民主党代表選-自民党敗れたり(Vol.2)!




民主党代表選、菅直人首相の勝利がほぼ確実になってきたようです。世論の後押しを受け、地方議員と「党員・サポーター」の票で優位が固まるに従い、関ヶ原の小早川秀秋の如く、恩顧の小沢氏を見限った旧民社党グループを始め、洞ヶ峠を決め込んでいた国会議員も、漸次、菅サイドに擦り寄ってきている由。而して、代表選後は(「党員・サポーターに占める外国人の実数が不明」等の重大な不手際などなんのその)、菅内閣の支持率が(一時にせよ)鰻登りになるのは必定。蓋し、自民党敗れたり!

自民党は民主党の代表選挙に完全に埋没してしまいました。
危惧していたこと(↓)とはいえ忌々しき事態。

・民主党代表選挙をジャックせよ☆民主党代表選挙で埋没するな、自民党!
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59844153.html

と、覆水盆に返らず。今更ジタバタしても仕方がない。ならば、現前の「生きられてある事態」を凝視するのみ。ということで、まずは代表選の形勢を伝える報道の紹介。


◎旧民社は「首相支持」へ 議員票互角、菅首相優位に 民主党代表選

産経新聞社は4日、民主党代表選(14日投開票)の序盤情勢を調査した。党所属国会議員の動向は、続投を目指す菅直人首相が約160人、小沢一郎前幹事長は170人超の支持を固めた。さらに、中間派の旧民社党系グループ(約30人)が4日、週明けにも首相支持の方針を打ち出す見通しとなり、首相は議員票で小沢氏と並ぶ公算が大きくなった。全体の3分の1の地方議員や党員・サポーター票などは首相支持に傾いており、全体では首相が優位に立った。ただ、態度未定の国会議員は60人以上おり、小沢氏は国会議員票の上積みや、サポーターらへの働きかけを強めている。

調査は、412人の国会議員や地方組織への取材、各所属グループの対応などを基にまとめた。

首相は自身の議員グループと前原誠司国土交通相、野田佳彦財務相らのグループの「主流3派」で議員票を固めた。小沢氏は党内最大勢力の小沢グループ約150人に加え、第2勢力の鳩山グループ(約60人)の支持を取り付けたが、2グループの合計210人には届いていない。小沢氏の影響下にあるとされる衆院当選1回の143人のうち、半数が小沢氏支持。2割以上は態度未定だ。選挙基盤の弱い新人議員に、早期解散に慎重な首相の姿勢が一定の評価を得ているようだ。・・・

(産経新聞:2010年9月5日)



【資料:民主党国会議員グループ基礎票】

・反小沢派【合計・110:参院議員30含む】
-菅グループ(40:参院議員15含む)-前原グループ(40:参院議員8含む)
-野田グループ(30:参院議員7含む)

・親小沢派【合計・252:参院議員57含む】
-小沢グループ(150:参院議員17含む)-鳩山グループ(50:参院議員15含む)
-旧社会党グループ(30:参院議員16含む)-羽田グループ(15:参院議員8含む)
-樽床グループ(7:参院議員1含む)

・中間派【合計・50:参院議員20含む】
-旧民社党グループ(30:参院議員15含む)-リベラルの会(20:参院議員5含む)

(毎日新聞:「民主党党内人脈図2010」)

一人で複数のグループを掛け持ちしている議員も少なくなく、また、「無派閥議員」も存在する。しかし、便宜上、412名の民主党国会議員をいずれかのグループにKABUが振り分けた。

    

尚、政界における派閥の役割についての私の基本的な考えについては、下記拙稿をご参照ください。

・派閥擁護論-派閥は政党政治の癌細胞か?
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59808574.html


◆中間展望

新聞・通信各社の情報によれば、旧民社党の寝返り前の段階で、両陣営が集めた国会議員の支持は「菅陣営:小沢陣営=160:170」で動かないらしい。つまり、投票先未定の議員が82名いるということ。また、民主党の国会議員数は412だから、2010年9月5日現在、①反小沢3派連合はその基礎票の110に50票を上積みし、逆に、親小沢派は基礎票の252から既に32票取りこぼしたということ。

∵ 反小沢派の現在の支持者+親小沢派の現在の支持者+【未定議員】=412
∴ 反小沢派の現在の支持者+親小沢派の現在の支持者
    +【非中間派の未定議員+中間派議員】=412
∴ 反小沢派の現在の支持者+親小沢派の現在の支持者
    +【非中間派の未定議員+50】=412
∴ 非中間派の未定議員=412-50-160-170=32   


而して、非中間派の投票先未定議員32名に加えて、(ここで、便宜上、「中間派」は9月5日段階では全員が洞ヶ峠モードと仮定すれば)、反小沢派の基礎票110を越える50名もまた、すでに9月5日時点で親小沢派から<小早川秀秋モード>したということ。

蓋し、羽田グループと旧社会党グループは結束が固く、他方、樽床グループは(グループとして小沢氏に代表選立候補の決起を促しながら)リーダーの樽床氏を除けば雪崩を打って菅陣営支持に廻っているという噂ですから、結局は、

小早川秀秋モード組【32+50】
    =樽床グループ(6名)+小沢グループ(a名)+鳩山グループ(b名)=82
∴小沢グループ寝返り組(a名)+鳩山グループ寝返り組(b名)=76    


畢竟、小沢バッシングの世論の風圧の前に立ち竦み、選挙基盤の弱い小沢グループの新人議員がそれなりに寝返っていることは推察できますし、人情としても理解できる。しかし、それにしても、この大量の寝返りは鳩山グループの総崩れを意味しており、蓋し、それは、例によって、鳩山氏の人望人徳のなさに起因するものでしょう。

而して、マスメディア総動員での小沢攻撃ということもあり、地方議員と「党員・サポーター」の票での小沢氏の挽回は不可能。よって、民主党代表選挙の勝負はあった。と、そう言ってよいのではないでしょうか。

畢竟、小沢氏の今回の失敗は、信じてはいけない、頼りにしてはいけない「宇宙人-鳩山氏」の力を織り込んで選挙戦略を立てたことなの、鴨。


◆政界再編予測

小早川秀秋シンドロームの中でこれから幾らか票を減らすとしても、おそらく、小沢氏は少なくとも180前後の国会議員票は得票するのでしょう。けれども、連合の組織候補を見れば明らかなように、それらの過半は小沢氏が民主党に止まる前提での応援票であり、民主党を小沢氏が離党する場合、小沢氏につき従うのは、武田勝頼の敗走時ほどは惨めではないとしても、小沢グループと称されている議員の半数程度ではなかろうか。よって、(というか、これから先は誰にも予測は不可能でしょうから)ここで、小沢離党のケースでの「勝頼グループ」の勢力を、

衆院議員50名+参院議員15名=65名


と仮定しておきます。而して、ならば、民主党代表選挙後の政局のポイントは、①小沢氏が本当にこの勝頼グループを率いて離党するかどうか、そして、②勝頼グループが政界再編の起爆剤となりうるか否か。この2点に集約されるでしょう。ということで、2010年9月5日現在の国会勢力の確認。

diet1.jpg

それが、「勝頼グループ→小沢新党」の離党によりこうなる。

diet2.jpg

蓋し、いずれにせよ、勝頼グループが民主党を離党したとしても衆議院で民主党が過半数を確保できるとすれば、そして、上の表で見る限り、参議院では民主党も過半数を取れない代わりに、小沢新党も自民党および共産党を除く全政党と組んだとしても過半数は取れない。また、なにより、小沢新党の局面が現実になれば(当分の間にせよ、世論の手前)民主党は小沢氏とは連携を取りづらい。ならば、勝頼グループによほどの人数を結集できない限り小沢離党のモメンタムはそう高くないの、鴨。

而して、小沢離党の際の政界再編の筋道は、

パターンⅠ:
民主党が、公明党・みんなの党・国民新党・新党改革・新党日本・新党大地という第三極の小党、および、社民党と沖縄大衆党までかき集めてする政界再編。

パターンⅡ:
来年の予算成立と引き換えの「菅内閣退陣→総選挙」を睨み半年の野党暮らしを承知の上で離党した小沢新党を接着剤にして、みんなの党・たちあがれ日本を巻き込みつつ、自民党・小沢新党・公明党の第二次「自自公連立政権」を目指す政界再編。

パターンⅢ:
上記パターンⅡの「野垂れ死に」を避けるべく、人事と政策の両面で民主党が自民党に大幅に譲歩する形での民主党と自民党の大連立。   



diet3.jpg

diet4.jpg

diet5.jpg

これらのいずれかではないかと予想します。けれども、統治能力に乏しい民主党政権の唯一の世論統合軸が、「自民党政権よりはまし」という呪文であることを考えれば、パターンⅢは、正に、民主党にとって自殺行為であり、結局は、パターンⅠの線で推移するのではないか。而して、それは烏合の衆の野合以外の何ものでもなく、極めて、残念な予想ではありますが、そう私は考えています。


◆自民党再生は棘の道

今回の民主党代表選挙では、普天間基地問題にせよ財源問題にせよ、傍から見ても小沢氏は、わざと敵役を演じているのではないかと思える。正に、『樅の木は残った』原田甲斐の如く。畢竟、コアな自民党支持者としては、民主党代表選における小沢氏のこの行動が「乱心」であろうが「計算」であろうが、また、小沢氏が勝頼グループを引き連れて民主党を離党しようが党内に留まろうが、一つだけはっきりしていることは、9月14日の代表選の後、自民党は民主党に支持率でダブルスコア以上の大差をつけられるだろうということ。

蓋し、戦前の予想では遥かに優勢な「小沢一郎=今川義元」を(「桶狭間合戦」を巡る近時の通説よろしく)、反小沢陣営は正攻法で打ち破るに違いない。ならば、菅陣営の勢いは、桶狭間の後、その勢いを駆って念願の美濃攻めを果たした織田信長に迫るものになる、鴨。





そうなれば、「民主党政権=信長の政権、ただし、政権担当能力を欠いた信長政権」の政治遊戯の中で日本経済の壊滅と、外国人地方選挙権付与法案・夫婦別姓法案という亡国法案の国会通過は確実でしょう。ならば、我々には、民主党党内の小早川秀秋シンドロームの醜悪さやさもしさを嘲笑している暇はない。畢竟、パワーアップして今次の臨時国会に再登場するだろう「菅内閣-民主党政権」を一刻も早く打倒すべく、政策論争に備えるのみ。と、そう私は考えています。

尚、私が考える自民党の衰微の原因と自民党再起に向けた処方箋に関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。

・民主党政権の誕生は<明治維新>か<建武新政>か
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59444639.html

・自民党解体は<自民党>再生の道
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59586792.html

・自民党<非勝利>の構図-保守主義とナショナリズムの交錯と乖離(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59722931.html

・自民党再生の<切り札>はハートのロイヤル・フラッシュ!
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59398718.html




(2010年9月5日:yahoo版にアップロード)

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