「女性宮家」は女系天皇制導入の橋頭堡:Yahoo意識調査-私家版回答マニュアル




Yahooがアンケートを実施中。女性宮家の創設に「賛成?」「反対?」(実施期間:2011年11月25日~2011年12月5日)、と。而して、本稿はこのアンケートに回答するための情報を提供するもの。尚、最初にお断りしておきますが、私自身は「賛成」の立場。しかし、本稿の記述はその賛否是非にかかわらず有意義なもの/邪魔にはならないもの、鴨

http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/quiz/quizresults.php?poll_id=7356&wv=1&typeFlag=1


御案内の通り、「女性宮家」とは、女性皇族が一般の男性と結婚しても皇族の身分にとどまれるようにするための制度であり、その創設には皇室典範の国会による改正が不可欠な、天皇制のサブシステムです。

・宮家
皇族のうち、宮号を賜り一家を立てた方。または、その一家のこと。

・女性宮家
宮号を賜り一家を立てた女性皇族、または、その一家のこと。


ちなみに、「宮家の当主が女性」であったという意味での「女性宮家」は、過去に一例だけ存在します。すなわち、あの「公武合体」の象徴、和宮内親王の異母姉君、桂宮淑子内親王(1829-1881:桂宮;1836-1881)。但し、「皇族以外の配偶者を持った女性皇族が宮家の当主」でもあったという意味の、謂わば「狭義の女性宮家」は歴史上は存在しなかったことになっています。


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しかし、狭義の女性宮家の不存在は、

(イ)現在の文化人類学的な知見からは疑問がなくもない。例えば、日本の「婚姻制度/婚姻習慣」が、室町時代後期に確立して現在に至る「嫁取婚」までは、随時、妻が婿の許に/婿の一族の許に通う「請妻婚/紹妻婚」を斑状に残しつつも、基本的には長らく「請婿婚/紹婿婚」、すなわち、広義の「婿入婚」と一括できる制度であったことを想起すればなおさらです。

(ロ)歴史学の知見からも然り。すなわち、『記紀』の記述を信用するとしても(ある一族出自の妃の産であることが次期大王位継承のための有力な資格であったことが紛れもない、葛城氏やその後継としての蘇我氏等々、そのような「臣」系の最有力氏族の存在は割愛するとしても、また、初代神武天皇の入り婿説は置いておくとしても、)「継体天皇(26代)が武烈天皇(25代)の姉妹にあたる手白香皇女を皇后とした」「仁賢天皇(24代)が雄略天皇(21代)の皇女である春日大娘皇女を皇后にした」経緯、要は、継体天皇も仁賢天皇も「ますおさん」になったがゆえに大王位に就けたとも考えられること。これらを鑑みれば、狭義の女性宮家の不存在は極めて怪しいと言わなければならないからです。


敷衍すれば、確かに、(ロ)自体は、直接には単に「複数の王家の存在」と「複数の王家グループ内部での双系的皇位継承ルールの存在」を示唆するものでしょう。

しかし、(イ)に述べた文化人類学的知見の帰結たる、一妻多夫類似の制度の存在、而して、「妻=女性皇族」の皇族としての地位が婚姻によって、換言すれば、その「配偶者」が誰であるかということによって(つまり、配偶者が王家の出自ではないとしても! なぜならば、例えば、天智天皇・天武天皇の実母「宝皇女=皇極天皇&斉明天皇」の場合がそうであるように、その配偶者が王家の出自なら『記紀』にその旨が書かれていても不思議はないのですから。)左右される度合いが低かったであろうことを併せて鑑みるならば、(ロ)からも狭義の女性宮家の不存在は怪しいと言える。

百歩譲っても、少なくとも、皇統の記録が歴史的事実と考えてまず間違いがなとされる、欽明天皇(在位:伝531年/539年-571年)以前に関してはそう言える、鴨。ただ、逆に言えば、欽明朝以降のこの1500年余りに関しては、確かに狭義の女性宮家は存在しないとは言えるでしょうけれども。


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ことほど左様に、「女性宮家」を巡るポイントは、要するに、
宮家とは天皇家・東宮家の<分家>であり、

(Ⅰ)宮家当主とその直系卑属とその配偶者は、時の今上天皇との血筋の隔たり度合い、
   すなわち、親等数の乖離にかかわらず、臣籍降下をしない限り皇族の身分が
   与えられること。

(Ⅱ)女性宮家とは、その当主の配偶者が皇族の出自であるか否かにかかわらず、
   宮家が存続すること/その当主もその卑属も皇籍を保つこと。なぜならば、
   その当該の配偶者が皇族であれば、現在でも、その婚姻成立と同時に
   女性皇族と(その女性皇族が「未婚の母」になられたケースは度外視するとして、
   よって、)その卑属が皇籍を自動的に離れることはないのですから。


畢竟、女性宮家の問題は、広義の女性宮家が、単に、当該女性皇族のタイトルの変更の問題に(つまり、例えば、東宮の愛子内親王殿下が、新たに宮号を賜り、繰り返しますが、例えば、「西宮愛子内親王」殿下になられるに)すぎないのに対して、狭義の女性宮家は女系天皇制の是非と地続きの問題である。そういう重層的な問題群と言えると思います。


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而して、私の主張の詳細については下記拙稿をご参照いただきたいのですが、
冒頭でも述べた如く、私は狭義の女性宮家も女系天皇制も、原則、支持しています。

なぜか? それは、

①秋篠宮悠仁親王殿下が皇位を継がれることになったとしても、その新天皇家とその皇子が沢山の皇子に恵まれるのでもない限り、やはり、皇族の減少は不可避であること。それは、「明白かつ現在の危険:clear and present danger」どころではなく「明白な危険:apparent danger」であるだろうこと。

②()旧宮家の皇族復帰と、()その新しい皇族間では東宮家を含む養子制度・婿入り制度も解禁するべきであり、その措置と()女性宮家の創設とを併せれば、皇族の減少傾向に対する措置という点ではまずは皇室の将来は明るい。而して、()女性宮家の創設を伴わない()旧宮家の皇族復帰と、()その範囲まで拡大された皇族間における養子制度・婿入り制度の導入だけでは、(側室制度、若しくは、皇族以外からの東宮家を含む宮家当主に入り婿を認めるのでもない限り)皇室を覆っている危機は、原理的にはなんら解決され得ないだろうこと。

③「男女平等」のイデオロギーや諸外国における王位継承の潮流等は、本邦の皇位継承ルールがいかにあるべきかということとは、白黒はっきり言えば無関係であるにせよ(だって、only oneの存在であることが「天皇制」の「値打ち」でもあるのでしょうから。ならば、男女平等イデオロギーなども論外!)、皇室への敬愛崇敬が、今上天皇と皇后両陛下に対する敬愛であり崇敬である度合いが、国民の法意識の中で「1600年の伝統」なるものよりも大きいとすれば、()旧宮家の皇族復帰、()その新しい皇族間での養子制度・婿入り制度の解禁よりも、()狭義の女性宮家の創設の方が論理的・政策的なプライオリティーが高いかもしれないこと。

蛇足ながら、④女性宮家の創設に伴う「国民の財政負担」などは、それによる社会統合と社会秩序維持のコストパフォーマンスから見れば「ただ同然」だろうこと。なにより、その実体経済における「経済効果」を考えれば、宮家が増えることのメリットは、女性宮家創設に付随する国民の税負担なるものとは比べものにならないくらい大きいだろうこと。

実際、「オックスブリッジの名誉総長」やコモンウェルス諸国の名誉総督を務めることもある英王室の事例とパラレルに、例えば、「皇族」を「名誉大使」に補任する慣行・制度を導入するだけで、その数が限られた稀少・貴少なる「皇族大使」を自国に振り分けてもらおうとする、準主要国や野心のある国からの<手土産>だけでお釣りがくる、鴨。要は、皇室関連予算の額はメジャーファクターではありえないこと。

蓋し、⑤文化帝国主義の手垢のついた陳腐な「男女平等イデオロギー」などではなく、「天照大神や神功皇后の昔から日本は女でもってきた国」であり、いよいよ、現下の国難に際しては「天皇は女性に限る」、すなわち、「皇位は、皇統に属する女系の女子が、これを継承する」くらいでちょうど良いの、鴨。と、そうも考えること。 

・女系天皇は憲法違反か
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59879735.html

・覚書★女系天皇制は<保守主義>と矛盾するものではない
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60896992.html


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まあ、最後の⑤は個人的考えとしても、これら①~④からは、女性宮家も女系天皇制も満更暴論ではないのではないか。少なくとも、正に、<神話>と思しき「2671年に亘る万世一系の伝統」、若しくは、それ自体は間違いとは言えない「1600年の男系継承の伝統」、あるいは、男系による(突然変異がなければ原則不変なる)「y染色体の遺伝的継承の事実」などという事実はこの問題とは無関係とさえ言えるのです。

すなわち、女性宮家や女系天皇制導入の是非論がそこに位置する価値・規範の世界とは(つまり、「当為命題=すべき/すべからずの命題」が構成する公共的な意味空間とは、国民の法的確信に媒介されない限り)直接関係のない事実の世界の命題を持ち出す女性宮家批判や女系天皇制批判は論理的な誤謬を犯している。加之、それは論理的にだけでなく、憲法基礎論的にも論外の主張でしかないのです。尚、この問題を巡る私の憲法基礎論における考えについては取りあえず下記拙稿をご参照ください。

・定義の定義-戦後民主主義と国粋馬鹿右翼を葬る保守主義の定義論-
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60902921.html

・「天皇制」という用語は使うべきではないという主張の無根拠性について(正)(補)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/60899909.html

畢竟、(別稿で述べた如く「保守主義」からもですが、少なくとも、)憲法論的には女性宮家と女系天皇制には何の問題もありません。而して、女系天皇制否定論には、あるいは、女系天皇制肯定論にも、そのお互いの主張が、歴史的の知見から、すなわち、事実の世界に関する知見から「一対一」で演繹・抽出・基礎付けられるものではないこと。

而して、これは揶揄嘲笑ではなく、その是非を巡る議論は、政治的な、イデオロギーを巡る、要は、一種「好き嫌い」の議論であることは自覚すべきである。その自覚を抱いて、(それが皇位継承ルールを最終的に確定する)国民の法意識を自説に引きつけるための<主張の資料>としてのみ歴史的事実に関する知見・情報は使用されるべきである。と、そう私は考えます。

これらのことを踏まえて、冒頭で旗幟を鮮明にした如く、今上天皇、皇后の両陛下がそれを希望しておられるという前提の上ではありますけれども、日本は「女性宮家の創設」と、それを橋頭堡/一里塚として「女系天皇制の導入」にいよいよ舵を取るべき、鴨。と、そう私は考えます。


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旧宮家復帰論の影に国粋カルト危険思想

旧宮家の復帰という論は極めて危険であり
徹底排除すべきです。

その論の中心にいる竹田某は八木秀次という
国粋カルト思想の超危険人物とつるんでおり
マトモではありません。

今上陛下もこの点については深く懸念されて
いるはずです。

初めまして、こんにちは。
日経新聞は12月朔の社説で「国民」は「覚悟」が必要と主張しました。日本人の為に書いた社説ではないからでしょう。晴れがましい、天長節の日、学習院と向かい合う警察署は日の丸で飾られなかった。この日、女性宮家の事が日経の一面に掲載された。在外公館がこの日付を守らない試しもある。思うに、日本における既得権益は、天皇及び皇室を最後の抵抗勢力と、見做しているからだろう。
天皇、皇族たるには強靭な自制心が期待されてしまうが、申し訳なく忝ないことと思う。この世が末永く続く事を願う日本人の心の象徴が世界最古の皇統であり、その努力の成果が、この世界最古の国ではないでしょうか。
靖国ではもう騙されない。女系の事で小泉元総理の施政が愚かさ故ではなかった事を思い知った。
私は日本人に投票したい。一つの民族の一員としての世界共通の権利と願いが、かくも無惨に踏みにじられる国は他には無いだろう。確率を鑑みれば、旧宮家の復帰を公約する候補者の支援は次善の策として有効だと思う。不作であろうとも、朴宮家やパチ金朝のような新貴族や新王家設立による男系断絶の可能性を開こうとするようなカルト化した隠れ男系男性至上主義信者やその手先より万倍ましだと思う。排除される謂われ等ありません。「竹田某」とは不明瞭かつ失礼ではないですか。旧宮家男系男子御復帰について男系実系の根本原理以外に、養子や婚姻等を絡めていらっしゃる竹田氏の事なら、諸内親王女王殿下の御婚姻に、要らぬ圧力や条件を課す事に通じる点では、女系待望論者にも通じてしまう。純粋な復帰論者にこうした事はありません。女宮方と、復帰して下さった男宮方双方の御心のままに、そうした事があれば、望外の喜びという立場です。謂われの全くない差別と「徹底排除」に、日本人の一員として激しい怒りを表明します。コメント記者の懺悔と謝罪を希望します。
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KABU

Author:KABU
大東亜戦争終結後のこの社会で跳梁跋扈し猖獗を極めた戦後民主主義の批判を果敢に推進するための
yahoo版のミラーブログ。
2007年9月10日以降の新記事を随時、厳選した過去の自薦稿を漸次アップロードしていきます♪

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