「いい国つくろう、何度でも」を目にした随想



いい国つくろう、何度でも。些か意味不明の宝島社の広告ご覧になりましたか?

2011年3月11日午後2時46分から174日、大東亜戦争の終戦からちょうど66年目、その2011年9月2日の全国紙に見開きで掲載された広告。意味不明ながらなかなかインパクトのある広告が掲載されていました。要は、今秋にシリーズもので出される商品群のためのイメージ広告なのですが、映画や漫画に喩えれば、その後のストーリーとあまり関係なく、冒頭でいきなりヒロインのHシーンが始まるような、そう、昔ビッグコミックスピリッツに連載されていた、じんのひろあき 『ラブレター』(1997-1998)とか、例えば、弊ブログでは天鈿女命と同神格の、若かりし頃の秋吉久美子さん(←秋吉さんは、もちろん今でも素敵です!)が主演していた懐かしいB級日活ロマンポルノのようなテーストの広告。

好意的というか直球勝負的に<解釈>すれば、

もう一度、<マッカーサー元帥>にこの国を作り変えてもらおう!
今度は中途半端はやめて、日本はアメリカの51番目の州に格上げしてもらおう! 
   

という主張なのでしょうかね。ならば、筋金入りの保守主義者の私としては、この広告には静かに激しく同意しますが、残念ながらそれは現実的ではなかろう。

畢竟、<日本州>の実現は国際法的にはそう難しくはない。かっての「大英帝国=ブリテッシュコモンウェルス」を挙げるまでもなく、端的に「デンマーク=ノルウェー二重王国」や「オーストリア=ハンガリー二重国家」の如く同じ王冠を戴くものはもちろん、政体を異にする「二重国家」さえ不可能ではないのですから。まして、既存の連邦国家への加盟編入なら(その既存の連邦憲法と<州の法体系>の整合性の調整だけが問題なのだから)ことは極めてシンプル。

加之、日本が51番目のアメリカの州になるに関して想起される日本側の問題は、憲法論的には、それこそ66年-65年前、マッカーサー元帥にそうしていただいたように、新憲法を制定すればよいだけの話であり、かつ、政治的にも、現状を<密教>状態から<顕教>状態に、しかも、日本側にとってより有利な線で移行するだけの話でありそう難易度が高いとは思えません。

他方、<日本州>を巡るアメリカ合衆国憲法上の問題をクリアすることも(例えば、天皇制を堅持しながら1条10節1項や4条4節をクリアすることは)憲法論的にはそう難しくはないものの、日本がアメリカの51番目の州になれば、その日本州にはアメリカの連邦下院議員と大統領選挙人のほぼ25%の定員が割り当てられることになり、アメリカ国内政治的にはそんな<日本州>の出現は今のところ現実政治的には不可能と言えるでしょう。


◎アメリカ合衆国憲法


1条10節1項
いかなる州も、条約、同盟、もしくは連合に加わること、拿捕及び報復の特許状を発し、貨幣を鋳造し、信用証券を発し、金銀以外の物を債務支払いの弁済となし、私権剥奪法、事後法、あるいは契約上の債権債務関係を侵害するような法律を制定し、貴族の称号を授与することはできない。

4条4節
合衆国は、この連邦のすべての州に共和政体を保障し、侵略に対してそれぞれの州に保護を与える、また立法府または(立法府が集会できない場合には)執行府の申出に基づいて州内の暴動に対しても、同様の保護を与える。
   
1条2節3項
下院議員及び直接税は、この連邦に加わる各州に、それぞれの人口に応じて配分される。

1条3節1項
合衆国上院は、各州から6年の任期でその州の議会によって選出された2名の上院議員によって構成される。

2条1節2項
各州は、その議会が定める方法にしたがって、その州が連邦議会に送ることができる上院議員及び下院議員の総数に等しい数の【大統領】選挙人を選任する。

   


では、宝島社の広告コピーはどう<解釈>すればよいのでしょうか?

正直、意味不明、鴨。(><)

しかし、

①現行の日本国憲法と旧憲法との法的不連続性
現行憲法は旧憲法からの正統性も正当性も得ていないこと、逆に言えば、現行憲法の憲法典としての法的効力には旧憲法からの正統性や正当性は無関係であり不要であること。すなわち、現行憲法の憲法典としての法的効力は、現行憲法に対する国民の法的確信に支えられており、畢竟、その法的確信は、憲法典としての日本国憲法を包摂する(憲法慣習や憲法の事物の本性を含む)「実質的意味の憲法」の規範全体系に対する法的確信の真部分集合であること。
    
よって、

②憲法理解の枠組みとしての保守主義の妥当性
伊藤博文公がプロシアからアイデアを持ってこようが、マッカーサー元帥に憲法を起草していただこうが、否、日本が<日本州>になろうが、各憲法の登場の前後に関して、その時点における日本の伝統と文化に底礎された日本の「実質的意味の憲法」はそう大きくは変わらなかった/変わらないだろうこと。ならば、パラドキシカルながら、戦後、日本社会を変えたものは日本国憲法ではなく、すでに日本社会が変わっていたからこそ日本国憲法が現行憲法として定着し、国民の法的確信を獲得し、もって、憲法典としての法的効力を獲得・保持しているだろうこと。
    
ならば、

③憲法改正・新憲法制定の不可避性
ないものねだりの<日本州>の実現が政治的に困難である以上、そして、なにより日本社会の現状が、「40年体制-55年体制」とは最早異質な地点まで変遷推移している以上、現状の日本の閉塞状況を打破するには憲法改正・新憲法制定が望ましいこと。そして、繰り返しになりますが、その新憲法の登場の前と後では、実は、日本の社会にはそう変化はないだろうこと。要は、憲法改正・新憲法の制定は、現下のこの社会の<密教>状態の「実質的意味の憲法」を<顕教>状態にするだけのものにしかすぎないこと。けれども、旧憲法および現行憲法が各々果たした歴史的な役割を反芻するまでもなく、それには計り知れないほど大きな政治的と社会的な意味が付随するであろうこと。    

この①~③の三点は、宝島社の広告のコピーの意味内容として抽出できるの、鴨。
と、そう私は考えています。


尚、<保守主義>および<憲法>に関する私の基本的な理解に関しては下記拙稿をご参照いただければ嬉しいです。


・風景が<伝統>に分節される構図
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60167130.html

・<伝統>の同一性と可変性☆再見沖縄?
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60167142.html

・保守主義の再定義(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60444711.html


・憲法とは何か? 古事記と藤原京と憲法 (上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60444652.html

・憲法における「法の支配」の意味と意義
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60444639.html

・国家が先か憲法が先か☆保守主義から見た「法の支配」(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59513115.html
 






(2011年09月3日:yahoo版にアップロード)

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