海外報道紹介★ドイツの原発廃止決定は民主主義への挑戦である(下)

原発61


== 承前 ==

And then there's Europe. When a founding E.U. member as powerful as the Federal Republic of Germany wants the continent and the rest of the world to head down a new energy path, then it would be vital not only for that member to take the matter up at the European level, but to give it time — we need time, and we have it. Germany has shown no respect for the energy policies of other E.U. countries, and particularly no trace of consideration for the East-West split that exists in Europe over nuclear power. Instead, Germany has chosen to go it alone on this issue, assuming a kind of avant-garde, "moral high ground" role that is not always going to play well elsewhere.   


他方、ヨーロッパという観点を忘れてはならない。ドイツ連邦共和国の如きEUの強大な創設メンバー国が欧州と他の世界の国々に対して、彼等が新しいエネルギー政策に向かうように望むとき、問題を欧州の範囲で取り上げることのみならず、他の諸国に問題に向き合うための時間を与えることは死活的に重要なことであろう。そう、確かに、ドイツ以外の国々には時間が必要であり、そして、それらの国々は時間的な余裕を持っているのだから。而して、他の欧州諸国のエネルギー政策に関してドイツが配慮と敬意を示したことは今までなかったように見える。実際、就中、原子力発電を巡って欧州を東西に分断する裂け目に些かなりともドイツが配慮した形跡は微塵もない。それどころか、ドイツはその新しいエネルギー政策を独力で作る道を選択した。それは、前衛芸術家の如き、「道徳的に優位」な役割を引き受けたとドイツが勘違いしていることの結果なの、鴨。確かに、そのような、オタク何様ものの役割が、ドイツ以外の国でも上手に演じられるとは限らないのである。



Sustainability also means not getting caught up in the fluster of every passing pressure. It means taking time, in the clear knowledge that a "no" to nuclear power does not constitute an answer to the complex question of how to find viable future sources of energy.

Weighing the pros and cons, hearing out the opposition, putting things in longer-term perspective: we're not seeing any of this. Instead, there is an unholy alliance between those who want to "govern without hindrance" and those who would usurp the will of both Parliament and the people in favor of morally charged environmental pressure. In a rational Germany, haste on such weighty issues should not be tolerated.    


持続可能性もまた、ありとあらゆる偶さかの抑圧が作る混乱に巻き込まれるだけのものでもない。持続可能性を希求するにはある種の認識とともに時間が必要なのだ。而して、その認識とは、原発に「反対」という主張は、実用可能な将来のエネルギーをいかにして見出すかというそう単純ではない問いに対する解答作業には百害あって一利なしということである。

賛成派と反対派の各々の主張を比較してみて、反対意見を最後まで丁寧に我慢強く聞き、物事を長期的な視点から眺めてみること、これらはドイツでは全くなされていないではないか。他方、「邪魔者を片付けた上で政治」を行ないたい人々と、環境問題に正対して道徳的な義務意識が充満してしまった国民ならびに国会の意志を掌中にすることを狙っている人々との邪悪な同盟が成立している。ドイツが理性を取り戻すならば、そんな理性的なドイツでは原発問題の如く重大な争点に関してことを性急に進めるようなことは断じて許されるべきではない。そう私は考える。


原発63



◆解題

保守主義の立場から民主主義を条件付で容認するハイエクは、『隷従への道』の中で、民主主義の危険性を警告してこう述べています。

民主主義はむしろ本質的には一つの手段であり、国内平和と個人的自由を保障する功利主義的な一つの道具である。民主主義はかかるものとして決して疑いのないものでもなく、たしかなものでもない。(中略)そしてきわめて同質的で教条主義的な多数派からなる政府のもとでは民主政治が最悪の独裁政治と同様に圧迫的でありうるということは、少なくとも考えられる。(中略)

主要な価値がおびやかされているときに、民主主義に注意を集中する現代の流行は危険である。そのような流行は、権力の本源が多数の意志にあるかぎり、権力は恣意的ではありえないという誤った信念、根拠のない信念に主として基づいているのである。(中略)権力が恣意的となることを阻止するのは、その源泉ではなくて、その限界である。(中略)もし民主主義が、必然的に権力の行使を含む任務を果すときに、その権力が確固たる規則によって規制されえなければ、民主的支配は恣意的な支配となるに違いない。   



原発67


蓋し、「反原発-脱原発」論は、反捕鯨論とパラレルな、現代のナチズムというべき狂気の暴論と言えると思います。すなわち、それは、

(甲)権力と国家の万能感/人間中心主義の世界観
(乙)科学的言説を纏った非科学性
(丙)独善的な教条主義
(丁)異論に対する非合法的、かつ、<実力>を用いた攻撃の傾向    


のすべて備えた社会思想であり、反捕鯨論と「反原発-脱原発」論の代表的な勢力が国際的なカルト的環境団体、テロリスト集団グリーンピースであることは偶然ではないと思います。蓋し、反捕鯨論と同様「反原発-脱原発」論もまた文化帝国主義に彩られた欧米の傲岸不遜であり、それは、実体概念としての「人間の生命や健康」に絶対の価値を置く、成立不可能な社会科学方法論を基盤とする謬論にすぎないのではないでしょうか。

ここで、(乙)科学的言説を纏った非科学性について敷衍しておけば、「反原発-脱原発」論者の持ち出す低線量放射線被曝の危険性の主張、例えば、京都大学の研究チームが発表した『チェルノブイリ原発事故の実相解明への多角的アプローチ~20年を機会とする事故被害のまとめ~』(2007年)に収録されているマーチン・トンデル「北スウェーデン地域でのガン発生率増加はチェルノブイリ事故が原因か?」(スウェーデン)は低線量放射線被曝の危険性を肯定(?)した極めて稀少な研究なのですが、このレポートは、

  http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/tyt2004/tondel.pdf


①喫煙や社会経済的要因といった特定の発癌要因以外での癌発生を放射線被曝によるものと仮定していること、よって、②放射線被曝と食生活や食材の変化等々の他の有力な発癌要因との間の重回帰分析は施されていないこと、なにより、③被曝線量の多少と癌発生件数との間に相関関係が見られないこと、そして、④この研究によっても、甲状腺癌・白血病といった放射線被曝との因果関係が想定される健康障害と放射線被曝との間に有意の相関関係は認められなかったと報告されていること等々    


を鑑みれば、このレポートは、著者や編集者の意図とは裏腹に、「北スウェーデン地域でのガン発生率増加はチェルノブイリ事故が原因ではない」と言っているに等しい論稿なのです。


而して、このような論稿を低線量放射線被曝の危険性の根拠とする主張は、正に、(乙)科学的言説を纏った非科学性以外の何ものでもないでしょう。而して、ありとあらゆる科学的言説を動員して「アーリア民族の優秀性」という非科学的で反証不可能な<神話>を飾り立てたナチズムとこの論稿との間にはウィトゲンシュタインの言う「家族的類似性」ならぬシャム双生児的類似性が見て取れる

ならば、このような論稿を根拠に掲げるような「反原発-脱原発」論が民主主義の外套を羽織るとき、恣意的な権力行使としてハイエクの言う意味での民主主義の危険性は現実的のものとなる。畢竟、本稿で紹介した Timeの記事は「反原発-脱原発」論の現実的な危険性を、放射線被曝の如き確率的危険性ではなく確証され得る危険性に対して警鐘を鳴らしたもの、鴨。と、そう私は考えています。尚、原発問題を巡る私の基本的考えについては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。


◆脱原発論は日本の地政学的特殊性を無視する暴論である

・事故を乗り越え福島とともに進む☆原発推進は日本の<天命>である
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60450789.html

・ドイツの大腸菌騒動
 -脱原発の<夢物語>は足元の安心安全を確保してからにしたらどうだ
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60533639.html

・News Week 「ドイツの「脱原発」実験は成功するか」
 -海馬之玄関は「No」に80点!
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60521378.html


◆放射線の危険性論は科学的-、法学的-、哲学的に成立し得ない、
 反捕鯨論とパラレルな文化帝国主義的の教条にすぎない

・放射線被曝の危険性論は霊感商法?
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60504829.html

・魔女裁判としての放射線被曝危険論
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60493326.html

・社会現象として現れるであろうすべての将来の原発問題への序説
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60454892.html



原発68



(2011年07月4日:yahoo版にアップロード)

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