海外報道紹介★ドイツの原発廃止決定は民主主義への挑戦である(中)

原発70

== 承前 ==

It began when, for politically motivated and tactical reasons alone, the government went back on the agreement made last fall — just seven months ago — to extend the life span of nuclear power plants. After the Japanese plant Fukushima began leaking radiation, it felt compelled to cede to public pressure by making a rapid move away from atomic power. Backtracking in the blink of an eye, the government moved so quickly partly out of fear of the Greens, and entirely without discussion or reflection.

The Swiss Energy and Environment Minister Doris Leuthard — who had the determining vote in her government's decision not to build any more atomic power plants and to stop the use of nuclear energy by 2034 — stated: "The change needs time, but we also have time." That deliberate tone is sorely missed in Germany. From the Christian Social Union to the greenest of the republic's Greens, over the past few weeks it's as if everyone is trying to outdo everyone else in signing the death warrant on nuclear power. It's a climate that only engenders more excitability, not good sense.    


ドイツ政府の政策判断の不細工な成り行きは、政治状況に促され政局を睨んだ戦術判断に左右されたものに他ならない。ドイツ政府が 原子力発電所の今後の稼動期間を延長するという昨秋締結した-たった7ヵ月前の-合意に遡ればそのさもしさがよく分かるというものだ。福島にある日本の原子力発電所が放射能漏れを起こした後、ドイツ政府は、原子力発電からの速やかな撤退を求める世論の圧力に譲歩する必要を感じたのである。而して、瞬く間に前言を撤回したのを手始めに、緑の党への脅威もあったのだろうかドイツ政府は素早く原子力エネルギー政策の方針を変更した。けれども、その撤回や変更に関しては【菅内閣ほど酷くはないにせよ、】全くなんの議論も熟慮もなされなかったのである。

スイスのエネルギー・環境大臣【環境交通郵政大臣:Minister of Federal Department for Environment, Transport, Energy and Communication】のDoris Leuthard女史は、彼女自身、原子力発電所の新設は行なわず、また、2034年までには既存の原子力発電所をすべて停止するというスイス政府の判断に決定的な役割を果たした人物なのだけれども、「政策の変更には時間が必要であり、また、我々にはそのための時間があるじゃないですか」と語っている。思慮分別を備えた女史のこのものの見方こそドイツに【まして況や、日本の民主党政権に】哀しいほど欠けているものだ。【中道左派のSPDを挟み、通常は、保守派-、中道右派-、に分類される】キリスト教社会同盟からドイツ緑の党の最左派に至るまで、この数週間に亘ってドイツでは、我先に原子力発電所の廃炉を求める署名をしようと競い合っているかの如き状況なのである。畢竟、このような風潮は感情の高まりを促進するばかりで、好ましかるべき思慮分別を醸成するようなものではなかろう(★)。


★註:脱原発と原発問題の脱構築
どのようなイシューであれ、政策を「正か邪か」の基準で選択することは価値相対主義を基盤とする現代の保守主義や民主主義とは相容れないものでしょう。

蓋し、()「原子力発電は絶対に安全」などということは絶対にないということ、()低線量・中線量の放射線被曝の危険性は証明されていないこと、()原発にかわる安定的な代替エネルギーの実用化は今のところ困難ということ。

これらの<常識>を踏まえて、「脱構築」という意味での(すなわち、「脱原発」と呼ばれる、実体概念としての<生命>の絶対的な価値を前提にしてする、<邪悪な原発>の否定ではなくて、)原発問題を人間と国家、安全と幸福の概念に遡行して再構築する思考様式を私は支持しています。    



原発66



Why the rush?

It is rather astonishing to see how radically the federal government has avoided examining alternative solutions on this issue. Indeed, such an evasion of a debate on the so-called Fukushima Package, which comes up for parliamentary vote on July 8, could be said to skirt legality. Hans-Jürgen Papier, a former president of Germany's Federal Constitutional Court, not known for making unconsidered remarks, called the moratorium an "illegal measure" and something that "[German Chancellor] Angela Merkel, the magician, pulled out of her hat like a rabbit a couple of days after Fukushima." There was no reaction from Berlin.

The Federal Network Agency, also not known for rash pronouncements, stated that consequences of the moratorium would be "questionable in terms of the energy industry, economically inefficient and ecologically damaging" — again, no reaction from antinuclear Berlin, which steamrolled right over it.

And nobody really seems to be perturbed that the body created by Merkel to wind down the use of nuclear power has impertinently been assigned the name of Ethics Commission — as if the issue at stake were an ethical one, and not one of practical and technical common sense. Supporters of atomic energy comprise a tiny minority of the 17-person commission, and within the government only the most faint voices can still be heard raising a timid "But? ..." What a wonderful victory for the robust give-and-take that nurtures democracy!    


なぜ急ぐ?

ドイツ連邦政府が原発の是非を巡って、徹頭徹尾対案の検討を避け続けてきていることには驚愕する。実際、7月8日にはこの関連法案の賛否を問う投票が国会で行なわれることになっているのだから、福島関連法案と呼ばれているこの諸法案に関する議論の回避は言うなれば合法性を獲得する作業の回避と言えなくもない。さもあろう、謹厳実直にして軽薄なコメントなどは行なわないことで夙に知られる前ドイツ連邦憲法裁判所長官のHans-Jürgen Papier氏は、モラトリアムを「違法措置」かそれに類するものと看做しており、加之、「モラトリアム措置は、福島原発事故の発生からほんの数日の後に、手品師のAngela Merkel[ドイツ首相]が帽子から兎ば出すごつしてからひねり出したものにすぎんとです」と述べている。而して、Papier氏のこの指摘に対してもドイツ政府は音無しの構えを取り続けているのだ。

前連邦憲法裁判所長官と同じく拙速なコメントなど出さないことで知られる【また、太陽光発電(PV)システムを管轄する、そして、2009年にはドイツ国内に累計980万kWもの出力のPVを設置した実績を誇る】ドイツ連邦ネットワーク庁も、モラトリアム措置の継続は「エネルギー産業にとって看過できるものではなく、それは生産性の低下と生態系の破壊」という結果を導きかねないと述べている。而して、脱原発路線のドイツ政府からはこの指摘に対しても何の反応も出されておらず、連邦ネットワーク庁の諌言などどこ吹く風で黙殺しつつドイツ政府は強引にその方針を推し進めている。

更に付け加えるならば、原子力発電所を漸次廃止するべくMerkel首相が結成させた会議体について誰もそう気に病んではいないようなのだ。この会議体はちょこざいにも倫理委員会という名称を与えられているのだけれども、それはあたかも件の懸案が倫理の問題であって、実用性と専門性とも接している酸いも甘いも噛み分けることのできる大人の間の常識の問題ではないとドイツ政府が考えていることを示唆していると思われる。いずれにせよ、原子力エネルギーの肯定派は17名で構成される倫理委員会の中では極少数にすぎず、而して、ドイツ政府の中では、控えめな「そやけど・・・」という声以外にはほとんど肯定派の意見を聞くことはできなくなっている。これこそ、民主主義を涵養する活発な議論の応酬のなんたる見事な勝利であることか。もちろん、これは皮肉だけれども!



原発64



<続く>


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