の2個、

・現代戦を考えた場合、少数精鋭の軍隊こそ望ましい
・国民の一体感の涵養や国防意識を向上させる制度としても非効率
    


(1)現代戦を考えた場合、少数精鋭の軍隊が望ましい
冷戦終結後、特に、2000年前後から西側諸国は雪崩を打って徴兵制を廃止した。また、NATOの拡大に伴い多くの旧東側諸国も徴兵制を廃止しました。畢竟、先進国や人口数千万を超える国で徴兵制を維持している国は下記の通りそう多くはありません。ちなみに、現在も徴兵制を制度上も維持している国は(CIAのWorld Fact Bookによれば)67ヵ国。なんと、(止まることを知らない軍備拡大まっしぐらの)あの支那でさえ、徴兵制度は存在するも、小平先生が断行された兵員縮小の流れの中で志願兵だけで定員が充足できるため実際には、この四半世紀近く徴兵は行われていないのです。

<欧州>
オーストリア、ギリシャ、スウェーデン、スイス、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ポーランド、ロシア

<アジア&アフリカ>
アルジェリア、イスラエル、エジプト、カンボジア、韓国、北朝鮮、シンガポール、タイ、台湾、トルコ、ベトナム、マレーシア

<中南米>
キューバ、コロンビア
    


要は、現代の高度化・近代化した軍隊において、徴兵制度で集められた半年から3年程度しか軍役につかない、素人に毛の生えたような兵士は足手まといであり、また、その足手まといを、一応、「兵士=戦闘要員」に仕立てるための研修コストは膨大。まして、給与・諸手当を含めればその足手まといに割かれる国家予算は天文学的数字になりかねない。そう考えて支那もアメリカも徴兵制を志願制度に転換してきている。これが世界の軍隊の現状だと思われます。実際、アメリカはベトナム戦争の敗北の後(流石アメリカ、転んでもただでは起きない!)それを奇貨として、兵員の大幅なリストラに成功したのですが、その組織改革はアメリカのMBAでも、極めて成功したビジネスジャッジメントの事例として現在でも取り上げられているくらいなのです。

(2)国民の一体感と国防意識を涵養する制度としても非効率性
論者の中には、(1)は百も承知ながら「所得や門地とは無関係に平等に国民が軍役につく徴兵制度は国民の一体感の涵養や国民の国防意識の育成という効果があり捨てがたい」という主張をされる方もおられます。私も定性的には徴兵制のこのメリットは認めます。けれど、メリットとデメリットを定量的に考えた場合、それが人的・予算的、そして、徴兵制なかりせば達成できたであろう労働生産性や産業の比較優位性を鑑みるに、到底このメリットはペイするものではないと想像します。

而して、国民の一体感の涵養や国防意識の向上には、例えば、小中高の学習指導要領に軍事教練をマストの科目として組み込み、あるいは、高校生や大学生の2週間から1ヵ月の自衛隊体験入隊をセンター試験の得点や卒業単位として看做す制度を導入すれば徴兵制よりも遥かに低いコストで同じ目的を達成できるのではないか。否、土台、研修がその本来の目的ではない兵役を通して国民の一体感と国防意識を涵養するよりも、国民の一体感と国防意識を涵養すること自体を目的とした研修制度を創設運用する方が遥かに合理的で効率的であろう。と、そう私は考えてます。


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■徴兵制検討は政治的に愚劣である
ただ、上で述べたことだけなら、徴兵制検討の是非は、徴兵制導入のメリットとデメット、コストとリターンを巡るテクニカルなイシューにすぎないでしょう。而して、国家予算に余裕があり、目先の労働生産性の向上よりも中長期的な社会統合のパフォーマンス向上の方が重要という歴史的場面では、上記(1)(2)に関わらず、徴兵制導入はありかもしれません。けれども、私が、一応、現在の段階にせよ自分の支持政党に対して「馬鹿言ってんじゃねーよ!」とまで言うのは、それが政治的にも筋悪であり、愚劣拙劣であると考えるからです。その理由は以下の2個。

・保守主義と徴兵制の間には論理必然の関係はない
・自民党の支持率低迷の根幹は「筋の通った経済政策」の不在にある
    


(3)保守主義と徴兵制の間には論理必然の関係はない
主権国家の死滅と民族の相対化が可能であると考え国家と民族の解消を目指す、教条的な左翼・リベラル派を除けば、国家の主権と民族のアイデンティティを守る軍隊の存在を左翼・リベラル派といえども否定することはありません。否、空想科学小説ならぬ空想思想小説の如き、ドイツの緑の党でさ赤面するだろう、国家が消滅した地球コミュニティや地域アソシエーションを夢想する、そんな教条主義的の徒は左翼・リベラル派の0.001%も存在していないのであって、逆に、左翼・リベラル派も軍隊と(そして必要であれば)徴兵制を支持してきた。このことは旧ソ連や支那、東欧の旧社会主義諸国、あるいは、キューバ、北朝鮮を想起されれば自明のことではないでしょうか。

まして、1917年のロシア革命以来、1989年-1991年に「資本主義-自由主義」に粉砕されるまで社会主義は、その体制を「暴力的-権威主義的」に維持しなければ内部から崩壊する状態にあり続けたわけですから、左翼・リベラル派こそ保守主義よりも、かつ、歴史的のみならず論理的にも軍隊と徴兵制を求めていたとも言えるのですから。ならば、「保守層を呼び戻すために徴兵制の検討」に踏み込むなどは、木に登って魚を求める類の愚策であると断言できると思います。

(4)自民党の支持率低迷の根幹は「筋の通った経済政策」の不在にある
蓋し、<7・29>と<8・30>の敗北の理由は論者によって様々でしょう。而して、それが検証不可能である限り、「自民党はなぜ負けたか」の問いは解答が見出せないタイプの問いかもしれません。よって、以下に述べることはあくまでも「仮説」にすぎないのですが、私は、その理由と原因を(経済情勢の悪化は別にして)次の3点に集約すると考えています。

①構造改革の断行と地方再生の同時実現のビジョンを明確に示せなかったこと
②安倍政権以降、かっての守旧派勢力の蘇生と横行を許したこと
③麻生降ろしに象徴的な「組織の呈をなしていない」状態を露呈させたこと
    

すなわち、保守層有権者にとっても政治にまず第一に期待することは経済政策であり、小泉構造改革の後、どのような産業構造を具現していくのかを安倍・福田の両政権は国民に示すことができず、他方、それを「構造改革の断行と地方再生の同時実現」として示した麻生政権は、しかし、その目的地に至る具体的なマイルストーンを国民に告知する前に(「政党の呈をなしていない民主党」よりも遥かに下劣な)「組織の呈をなしていない自民党」というイメージを有権者に与えてしまったことがその敗因である、と。

この私の仮説は、対北朝鮮強硬策は当然のこと、例えば、首相の靖国神社参拝にせよ、南京・慰安婦・強制連行という反日プロパガンダの打破にせよ、あるいは、夫婦別姓や外国人地方選挙権への反対にせよ、これらどちらかと言えばイデオロギー的なイシューについて自民党の本来の主張を支持する「保守派」が<7・29>と<8・30>から現在に至るまで一貫して(自民党議員と保守系民主党議員の得た得票数から算定する限り)有権者の過半を占めているに関わらず、そして、再度述べますが民主党政権発足以来、細かく数えれば2ダースを上回る<敵失>にも関わらず、自民党の支持率もまた低迷していることを鑑みれば満更荒唐無稽な仮説ではないのではないか。と、そう私は考えています。

而して、もちろん、対北朝鮮政策、首相の靖国神社参拝、南京・慰安婦・強制連行、そして、夫婦別姓や外国人地方選挙権は大変重要なイシューであることは間違いないけれど、それは「必須科目=経済政策」で及第点を取って初めて政党の評価項目になるのではないか。而して、私のこのような認識からは「徴兵制を検討」などいう奇策はアドバルーンとしても愚劣である。なぜならば、それは自民党に期待しているコアおよびポテンシャルの支持者にとっては、(経済政策の路線対立を巡って党内抗争の勃発や党分裂を恐れるためか、世間の耳目を集めはするが)国民が政党を評価する際の必須科目への正面からの取り組みを「回避-先送り」した姑息に他ならないから。と、そう保守層は受け取るのではないかと私は考えます。


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(2010年3月5日:yahoo版にアップロード)

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