ラジオ体操は学習方法論の宝庫




秋空の下に真夏の熱気とゲリラ豪雨が猛威を振るう日本列島。日も短くなってきたとはいえ夏が最後の意地を見せているこの頃、私は、2年前の8月19日から続けている日課のウォーキングに加えて、この7月27日からはラジオ体操を始めました。近所の公園で毎日30人程の近隣の方々と毎朝6時半に顔を合わせているということ。而して、健康増進とともに地域コミュニティーとの交流もできて実に愉快です。蓋し、コミュニティーの紐帯こそ保守主義の苗床である。と、その確信を毎朝深めています。

ところで、ラジオ体操とは何か?
ご存知ない方は少ないでしょうが、
学習の勘所は予習、而して、その本体は復習。
復習しておきましょう。

以下、ラジオ体操を<主催>しているかんぽ生命保険の資料の抜書き。

日本のラジオ体操は1925年3月にアメリカのメトロポリタン生命保険会社により健康増進・衛生思想の啓蒙を図る目的で考案され、広告放送として放送されていた世界初のラジオ体操が基となっている。1925年に保険事業の視察で訪米した当時の逓信省(現在の郵政省→総務省)簡易保険局(現・かんぽ生命保険)の職員がラジオ体操を知り帰国した後、日本でもラジオ体操を行うことを提案。1928年11月1日にNHKが放送を開始した。

ラジオ体操第1も第2も現在三代目、各々、1951年5月と1952年6月から放送開始。ちなみに、第1は「子供からお年寄りまで一般の人が行うことを目的とした体操」であり、第2は「体をきたえ筋力を強化することにポイントを置いて、働き盛りの人が職場で行うことを目的とした体操」。と、実際やってみるとその通りです。  


さて、合宿研修で宿泊した御殿場の国立青年の家等でお遊び程度にやった以外は、ほとんど30年ぶりくらいにラジオ体操に接してみて考えさせられたことがありました。それは、ラジオ体操が学習方法論を体得する上で実によくできたツールということ。そして、コミュニティーの紐帯を維持強化する上でこれまたラジオ体操はかなり優れもののシステムということです。


何事においてもプロフェッショナルとアマチュアの差は「学習総量=練習量」と「学習方法論=練習方法とその練習方法を考案できるスキル」に収斂する。実際、(それでご飯が食べられるようになるかどうかは「市場の規模」と「競争の度合」に左右されるとしても)ピアノにせよバイオリンにせよ、哲学にせよ英語にせよ、電気配線工事にせよ少年サッカーのコーチングにせよ、素人の水準を超えたいと思うのならば、毎日2時間の努力を5年間 続ければ、誰でも素人としては一流になれる。数千人の大学院留学研修に直接携わり、大学受験・大学院受験・資格試験の法律科目指導等々併せて数万人の学習指導を経験してきた私はそう断言します。文字通り、「継続は力なり」なのです。

而して、素人の中で一流の水準を超えて、(くどいですが、その道で生活の糧が得られるようになるかどうかは置いておくとしても)少なくとも力量的には専門家の仲間入りをしたいと思うのならば、上で述べた努力の総量を満たすことに加えて、努力の仕方、考えるための考え方、学習する方法論を体得しなければならない。畢竟、この体得が個人の単独の精進では困難だからこそ、全国の将棋の天才少年少女もプロ棋士に<弟子入り>するのであり、また、哲学や法学、歴史学や神学という所謂「解釈学的学術領域」では、いまだに、そして、世界的にも、師匠と弟子の系列、すなわち、<学統=学燈>がその人物の力量を推察する上で重視されるのだと思います。

蓋し、大学も卒業していない弁護士が独学で立てた「憲法無効論」など誰も相手にしないのは、むしろ、当然のことなのです。法学方法論も法概念論も、而して、それら「法的諸問題を考えるための考え方の体系的知識」を新カント派から現代の分析法学や功利主義の法学理論に至る理論史的背景の中で学んだとは到底思えない人物が立てた説など、プロの法学研究者にとっては高校生や中学生が政治経済や公民や現代社会の教科書を根拠に自説をまくし立てているのとあまり変わらない。尚、「師匠が弟子に教えるもの/伝えるものは知識ではなく努力の仕方や努力する覚悟である」という経緯と「憲法無効論」の荒唐無稽さに関しては下記拙稿をご参照ください。閑話休題。

・衛星放送型通信教育☆サテライトの思想的可能性
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/53613469.html

・憲法無効論の頑冥不霊と無用の用(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/58998947.html


ことほど左様に、学習に関しては、①努力の総量、②学習方法論の二つが決定的に重要。幾らかエピソードを添えて敷衍しておきます。

Uさん
企業派遣でのMBA留学候補生に選抜されたある機械メーカー本社工場勤務の方。彼は、品質管理担当の腕っこきの技術者であると同時に原料購買チームのメンバーでもあり多忙を極めていた。また、彼の代わりの人材を手当てすることなど全く不可能。而して、頑張り屋さんでもありTOEFL(PBT)のスコアは、春先から初夏にかけて530点から560点(TOEIC換算で670点から760点)までは上がったけれど、それから3ヵ月足踏みが続き目標の600点には届きそうにない。なぜか。要は、トータルの学習時間が、学習の絶対量が足りなかったということ。悪いことに住まいは工場の敷地に隣接しており、通勤時間にリスニングやボキャブラリービルディングなどすることも不可能で、自室に戻れば「バタンキュー」の生活だった。  


私が提案した<解決策>は? はい、夜頑張るなどという健康にも悪く無理な精神論は捨てて早く起きること。そして、工場の周りを(1周1時間弱!)散歩しながら弱点のリスニングを補強すること。聞けば24時間やっている最寄のファミレスまでバスで40分かかるという環境でしたからそれしかないと思ってアドバイスした。而して、毎朝2時間の「リスニング-ウォーキング」の成果か、「夜は頑張るな!」というアドバイスが心に余裕をもたらしたのか、この方はその翌月のTOEFLで620点(TOEIC換算で930点)をゲットされた。


Kさん
MPA(行政組織管理学)専攻の私費留学志望の看護師の方。帰国子女ということもありTOEFLはすでに目標点を軽くクリアしていたが、GMATとGREのVerbalが全然駄目。また、出願書類の文章も稚拙。要は、英語でのコミュニケーションには不自由はないけれど、英語での(否、日本語でも)思想水準の高い思考ができないという「家庭の教育力が低い、しかし、賢い帰国子女」の典型。留学時期は家庭の事情で最早延ばすことはできず、つまり、背水の陣。よって、勝負は付け焼刃で臨むしかない上に今のままでは学習時間の総量を確保できそうにない。    


私のアドバイスは、はい、「病院を辞めなさい」。無責任のようだけれども、留学資金の目処が立っている以上、これが合理的なアドバイス。結果は? 向学心に燃える彼女の辞意の固さに感動した(折角採用した、看護学修士号を持つ看護師を手放してなるものかと算盤を弾いた?)その医療法人の人事部局が、彼女を夜勤なしのパートタイム勤務にシフトしてくれた。而して、彼女は私がリストアップした社会思想・社会科学分野の書籍を40冊程読みまくり、また、(読ませっぱなしは駄目!)それらのサマリーと感想を英語で提出した。で、もちろん、第一志望のアイビーリーグの大学院からアドミッションレターをゲット!


radiotaiso2


繰り返しますが、学習の要諦は努力の総量と方法論。而して、昔、長嶋茂雄監督は「練習(努力)できるのも才能の内」と述べましたが、教育とは才能がそれほどではない人の能力開発を行なう営みでもある。この観点から言えば、ラジオ体操には、「普通の努力する才能の人が努力を継続するための方法論」が盛りだくさんではないか。ラジオ体操は学習方法論の宝庫ではないでしょうか。どういうことか。

すなわち、()毎日決まった時間に行なわれること、()自分の努力を誰かが見ていること、()一見簡単そうな動作種目の中に、それを正しくやろうとすれば守らなければならないポイントが幾つもあって達成感が味わえること、()正しい動作が公開されており「競争」がフェァーであること、そして、()全国で同時刻に数万人の人々が自分が参加しているのと同じイベントに参加しているという想像を与えてくれること。   


蓋し、「継続は力なり」ということは誰しも分かる。毎日2時間の努力を5年間も続ければ、バイオリンでも英語でも素人の中では図抜けた存在になれるだろうということも、少しでも何か習い事や学問の修業に携わったことのある人なら誰にでも想像できる。けれど、継続すること自体が難しい。ならば、学習方法論の第一番目の内容は、いかに、「普通の努力する才能しかない人に努力を継続させるか」というノウハウでありスキルではないか。その点で、()~()の性質が見事に融合しているラジオ体操は素晴らしい。と、そう私は思うのです。

()の「定刻性」、()の「自分の頑張りやサボり具合を気にしている人が存在しているという確信」、()「競争ルールの明晰性と公開性」が努力を継続する上で重要なことは説明の必要もないでしょう。而して、()「教材とカリキュラムの適度な難易度」に関しては語学教材の選択に関して類例がある。それは、私が「赤頭巾ちゃんの法則」と呼んでいるもの。畢竟、ある人の現在の英語力やドイツ語力から見れば、小学校低学年のネーティブスピーカー用の童話が彼や彼女の教材としては適当としても、あまりに、幼稚な内容の教材は大人の学習意欲を低減させ努力の継続を妨げるのです。

その点、例えば、ラジオ体操第2を構成する13種目の動作の中でも、8番目の「片あしとびとかけ足あしぶみ運動」、9番目の「からだをねじりそらせて斜め下にまげる運動」、そして、10番目の「からだを倒す運動」は、これらをきちんとやろうとすれれば、それなりに<学習=訓練>をしなければいつまで立っても我流のままで終わりかねない適度な難度のもの。また、その他、簡単に見える動作種目も、「この運動の際には踵を上げるのかそのままにしておくのか」等々、運動効果を上げるために注意すべきポイントは結構盛りだくさん。ラジオ体操は奥が深い!

そして、ラジオ体操は保守主義の苗床になりうる、鴨。ラジオ体操に組み込まれた()「全国性-同時性」は、例えば、九州の田舎の高校生が生まれて初めて「全国模試」を受験したり、「旺文社のラジオ講座」を聞いたときに覚える感動や心強さに近しい、鴨。畢竟、この()の契機は()に連なる地域コミュニティーへの参加の実感や快感とあいまって、フッサール流に言えば「生活世界=生きられてある世界」を日本人が全国的にまた地域コミュニティーで共有しているという<確信>をラジオ体操に参加している個々人に与えるものではないか。而して、その<確信>は「生きられてある伝統を尊重する立場」としての保守主義とも親和性が高い、鴨。と、そう私は考えています。

ラジオ体操侮り難し。




ラジオ体操第1


ラジオ体操第2




(2010年8月25日:yahoo版にアップロード)

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